次の日、リッカの宿屋
「ふわぁ......んん、朝か」
欠伸をしながら僕は目を覚ました。昨日装備を整えた僕達は今日砂漠の国に向かおうとしていた
「あ、おはようございます、ナインさん」
「起きたか。はよ、ナイン」
「おはよう、ソール、ロード」
僕が目を覚ました時には既にソールとロードも起きていた。ソールはゴソゴソと準備しているし、ロードはもう終わったのか筋トレしている
「朝飯食ったら向かうから今のうちに準備しとけよ」
「わかった」
ロードにそう言われて少し眠たい目を擦りながら僕も準備を始めた
朝食後、酒場
カウンター席で朝ごはんを食べ終えた後、そのまま僕達は今日の事について話していた
「グビアナ王国はここな。船で行くがまあまあかかる。飛ばして行ってもいいが無理する必要はねえから海の上で一日休んで明日に到着する方が無難だぜ」
「じゃあそうしようか。暑いって言ってたけどどれくらい暑いの?」
「今の気温の2倍はあるぜ。風も大地も乾ききってるから乾燥には注意しておけよ。陽射しも肌が焼けるほどだ、日焼け止めとかしっかりしろよ。火傷しても知らねえからな」
「うわぁ、そんなになのね。そこまで行くと食材の保存とかにも影響強そう。なんか考えないとかな」
エイリークはロードの発言を聞いて少し驚いた後、顎に手を置いて少し考えるような顔をした
「俺、クーラーボックスというのを聞いた事がありますよ。暑い国に行く商人なんかはそういう物に入れて保管するんだとか」
「そういえばお父さん達も砂漠には特殊な入れ物が必要って言ってたかも」
「ん?クーラーボックス?ナイン達、今度は砂漠の国に行くのかしら?」
ソールとエイリークの声が聞こえたのかルイーダさんがやってきた
「ああ、グビアナ王国にちょいとな」
「へえ、それでクーラーボックスね。持ってないならどうせならあげましょうか?」
「「「え!?」」」
「...いいのか?」
ルイーダさんからのまさかの提案に三人でびっくりする。ロードも少しキョトンとした後聞き返している
「ええ、ピエドラでのお礼がゴールドだけなのは申し訳なかったからこちらとしてもちょうどいいわ。昔に使ってた私の私物なんだけどもう使わないから困ってたの」
「助かる、ありがとう!」
「ぜひお願いします!」
エイリークとソールも嬉しそうにしている
「ありがとう、ルイーダさん」
「お互いさまよ。じゃあ今持ってくるわね」
ルイーダさんは奥に行った
「クーラーボックスの件はこれで大丈夫だな。あとな、女神の果実なんだがもしもグビアナ王国にあった場合、確実に城にあるはずだ。王女が持ってるはずなんだが......その王女がまあとにかく問題でな」
「王女様が?」
「ああ。名前は忘れたが、ワガママし放題で大変みたいだぜ。砂漠では貴重な水も独り占め、お金も独り占めしてるって前は聞いてるぜ。そんなやつの所にあの女神の果実が渡ったら面倒な事にしかならねえと思うぜ」
「ええ......それは酷いですね。王たる者、そんな事ではいけないのに」
「なんでなんだろうね」
「さあな。だから俺としてはグビアナ王国に女神の果実は行っててほしくねえんだがな」
「とにかく行ってみるしかなさそうね」
次の日、海上
「あっっづい...」
あまりの気温の暑さに僕はたまらず部屋から出てきたが、外は外で陽射しがあって尚のこと暑い。風もむわっとしていて何も涼しくない
甲板には同じように暑そうにしている皆がいた
「マジで無理なんですケド......」
「汗が止まらないよ〜」
「だから言っただろうが......だりぃ」
皆暑そうにしており、汗を拭いたり水分を取ったりしている。ロードなんて上に何も着ないまま甲板に倒れている。一番つらそうだ
「あははは...中々酷い光景ですね。でもこれは流石に厳しいですね。現地に着いたら今よりも厳しいんですか?」
「そうだぜ。早めに身体慣らしておけよ」
ソールも普段に比べたら軽い装備で涼しげだが、少し汗ばんで見える程度で他の皆よりは平気そうに見える
「ソールは暑くないの?」
「暑いですよ、もちろん。まあ俺は炎とかに慣れてるので多少はって感じです」
僕の質問にソールは苦笑いしながら答えた。その視線の先にはロードがいる
「まあ僕も暑いけど、ロードほどじゃないかな」
「ですよね。ロードさん、苦手にしてるだけあって相当なんですね」
「アタシもう無理ー!ねえ、エイリークまたあれちょうだい」
「また?いいけどお腹壊さないでね」
サンディがエイリークに何かを頼んだと思ったら、エイリークは片手に小さな氷を出した
「ありがと!んー!やっぱりコレよね!」
「あ!!ずりぃぞ、お前らだけ!!俺にもよこせ!」
ピクリとも動かなかったロードが氷を見た瞬間に立ち上がってエイリークに向かっていった
「だったら服くらい着て」
「そんな事言わねえでさ!頼む!」
「だめ」
「......ちっ、ほら!これでいいか!」
ロードは渋々脱ぎ捨ててあったシャツを着た。ロード曰く汗を吸って動きにくいんだとか
「ん、いいよ。はい」
エイリークはそう言ってまた氷を出した。サンディに出したよりは大きめだ
「よっしゃ、サンキュー!こんだけあちいと俺の技じゃ出てもすぐ溶けちまうから魔法の氷はありがてえぜ」
「ナインとソールもいる?少しは涼しくなれるよ」
サンディとロードが嬉しそうに氷をかじっているのを見て僕も少し欲しくなってきた
「じゃあ貰おうかな。ありがとう、エイリーク」
「俺も貰いますね。助かります」
「大変だもんね、はい」
「そろそろ見えてくると思うんだが......お、なんて言ってたら見えたぜ。あれが砂漠だぜ」
ロードが指さす先を見ると砂が舞う大きな大陸が見えてきた
「うわ、砂しかない」
「ああ、緑なんてほぼねえぞ。ここよりも地面からの熱もあって更に暑くなる。覚悟しとけよ」
「イヤなんですケド!アタシ絶対耐えられない!」
「国まではどれくらいあるんですか?」
「そこまで遠くねえ。3時間ほどか。国に着けば多少は涼しいぜ」
「だとしても、これよりも暑い場所を3時間か。魔物もいるだろうし大変かもね」
グビアナ大陸
砂を纏った風と照りつける太陽が旅人を苦しめる砂漠の大地
柔らかい砂の地面を進みながら照りつける太陽にジリジリと体力が蝕まれていくのを感じながら歩いている
「少し歩きにくいね」
「そうですね。固い地面とは違うから砂に足を取られる感じです」
「ロード、サンディ、大丈夫?」
後ろではロードとサンディがトボトボとなんとか僕達に付いて歩いている
「おー......」
「マジキツイ」
喋るのもつらそうだ
「なんとか早く王国に向かいましょう......なにか走ってきます!」
先頭にいるソールが声を出した。前を見ると遠くから砂煙をあげてこちらに走ってくる存在がいた
「なんだろ」
「黄色い大きな鳥!」
こちらにやってきたのは黄色い大きな鳥だ。飛べないのか長い脚で地面を走っているみたいだ。僕達の前に来て止まった
三人で武器を構えた瞬間
パキィン!
「グェ....」
「わ!」
一瞬後ろから風を感じた瞬間、鳥の魔物の体が斜めに切られ、切った場所が凍りついた。そのまま鳥の魔物はか細い鳴き声をあげて煙になって消えた。魔物の後ろにはいつの間にかロードがいた
「俺達の進行を邪魔してんじゃねえ」
ロードが殺気をあげて既に剣をしまっていた。凄い、全くわからなかった
「流石ロード、凄いね」
「敵判定早くなかった?まあいいんだけどね」
「暑さのせいなのかいつもより殺気立ってますね」
「うっせぇ、とっとと行くぞ」
その後、グビアナ王国
ユリシス王女が治める砂漠の真ん中にある大きな国。昔からある国で長い歴史があり、この土地独自の文化や伝承などもある。暑ささえ気にしなければ水も物資もかなり豊富にあり住みやすいらしい
「やっと着いたー。結構広いのね」
「そうですね。いろいろありますね、セントシュタインと似てるかも」
大きな建物こそよく見えるお城以外ないが、それなりに立派な宿や露店のような物がずらりと並んでおり、人も多く賑わっている印象だ
「確かにこの国に入ったら少しはマシかもしれないわね。どういうワケ?」
「ここの先代の王が水を地下に大量に蓄えてくれたみてえでな。外みたいに地面からの熱はねえんだ。だからああやって噴水なんかも用意出来るってわけだ」
ロードが指す先には噴水があった。確かに外はあんなに砂だらけだったから水があるだけで凄いなと感じてしまう
「へー、凄いんだね。その先代さんって」
「そうだよな。マジで助かるぜ。それなのに今の王女様はその水を独り占めってわけだ」
「酷いな...。王女様はその王様の何を見てたんだろうか」
「とりあえず宿の準備と腹減ったから飯の準備だな」
「そうね、お昼時だもんね」
僕達は目の前の立派な宿に入っていった
その後
宿の部屋でエイリークが作ってくれたサンドイッチを食べていた。野菜とお肉があって食べ応えもある
「ここから聞き込みしてく感じでいい?」
食べながら全員で話していく。宿は涼しく快適だった
「そうですね。何かあったらその時にまた考えましょう」
「ピエドラみてえにないとありがてえんだが」
露店通り
全員で聞き込みをしているといろいろな話を聞く事ができた
「残念だったね、ロード」
「全くだ。女神の果実はやっぱり来やがったのか」
どうやら一昨日商人が女神の果実を王女様に献上してしまったようだった。ロードの予想通りやはり女神の果実は城に行ってしまった
「他にもいろいろ言われてましたケド、やっぱり王女様ヤバいんじゃね?皆チョー文句ばっかりだったじゃん」
「ねー、美人さんみたいだけどワガママ放題なのは本当なのね」
水の独占やお金も好きに使っているなどいろいろとよくない話が出てきた
「とりあえず城に向かってみよう。王女様に女神の果実を貰えないか聞いてみようよ」
「こんな王女がそう簡単に渡してくれるとは思えねえけどな」
「まあ回収しない訳にはいきませんから」
僕達はお城の方に向かっていった
ソール「へー、クーラーボックスっていろいろ入るんですね。便利だなー」
エイリーク「ねー!野菜とか食料だけじゃなくて他にも入れられそうだよね。ルイーダさんにはありがとうって言わないと」
ソール「なんか子どもくらいなら入れそうですね。涼しいですし」
エイリーク「ふふふ、確かに。あ、サンディなら余裕で入りそう」
ソール「そうですね。暑いの苦手そうでしたし、喜んで入りそうです」
エイリーク「今度野菜やお肉なかったら聞いてみようかな」
ソール「ロードさんは羨ましがりそうです」
エイリーク「あんなに弱ったロード初めて見たね。暑いの苦手って事は北国生まれとかなのかな」
ソール「あー......どうなんですかね。カラコタ橋はそこまで寒くない地域ですし、生まれまではわかりませんね」
エイリーク「まあ気にしないでおこうか」