サンマロウ
その後、執事さんから船は自由にしていいと教えられ船のある場所にやってきた
「「「でっか!!」」」
「わー、大きい船だね」
見上げてしまうような大きな船があり、思わずロード以外全員が驚いて声を上げた。ずっと使われていなかったわりには綺麗だな
「あんたがこの船の管理人か?」
船の近くにはおじいさんが立っていた
「はい。お嬢様から話は聞いております。ついにこの船も役にたてる日がきてとてもありがたい限りです。船の事や案内などいたしますよ」
「でも、僕達船について詳しくはなくて」
おじいさんは優しく僕に言ってくれたが、船のことをよく知らないので困っていると
「任せな、俺が慣れてる。じいさん、俺に説明してくれ」
「おお、よかった。それなら始めますね」
「お前らは好きにしてろよ。俺はここで船について教えてもらってるし中も把握しておくからよ」
「助かります、ロードさん」
「よかった!こんな大きな船だとどうしたらいいかわかんないから、ロードがいて助かったね」
「サイコーじゃない!こんなヤバい船貰えるならあのキモ蜘蛛倒した甲斐あったわ」
ロードはおじいさんと話しながら船に入っていった
「じゃあどうする?」
四人で話し合おうとすると、エイリークがいの一番に手を挙げた
「私は食料とか調味料とかまだまだ見たいものたくさんあるから、ショッピングしたいな!」
「俺もほぼ見れてないので見てみたいです」
「じゃあアタシももっかいいこー!ナインは?」
エイリークに続いてソールとサンディも賛同している。僕はそこまでショッピングしなくてもいいかと思っていた
「うーん.....僕は別にいいかな」
「そっか。無理やりじゃないからいいけど、どこ行くの?」
「んー......適当に散歩していようかな」
僕がそう答えるとソールとエイリークが苦笑いした
「えっと.....俺ついて行きましょうか?」
「あー、その方が安心かも」
濁す二人にサンディがズバッと言ってきた
「あんた方向音痴な癖にウロウロされると困るんですケド」
「ぐっ....この街からは出ないから、さ」
「この街っていってもメチャメチャ広いんですケド!!アタシ達チョー大変なんですケド!」
「えー.....じゃ、じゃあ酒場!酒場にいるから終わったら来て」
サンディの勢いに思わずついつい酒場と言ってしまったが、そこにいれば集まりやすいだろう
「ふーん、まあそこならいいですケド」
「すいません、ナインさん。出来るだけ早めに向かいますね」
「じゃあソール、サンディ、早速行こ!」
「モチ!とっとといこー!」
「俺が荷物持ちますからねー」
三人は走って商店街へ向かっていった
「じゃあ僕も酒場に行こ」
酒場
酒場になんとかやってくると、いつも通り冒険者達で賑わっていた。空いている席を探していると、見覚えのある人達をみつけた
「おや?確か、ロードさんの所のナインさんでしたか」
サンマロウに来た時にロードが紹介してくれた冒険者達紫電のメンバーだ
「あ、どうも。えっと、レイさんにシグさんにヒメさん」
「なんだ、今はお前一人なのか?まあ座れよ」
シグさんが空いている席を叩いて教えてくれた
「ありがとう」
「お仲間はどうされました?」
「えっとね、今マウ....マキナさんが持ってた船を貰えたからロードが船の説明聞いてて、他の皆はショッピングしてる。僕は暇だったからここに来たんだ」
「ええ!?本当にあの船貰ったの!?凄いわね、管理絶対大変よ?」
ヒメさんが驚いている。確かにあの大きさの船は大変そうだ
「普通の人ならそうでしょうね。でも、ロードさんがいますからなんとかなりそうですね」
レイさんの言い方だとまるでロードならあの大きな船でも扱えるみたいに聞こえた
「ロードって凄いの?」
「そうですね。私の中ではなんでもそつなくこなすイメージです。戦闘力もさることながら、分析力や知識量の多さ、船乗りとしても盗賊としてもあそこまでレベルが高い人を私は他に知らないですね」
「ロードって船乗りなの?盗賊って言ってたよ」
「私達と組んだ時は船乗りだったのよ。多分転職のタイミングだったのね」
「なるほど。そういえば、ロードと昔パーティー同じだったんだっけ」
そう言うとシグさんが苦虫を潰したような顔をした
「まあな.....。本当は俺達三人で大商人の船旅の護衛のクエストを受けてたんだ。だが、俺達も船でのあれこれはよく知らねえ。だから船に詳しいやつを募集したらロードがやってきてな。臨時パーティーって形で受けたんだが.....」
「なんかあったんだ?」
「お恥ずかしいのですが、慣れない長期の船旅の疲れで魔物にやられて私達三人は大怪我してしまったのです。もちろん船の中で休みましたが、護衛のクエストは終わりません。途中からはロードさん一人で魔物の戦闘に航海に私達の治療にと、たくさん迷惑をかけてしまったのです。でも、ロードさんは全て問題なく行ってくれただけでなく、船の上での事をいろいろ教えてくださいました」
「そうなんだ。でも、大怪我なんて大変だったね」
「ありがとう。それでロードのおかげでクエストは無事完了。報酬はもちろんロードが多めになったけど、ロードは看病の際に使った薬の代金なんかも請求してきて......私達で払える金額ではなかったの。それで代わりとしてロードと宝の地図に行ったのだけど.....」
ダンッ!
シグさんが力強くテーブルを叩いた
「あの野郎、俺達の実力より上の難易度のダンジョンをわざと選びやがったんだ!俺達がてんやわんやしてるのを眺めて笑ってたんだぜ!どう思うよ、ナイン!」
「あははは.....なんだろう。ロードならやりそうって思ってるよ」
「落ち着きなさい、ジグ。もちろん本当に危ない時はロードさんが助けてくれましたし、得たお宝のお金でロードさんへの借りは返しました。だから怒るような出来事ではないんですよ。どちらかといったら私達はロードさんに命を救われたんですから」
「そうだね。ロードは少し怖いところあるけど優しいから」
そんな話をしていると、酒場に男の人が勢いよく入ってきた
「大変だ!!!この街のすぐそこの花畑でキングスライムが出た!!それも群れだ!!」
「!?」
大声でそう叫んだのを聞いた人達が焦りと驚きの声をあげる
「キングスライムの群れだと!?」
「キングスライムなんてここら辺じゃたまにしか出ないはずだろ!」
いろんな声が飛び交い皆が興奮してきていると、レイさんが勢いよく立ち上がり大きな声を出した
「皆さん落ち着いてください!!まずは状況の詳細を聞きましょう。すいません、キングスライムは何匹ほどですか?この街に向かってきていますか?キングスライムは温厚です、集まってるからといってむやみやたらと攻撃しても逆に危険です」
レイさんの声に全員静まり返った。流石だなー、冷静でかっこいい
「あ、えっと.....キングスライムは20匹ほど。この街に向かってはいないですが、大通りの道を塞ぐように集まっています。スライム達も集まってきており、更なる増加も考えられます」
「了解です。それ以上増えるのもよくないですね。マスター!突発クエストの準備を!私達紫電がキングスライムの撃退及び討伐を行います」
突発クエスト?聞き覚えのない言葉だな。僕はこっそりとシグさん達に声をかけた
「突発クエストって?」
「あら、知らない?突発クエストっていうのはこういう緊急で起こるクエストの事で、危険度が高いクエストよ。大体はこういういきなりの魔物の増加や襲撃ね。たまに護衛なんかもあるわ、大体は王族が相手だけどね」
「そうなんだ。危なくないの?」
「そりゃあもちろん危険だぜ。だが、報酬はその分弾んでくれるしなによりこんな風に街を守れる。俺達の街を魔物に好きにさせてなるもんかってな!」
「いきますよ、シグ、ヒメ。すいません、ナインさん。お話はまたいつか。楽しかったですよ」
レイさんの声にシグさんとヒメさんも立ち上がって出ていこうとする
僕も何かできないかな
「レイさん、僕も手伝うよ」
「いいんですか?ロードさん達が待ってるのでは」
「街の方が大事だよ。すぐに終わらせよう」
「ありがとうございます。戦士でしたね、助かります」
サンマロウ地方 花畑
街から出ると大きな冠を被ったスライム達がプルプルと歩いている
「あれがキングスライムか、やっぱりスライムなだけあって可愛い」
「見るのは初めてですか?可愛さに惑わされてはいけませんよ。高い攻撃力と耐久力を持ちます。それなりに足も早いので油断なさらずに」
四人で向かっていくと1匹のキングスライムが気づいて向かってきた
「びぎー!」
跳ねるような動きをしており、大きな見た目に似合わず確かにそれなりに速い。その勢いでぶつかられたらこちらが吹き飛んでしまいそうだ
「サンダーボルト!」
僕は剣を振るって雷を纏い、雷を集めてキングスライムにぶつける
バリバリバリ!!
ジュワー
キングスライムを雷で貫き、真っ二つになるとそのまま溶けていった
「よし、倒せる」
「「「一撃!?」」」
レイさん達が驚いた顔をしている
「え、どうしたの」
「いや、なんつーか......見た目に似合わずすげえなって」
「キングスライムを一撃なんて初めて見たわ。ナインさんって実力あるのね」
「雷の技もかなり珍しいですからね。シグ、同じ戦士として負けていられないのでは?」
「む、確かに。ナイン、お前ほどじゃねえかもしれねえけど俺だってやる時はやるからな!」
シグさんは高く飛び上がってキングスライムに斧を振り落とす
「かぶとわり!」
ズバン!
「ビギ...」
「次は私ね、メラミ!」
ヒメさんが杖から赤い魔法陣を出して大きい炎をキングスライムにぶつける
「いきます!」
炎が消えないうちにレイさんが突っ込んでいき、キングスライムに連続で蹴りを浴びせていく
「ばくれつきゃく!」
シグさんの与えた傷に寸分違わず同じ場所に連続で攻撃をあびせていき、連続攻撃が終わって綺麗に礼をとるとキングスライムは溶けていった
「おー!凄い!!三人ともカッコイイ」
「ありがとうございます。よし、このままいきましょう!」
その勢いのまま、どんどんキングスライム達を倒していき数匹となるとキングスライム達は逃げ出していった。集まっていたスライム達もどこかに去っていく。陽も少し落ちかけてきており、もう少しで夕方になりそうだ
「結構倒したね」
「そうですね。15匹は成果としても中々です。ナインさんが一撃で倒してくれるので進めやすくてありがたかったです。ありがとうございました」
レイさんは優しく笑って手を差し出した。僕も笑って握手をした
「こちらこそ。レイさん達の連携もよかったです」
「へへ、照れるぜ。ナイン達も連携とっていけば強い魔物とも戦えるようになるからな」
「4人いるなら大技にチャレンジしてもいいんじゃない?4人で一斉に放つ合体技みたいなものよ。息がバッチリ合わないとまず無理なんだけど、そういうのができたらとっても素敵よね。最高の仲間って感じ」
ヒメさんの言う大技というのを聞いて僕は興味がわいた
「大技かー。二人でなら合体技としてやった事あるけど、全員ではなかったなー。でも二人でも練習必要だったからかなり難しそう」
「そう簡単に出来るものではないですから。二人、三人と慣れていってからでもいいと思います」
「そうそう、ゆっくりとね。そういうのもあるのよっていう情報よ」
「そっか。うん、そうする。ヒメさん、ありがとう」
その後、酒場に戻ってマスターに報告していると背後から頭をわし掴みにされた
「ん?」
振り返ると青筋をたてたロードが怖い顔で立っていた
「よぅ、クソガキ。なんか俺達に言う事あんじゃねえのか?あ?」
ロードの雰囲気に体から冷や汗がダラダラと流れる。これはまずい、一気に体感温度が下がった気がする。というか本当に寒い。あ!!待って、頭がどんどん凍ってる!!
「ご、ごめん.....ロード、さ、寒い.....」
「やかましい!!喰らえ、氷結拳!!」
バギィ!!
ロードからそのまま反対の手で裏拳を喰らい、当たった顔が凍りついて吹っ飛んだ。そのまま酒場の床や天井に思いっきり当たっていき僕は酒場を突き破って飛び出した
「ったく!!お前らもあのクソガキが迷惑かけたな、話は聞いたぜ。突発クエストだったんだろ?」
「え、ええ.....。あの、あそこまでしなくても」
「何回俺達に報告してから行動しろって言っても聞かねえからな。痛い目見せて反省してもらおうと思ってな、気にすんな。殺しはしねえ」
「そ、そう.....優しくね?」
「ロードさん、ナインさんがいてくれて助かりましたので今回の報酬です。割合の半分でどうでしょう」
レイさんはマスターから受け取った報酬を見せた
「多すぎだ。役に立ったのかもしれねえが、どうせあいつが勢いで飛び入り参加したんだろ?3割もありゃ充分。後はあんた達の分だ、サンキュー」
ロードは手渡された報酬より少なく取ってレイさんに返した
「.....ロードさんがいいのであれば。ありがとうございます」
「おー、んじゃまたな」
ロードは顔が凍って動けなくなった僕を担いで出ていった
「.....ナインがリーダー、なんだよな?」
「リーダーがあの扱いでいいの?」
「.......まあ、チームによっていろいろ、あるでしょうから.....」
サンディ「あ!ナインいた!あれだけ言っといていなくなるとかマジでありえないんですケド!!」
ソール「どこにいたんですか?というか、その怪我....」
ロード「紫電のやつらとクエスト行ってやがった。帰ってきたところをとっ捕まえてきた」
エイリーク「へー、紫電の人達と!ちょっと羨ましいけど、伝言でもいいから言っといてくれないと困っちゃうよね」
ロード「まったくだ。さて、バカは回収できたし後はちょっと話があるから船の中でだな」
ソール「話?何かありました?」
ロード「船についてと後はちょっと今後の事だな」
サンディ「とりあえずさっさと船に行こ!アタシあの大きな船チョー楽しみ!全員の部屋とかあった?」
ロード「おー、一人一部屋で問題なさそうだぜ。キッチンにバー、倉庫に船長室。俺達の人数にしては多すぎるってくらい部屋があったぜ」
サンディ「え、ヤバすぎ!早く行こ!!」
ソール「凄いですね、そんな凄い船じゃなくてよかったのに」
エイリーク「ねー、まあそこはもうどうしようもないよね。サンディみたいに楽しまないと!私もキッチンとか楽しみだなー!」