北の洞窟 アジト
北の洞窟の中にあるアジト。木製の扉が取り付けられており、中には広い洞穴をある程度住みやすく改良された空間が広がっている
「邪魔するぜ」
ロードが乱暴にドアを開けると、中にはお屋敷で見かけた男達がいた
「げ!まずいですぜ、兄貴!本当に来やがりました!!」
「あ!あの時のお嬢様の男もいやす!」
「マキナさんはどこにいる!今すぐ返してもらいます!」
大慌てで少し離れている猛牛ヘルムを被った男の人に手下の人達が群がる。ソールは槍を抜いて近づいていく
「あのお嬢さんなら、ここに来た途端つまらないと言ってこの奥に進んでいっちまった。ここから奥は魔物も多いから戻れと言っても聞かなくてな」
「なんだと!マキナさんが一人で!?」
「嘘じゃねえだろうな?」
ロードが一瞬で背後をとっており、首筋に爪をあてている
「ロード、いつのまに」
「ひいい!!本当だ!!信じてくれ!!」
「とりあえず、私達も進んでみよ。本当なら流石に危険だわ」
「そうしよう。急いで見つけないと」
僕達は早足で奥へと続く地下への道を走っていった
地下
大きな滝が流れており、地下水脈として広がっている。水が豊富なため魔物も多く住み着いている
「随分と広い場所だね」
大きな岩が連なる道は水のおかげで削れておりかなり歩きやすくなっている。天井もかなり高いため遠くまで見渡せる
「そうですね。魔物にも注意しやすそうです」
「あ、ねえねえ、あそこになんか鋼のスライムタワーみたいなのがいるー」
僕が何気なく指さした魔物を全員が見た瞬間目の色が変わった
「「「メタルだ!!」」」
そう言って三人が武器を一瞬で構えて猛スピードで走っていく
「え、え?なになに??」
「なに?あの光ってる魔物そんなにレアなワケ?」
僕とサンディはポカンとしながらも三人の後ろを追っかけた
「ピッ!」
メタルと呼ばれた魔物も三人の様子に気づいて逃げ出そうとする
「逃がしません!狙いをすませて!!」
ソールが槍を大きく構えて狙い澄ました突きを放つ
「一閃突き!」
ガン!
「ピキー!」
攻撃が当たるが、メタルはピンピンしている。しかし、その攻撃で逃げるスピードが一瞬遅くなった
「ナイスだぜ、ソール!アサシンアタック!」
背後をとったロードが爪でメタルを切り裂いた。一瞬でバラバラになってメタルは消えてしまった
「やったー!!メタル倒せたわ!!私初めて!」
エイリークは嬉しさのあまり興奮した様子で飛び跳ねている。ん?なんか、体に力がやってくるみたいな感じがする
「結局今のスライムはなんだったワケ?」
「今のはメタルブラザーズ。メタルと呼ばれる系統の魔物です。メタルスライム、メタルブラザーズ、はぐれメタル、メタルキング、プラチナキングですね。冒険者だけでなく、他の人達にも有名な魔物なんですよ」
「なんでそんなに有名なの?」
「こいつらはな、倒すと他の魔物達とは比べ物にならねえぐらいの経験値を落とすんだ。倒しまくればレベルがガンガン上がるんだぜ、夢があるだろ」
「ふーん。つまり、メタルをめっちゃブチかませばめっちゃ強くなるってワケね。だから三人とも目の色変えてたのね、ビビったわよ」
「へー、お得な魔物なんだね」
「でもねでもね、メタル達って凄いレアで全然見つからないし、今みたいに見つけても足がめちゃくちゃ速くて一瞬で逃げちゃうの!硬くてダメージも中々通らないしね」
「一筋縄ではいかないんだ」
ソール達の説明をふむふむと相槌を打ちながら聞く。そうしていると
「ん?じゃあ、あれもメタル?」
また少し離れた場所に銀色のような機械の姿をした魔物がいた。同じメタルみたいな色してるけど
「あ!なにあれ、スライムではなさそうだけど」
「色は似てますけど....」
ソールとエイリークも少し首を傾げている。違うのかな
「あれはメタルハンター。違うやつだな。ザックリ言うとそのメタル達を狩る魔物だな」
「え、魔物にも狙われるの?」
「そうみたいだぜ。魔物にレベルがあんのかは知らねえけど、あいつらだけは狙う習性があるみてえだ」
「へー、レベル確認してみようっと」
ガサガサと鞄から冒険者登録をした時のカードを見る。そこには僕の名前の横にレベルが書かれている
「レベル23だって」
「思ってたより低いんだな。俺はレベル51だ」
「ロードさんは流石に高いですね。俺は37になってました」
「二人とも高ーい!私もレベル24だって」
全員でカードを出して見せあっている
「このレベルってのはどういう仕組みなワケ?」
「今みたいな魔物を倒すのがわかりやすいけど、他にもいろいろあるぜ。俺達がよくやってる朝の訓練や稽古みたいなのでも上がるし、強いやつを倒すと上がりやすいし、勉強や知識を蓄えてもあがるし、職業によっては農業や漁みたいなのでも、お宝発見でも上がるぜ。まあ要するに、やる事やってれば自然と上がるんだ」
「ロードさんの通りですね。これまでの経験を元にした目安の数字です。でも、このレベルの高さが強さの全てではないですよ。例えば兵士の皆さんなんかはたくさん訓練するのでレベルも上がりますが、おそらく実戦してみるとロードさんのような戦闘慣れしてる人の方がレベルが低くても勝つと思います」
「そういうものなんだ。でも、確かに三人ともレベルの差はあっても凄い強いもんね。いつも助かってるよ」
僕がそう言うとソールとエイリークは少し照れたように笑って、ロードは少し首をかいた
「ナインさんもですよ。いつも俺達を助けてくれてありがとうございます」
「そりゃ大事な仲間だもん、当たり前だよ」
「俺は別にガキに守られるほど弱くねえよ」
「とかなんとか言って本当は嬉しいくせにー」
「うるせえ!ほら、話が長くなりすぎた。とっととお嬢様見つけんぞ」
そうして僕達は更に奥へと進んでいった
奥地
毒の水がしたたる場所で行き止まりになっており、そこにマキナさん、いやマウリヤさんが立っていた
「マキナさん!!」
ソールの声にマウリヤさんが振り向いた
「あら、ソール。あなたもここまで散歩に来たの?」
マウリヤさんは呑気そうに笑っている
「そんな訳ないじゃないですか。ここは危険です、すぐに戻りましょう」
「ええ、でも外の世界はいろいろあってとても面白いのね」
その時
「おーい!お嬢さんは見つけられたか」
先程の猛牛ヘルムの人がやってきた
「ここにいたみたい。よく来れたね」
「あんた達みてえに魔物を倒しながらではねえからゆっくりだけどよ。まあなんにしてもよかった」
「とっとと帰んぞ、ソール」
「はい!さあ、行きましょう、マキナさん」
「ええ」
ソールとマウリヤさんが手を繋ごうとした瞬間
カサ
何かが動いた音がした
「ん?.......ソール、上!!」
「!?」
僕が上を見上げるとソール達の真上に巨大な蜘蛛の魔物がいた。僕が声をあげると同時に蜘蛛の魔物がソール達めがけて降ってきた
ドンッ
「キャッ!!」
バシャァ!
「ぐっ」
ソールはなんとかマウリヤさんを突き飛ばすがマウリヤさんは巨大な蜘蛛の魔物の足に当たってしまい、毒の池に吹き飛ばされてしまう。ソールは蜘蛛の魔物の吐いた糸に捕まって身動きが取れなくなってしまった
「ソール!マキナちゃん!」
「おいあんた、お嬢様を助け出せ!」
「へ、へい!」
僕達は蜘蛛の魔物の方へ、男の人は毒の池に入っていく
「ズオオオォォォ!」
「なんだ、こいつは」
「流石に気持ち悪いー、私こういうの苦手」
蜘蛛の魔物の前に立ちはだかるとかなり大きく、触角や長い脚が怖い
「そう言ってられる状況じゃねえだろ。ソール、時間稼ぐからなんとか離れとけ」
「す、すいません。不覚をとりました」
「そいつはおそらく、ズオーですぜ!この洞窟の親分でさあ!あんた達も気をつけてくだせえ!」
「氷結拳!」
ロードの凍った拳がズオーの顔に直撃する
バギ!
「ズオー!!」
拳が当たったと同時にズオーの口?から毒玉がソールに放たれる
「させないよ!」
僕はソールの前で盾を構える
「ビッグシールド!」
盾が光って大きくなり、毒玉を防いだ
「蜘蛛なら糸切っちゃえばいいでしょ!聖風斬!」
エイリークの風を纏った剣がズオーのおしりから出て天井からぶら下がっていた糸を切った
プツン
ドスドスドスドス
ズオーはそのまま地面に着地するとエイリークに向かって走り始めた
「え、キャッー!!やめて、こっち来ないで!!無理無理!!」
エイリークは叫びながらズオーから逃げ回り始めた
「なにやってんだ、攻撃しろ!」
「無理ー!!こんな大きな虫切れない!!触りたくないの!!」
「甘えてんじゃねえ!!あーもう!せめて止まれ!!こっちが追いかける羽目になんだろ!」
ロード達が走り回ってる横で僕はソールの体にまとわりついた糸をなんとか切っていた
「大丈夫?ソール」
「はい、すいません。迷惑かけて」
「全然いいよ、でも中々.....切れないね」
剣で切ろうにも粘ついて中々うまく糸が切れてくれない
「.......ナインさん、離れててください」
「ん?うん」
僕がソールから離れると
「......はっ!!」
ボオッ!
ソールの装備していた剣が小さく炎を出して、糸を燃やしていく。しかし、ソールの体も炎に包まれてしまう
「わ!ソール、大変!!大丈夫!?」
「あちちち、なんとか」
炎を振り払ったりしながらソールが炎の中から出てきた
「俺はもう大丈夫です。形勢逆転といきましょう」
「うん!」
僕達はロード達の方に向かっていく
「だー!!もうブチ切れたからな!!クソ蜘蛛!!」
ロードが追いかけっこに飽き飽きしたのか立ち止まり構えをとった
「凍っちまいな!!フリーズ」
ロードが勢いよく引いた拳を開いて前に突き出すと、離れていたズオーの体がパキパキと音を立てて一瞬で氷が体にまとわりつき、動きを止めた
「え、凄い!!」
「バースト!!」
パリイイィィン!!
拳を握った瞬間、ズオーの体に纏っていた氷がいっせいに弾け飛び、爆発をおこした。ズオーもたまらず動きを止めた
「ロード凄いね!!」
「ナインさん、俺達も負けずにいきますよ!」
「うん!」
ソールが走りながら炎を纏った槍を振り回して炎の輪をいくつも作り出す。僕はその後ろをピッタリくっついていく
「いくぞ!!ナインさん!」
ソールが槍を構えると、それと一緒に炎の輪っかも合わせて動き出す。僕はソールを追い抜き、ズオーへと更にスピードを速めて走っていく
「「合技!火車一刀!!」
ソールが槍を真っ直ぐ突くと、大量の炎の輪っかが勢いよく飛んできて僕の剣に全て合わさっていく。その剣をズオーに叩きつけた
「ズオオオォォ!!」
たちまちズオーの体は炎に包まれていき、ゴロゴロと転がるも炎の勢いは消えずそのまま煙となってズオーは消えていった
ナイン「エイリークほどじゃないけど、僕も流石にあの大きさの蜘蛛は怖かったなー」
ロード「バケモノサイズなのはわかるし気持ち悪がるのもわかるが、あそこまでキャーキャー逃げられても餌と思われるだけだぜ。まったく」
サンディ「エイリークの気持ちはアタシめっちゃわかるケド。あんなんマジ近づくだけでもアタシムリだから。よくやった方でしょ」
ナイン「サンディ、蜘蛛見た瞬間速攻で僕の所に隠れたもんね」
サンディ「女の子ああいうのゼッタイムリだから」
ロード「そうは言ってもこれから先ああいうのが出てくる時だってあんだぞ」
サンディ「三人で頑張って、アタシ達は離れてるから」
ロード「それこそ無茶ってやつだぜ」
サンディ「ロード強いんだからイケるイケる」
ロード「褒めたってなんもねえよ。無理なもんは無理だ」
ナイン「あははは....」