ドラクエIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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64.ワガママ王女ユリシス

 

グビアナ城内

 

 

「おー、涼しいじゃねえか。快適快適」

 

 

王国の中では少しマシになっていたがそれでもまだまだ厳しかった蒸し暑さもこのお城の中では周りの水の影響もあるのか、全く暑さはなく涼しくロードもたちまち笑顔になった

 

 

「外は暑いですからね。ロードさんもここなら元気になれそうです」

 

 

「なんだ、暑いのが苦手なのにわざわざこんな砂漠に来たのか」

 

 

ソールの言葉に兵士さんが反応した

 

 

「ああ、そうだぜ。ま、仕方なくな。ここにあるたっくさんの水をもう少し街の方へやってくれれば、街の中でも前みてえにちったあ涼しくなるんだろうけどな?」

 

 

ロードが遠回しに水の独り占めの件を伝えている

 

 

「......耳が痛いな。女王様のせいで本当に申し訳ない」

 

 

玉座の間

 

 

「あれ!?ナイン達まで来たの!?」

 

 

そこではエイリークとサンディがいた。近くには話していたのか黒い髪のオロオロした様子の女の人とコックさんがいる

 

 

「あ、エイリークとサンディ。うん。なんか王女様のアノンを見つけたから入れたんだ」

 

 

「アノン!!?」

 

 

オロオロしていた女の人が僕の腕の中にいるアノンを見ると大きな声を出して嬉しそうにしている

 

 

「よ、よかった〜...」

 

 

「ジーラ、この方達の話によると庭の所にいたそうだぞ」

 

 

この人はジーラさんっていうんだ

 

 

「そうなんですか!?まさか外にまで逃げていたなんて....すいません、旅人様、見つけてくださってありがとうございました」

 

 

ジーラさんは綺麗にお辞儀をしてくれた

 

 

「いえ、偶然ですので」

 

 

「お前らはなんか話してたのか?」

 

 

「うん。ジーラさんはアノンちゃんの世話係なんだって。いつも通りお世話しようとしたら逃げちゃったみたいなのよ」

 

 

「何かを探すような雰囲気でした。わざわざ庭に行ってまでなんて、いったい.....」

 

 

「そこのコックさんは?」

 

 

「私はここの料理人をしている者です。お昼の今日のメニューをユリシス様に嫌がられたので、再度考え直した別のメニューを提案しようと来たのですがどうやらいつもの湯汲みに行かれたようでして」

 

 

「そこを私が引き止めて料理のお話聞いてたの!どうやら王女様、かなりの食わず嫌いみたい」

 

 

「うへ〜、ワガママ放題な上に食わず嫌いかよ。そーんなやつにこれから会うなんて気が滅入るぜ」

 

 

「ちょ、ちょっとロードさん。流石に失礼ですよ」

 

 

ロードの隠しもしない嫌そうな顔にソールが慌てて周りに頭を下げているが、皆揃って苦笑いのような雰囲気を出した

 

 

「......いや、その者の言う通りだろう。ユリシス王女様のワガママは筋金入りだからな。実際会いに来られる人達もほとんどいなくなってしまった。先代の頃は平和だったのだがな......。すまない、こんな話を。私はアノンが見つかった事を城の者達に知らせてくる。旅人達はもう暫しここで待たれよ」

 

 

兵士さんは敬礼して下に降りていった

 

 

「で、コックさん。王女様からのメニューの希望はなんだったの?」

 

 

エイリークは先程の話の続きだろうか、コックさんに話を振っている。僕達も聞いておこうかな

 

 

「これまたとんでもない難題でして、臭くなくて固くなくて酸っぱくなくて苦くなくて芋でも卵でもシチューでもないもの、なんですよ!」

 

 

コックさんが泣きそうな顔で凄いことを言った。なんだって?臭くなくて、えっと...?聞き取れなかった。思わず皆でコックさんの言葉に眉間に皺を寄せた

 

 

「え...?なに?そんなヤバい注文したワケ?ユリシスとかゆーの」

 

 

「これは......うーん、俺もなんか会いたくなくなってきた」

 

 

「んーっと、臭くなくて固くなくて酸っぱくなくて苦くなくて、芋でも卵でもシチューでもないもの、ねー。中々厳しいわね。ここは砂漠だから育つ植物や持ってきてくれる物も限定されるから保存が効くような物や暑さに影響が少ない物が多いけど、それは大体その注文に引っかかっちゃうわ」

 

 

「食べるもんなんざ山のようにあるだろうに選り好みするたーマジでゴミなんじゃねえの?ここの王女はよ」

 

 

エイリークが真剣に考え始める中、サンディやロードは会ってもいないのに既に嫌悪感丸出し。ソールですら少し嫌そうにしているあたりそのユリシスさんのワガママに皆大変そうだ。ただ、その注文ならもしかして

 

 

「ねえねえ、エイリーク」

 

 

「ん?なに、ナイン」

 

 

「さっき僕達が食べたお昼のやつとかどう?美味しかったよ」

 

 

僕達がさっき食べたエイリークのお手製サンドイッチである。パンにお肉と野菜がたくさんで美味しかったし、ユリシスさんも気に入ってくれると嬉しいな

 

 

「あ!サンドイッチね!確かにアリかも!」

 

 

「サンドイッチですか。中々新鮮な野菜が手に入らないので作れないんですが、旅人さんも新鮮な野菜はお持ちではないのでは」

 

 

「あー、俺達にはクーラーボックスがあるからな」

 

 

「おお!!噂のクーラーボックスですか!立派な魔道具とお聞きしてますが、中々持っている方に出会えておらず...」

 

 

へー、やっぱりクーラーボックスって珍しいんだな。コックさんの反応でクーラーボックスの貴重性を再認識し、ルイーダさんへより感謝しなければと思った

 

 

「まだ余ってるよ。よかったら食べてみて」

 

 

エイリークはソールが持っていたクーラーボックスを開けてサンドイッチを取り出した。あ、僕が後でまた貰おうとしてた分が......

 

 

「それでは端の方を......。おお!野菜がシャキシャキしてて美味しいです!なにやら野菜にも味が付いておりますな」

 

 

「うん、そうなの。ちょっとだけ塩を使ったんだ。パンと野菜の甘さとお肉のソースの味を引き立てるために」

 

 

「ほほー、考えられている。もしや私と同じ職業ですか?」

 

 

「うん。ベクセリアって街で食堂やってるの。今は料理修行中」

 

 

「そうなのですね。あの、こちらをもしよければユリシス様に提案してもらってもよろしいですか?」

 

 

「もちろんいいよ!ユリシス様にも食べてもらお!」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

そんな話をしていると

 

 

「アノンが見つかったのね」

 

 

階段を上がりながら王女様がやってきた。長い紫色の髪に金色の装飾がたくさんついた頭の被り物や薄手のズボンに下着のような胸当てを付けている。褐色の肌がよく見えるほど露出が高い

 

 

僕達はサッと道を開けるように移動した。僕はソールに引っ張られてだけど。アノンは僕の腕を飛び出して王女様の近くにいった。王女様は僕達をチラリと見たあと、ドカッと玉座に座って肘をつきながらつまらなそうにこちらを見ている

 

 

「ユリシス王女様、こちらの旅人達がアノンを見つけてくれた方達です」

 

 

「おだまり、大臣。そんな旅人の事なんてあとでいいわ」

 

 

大臣さんの言葉を少しピリピリしたような声で返した。なんか、怒ってるね。どうしたんだろう

 

 

「ねえ、ジーラ。アノンが逃げ出すなんてこれまでにあったかしら?お前はいったいアノンになにをしたの!?」

 

 

王女様の突然大きな怒り声に少しびっくりした

 

 

「も、申し訳ありません!いつも通りお世話をしてたら急にいなくなってしまって...!」

 

 

「言い訳をしてもムダ。お前は今日限りでクビよ。荷物をまとめて出ていきなさい」

 

 

「そ、そんな....!」

 

 

「で、あなた達は私になにか用事でも?」

 

 

王女様がこちらを向いた。水色の目が興味なさそうにしている

 

 

「えっと、王女様に」

 

 

「ああ、あなたはなんかヘラヘラしてるからいいわ。喋らないで。私あんまり好きじゃないの」

 

 

僕が喋ろうとするとプイッとそっぽを向いて手でしっしっとやるように追い払われた。え、また嫌われちゃった

 

 

「まだ可愛げのあるそこの女の子にしようかしら」

 

 

「はい!私エイリークっていいます。よろしくね、王女様」

 

 

「名前なんて聞いてないしどうでもいいわ。早く要件を言いなさい」

 

 

ずっとこの調子の王女様にロードとサンディはとっくに喋る気力すらなし、ソールすら顔を顰めそうになっているのを必死に堪えている。僕もちょっとこの雰囲気は嫌だなー

 

 

「先日王女様に黄金の果実が届いたと思うんですけど、実はあれものすっごーく危ないもので回収したいんです。食べると王女様が危ない事になっちゃう」

 

 

エイリークがそう言うと王女様は興味なさそうな顔から少し興味が湧いたのかエイリークを見た

 

 

「そう......。つまり、私に黄金の果実を譲れとおっしゃるのね?それは無理な話だわ」

 

 

「え?な、なんで?」

 

 

「なんでって今私の手元に黄金の果実がないんですもの」

 

 

王女様はなんでもないかのようにそう言った

 

 

「「「ええ!?」」」

 

 

その答えにエイリークだけでなく、ジーラさんや大臣さんも驚いた声を出した

 

 

「ユリシス様、お風呂場に持っていかれてませんでしたか?」

 

 

大臣さんがそう聞いた。え、なんでお風呂場?よくわかんないけど

 

 

「お風呂から出たらなくなっていたのよ。どうせどこかのドロボーネコが盗んで食べたんでしょうけど」

 

 

王女様はそう言ってジーラさんを見ている

 

 

「そ、そんな...私は!」

 

 

ジーラさんは顔を青ざめて首を横に振っている。確かにエイリークがいた頃からここで話していたならジーラさんには無理な気がする。そう考えていると

 

 

「じょ、女王様!大変でございます!」

 

 

一人の女の人が階段を駆けてやってきた

 

 

「アノンちゃんが見つかった庭を調べていたら、こんなものが......!」

 

 

その女の人の腕の中には女神の果実があった

 

 

「それは黄金の果実!?どうしてアノンちゃんが......?ま、果実が見つかりさえすれば些細な事は気にしないわ」

 

 

「あの、それを」

 

 

エイリークが頑張って割って入ろうとすると

 

 

「ああ、そうそう。気が変わったわ。ねえ、あなた。エイリークって言ったかしら。よかったら一緒にお風呂に入りませんこと?」

 

 

「「「「え?」」」」

 

 

 




サンディ「ナニアレ!?ホントーに王女なワケ!?マジで信じられないんですケド!カンジワルーい」


ロード「あーあ、こんなやつが治めてるグビアナはもう終わりだな。勝手に滅んでくだろ」


サンディ「確かにちょーっとだけ綺麗っぽそうな人間ですケド、あの醜悪な性格じゃダメね」


ロード「黙ってれば花ってやつだな。俺には黙ってなくても泥だけどな」


サンディ「ププッ!泥って....チョーウケるんですケド!言い得て妙ね、ロード!」


ロード「だろ?お似合いだよな」


サンディ「わかるー、アタシもそれ使お」


ロード「ソールやナインの前では使うなよ。ナインはバカだから意味わからねえだろうし、ソールは口うるせえからよ」
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