地下
階段を進むと何もない地下空間があった。暗くどこか不気味な雰囲気がする
エイリーク「なんもない....ちょっと怖いー」
ロード「急に女々しくなりやがって。こんくらいなんて事ねえだろ」
エイリーク「うるさいわねー、怖いものは怖いの!」
ソール「ラボオさんはどちらに?」
全員で探すと奥におじさんの霊がいた。そこには細長い台座がおいてあった
サンディ「あ、いたいた!」
ナイン「何かの台があるね」
全員でそこに向かう
ロード「もしかして、これラボオのおっさんの墓なんじゃねえの」
ロードが台についた土を払ってみると歪な名前が彫られていた
ラボオ「すまなかった、旅人達よ」
ソール「わわ、ラボオさん?の声だ」
ラボオ「どうやらあの番人は私が不思議な果実にこの地の平穏を願ったばかりに生まれたようだ。だが、あれは私の本意ではなかった。これで、ようやく私の小さな友人も安心できるだろう」
ラボオさんがそう言うと、スライムが階段からやってきた
スライム「ラボオじいさん!」
ラボオ「怖かっただろう、すまなかったな」
スライム「うん。もう外に出ても大丈夫なの?」
ラボオ「ああ、この方達が倒してくれたからな。ありがとう」
スライム「ありがとう!」
二人で頭をさげてお礼を言われる
ナイン「どういたしまして」
そうすると、ラボオさんの体が光に包まれていく
ロード「おっさん.....」
スライム「ラボオじいさん、もうさよなら?」
ラボオ「ああ、さよならだ。旅人達よ、私は帰れぬ故郷の地を.....手に入らなかった大切な物をここに作り上げたのだ。そう、この地は幻影。老いぼれの見た最後の夢。だが、それでも......。クロエ......私はこれで愛する君の元へ......故郷エラフィタに帰ったのだ」
ラボオさんはそう言うと柔らかく笑って消えていった
スライム「.......バイバイ、ラボオじいさん」
ラボオさんの足下に女神の果実が現れた
ナイン「これはまた回収しておかないとね」
僕は鞄に女神の果実をしまった
ソール「.....確か、クロエさんっていましたよね」
ロード「ああ、ソナばあと一緒に合いの手を歌ってたばあだったな」
エイリーク「そうなんだ。そのクロエさんって人に知らせたら?」
サンディ「そこまでする?別によくね?」
ナイン「うーん、よくわかんないや」
サンディ「要するに、クロエってラボオの元カノだったんでしょ?でもそれはとっくに昔の話で、もう違う人と暮らしてる。それならそれでいいじゃん。ラボオは帰らなかったワケだし」
ソール「そうですが.....それだけじゃないんですよ。きっと、クロエさんもラボオさんがどうしてたかを知りたいはずです。特に、こんな山奥に石でエラフィタ村を作るくらいには、故郷を思っていたんですから」
ナイン「何十年もかけて、この石の町を作った。でも、ラボオさんは村には帰らず、一人でここに骨を埋めた......。気持ちがよくわかんないよ」
サンディ「ね。人間ってなんでこんな事するのかしらね」
スライム「ラボオじいさんはね、この町を作りながらよく昔話をしてくれたよ。その度によく聞く名前だったよ、クロエって。愛?してたんだって。だからこの町を作ったんだって」
ロード「とりあえず、エラフィタ村に行こうぜ。ゆっくり休むのと、報告も兼ねてな。こんな所にいてもどうしようもねえ」
ナイン「そうだね」
エラフィタ村
エイリーク「わー、ここがエラフィタ村なんだ。桜も散っちゃったけど綺麗ね、私もこういう雰囲気好きかも」
ソール「自然豊かでいい場所ですよね。俺も好きです」
ナイン「やっぱりさ、シェリーと似てるよね。この桜の木」
ロード「言われてみればな。神木様って呼ばれてるだけあんのかね」
その時、近くにいたおじいさんが声をかけてきた
おじいさん「懐かしい名前が聞こえたべ。お前さん達、シェリーって名前どこで聞いたんだべ?」
ソール「どうも、こんにちは。えっと、その.....ふとした拍子に本に書いてあって......ブルー村の桜の木だと」
おじいさん「そうそう。そこ、おらの爺さんが昔住んでた村なんだってよ。ここに引っ越す際にそこの村に生えてたシェリーって木の取り木をしたんだべ。取り木って知ってるべ?親の木の皮や根っこを持ってきたんだべ。そうしてここでも育てたら、今ではこんなに大きな桜の木になったんだべ。いわゆる、これはシェリー2号という事だべ」
おじいさんからのまさかの情報に全員で呆然としてしまった
ソール「........」
ソールからは思わず涙が頬を伝っている
おじいさん「わわ!おめさん、一体どうしたんだべ!」
ソール「いえ.....な、なんでもないんです」
ロード「じいさん、とってもいい情報を聞けた。教えてくれてサンキューな」
おじいさん「そ、そうだったか?ならいいんだが」
おじいさんは離れていった
エイリーク「そっか、シェリーはここでちゃんと生きてるんだ」
サンディ「ちょービビったんですケド!こんな事ってあるのね」
ナイン「よかったね、ソール」
ソール「はい.....よかった.....。シェリーさん、エラフィタ村を知ってるみたいだったのでもしかしてとは思ったんですけど、まさか本当にそんな事があるなんて....」
ソールは涙を拭いながら桜を見た
ソール「シェリーさん、あなたは忘れられてないですよ」
その後、クロエおばあちゃんの家に向かう途中こんな事を聞いた
おじさん「昔からソナばあさんとクロエばあさんは仲良しで、村の中では有名だったんだ。そういや、もう一人仲のいいやつがいたと思ったが.....はて、なんて名前だったべか」
クロエおばあちゃんの家
家の前にはおじいちゃんが水をまいていた
エイリーク「突然ごめんね、おじいちゃん。クロエおばあちゃんの昔の話って何かご存知?」
おじいちゃん「おお、昔の話かの。わしゃ昔はクロエを射止めるのにそりゃもう苦労したんじゃよ。当時クロエには旅に出たまま帰らない別の恋人がいての。納得するまで10年待ったよ。それでもこんなに素敵な奥さんを貰えたんじゃから、わしは幸せ者じゃよ」
エイリーク「10年......。そっか、教えてくれてありがとう!クロエおばあちゃんは中に?」
おじいちゃん「ああ、いるとも。お話してもらえると喜ぶよ」
中に入っていくと、キッチンにクロエおばあちゃんがいた
ナイン「お久しぶりです、クロエおばあちゃん」
クロエ「おや....?まあまあ、いつぞやの旅人さん達。お久しぶりね」
僕達はクロエおばあちゃんにラボオさんの事を話した
クロエ「まあ。ラボオに会った?山の上に石のエラフィタを作って.....?面白い事言うのね。それにあなた達一体ラボオの名をどこで聞いたの?」
ロード「ラボオは彫刻家として一部に知られてたんだ。作品が評価されてたみてえなんだ」
クロエ「そう.....ラボオ.....懐かしい響き。確かに昔この村の生まれのラボオという名の青年がいたわ。私は彼と恋人同士だった。でも、彼は腕を磨くために旅に出てそれっきり帰ってこなかった。あの時の約束も、なにもかも裏切られたって思ったわ。私はあの人の事をずっと待って.........。
なのに、あの人が......彫刻でエラフィタを......?そんな事あるはずないわ。私にはとても信じられない。あの人はこの村を捨てたのよ、私と一緒にね。それに、あなた達の言った事が本当だとしても、もう.....今更遅いわ。時間は決して戻せないのよ.....」
クロエおばあちゃんは空を見上げた後、悲しそうに目を細めた。目尻にはわずかに涙が見えた
ソール「........」
ナイン「いつか、行ってみてください。ラボオさんの作った石の町に。クロエおばあちゃんなら、何かラボオさんの事がわかるかもしれませんよ」
クロエ「........もう、こんな歳だしね。山の上なんて行けないわ」
ナイン「..........」
僕達は黙ってクロエおばあちゃんにぺこりとお辞儀をして家を出た
ナイン「恋を教えてください」
エイリーク「突然どうしたの、ナイン」
ナイン「恋って、どんななのかわからなくてさ。皆に聞けばわかるかなって。エイリークはわかる?恋ってなに?」
エイリーク「うーん......難しいよね、私もこれって答えは持ってないけど。昔にお父さんとお母さんがね、気づいたら相手の事を気にしてたり、何気ない仕草や雰囲気が心地よかったりしたら、相手に恋してるのかもって」
ナイン「なるほど。うーん.....僕はソールもロードもエイリークもサンディも、皆気になるし落ち着くけどな」
エイリーク「私も。恋と何が違うのか私も難しくてよくわかんない」
ナイン「この旅の中でわかるといいなー」
エイリーク「そうね、私にも運命の王子様がいるのかなー」
ナイン「エイリークはお姫様になりたいの?」
エイリーク「え、やだ違うよ、ナイン!ただの例え!かっこいい男の人がいてくれないかなーって」
ナイン「エイリークなら優しいし可愛いからすぐだよ」
エイリーク「本当にー?うふふ、ナインありがとう!」