ドラゴンクエストIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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66.アノンの願い

 

お風呂場前

 

 

「キャーーーーッッ!!」

 

 

「「「!?」」」

 

 

突如響き渡った女性達の叫び声に三人で顔を合わせて頷いた

 

 

「エイリークが危ない!」

 

 

「なんかやべえ事起こってんだろ!突撃するぞ!」

 

 

「あの!そこ開けてください!」

 

 

急いでお風呂場前の兵士に大きな声で話しかける

 

 

「なんだ!中で何が起こっている!!クソッ、あいつ!いないのか!!おい!!」

 

 

兵士もドンドンと扉を叩いているが反応はない

 

 

「何してるんですか!早く!」

 

 

「すまない!この扉は二重ロックになっていて、表と裏両方から鍵を開かないといけないのだが、中にいる兵士がどうやら今の出来事で扉の前から離れてここを開けられないのだ!」

 

 

「ええ!?そんな!」

 

 

「ど、どうしよう!」

 

 

兵士さんの言葉に僕とソールで慌て始める

 

 

「ならこじ開けるまでだ!」

 

 

ロードが武器を構える

 

 

「やめておくんだ。この扉はミスリル鉱石が使われている。並大抵の武器じゃ傷一つつかないぞ!」

 

 

「そんな!」

 

 

「ロードさん、お得意のピッキングは!?今は緊急事態だからやってください!」

 

 

「ダメだ!こんな二重ロックの扉なんざ馬鹿みたいに時間がかかる!やってる間に日が暮れちまうぞ!仕方ねえ、俺に案がある。お前らついてこい!」

 

 

ロードはそう言ってお風呂場とは全然別の方向へ走っていく

 

 

「え、どこ行くんですか!」

 

 

「いいから!」

 

 

「ソール、行ってみよう」

 

 

「は、はい!」

 

 

僕とソールもロードになんとかついていった

 

 

2階 中庭

 

 

やってきたのはさっきまでいた2階にある庭だった

 

 

「さっきの場所?ここがどうしたの」

 

 

「この池だよ」

 

 

「この池?何かお風呂場と関係あるんですか?」

 

 

「この城の水の流れを読み取ったんだよ。どういう流れで水を汲んで外に流してんのかってな。その時にこの池はお風呂場あたりに繋がってる流れになってる。つまり!この池に飛び込んで、あの排水の穴をこじ開ければお風呂場にたどり着く可能性があるってわけだ!」

 

 

「よくわかんないけどわかった!」

 

 

「ガキには難しいだろうよ。ナイン、あの排水溝ぶち壊せ!」

 

 

「うん!」

 

 

「なんで水の流れなんかを......まあこの際もういいや」

 

 

「はあああ!」

 

 

僕は思いっきり排水溝に剣を叩きつけた

 

 

ガアン!!

 

 

少しヒビが入った程度だ。ジーンと腕に痛みがやってくる

 

 

「もっとだ!」

 

 

「うん!やあああ!!」

 

 

バァァン!!

 

 

更にヒビが大きくなった

 

 

「これでいけるかな!やああああ!!!」

 

 

ドガァァン!!ザバァァァァ!!

 

 

ヒビが大きく割れて穴が開いた。池の水が滝のように下に流れていく

 

 

「よし、いくぞ!!」

 

 

「「うん!」」

 

 

僕達は流れる水の中、一斉に穴へと飛び込んだ

 

 

お風呂場

 

 

「ナニナニナニ!!地面に穴開けてペットが王女攫っていったと思ったら今度は天井から穴開いて水流れてきたんですケド!!マジで意味わかんないんですケド!」

 

 

サンディが大慌てで私の周りをウロウロしていると、水の中から誰か降りてきた

 

 

「エイリーク!!」

 

 

ナイン達がずぶ濡れでやってきた

 

 

「「「キャーーーーッッ!!」」」

 

 

まさかの男達の登場にさっきとは違う意味の悲鳴がお風呂場に響き渡る。私も服をほぼ着てないから咄嗟にしゃがんで体を隠した

 

 

「何があったの!?大丈夫!?服は!?」

 

 

「お風呂なんだから服なんか着てるわけないでしょ!!」

 

 

「おい、女神の果実はどうなった。何があった」

 

 

欠片も動じないナインとロードに怒りを覚える。チラリとソールを見るとソールは耳を赤くしながらそっぽを向いて顔を隠している

 

 

「あんた達......気持ちはわかりますケド、もうちょっと気遣いとかないワケ?エイリーク、服着てきなさい。アタシが説明しとくから」

 

 

「お願い、サンディ...」

 

 

私は急いで服を着に離れた。その後

 

 

「要するに、女神の果実をあのトカゲが食っちまって化け物になった。んで、化け物はなぜか王女を攫ってこの大穴に行ったと。んじゃ、俺達はこの穴から追っかけりゃいいわけだな」

 

 

「そーいうコト」

 

 

僕はまだどこか恥ずかしそうなエイリークが戻ってきたのを見つけた

 

 

「エイリーク、おかえり」

 

 

「あ、エイリークさん。あの......緊急事態とはいえすいませんでした」

 

 

ソールがまだ少し顔を赤くしながら頭を下げた

 

 

「やっと服着終わったか。とっとと行くぞ」

 

 

ロードの言葉にブチッとエイリークから何かが切れたような音がした

 

 

「この、ド変態めーー!!!」

 

 

 

「は!?グボアッッ!!」

 

 

エイリークの拳がロードの体に直撃した。なんか、ベキとかボキって聞こえた...。そのまま大穴へとロードは力なく落ちていった

 

 

「ナインも私になんか言う事あるわよね!?」

 

 

「すいません!!!」

 

 

エイリークの気迫に反射で思いっきり頭を下げた。こうしないと余計に大変な事になるのはジーンさんでよく身に染みている

 

 

「もう!!私達を助けるためで事前にお願いしてたとはいえ、こんな風に突撃してこなくても大丈夫だったのに!とにかく、とっとと王女様助けないと!」

 

 

「「はい!」」

 

 

エイリークの先導で大穴へと飛び込んだ

 

 

グビアナ地下水道

 

 

グビアナ王国の地下に広がる大水道。先代のグビアナ王が一生をかけて作り上げた王国中に広がる水道でグビアナ王国を支える基盤である。しかし、今は所々に魔物が潜んでいる

 

 

降りるとロードが頭から地面に刺さってピクピクと痙攣していた

 

 

「わああ!ロードさん、大丈夫ですか?」

 

 

ソールが慌ててロードを抜いて起こした

 

 

「がっ.....ごはっ......やべ、アバラが4本くれえ、逝った」

 

 

「ひいいいっ!急いで治しますね!」

 

 

「ふん!」

 

 

血を吐きながらなんとか息を吹き返したロードにソールが必死に回復魔法をかけた。エイリークはまだ怒ってるのかそっぽを向いた

 

 

「あははは......。にしても...」

 

 

僕は周りを見渡すと綺麗な水が流れているが通路の所々に魔物がいるのを見つける

 

 

「グビアナ王国の地下にこんな広い場所があって魔物もいるなんて」

 

 

「まあ魔物はどこにでも湧きますからね。それよりここが先代グビアナ王様が作られた水道で間違いないでしょう」

 

 

「凄いのね、こんなに大きな空間を作るなんて」

 

 

「アノンとユリシスさんはどこに?」

 

 

「とにかく進むしかないってワケね。皆一緒にいくよー」

 

 

道中

 

 

「ニャー!」

 

 

緑色の毛をして青い服をきた可愛い猫の魔物が現れた

 

 

「「「可愛い!!」」」

 

 

僕とエイリークとサンディはその姿にたまらず声をあげた

 

 

「ベンガルクーンだったか?ちょっと珍しいな」

 

 

「へー、猫の魔物なんているんですね」

 

 

「ニャー!」

 

 

はしゃぐ僕達に周りからも猫達がやってきた

 

 

「えー、可愛すぎるー」

 

 

「和むねー」

 

 

エイリークと笑っていると、一匹のベンガルクーンが杖で黒い魔法陣を描いた

 

 

「「え?」」

 

 

「ニャー!」

 

 

黒い魔法陣からドルマが繰り出されてくる。他のベンガルクーン達もどんどんドルマを打ち込んでくる

 

 

「「わー!!」」

 

 

エイリークとサンディと一緒に走って逃げ出した。通路にどんどんドルマが放たれていく

 

 

「ナインさん、サンディさん、エイリークさん!」

 

 

「だー、めんどくせえな!まあいい。剣の練習相手になれよな!」

 

 

ロードが剣を逆手で構えると、水路の水が動き出して剣に纏っていく

 

 

「水龍斬!」

 

 

水で龍が形作られ、ロードが放った斬撃と共にベンガルクーン達に向かう

 

 

ザバアァァン!

 

 

水の龍がベンガルクーン達を吹き飛ばし、斬撃で切られていく

 

 

「ニャ〜...」

 

 

ベンガルクーン達は消え去っていった

 

 

「へー、水の龍なんてつよそー。流石ロードね」

 

 

「ありがとう、ロード」

 

 

「やれやれ。お前らも猫だからって甘く見てんなよ、魔物なんだから」

 

 

「うん、気をつける」

 

 

奥地

 

 

「だいぶ降りてきたけどどこまで行ったんだろう」

 

 

「流石にもう地下水道も終わっちまうぞ」

 

 

全員でキョロキョロとしながら探しているも見つからない。すると

 

 

「.....あ!今、あっちからかすかに声がした!王女様っぽかったわ!」

 

 

エイリークが耳をすませており、指さす方向には大きな部屋がある

 

 

「あそこですかね。間に合うといいんですが」

 

 

大きな部屋に入るとユリシスさんが壁の端に追いやられていた

 

 

「王女様!」

 

 

「!?エイリーク!助けに来てくれたのね!」

 

 

エイリークが走って王女様の前に向かい、大きなドラゴンとなったアノンから庇うように立った

 

 

「大丈夫?」

 

 

「ええ、私は平気。でも、アノンがずっと私にアプローチしてくるの」

 

 

「「え?」」

 

 

ユリシスさんの言葉に思わずエイリークと一緒にポカンとしてしまう。アプローチって、どういう事?

 

 

そう思っていると目の前にいるアノンが話し始めた

 

 

「だからなあ、ユリシスはん。わてと一緒にこれからスウィートな人生をおくろうや......って!お前は!」

 

 

とても特徴的な話し方とイントネーションをしたアノンが僕を見た瞬間、大きな腕で僕を指した

 

 

「わてを草むらから連れ戻したけったいな旅人やないか!お前のせいであの木の実を使って、わての夢を叶えようっちゅう計画が台無しになるとこやったんやぞ!動物的ホンノーが訴えかけたんや。あの木の実を食べたら人間になれるっちゅうてな!そんでわては人間になったんや!どやっ、ごっつイケメンやで〜っ!ま、ちょっとカッコよくなりすぎてユリシスはんもタジタジやけどな」

 

 

「「「「「......」」」」」

 

 

ペラペラと話し始めたアノンに全員でポカンと黙り込んでしまう。えっと、まずその話し方は...なに?え?イケメン、んんん?

 

 

情報量の多さに思考が追いつかず首を傾げてしまう

 

 

「えっと......アノンなのよね。なんで人間になりたかったの?」

 

 

エイリークがポカンとしながらも言葉を絞り出した

 

 

「そりゃもちろん、わての一世一代のプロポーズをするために決まっとるやないか!ユリシスはんと一緒にこれからは幸せにスウィートな暮らしをおくるっちゅうわけや」

 

 

アノンはどこか恥ずかしそうに頭を大きな手でかいている。確かに、言動は人間っぽいな。言動だけ

 

 

「こいつ......その見た目で自分を人間だと思い込んでやがる」

 

 

「ヤ、ヤバいよ、皆。こいつマジでありえないんですケド」

 

 

「見た目と言ってる事が一致してなさすぎる......。なんだこれ」

 

 

ロードもサンディもソールも流石に呆れている

 

 

「ハーン?なんか言うたか?そんな事よりもな、お前ら何しにきたんや?長年想い続けたユリシスはんと一緒になろうっちゅうわての夢を邪魔しに来たんか?」

 

 

「アノン、王女様の事好きだったの?」

 

 

「トカゲのくせに?」

 

 

エイリークの発言の後にサンディが続いた。サンディの言葉にアノンがギロリと睨んで吠えた

 

 

「じゃかぁしいっ!ようやく人間になれてそのチャンスが巡ってきたんや!わての邪魔をするやつは許さへん......。許さへんぞーーーっ!」

 

 

全員で武器を構えた

 

 

「だから人間になんかなれてないっての!皆、ちゃっちゃとこの勘違いドラゴン倒しちゃってヨネ!」

 

 

サンディは僕の鎧の中に入っていった

 

 

「王女様、こっち!」

 

 

エイリークがユリシスさんの手を取ってアノンから離れた

 

 




ロード「くっそ.....あのゴリラ女め。本当にとんでもねえ馬鹿力だぜ」


ソール「でも、場所が場所でしたし。エイリークさんもほぼ裸を見られて恥ずかしかったんですよ」


ロード「前もって突撃してくる事言ったんだからあそこまで怒るなよな」


ソール「た、多分、動じなかったからなんじゃないですかね」


ロード「あー?なんっだそれ、別に女の裸なんざ大して興味ねーわ。くっだらねー」


ソール「あははは......。後でちゃんと謝っておきましょうね」


ロード「はっ、嫌だね。誰があんな奴に」


ソール「それが礼儀ですしエイリークさんに嫌われちゃいますよ」


ロード「別に俺は誰かに好かれてえと思った事はねえよ。嫌われ上等」


ソール「だーめだこりゃ」

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