それからしばらく皆で宝石を掘っていると
「流石は誰もいない階層だな。じゃんじゃん取れるぜ」
5人で20個ほどの大小様々な色の宝石が取れた。バケツの中が宝石で綺麗に輝いている
「これだけあればサンディさんも喜んでくれるかな」
「ええ、きっと喜ばれると思います」
「でも、どうせなら私の分もほしいな。私が取ったこの緑のやつ貰うね」
「あ、俺もそうしよっと。俺はこの赤いやつで」
「じゃあ俺も。この小さいけど綺麗な青のやつにするか」
皆がそれぞれ宝石を取っていく。僕は何にしようかな
「うーん」
少し悩んでいるとソールが笑って声をかけてくれた
「悩んでますね、ナインさん。どうせならこの黄色いやつとかどうですか?似合いますよ」
「確かに!ナインって黄色のイメージあるかも」
「いいんじゃねえの?」
エイリークとロードもソールの意見に賛同している
「それなら、僕はこの黄色いやつにするね」
「俺は売れればいいから別にいいかなー」
アサ君はそう言って宝石を取らず、その後サンディを探しに全員で奥へ進んでいった
サンディside
「.........はぁ、なんでアタシあんな事言っちゃったんだろ」
サンディは地面に座って項垂れていた。横にはあの割れた宝石が置いてある。サンディの目には光が戻っていた
「なんか、あの宝石持ってからアタシ変ジャネ?頭がボーッとするっていうか......思ってない事考えちゃうとか......あーもうマジでワケわかんないんですケド!!ナイン達とも気まずくなっちゃうし、もうなんなの!?」
サンディが苛立つように頭を左右にブンブン振っていると、声が聞こえてきた
「ホラ、ホウセキ モチナヨ。キミノ ホシイモノ、ナンデモ アゲルヨ」
「!?」
突然の声にサンディがびっくりして周りを見渡す。咄嗟に守るように宝石を持った
「ダレだし!?ビ、ビビったじゃない!!どこにいるのよ!」
「キミノ ホシイモノ、ナニ?」
「なんなの......この声、どこから....。アタシは宝石が欲しいの!そのためにここに来たんだから!」
サンディの声がそう響くと、少し嬉しそうな謎の声が返ってきた
「へ〜、ソレナラ タクサン アゲルネ」
そう言うと、暗闇からぴょこぴょこと跳ねるように謎の魔物が現れた。宝石を纏った袋の姿の小さな魔物だ。跳ねる度にジャラジャラと音がする
「魔物!?」
「フフフ、イイコニハ、タクサン アゲチャウネ」
そう言うと、サンディが持っている白く濁った宝石が黒く光った
「え、なになに!?」
「ソーレ!」
魔物がそう声を出すと、鉱山のありとあらゆる場所から光が放たれる。赤や青、緑に白に紫にと様々な色に光り始め、それはどうやら宝石から光を放っている
ナインside
「あれ?ナインさん達、宝石が....」
バケツに入っている宝石だけでなく、僕達が持っていた宝石もその宝石の色に突然光り始めた
「わ!宝石って光るの?」
「なんだこれ、何が起こってる」
「周りも光ってますよ!」
ピエドラの街side
街にある宝石や加工品に使われている宝石からも同じく光が放たれる
「なにこれ、こんな事今まであったかしら」
街の人達は突然の事に混乱している
「おい、鉱山も光ってるぞ!」
鉱山も地下から様々な色の光が溢れるように放たれており、並んでいる人達は戸惑っている
すると
「キャーッ!!」
パキパキパキ!!
光った宝石のそばに居た人達の体があっという間に宝石になっていく。店の人や商品を見ていた人など宝石の近くにいた人達は全員あっという間に宝石になっていく
「ひ、ひぃっ....!人が....宝石になりやがった!逃げろーー!!」
それを見た人達は大きな叫び声をあげながら逃げ惑い始めた。街は一気に大混乱へと陥っていく
鉱山内
「ギャーー!!」
2階や3階で宝石を探していた人達が一斉に宝石に包まれていき、鉱山内には宝石の塊となった人達だけになっていく。叫び声をあげて宝石になっていく人達の声だけが鉱山にこだましていく
ナインside
「え、なにこれ!?」
パキパキパキ!!
ナイン達の体も黄、赤、青、緑と宝石に包まれていく
「キャーッ!!私達が宝石に!?」
「ど、どういう事!?」
「な!?に、逃げろアサ!!」
「えええ!?ナインさん、ソールさん、エイリークさん、兄ちゃん!!」
驚いている間に僕達は一瞬で宝石の塊になって身動きが取れなくなってしまった
「え、え......なにこれ....お、俺、一体どうしたら......」
アサ君は顔を青ざめながら体を震わして僕達から少し離れて立ち止まっている
[アサ君、ひとまず逃げて!!]
そう声を出そうとするも全く身動きが取れない。どうしたらいいんだ、こんなの
サンディside
「光が収まった....?」
周りの光が止まり、周りを見渡してもサンディには特に変化はない
「コレデ ホウセキ タクサン。ヨカッタネ」
「は....?なに?意味わからないんですケド......うっ....また頭が」
またボーッとする感覚に襲われて、意識が朦朧としてくる
「イイコ、イイコ。ホウセキ タクサン ミニイコ」
そう言ってその魔物はサンディが来た道を戻り始めた
「(どういう事だし....ナニ言ってんのよ、コイツ)」
そんな言葉を言いたくてもなぜか言えずにサンディは魔物について行った
ナインside
「とりあえず、なんとかして元に戻さないとだよね」
アサ君は必死に僕達の宝石を叩いたりしているがビクともしない
「どうしたらいいんだろ。とりあえず、並べてっと」
アサ君は僕達をなんとか引っ張って横並びにしてくれた
「誰か呼ばないと。皆、俺人呼んでくるから待っててね!」
アサ君は走って元の道を戻っていった
[確かにアサ君一人だとどうしようもないよね]
意識はあるし外の音も聞こえるのだが、全く動けない。きっとソール達も同じなんだろうな
3階
「うわ!!なにこれ、宝石だらけ!!」
アサ君が上にやってくると、そこらじゅうに宝石の塊が並んでいた
「もしかして....これ、さっきの人達なの?ナインさん達と同じように、宝石になっちゃったってことぉ!?やべー!!どうしよー!!」
アサ君は思わず頭を抱えこむが、何かを決めたように前を向いた
「......なんて言ってる場合じゃないよな。このままじゃ皆助からないかも。急いで鉱山から出ないと!あの偉い人に助けを求めれば!」
アサ君は走ってジストさんの家に向かっていった
ナインside
奥から小さなピンクの光がやってきた
[サンディだ!]
僕がそれに気づくと同時にサンディも気づいて近づいてきた
「ナニコレ、なんでこんな所に宝石があんの?でも、すごく大きくていいわねコレ!!こんだけあればお金持ちだわ!」
サンディは嬉しそうに僕の宝石に近づいてくる。その近くには謎の魔物がいる
[サンディ、そこにいるのは何!?魔物なら危ないよ!]
そう言おうとも動けずにいると、サンディが宝石を覗き込んで僕と目が合った
「え......え!?ナイン!?ちょ、この宝石の中にナインがいるんですケド!!どういうコト!?」
サンディが驚いて宝石から離れた
「他の皆は!?待って......ここに、4つってコトはさ......!」
サンディは慌ててソール達の宝石にも近づいていく
「ソール!!ロード!!エイリークまで!!ヤバいって......ヤバいヤバい!!なんであんた達がこんな事になってんのよ!!」
「フフフ、ドウ?ホウセキ タクサン。ウレシイデショ」
その様子を見ているだけの魔物が喋り始めた。この魔物は片言でも話せるのか
「どういうコトだし......まさか、あんたが....」
「ウン。ホウセキ ホシイッテ イッタ。ダカラ ミーンナ ホウセキニ シタ」
「はああ!?じゃあ、ナイン達だけじゃなくて、街の人達も!?」
「ウン。コノヤマノ ホウセキ ボクノ。イイコニ ゼーンブ アゲル。ソレイガイニハ アゲナイ。ホウセキニ スル」
「サイアク!!早く元に戻して!!」
サンディと謎の魔物はずっと話している。知り合い、なのかな
「ナンデ?」
「なんでって、アタリマエでしょ!!特にナイン達はアタシの......」
サンディはそこまで言うと不自然な様子で続きが言えなかった。喧嘩、しちゃったから気にしてるのかな
「あれ....アタシ、なんで....言えないの」
サンディはショックを受けたようにゆっくりと下を向いた。よく見るとサンディの持つあの割れた宝石が少し黒く光っている。サンディの目もやはり光がないように見える
[サンディ、その宝石のせいかも!その宝石手放して!]
「ナカマ ジャナイ デショ?」
「そんな事」
魔物のその言葉にサンディはバッと顔をあげるも、段々と悲しそうな顔になった
「.........そう、かもしれない。アタシ、皆みたいに戦えないし、ずっと隠れて見てるだけ....。言いたい事だけ言って、やりたい事だけやって......メーワクだったかもって」
サンディの顔は見えないが悲しそうな声に声を張り上げて違うと言いたいのに、何も動けないこの状況が煩わしい
「ネ?ナラ コノママデ イイデショ」
「.........」
サンディは黙り込んでしまった
アサside
アサ君は走ってなんとか町長のジストさんの家の前にやってきた
「街中宝石だらけだ。皆も大混乱して暴動騒ぎみてえになってる。急いでなんとかしないと」
ピエドラの入口付近は多くの人達が我先に逃げようと溢れ返り大騒ぎとなっている
「町長さん!!」
アサ君が家に飛び込んで入ると
「おお、確かナインさんのお友達の!よくご無事で!理由は分かりませんが大変な事になっております!急いでお逃げください!」
「わかってる!ナインさん達が鉱山の中で突然宝石になっちゃったんだよ!なんとかできないの?」
「私にそう言われましてもなんとも......。この騒動が起きると同時にあのレインボージュエルが光り出した事くらいしか今のところわかっておらず」
「レインボージュエルが!きっとなんか関係あるよ!それ貸して!」
「で、ですが....大切な宝石で」
「宝石なんか今はどうだっていいじゃん!命の方が大事に決まってる!!」
アサ君のその言葉にジストさんも少しハッとしたような顔になった
「....そうですな。アサさん、レインボージュエルはこちらです。お願いします!」
「うん!」
ジストさんはレインボージュエルのある場所までアサ君を案内し始めた
ナインside
サンディは黙りながらもチラチラとこちらを見ている
「イイコ ソロソロ ホカノホウセキ アツメヨ」
「......なんで、アタシをイイコって呼ぶワケ?アタシ別にイイコなんかじゃ」
「ボクノ ホウセキト キョウメイ シタカラ」
「あんたの宝石?それって、もしかしてコレ?」
サンディは手にしていた宝石を見せた
「ウン。ソノホウセキ タイセツ。ハナサナイデ」
「......なんか、コワイんですケド。ねえ、ナイン達だけでも元に戻して」
「ムリ」
「なら、あんたなんかと行かない。アタシはここにいる」
サンディはキッとした顔で魔物に向いた
「エ?ナンデ?」
「アタシは確かにナイン達とは仲間じゃないかもしれない。でも、アタシにはやらなきゃいけないコトがたくさんあるの。だから仲間じゃなくても、アタシはナイン達といなきゃいけないの。あんたとは行けない」
「フーン?ヨクワカンナイ」
「わかんなくていいわよ。早くナイン達をどうにかしないと」
「ナラ、ソノホウセキ クッツケテ」
「こう?」
サンディが持っている宝石を僕達の宝石にくっつけていく。すると、黒く光る宝石に共鳴するように段々と僕達の宝石が黒くなっていく。それと同時に動けない僕の体が痛み始めてきた
[なにこれ....なんか痛いよ]
「ナイン!?ねえ、なんか黒くなって苦しみはじめてるんですケド!!どういうコト!?」
「イイコニハ ソノ ホウセキ イラナイ。キエチャエ」
「サイテー!!!」
サンディは怒って持っていた宝石を魔物へと投げた
ガン!
宝石は黒く光るのをやめてその魔物へと当たる。魔物は気にした様子もない
「ナンデ ハナスノ」
「ナイン達はアタシにとって大事な人間達なの!!それをこんな風にして、しかも消そうとしてるなんて許せないんですケド!!もうアタシマジでブチギレだから!!」
サンディの怒声が鉱山に響き渡る。その目には光が戻ってきていた
「アタシの仲間に手を出さないで!!」
サンディはそう言うと魔物に向かってぶつかっていく
ガツン
サンディの頭と魔物がぶつかって金属のような音が響いた
「いった〜い.....。どうよ!」
ぶつかった部分の皮膚が赤くなって血が滲んでいる。痛そうに涙目だが、サンディは魔物を睨みつけた
「ナンノ ツモリ?」
「アタシはあんたがキライってコト!!どっか行って!宝石ももういらない!」
「......ワルイコ」
「ワルイコでいいわ。別にイイコちゃんでいるツモリもないですし」
サンディは魔物にべーっと舌を出した
ソール「どれも美味しい、幸せ」
アサ「うめえうめえ!」
サンディ「ヤバい、これチョーキレイなんですケド!」
ナイン「宝石カフェなんて凄いね。ソーダやケーキなんかもキラキラしてる」
エイリーク「なるほどねー。氷に色を付けて、ケーキとかは砂糖やザラメを宝石に見立ててるのね。勉強になるわね」
ソール「流石は宝石の街ですね。なんでも宝石に関連させてる」
アサ「ソールさん、このケーキ底になんかザラザラしたやつ付いてる!これがうめえ!」
ソール「カステラですね。中々食べられないケーキですよ、美味しいですね」
ナイン「エイリーク、お菓子も料理の勉強になるの?」
エイリーク「ええ、DAYBREAKでもケーキは出てたの。お母さんが得意でね、私もよく一緒にシフォンケーキ作ってたわ。私が料理に興味を持ったのもお菓子からなの。作れるなら私も作りたいんだけどね」
アサ「シフォンケーキ!ふわふわのヤツ!」
ソール「でも、旅だとケーキを焼ける環境がないですからね。仕方ありませんね」
ナイン「そっかー。エイリークの作るケーキも美味しそうだから、いつか楽しみにしてるね」
エイリーク「ええ、いつか必ず皆にケーキも焼くから楽しみにしててね」
ソール「はい!」
アサ「俺も!俺も食べたいからお願いします!」
エイリーク「ふふふ、うん。もちろんアサ君の分もね」