ドラゴンクエストIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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54.誘拐

 

その頃、マキナさんの部屋では

 

 

「ど、どういう事....」

 

 

ロードを置いてマキナさんの部屋にいると、突然マキナさんによく似た女の子の幽霊があらわれた。その子についていくと中庭に出た。そこにはマキナさんの両親の墓と、大好きなお友達ここに眠ると書かれた墓が綺麗なお花に並んで置かれていた

 

 

「あの幽霊は?」

 

 

「さっきの幽霊、マキナに似てなくなくね?どういう事?もしかして、お嬢様の身になにかあったとか!?」

 

 

サンディがそう言うとどこからか声が聞こえてきた

 

 

あの子は私のたった一人の大切なお友達

 

 

「「キャーッ!」」

 

 

エイリークとサンディの揃った悲鳴に思わずびっくりしてしまう。すると目の前にさっきのマキナさんのような幽霊があらわれた

 

 

「私は.....マキナ。この墓の下で眠る者です」

 

 

「え!?」

 

 

マキナさんの幽霊の言葉に僕はびっくりする。マキナさんはしんでいた?なら、さっきまでソールの所にいたマキナさんは?

 

 

「そしてあの子は、私のお人形マウリヤ。不思議な光る果実の力で命を宿した私の大切なお人形」

 

 

「等身大の人形!?マジで!?」

 

 

「黄金の果実ってそんな事も起こるの!?」

 

 

驚く僕達をおいてマキナさんは生前の事を話し始めた

 

 

「普通の子のように外で遊ぶ事のできない私にとって、マウリヤだけがお友達でした。大好きな大切なお友達。マウリヤと毎日遊んだ。とても幸せでした。でも.....私の病気はどんどん酷くなり、直に天使様がお迎えにくるだろうと.....わかっていました」

 

 

「天使様......だから、僕を」

 

 

マキナさんのその言葉にようやくあの時言われた言葉を理解した。マウリヤは、僕の正体がわかったんだ。だから、迎えに来たんだと言ったのか

 

 

「そんな時、召使いが万病に効くという珍しい黄金の果物を持ってきたのです。黄金色に輝く美しい果実はとても綺麗でしたが......私はもうとっくに諦めていました。黄金の果実を食べた所で私の病気が治るはずはない。私の命はもう尽きるのだ、と」

 

 

「そんな....」

 

 

「私は、一人じゃなくてせっかくならお友達であるマウリヤと一緒に食べたいと思いました。だから、こんな風に願ってしまったんです。もし、人間のように動いてくれたら、喋ってくれたなら、と。果実は本物でした。マウリヤの元に勝手に動いていって、光を放つとマウリヤが動いて話し始めたのです。でも、私はその時にはもう命が尽きる寸前だったのです。せっかく願いがかなったのに....。

 

 

だから私はマウリヤに私の持っているものを全部あげました。マウリヤに私の分まで生きてもらおうと思いました。マウリヤが人形だと知られたらこの町にいられないかもしれないから私のふりをして、と。私の代わりにお友達を、たくさん作ってもらいたかったんです。マウリヤは私の言葉を守るため誰にも気づかれないように墓を作り、マキナになりました」

 

 

「そう.....だったの」

 

 

マキナさんの話を聞いて僕もサンディもエイリークも顔を暗くしている。この事をソールが知ったら.....どうなるんだろう

 

 

「どうか天使様。マウリヤを、私の大好きなお人形で大切なお友達を助けて。今、マウリヤは知らない人達に連れ去られてしまいました」

 

 

「え!?」

 

 

「うそ!?ソールは!?」

 

 

その情報に僕達が驚いたのと同じタイミングで中庭への扉が乱暴に開かれた。そこにはロードが立っていた

 

 

「お前らこんな所にいたのかよ。こいつから情報吐かせるだけはかせたぜ。北の洞窟にお嬢様を攫う予定だったらしい」

 

 

ロードが顔がパンパンに腫れ上がったさっきの男の人の首根っこを掴んでいる。それ、生きてる?

 

 

「ロードいいタイミングよ!どうやらマキナちゃん、本当に攫われちゃったみたい!急いで助けに行かないと!」

 

 

「は、はあ!?どういう事だよ!」

 

 

ロードに今起こった事を全て説明した

 

 

「えーっと、つまり女神の果実のせいで人形がお嬢様に成りすましてたってわけか。そんな事にもあの果実は使えんのかよ。で、なんでソールがいたのにお嬢様は攫われてんだ?」

 

 

「それはわかんないけど、とりあえずその北の洞窟に行きましょ!」

 

 

「ちゃっちゃと助けにイコー!ね?天使のナイン様!」

 

 

「その言い方面白がってるでしょ、サンディ」

 

 

「えへ、バレた」

 

 

北の洞窟

 

サンマロウの北にある大きな洞窟。滝や海からの水が多く、地下の水脈に沿って複雑な地形になっている

 

 

「ソール置いてきちゃったけど大丈夫かな」

 

 

「あれ?洞窟の前に誰かいるよ」

 

 

エイリークと話しながら洞窟の前にやってくると、その前に誰か立っている。見覚えのある後ろ姿は

 

 

「え!?ナインさん達!?」

 

 

「ソール!え、なんでここに?」

 

 

少し息を切らし気味のソールが立っていた。ソールはサンマロウにいるはずじゃあ

 

 

「俺はマキナさんが攫われるのを見てその男達を追っかけてきたんです」

 

 

「僕達は、マキナさんが実は」

 

 

僕がそう言いかけた瞬間、ロードに口を塞がれる

 

 

「むぐぐ!?」

 

 

「お嬢様の家にこいつらが泥棒に入ったのを目撃してな。仲間を置いて逃げてったから、こいつをボコして仲間の元に届けに来たんだ」

 

 

ロードはここまで引きずってきたボロボロの男の人を持っている

 

 

「泥棒!という事は、マキナさんを攫った男達の仲間ですかね」

 

 

「そ、そうなの。狙いもマキナちゃんを攫う事だったみたいだから同じだと思うの。助け出さないと!」

 

 

「よし、とっとと行くぞ。おら、アジトとお嬢様の案内だ。いいな?」

 

 

ロードはボロボロの男の人のお尻を蹴り上げて先頭に立たせた。男の人は泣きそうな顔で渋々案内してくれるようだ

 

 

僕は静かにロードとエイリークに話しかける

 

 

「なんでソールにマキナさんの事言わないの?教えてあげた方がいいじゃん」

 

 

「......ソールはな、あの人形に恋しちまったんだぞ。それなのに、人形だったなんて言ったら悲しむだろ」

 

 

「恋?一目惚れってやつじゃなくて?」

 

 

「大体一緒だろ」

 

 

「それに、ソールは人形って知ったらなんで悲しんじゃうの?」

 

 

「うーん、説明は難しいんだけど.....ソールの事を大事に思ってるからこうしてるのよ」

 

 

「ソールが後で知った方がつらいんじゃない?僕は先に知りたいかも」

 

 

僕がそう言うと二人とも微妙な顔をしている

 

 

「.......とにかく!その問題は追々なんとかするから、今はあの人形を取り戻さねえと」

 

 

「どうしました?三人とも。そんなにくっついて」

 

 

男の人の近くについていたソールがこっちを振り向いた

 

 

「なんでもないよ!結構洞窟広いのね」

 

 

大きな岩の足場が多く、その周りは苔むした岩と一緒にさらに下の方から滝が流れるようなごおおっというような音が響いてくる

 

 

「へい....魔物もそれなりにいやすが、広くて隠れられる場所も多いんで俺達みてえなやつらにもそれなりに快適なんす」

 

 

「ほーん。で?お嬢様は?」

 

 

ロードが興味なさそうに言う

 

 

「お、俺はそこまでは知りませんよ!俺が攫った訳じゃねえですし」

 

 

「何言ってんだ?攫う計画があったんなら、お嬢様をここに置いておく場所があるはずだ。そこにいるんじゃねえのか?」

 

 

ロードは怖い顔で睨むように男の人を見ている。ロードのその顔、僕も怖いから少し苦手かも

 

 

「ひいいっ!アジトに本当に来るつもりですかい?いるとは限りませんよ」

 

 

「黙れ、お前はとっととアジトに案内しろ」

 

 

ロードはチャキっと爪を装備した

 

 

「は、はい....」

 

 

「て、手馴れてますね....」

 

 

「こういう事もしてたワケ?ロードサイテー」

 

 

「うっせえよ、サンディ......あ?」

 

 

僕達の前に真っ直ぐにこちらに突進してくる姿が見えた

 

 

「あ、あれはデッドペッカーですぜ!魔物です!」

 

 

「紫色の大きな鳥みたいなのがきてる!」

 

 

「逃げましょうぜ!」

 

 

「あー、あれか。エイリーク、お前の出番みたいだな」

 

 

「え?なんで?」

 

 

ロードの言葉に全員でキョトンとしていると、ロードはニヤリと笑った

 

 

「あの鳥はな、美味い」

 

 

「「「「ええ!?」」」」

 

 

「あの系統の鶏肉はしっかりしてていいぞ」

 

 

「私魔物なんて調理した事ないけど!?」

 

 

「そもそも魔物なんて食べれるんですか!?」

 

 

「アタシゼッタイムリだからね!!」

 

 

「美味しいのかー、怖いけど興味出てきたかも」

 

 

各々好き勝手に言っていると、デッドペッカーが目の前にやってきて止まった

 

 

「ぐえぇぇえ!」

 

 

「ひいいい!」

 

 

男の人は慌てて僕達の後ろに逃げた

 

 

「まあ騒いでねえで見てろよ。よっ!」

 

 

ロードは大声で鳴いているデッドペッカーに素早く飛び込み、大きなクチバシに思いっきり膝蹴りをかました

 

 

「ぐぇ....」

 

 

ドサ

 

 

デッドペッカーはそのまま倒れるが煙になっていない

 

 

「煙になって消えない?なんでですか?」

 

 

「気絶させただけだ。倒しちまうと消えちまうからな。こうやってあとは解体だ!」

 

 

ズバッ

 

 

ロードは爪でいくつか体を切り分けていき、綺麗に肉だけを取り出した

 

 

そのまま毛や皮、クチバシや足などは煙となって消えていった

 

 

「ほらよ、エイリーク。食材」

 

 

「えぇ.....。クンクン.....普通の鶏肉っぽいけど......ちょっと怖いよー」

 

 

流石のエイリークも不安そうな顔をしている

 

 

「安心しろよ、火を通せば食えるから。俺はこれまでにいくらでも食ってる」

 

 

「でもー」

 

 

ソールとサンディはコソコソと話している

 

 

「やっぱりロードは人間じゃないってコトでいいヨネ?」

 

 

「うーん、否定はできなくなりましたね」

 

 

「ねー、あの足の速さも鳥のせいってコトでしょ?マジありえないんですケド」

 

 

「そこ、聞こえてんぞ。てめえらも今すぐに絞めてやろうか?あ?」

 

 

青筋をたててズンズンと近づいてくるロードに対してサンディは慌てて逃げて僕の中に隠れていき、ソールは苦笑いして両手を上げて降参のポーズをしている

 

 

「なんなんだ.....こいつら」

 

 

その様子に男の人は困惑した顔をしていた。うん、巻き込んでごめんね

 

 

 




ソール「食べられる魔物もいるんですね」


エイリーク「ねー!料理は私も知らない事多いけど、これはお父さん達からも聞いた事なかったよ。本当に大丈夫なのかな?」


ソール「ロードさんは大丈夫って言ってますけど.....ちょっと不安ですよね」


エイリーク「調理する身にもなってよね、本当に。どうしたらいいんだろ」


ソール「とりあえず、普通の鶏肉として扱ってみます?」


エイリーク「うーん、まあそうする予定だけどさ。なんか、食べたら呪われるとかないよね!?」


ソール「流石に呪いのアイテムじゃありませんから、それはないと思いますが」


エイリーク「私怖いー!私もサンディと一緒に食べないでおこうかな」


ソール「料理に詳しくないのであれですけど、味見はしないんですか?」


エイリーク「.......する。お肉に火通ってるかとか柔らかさとか確認する時にもする.......ソール!!お願い、私が変になったら元に戻してね!!」


ソール「あはは.....そうはならないと信じてますが。いざとなったらおまかせください」


エイリーク「絶対だからね!」

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