ドラゴンクエストIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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7.旅芸人ナイン

 

 

数日後、ウォルロ村

 

 

ナイン「やっと体を動かせるようになってきたな。動けないのはある意味苦しかったなー」

 

 

僕は自分の名前が書かれた天使像の前で凝り固まった体を少し伸ばしていた。まだ節々が動かす度に痛むが、なんとか動けるまでに回復した

 

 

 

あれから、何の運命かウォルロ村の大滝に落ちた僕は一命を取り留めてしまい、一昨日まで眠り続けていた

 

 

しかし、天使界から落ちた代償として天使の象徴である羽、輪っかなどはなんにも残されていなかった。姿もどうやら普通に見えるようで、まるで普通の人間のようになってしまった

 

 

 

そう、普通の人間のように!!!普通は嘆くことかもしれないが、僕には違う。天使としてではなく、今度は人間のように生きることができる。確証は得てないが、その可能性が僕には何よりも嬉しいのだ

 

 

 

ナイン「ふふふふ」

 

 

そんな事を考えて少し微笑んでいると

 

 

ニード「うん?誰かと思ったらこの前の大地震のどさくさで村に転がり込んだナインじゃねえか!」

 

 

 

ナイン「あ、ニード。と、ナブ」

 

 

僕の後ろからニードとナブがやってきた。何回か普通に二人と話している。こうやって人間と普通に話せるだけで僕は嬉しい、なんて幸せな事だろうか

 

 

ニード「お前こんな所でなにぼーっとしてやがんだ!?は〜、リッカってばなんでこんな得体の知れないやつの面倒見てるんだ?」

 

 

僕は今リッカちゃんに助けられ、リッカちゃんの家でおじいちゃんと共に過ごしていた

 

 

ニード「どこから来たのかも言わないし、着てる服はヘンテコだしどう考えても怪しいだろ?」

 

 

 

ナブ「きっとあれっスよ。こいつの名前が守護天使と同じだからそれで気に入ってるんですよ」

 

 

 

ニード「.....ふん。その名前も本当だかどうだか?大方売れない旅芸人が天使の名前をかたってタダ飯にありつこうって魂胆なんだろ?」

 

 

旅芸人....ふーん、人間にはそういう職業もあるのか。それなら、僕もそう名乗ってしまえば話が早いという事か、ニードは頭がいいな!

 

 

ナイン「ありがとう、ニード!助かるよ!」

 

 

 

ニード「ああ!?何がだよ!?意味わっかんねえ!!いいか、よく覚えとけ!!この村で妙な真似しやがったら俺がタダじゃおかねえからな!」

 

 

あれ?なんか怒られちゃった、何がいけなかったのかな

 

 

少し首を傾げると、ナブがコソコソと近づいて話しかけてきた

 

 

ナブ「ニードさんはなあ、リッカがあんたばかり構うから面白くなくてらっしゃるのさ。今度リッカの前でニードさんの話あげといてくだせえ」

 

 

ごちん!!

 

 

ニード「余計な事言うな、馬鹿野郎!!」

 

 

ニヤニヤしていたナブの顔が一瞬で痛そうに涙ぐむ顔に変わる。確かに痛そうな音が頭からした

 

 

ナブ「うぅ....酷いっすよ、ニードさん!」

 

 

その時

 

 

ニード「あ....」

 

 

こちらにやってくる青髪にオレンジのバンダナを付けた子が駆けてくるのをニードがいち早く気づいた

 

 

リッカ「ちょっと二人とも!うちのナインに何の用なの?」

 

 

リッカちゃんが怒ったようにニードとナブから僕を遠ざけていく

 

 

ナイン「リッカちゃん、走ったら危ないよ」

 

 

 

ニード「よ....よう、リッカ。なーに、ちょっとこいつに村のルールを教えてやってただけさ。お、おい、いくぞ!」

 

 

ニードはまだ頭を痛がるナブの手を無理やり引っ張って去っていく

 

 

ナブ「ああ、待ってくださいっす。今度は手、手が痛いっす!」

 

 

ニードもナブも感情に素直で可愛いなあ

 

 

少し二人の様子をニコニコとしながら眺めていると、リッカが呆れたように腰に手を当てている

 

 

リッカ「もう!どうしてニードってあんなにいばってばかりいるのかな?昔はもっと素直だったのに.....」

 

 

今でも素直だと思うよ、気になる子には照れちゃって素直になれないだけだよー

 

 

なーんて言いたいが、これは僕が口出しするようなものじゃないからそっと見守っておこうかな

 

 

リッカ「ところでナイン、出歩くなんてもう怪我の方はすっかりいいみたいね」

 

 

リッカちゃんは少し観察するように僕をキョロキョロ見てくる

 

 

ナイン「うん、おかげさまで。看病してくれてありがとう、リッカちゃん。リッカちゃんがいなかったらどうなってたか」

 

 

 

リッカ「どういたしまして。それにしても、ここであなたを見つけた時はびっくりしたわ。あの大地震に巻き込まれて滝から落ちたんだろうけど、本当に危ない所だったのよ」

 

 

僕が天使界から落ちたあの日、あの黒い雷の影響は地上にもあったようで各地で大地震などの災害が起こったようだ

 

 

リッカ「さて....と。私はうちに戻ってるね。宿屋はヒマになっちゃったし.....散歩もいいけどあまり無理はしないですぐに帰ってきてね」

 

 

ナイン「うん、少しだけ歩いたらまた戻ってくるね」

 

 

リッカちゃんは笑って手を振りながら戻っていった

 

 

ナイン「さて、少し情報を集めないとな。村もこんなんになってるしね」

 

 

滝の近くから見える村の範囲だけでも大地震がいかに凄かったのかがよくわかる。倒れた大木や畑に埋まった大岩、教会や家なども一部壊れている

 

 

しばらくして村の入口

 

 

ナイン「どうも」

 

 

 

門番「ん?ああ、あんたかい。今は通らない方がいいよ。あの大地震の影響で魔物が湧き出してきてね。危ないったらありゃしない。ここはいいから、村の復興手伝ってやんな」

 

 

 

ナイン「魔物が湧き出してきた。それは大変ですね、僕が少し力になりましょうか?」

 

 

 

門番「んん?ああ、旅人だもんな。多少は戦えるか。いや、今はいい。この先にある峠の道っていうセントシュタインとの唯一の道があるんだが、そこが大地震の土砂崩れで塞がれちまったらしい。そうなると、この村は孤立したようなもんさ。あっちも調査とかしてくんないかねえ。

 

 

とにかく、しばらくは外に出る必要もないから平気だ。じゃあな」

 

 

 

ナイン「(なるほど、峠の道が土砂崩れね。うーん、でも今の体じゃ何も出来ないもんな)わかりました、ありがとうございます」

 

 

 

その後、村長の家から怒号が聞こえてきた。気になって入ってみると、そこでは村長が自分の息子ニードを怒鳴っていた

 

 

村長「まったくお前はいい歳して遊びほうけてばかりおって!少しは宿屋のリッカを見習って村のために働こうとは思わんのか!?」

 

 

 

ニード「リ、リッカは関係ないだろ!?俺は今本当にやりたい事を探してんだよ。それが見つかれば俺だっていくらでも働いてやるさ!......多分!」

 

 

ニードはそう言い捨てて部屋から出てきた

 

 

ナイン「あ」

 

 

 

ニード「げ、お前は....。面倒な所見せたな。この事、リッカには言うなよ!?ちゅーか、言わないでくれ、頼む!」

 

 

 

ナイン「うん、大丈夫。秘密にしておくよ」

 

 

 

ニード「.....さんきゅー」

 

 

 

夕方、リッカの家

 

 

 

ナイン「ただいま」

 

 

僕が帰って来るとテーブルにリッカちゃんが料理を並べようと準備していた

 

 

リッカ「おかえりなさい、ナイン。ちょうどご飯の支度が終わったところよ。散歩もいっぱいしたみたいだし、今日はもう休みましょ?」

 

 

 

ナイン「うん、そうするよ。並べるの手伝わせて」

 

 

 

リッカ「ありがとう、じゃあお願いするわ」

 

 

次の日

 

 

僕がまだベットの上でうとうとしているとリッカちゃんが起こしに来た

 

 

リッカ「おはよう、ナイン。起きて起きて!あなたにお客さんが来てるの。どういう訳かニードがナインに用があるって訪ねてきてるのよ。追い返す訳にもいかないしとりあえず会ってあげて」

 

 

 

ナイン「うん.....ニードが?わかった、行ってみる」

 

 

軽く身支度だけ済ませて階段を降りていくと、そこには既にニードが待ってあた

 

 

ニード「よう、ナイン。はよ、そんな意外そうな顔すんなよ。ちょっとお前に話があってな。ここじゃなんだから外に出ようぜ、ついてきてくれ!」

 

 

家の裏

 

 

ナイン「んで、話ってなに?」

 

 

 

ニード「おう。話ってのは他でもねえ。お前も知ってるだろ?土砂崩れで峠の道が塞がってるって」

 

 

 

ナイン「うん、知ってるよ」

 

 

 

ニード「あの道ってのはこのウォルロ村とセントシュタインを結ぶ大切な架け橋なんだよ。おかげでリッカ.....いや、村の皆が迷惑してんだ。そこでこのニード様は考えた。俺が土砂崩れの現場まで行ってなんとかしてやろうってな!

 

 

そうすりゃ親父も俺の事を見直すだろうし、リッカも大喜びってわけだ。ただ.....この完璧な計画にも一つだけ問題があってな」

 

 

 

ナイン「魔物だね?」

 

 

 

ニード「おお、それも知ってたなら話が早い。そういうわけで、お前に峠の道まで一緒に行ってもらいたいんだよ。旅芸人なんだし、腕の方も立つんだろ?頼まれてくれないか?」

 

 

 

ナイン「もちろん。僕も体が動くようになったし行こうと思ってたんだ。ただ、僕達二人が行ってどうにかなるのかな」

 

 

 

ニード「まずは現場を見ないと何もわかんねえし始まらねえだろ?パパっと行ってこようぜ」

 

 

 

ナイン「それもそうか。よし、行こう」

 

 

 

ニード「よし、そうこなくっちゃな!あ、それと面倒だから村の皆にはこの事内緒だぜ。頼むぜ、相棒」

 

 

 

 

 






リッカ「あれ?ナインからここに来てって言われたんだけど、ニードだけ?」


ニード「え....リッカも?俺もナインのやつにここに来てくれって言われて......あの野郎、後で覚えてろ」


リッカ「どうしたの、ニード?なんか顔赤くない?」


ニード「い....な、なんでもねえ。リッカの気の所為だろ!」


リッカ「そう?無理はしないでね。それにしても、こうして二人で話すの久しぶりじゃない?」


ニード「....ま、まあ確かにな。お前は、最近どうなんだよ」


リッカ「どうって?」


ニード「宿の事だよ!お前のお父さん、リベルトさんだっけ?亡くなっただろ。あれから一人で本当に大丈夫なのかよ」


リッカ「うん、大丈夫。少し大変だけど大切なお父さんの宿だから。最近は暇なんだけどね」


ニード「ふーん.....。じゃあ今度俺が宣伝しといてやるよ」


リッカ「いいの?ありがとう、ニード」


ニード「ぐっ.....ま、まあ?それでも暇だってんなら昔みたいにまた話し相手でも手伝いでもやってやるよ」


リッカ「うん、その時はまた頼っちゃうね」


ニード「おう、いつでも頼ってくれよな」

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