「......イイコ イマノ ナカッタコト シテアゲル コッチ キテ」
魔物の言葉が先程よりも不機嫌な雰囲気が出ている
「イヤ!ナイン達をこんな風にしたやつなんかにアタシが行くワケないっての!」
「......ソウ。ホウセキ ナイ、ツマラナイ」
「つまらなくていいわ。宝石はあれば嬉しいけど、ナイン達といる方がよっぽどずーっと楽しいんだから」
[サンディ....]
サンディがあんなに大好きな宝石よりも自分達の方がいいと言ってくれた事に感動してしまった
その時、誰かが走ってる音が聞こえてきた
「町長さん、こっち!!」
「アサさん、お待ちくだされ!私にはそのスピードは速いですよ!」
「アサとここの町長さん....?」
声はアサ君とジストさんだ。どうやら戻ってきてくれたみたいだ
「ム イヤナ ケハイ」
「はぁ....はぁ....ナインさん達、町長さんを連れてきたよ!なんか、この騒ぎが起こってからレインボージュエルが光りだしたんだって!きっと何か関係があるんだと思う!持ってきてもらったよ!」
アサ君は息を切らしながら僕達の宝石にそう叫んだ。レインボージュエルが光った、それを聞いて僕はサンディが持っていた宝石も黒く光っていた事を思い出した
「アサさん.....はぁ....はぁ....こちらが、ナインさん達なんですね?」
遅れて町長さんもゼェゼェと苦しそうにしながらやってきた。その手には白く光る綺麗な宝石が握られている
「うん!」
「ソノ ホウセキハ!」
魔物もレインボージュエルを確認した途端焦ったような声を出した
「うわ!ま、魔物だ!!」
「ひぃー!なんでこんな鉱山に魔物が!?聞いてませんよ!」
「イイコ ソノ ホウセキ モッテコイ!」
「はぁ....?ははーん、さては......ねえ町長、そのレインボージュエルアタシに貸してみてくれない?」
サンディはなにか閃いたような顔をするとジストさんに近寄った。そういえばジストさんはサンディが見えるんだっけ
「妖精さん....。は、はい、どうぞ」
「え、妖精さんってもしかして....あのサンディさん?町長さん見えてるの?」
アサ君はキョトンとした顔をしている
「はい、こちらに飛んでおられます」
ジストさんもどこか不思議そうな顔でサンディにレインボージュエルを渡した。すると
ピカッ!
白く光っていたレインボージュエルがサンディの手に触れた瞬間、更に強く眩い光を放った
「うおお!?」
「わ!眩しい!!」
「キャッ!!」
「マズイ!!」
[なになに、どうなってるの!]
全員が驚いたような声を出した。レインボージュエルはそのままずっと眩い光を放ち続けている
「コレなら....。ねー、あんた。コレ、欲しいんだっけ?」
サンディは魔物の方に振り向いた
「ソウ!コッチ オイデ イイコ」
「.....さっきあんたに言われてあの黒く光る宝石をナイン達に近づけた時はナイン達苦しんでたケド、もしもコレをナイン達に近づけたら......一体どうなるのかしら」
[!!]
サンディのその言葉にハッとした。なんとなくだが、サンディの持っていたあの黒く光る宝石とレインボージュエルは正反対のように見えてきた
「ソレハ ヨクナイ コト オコル。ソンナコト シナイデ コッチ オイデ」
魔物の声に強い焦りを感じる。サンディもそれを感じ取ったのかニンマリとしている
「フーン?なら、試してから渡すわね」
「ダメダ!!」
魔物は急いでサンディに向かっていく
「妖精さん、魔物が!!」
「魔物め、サンディさんがどこにいるかわかんないけどサンディさんに触るなよ!」
ジストさんが声を出して、アサ君も魔物の前に立った。短剣を抜いて構えている
「ありがと、アサ、町長。アタシ、飛べるからヘーキ」
サンディは軽く笑ってフワリと高く浮き上がった。魔物は袋の姿を精一杯ぴょんぴょん跳ねているが、アサ君の膝までしか跳べていない
「えい!」
ガキン!
アサ君に目もくれないでサンディに夢中な魔物は、アサ君の簡単な短剣の一振りで跳ね飛ばされる
「ヤメロ!!」
「イヤよ!!ナイン、ソール、ロード、エイリーク!今助けるからね!」
サンディはそう言うとレインボージュエルを持って旋回して勢いよく僕達の宝石の上にレインボージュエルを触らせていく
すると、黒く光ってジクジクとした痛みがスっとなくなりヒビが入っていく。段々と体に力も入っていく。これなら、割れる!!
「んんっああ!!」
パリン!!
身体にまとわりついた物を振り払う感覚で体を思いっきり動かすと宝石が割れて外に出れた
「「「ナイン/さん!!」」」
全員が駆け寄ってくる。しばらく動けなかった影響で膝をつくが、アサ君が支えてくれた
「大丈夫?ナインさん!」
「うん、少しだけ力がうまく入らなかっただけ。ありがとう、アサ君」
アサ君が差し出した手を支えにして立ち上がった
「ナイン!!チョー心配したんだから!!」
サンディは少し目に涙を浮かべながら抱きついてきた
「ごめん、サンディ。でもずっと聞こえてたし見えてたよ。本当にごめんね、僕がサンディの宝石割っちゃったから」
「そんなのどーだっていいの!!アタシが勝手に動き回ったから......ナイン達は何もワルくない。アタシが全部ワルかったの。ごめんね、ナイン」
「ウウ アリエナイ。ソンナ ハヤク ニンゲン デレナイ」
魔物の苦しそうな声にハッとして全員で魔物を見た。人間なら、か
「ザンネンでした!ナインはね、トクベツなのよ!ナイン、あのめっちゃムカつく魔物やっつけちゃって!!コテンパンにしちゃってよね!」
「うん!」
僕はサンディと向き合ってお互いに頷き合う。サンディと久しぶりに顔を合わせた気がする。その時、レインボージュエルがまた光を放ちその光を僕の剣に浴びせると剣が白く輝いていく
「ナニコレ!でも、なんか強くなったんじゃネ!?」
「うん、そうかも。サンディ、いこう!」
「ええ!思いっきりカマしちゃおー、ナイン!」
白く輝く剣に更に雷を纏わせていく。バチバチと雷が音を激しくたてながら、白と黄色の輝きが鉱山を眩く照らしだす
「アタシも言ってみたかったのよ!いいよね、ナイン!」
「もちろんだよ!」
「「合技!!クリスタルソード!!」」
ガシャァァン!!
レインボージュエルの白い光と雷が魔物を切り裂く。金属が激しく擦れ合う音がしたと同時に袋を破り、ガラスが割れたような音と共に魔物は消えていった
「ナイン!マジあんたサイコー!!」
「ありがとう、サンディ!サンディのおかげだよ!」
サンディが抱きついてきて僕もサンディを抱きしめ返した。サンディの笑顔、この街に来てから初めて見た気がする。僕もかもしれないけど
そう思っていると
パリィィン!!
「わあ!」
「お、ようやく出られたぜ」
「キャッ!あーよかった、どうなるかと思ったわ」
ソールにロードにエイリークも宝石が割れて出てきた
「皆!!」
サンディも嬉しそうに三人に向かっていく
「サンディ!!お前、危ねえ事ばかりしやがって!!」
ロードが不機嫌そうにそう声を出した
「うっ....」
「まあまあロードさん、サンディさんのおかげで助かったんですから」
「そうそう。そこまで怒らないであげて。サンディ、ありがとう!」
「......まあ、サンキュー」
「ソール、ロード、エイリーク......もう、チョーごめんね!!アタシのせいで皆ピンチになっちゃってさ!ホントーにごめん!」
ワイワイと話すサンディ達をニコニコと見ていたジストさんと、ポカンとした顔でずっと固まっているアサ君に近寄った
「どうしたの?アサ君」
「固まっていますね」
「......は!!ねえ、ナインさん!!あそこにいる妖精ってもしかして、サンディさん!?」
アサ君は少し反応が遅れた後、驚いたようにそう言ってきた。その言葉に今度は僕が驚かされた。見えるように、なった!?
「ええ!?アサ君、見えるの!?」
「おお、アサさんも見えるようになりましたか。よかった、可愛らしいお嬢さんですよね」
「うん、なんかさっきナインさんが魔物を倒した後の光で目を閉じちゃった後、急にそこにピンクのなんか......明るい妖精が」
「そう......」
アサ君が突然見えるようになった理由がわからず、戸惑っているとサンディ達もやってきた
「おお、皆様。ご無事なようでなによりでした」
「町長、とりあえずもうここ出て休むわ。皆疲れてるし」
「サンディさん、あの、そのレインボージュエルの力で宝石となってしまった皆様も助けてほしいのです。お願いしてもよろしいですか?」
ジストさんのその言葉にサンディの持つ白く輝くレインボージュエルに全員が目をやった
「確かに!仕方ないわね、ちゃちゃっとこのサンディが人助けしてあげるわ!」
そうして鉱山内や街中にあった宝石となってしまった人達にサンディがレインボージュエルで触って救出していった
その夜、町長の家
「皆様方、この度はピエドラの街を救ってくださり本当にありがとうございました。町長として心からお礼を申し上げます」
ジストさんは深々と頭を下げた
「ありがとう。でも、僕達は特に何も。今回はサンディが頑張ってくれたから」
僕がそう言うとサンディも胸を張った
「フフーン、そうよね。アタシがいなきゃ大変なコトになってたと思うんですケド!」
「その通りでございます。サンディさん、あなたはこの街の救世主でございます。街の皆様にあなたのお名前をお伝えしてもよろしいでしょうか」
「マジ?アタシチョー有名人じゃん。もち構わないわ!ジャンジャン使って!」
「ありがとうございます。つきましてはお礼なのですが、もしよろしければそのままレインボージュエルをお渡しいたします」
「「「「「えええ!?」」」」」
ジストさんの言葉に思わず全員が驚きの声を上げた
「いいの!?」
「おいおい、破格すぎやしねえか!」
「レインボージュエルがその様な姿を見せるとは知りませんでした。もしや、それは宝石ではないのかもしれません。サンディさんのみその力を発揮されるようですので、そのまま大切に皆様の旅の支えになさった方がいいと考えまして」
「確かに....宝石にしては不思議ですよね」
「でも、このままだとちょっとフベンなのよねー」
レインボージュエルはサンディが持っても問題ないくらい小さい欠片だが、ずっと持つには大変だろう
「でしたら、この街の力の見せどころですね。加工しますよ」
「いいわね、それ!形とかオーダーしてもいいワケ?」
「もちろんです。サンディさんの好きなように注文してください」
「やった!じゃあじゃあ、こんな風にさ....」
サンディとジストさんはそう言って話し始めた
「サンディさん、なんだか楽しそうだね。喧嘩、してたんだっけ。そんな風には見えないな」
「まあわだかまりはなくなったしな。そんな事より、アサまでサンディが見えるようになった方が驚きだぜ」
「えー、そんなに見えたらダメなの?」
「ダメとかではないけど、突然だったから驚いたのよ」
「それは俺もびっくりだけど、俺だけ見えないの嫌だったから嬉しいよ!」
「ねー、皆!こんなデザインどうよ!」
サンディがそう言って書いた案を見せてきた。ハートの形をしているのが5つある
「おー、可愛い感じのブローチだな。なんで複数あるんだ?」
「そりゃもち皆の分よ!仲間の証ってやつ?」
「え!それステキ、サンディ!私賛成!」
「おー、いいですね。同じチームで共通の物があるのは」
「僕も賛成!ありがとう、サンディ!」
「......俺も別に構いやしねえよ」
ロードは少し恥ずかしそうだが、ソール達はサンディの意見に嬉しそうにしている
「それにね、これナイン達で合わせるとこうやってクローバーになるでしょ?それでも違和感ないですケド、アタシと合わせる時は尖った方を合わせていくと星型になるのよ!二重になってるの!どう!?アタシ天才ジャネ!?」
サンディがどんどん勢いでガリガリ書いて説明していく。絵もそれなりに上手でわかりやすい
「おー!いいね、いいね。サンディもちゃんと仲間ってのがわかって凄くいいよ!」
「ほー、流石はサンディだな。見た目だけじゃなくてそういう所まで考えてたなんてな」
「デショデショ!じゃあこれで決まり!町長さん、これでヨロシク!」
「はい、承りました。明日には出来ますので皆様今日は大変お疲れ様でした。宿は手配しておきましたので、ゆっくりお休みください」
「ありがとうございます!」
そうして僕達は宿でゆっくり体を休めた
サンディ「宝石売れてよかったわね。またお金持ちよ」
ナイン「そうだね。お金はあると便利だからね」
サンディ「装備とかもいいお金になるけど、やっぱり宝石よね。綺麗だし、お金にもなるしでサイコー」
ナイン「ねえ、サンディ。仲間じゃないかもって、思ってたの?」
サンディ「え....。あー、まあ...ね。ホラ、アタシって皆みたいに強くないし、隠れてるしかないし、イロイロ違うし」
ナイン「いろいろ違うのは僕も同じだからなー。仲間って......なんだろうね。全く同じ人間が集まれば仲間なのかな。もしそうなら、僕は仲間はいらないかな。なんか怖いよ。それよりも仲間じゃなくていいから、皆で同じ気持ちや目指す場所を決めて進む方が楽しそう」
サンディ「ナイン......。そーよね、アタシなんかこだわってたのかも。同じ人間なんているワケないもんね。そりゃアタシは人間でも天使でもないですケド、アタシはナイン達と同じ気持ちなつもりですし。最初こそ目的のためでしたケド!目的だけじゃなくて、アタシはそーいうの関係なくナイン達と一緒に行きたいって思ってるわ」
ナイン「うん!僕もだよ!これからもよろしく、サンディ」
サンディ「もち!こっちこそヨロシク、ナイン!」