ドラゴンクエストIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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67.アノンとユリシス

 

「あ!わてのユリシスはんが!」

 

 

アノンがエイリーク達を追いかけようとする

 

 

「ごめんなさい、アノン!今のあなたは怖いわ」

 

 

ユリシスさんのその声にアノンが止まった

 

 

「なんで...?なんでユリシスはんはそんな事言うんや。さてはお前さん達がまた何かしたな!うがあああー!!」

 

 

アノンは僕達に向かって火炎の息を吐いてきた

 

 

「よっ!」

 

 

「はあ!」

 

 

ロードとソールは後ろに避けて回避を、僕は盾を構えて熱波に堪えて立ち止まった

 

 

「あっつい......」

 

 

「わてのユリシスはんを返せや!」

 

 

アノンは大きな腕を振り下ろして爪で攻撃してきた

 

 

「ビッグシールド!」

 

 

僕の声に盾が光って大きくなる。アノンの大きな爪と盾が擦れ合い大きな金属音を出す

 

 

ガキャキャキャ!

 

 

「ナインさん!バーニングショット!」

 

 

ソールが後ろから飛んで弓でアノンの頭に燃える矢を当てる

 

 

「あだっ!」

 

 

ロードが怯んだアノンの後ろに回り込んだ

 

 

「氷刃連撃!」

 

 

氷の剣でアノンの鱗を削いでいく

 

 

「つべたいわ!やめんかい!」

 

 

アノンが嫌そうにロードへ爪を振り回した

 

 

「へっ、そんな大振りじゃ当たらねえよ」

 

 

ロードは軽い身のこなしで避けてアノンを煽っている

 

 

「むがー!嫌なやつやな!お前さんは!」

 

 

「へっ、嬉しい評価サンキュー」

 

 

部屋の外

 

 

「王女様、とりあえずここにいてね。私達はアノンを落ち着かせてくるから」

 

 

「え、ええ。でも、アノンは私の大事なペットなの。お願いだから、殺さないで。アノンは悪くないわ」

 

 

ユリシスさんはエイリークの手を握ってそう言った

 

 

「王女様......うん。任せて!」

 

 

エイリークは王女様に優しく笑った後アノンのいる部屋に戻っていった

 

 

「お願い、アノンを助けて」

 

 

「ナイン、ソール、ロード、大丈夫!?」

 

 

エイリークが戻ってきた

 

 

「あ、うん。ロードに夢中になってて大丈夫だよ」

 

 

「待てやこらー!!」

 

 

「へへーんだ、ノロマトカゲめ。こっちこいよ!」

 

 

「ええ...」

 

 

あれからアノンはロードを執拗に狙い、ロードに爪の攻撃や火炎の息をはいているがロードお得意の身軽な回避と煽りにやられて全く効いていない

 

 

「アノンさんも負けず嫌いなのかな。足も遅いからロードさんは余裕そうです」

 

 

「おー、エイリーク。おかえり、王女は追っ払ったか?」

 

 

こっちに意識を向けて会話する余裕すらあるみたいだ

 

 

「あ!お前さん、わてのユリシスはんどこやったんや!」

 

 

アノンもエイリークを見つけてこっちを向いた

 

 

「王女様はこんな姿のアノンじゃなくて、ペットのアノンを待ち望んでたよ!」

 

 

「なんやて!せっかくごっつイケメンになったってゆーのに、ユリシスはんはあんなトカゲの方がええやと!?そんなん信じられるかい!」

 

 

アノンはエイリークに爪を振り下ろす

 

 

「ふっ!」

 

 

エイリークは腕を重ねて受け止めようとしている

 

 

「おい!」

 

 

「エイリークさん、流石に受け止めるのは危険です!」

 

 

「ダメだよ、エイリーク!」

 

 

一斉に止めようと僕達は向かっていく

 

 

ドォン!

 

 

エイリークがアノンの大きな腕を受け止めた。その衝撃と爪に当たったのかエイリークの紺の髪が少しだけパサリと舞った

 

 

「!?」

 

 

アノンが少し何かに驚いた顔をした

 

 

「やああ!」

 

 

アノンが驚いた拍子に力が抜けた腕をエイリークの馬鹿力で跳ね除けた

 

 

「ぬお!」

 

 

「アノン、目を覚ましなさい!あなたは人間じゃなくてドラゴンになっちゃったのよ!」

 

 

「な!?わてが、人間になれてないやと!?そんな......そんな訳あるかーい!!」

 

 

アノンはエイリークに火炎の息を吐いた

 

 

「ビッグシールド!」

 

 

僕はエイリークの前に立って再び盾を大きくして息を防いだ

 

 

「おい、エイリーク。あのトカゲの目をいい加減覚まさせてやろうぜ。頭冷やせばちょっとはサッパリすんだろ」

 

 

「ええ!」

 

 

ロードがそう言って持っていた剣を空中へ高く放り投げた

 

 

「はっ!」

 

 

「えいっ!」

 

 

ロードが水を剣に纏わせていき、エイリークが魔法でどんどん凍らせていく。大きな氷の鳥が出来上がっていく

 

 

「「合技!アイシクルパモラ!」」

 

 

大きな氷の鳥となってアノンの吐く火炎の息にも負けずにアノンの口に突っ込んだ

 

 

パリィィィン!!!

 

 

「うぎゃあああ!!」

 

 

衝撃と勢いでアノンは後ろに吹っ飛んで背中から倒れた

 

 

「うっし、これで少しは頭スッキリしただろうぜ」

 

 

「少しやりすぎな気もしますけどね」

 

 

ロードの爽快そうな笑顔に対してソールは苦笑いしている

 

 

「アノン、大丈夫?」

 

 

僕はアノンに近づいて声をかけた

 

 

「お前さん達と戦って、わて気づいてもうた。わて、ホンマに人間とちゃうわ。人間は口から火吹いたりせえへんもんな。こんな鋭い爪も持っとらんわ」

 

 

少し悲しそうな声のアノンを撫でた。久しぶりにあの力を使わせてもらおう

 

 

集中していくとキーンと頭に甲高い音が鳴り響く

 

 

王女様のお部屋でアノンを抱きしめている光景が見えた

 

 

「アノン......私のお父様もお母様も......ついにいなくなってしまったわ。私、これからずっと......ひとりぼっちなのね。お父様やお母様がいたから私、わからなかったけどひとりぼっちってこんなにも寂しいのね。ご飯も、お仕事もなにもかも......もう嫌になっちゃった」

 

 

アノンが王女様の目から零れた雫を舐めた

 

 

「アノン......慰めてくれるの?嬉しい。私、あなたとずっと一緒よ。あなただけには甘えちゃおうかしら」

 

 

その光景を見て僕は目を開けた

 

 

「そっか。アノン、王女様がひとりぼっちになって寂しがっていたから慰めたかったんだ」

 

 

「!?なんでお前さんがそれを......。せやで。だからわては簡単に諦めるわけにはいかんのや。わてがユリシスはんと一緒になって、ユリシスはんの笑顔を守るんや」

 

 

「アノン......でもね、アノン。あなたがどんなに頑張ったってこのままだと王女様は変わらずひとりぼっちのままなの」

 

 

エイリークが悲しそうな顔をする。その時

 

 

「アノン!」

 

 

「ユリシスはん!」

 

 

王女様がやってきた

 

 

「話は聞こえたわ。アノン、私のためにごめんなさい。でもアノン、もう頑張ろうとしないで。あなたまでいなくなったら私は本当にひとりぼっちになってしまうわ」

 

 

王女様がアノンの大きな爪を小さな手で掴んだ

 

 

「ユリシスはん...」

 

 

「女王様!旅人様!」

 

 

その時、ジーラさんがやってきた

 

 

「ジーラ!!どうして」

 

 

「女王様を助けに来たんです。旅人様、アノンを殺さないでください!アノンは女王様の唯一の家族なんです。唯一心を開ける相手なのです。女王様のためにもお願いします!」

 

 

ジーラさんは僕達の前に来て頭を下げている

 

 

「なんか俺達が悪者っぽくなってきてねえか?」

 

 

「ねー。ベツにアノンをどうこうしようとか考えてなかったんですケド」

 

 

「ジーラ、なんでそれを」

 

 

「すいません、王女様。昔アノンと話しているのが偶然聞こえてしまって」

 

 

「ねえ、王女様。アノンのためにもジーラさんとも私とも友達になろう!そしたら王女様はひとりぼっちなんかじゃないわ。私達がいるもの!寂しい時や心細い時は私達が元気にしてあげる。どう?」

 

 

エイリークはジーラさんの手とユリシスさんの手を取って三人で握手している

 

 

「そうですよ、女王様!私達を頼ってください!」

 

 

「エイリーク...ジーラ...。うん......うん!私と、友達になってくれる?」

 

 

「「うん!」」

 

 

「......エイリークはんやジーラはんみたいな優しい人もいたんやなあ。これじゃあわてはピエロやで。わては力ずくでユリシスはんをこのお城から引き離そうとした。トカゲの浅知恵やったわ。なあ、旅人はん」

 

 

エイリーク達と嬉しそうに話すユリシスさんを見てアノンがボソリと呟いた

 

 

「なに?」

 

 

「旅人はん、さっきの件といい人間とちゃうやろ?わてにはわかる。わて、もうこんな力いらん。トカゲに戻ってユリシスはんと一緒に暮らす事にするわ。この木の実、旅人はんに託すで。ジーラはんやエイリークはんのような人がいればもうユリシスはんは大丈夫や。ありがとう、天使のような旅人はん」

 

 

アノンは優しく笑った後光り輝いた。光が終わって目を開くとアノンは元のトカゲに戻っており、女神の果実が元の姿で落ちていた

 

 

「ナイン、とっとと回収だよ!」

 

 

「うん」

 

 

僕が鞄に女神の果実を入れている間にアノンは王女様の元に戻っていった

 

 

「あなたも私の事をずっと想ってくれていたのね。ありがとう、アノン。これからもよろしくね」

 

 

「さ、王女様、戻ろうよ。ひとりぼっちで食べるご飯より皆で食べるご飯は格別に美味しいんだから!」

 

 

「女王様、お身体また綺麗にしましょうか」

 

 

エイリークとジーラさんがユリシスさんに手を差し出した

 

 

「ええ、そうするわ」

 

 

ユリシスさんは少し恥ずかしそうに、でもどこか嬉しそうに手を繋いだ

 

 

きっとアノンも笑ってくれるだろうね

 

 

 

 




ナイン「なんか変わったね、ユリシスさん」


エイリーク「初めの時よりね。でも、ユリシスさんが変わったんじゃないのかも」


ナイン「え?どういう事?」


エイリーク「私達が変わったのかも。ほら、初めは王女様のわがままにロードもサンディも、ソールでさえも反応凄かったじゃん」


ナイン「うん。僕も嫌われちゃったし」


エイリーク「そうだったね。でもさ、アノンの記憶を見て実は王女様もずっと寂しくてひとりぼっちだったからわがままを言ってたってわかったじゃん。だから王女様は変わってなくて、私達の見方が変わったのよ」


ナイン「なるほど。見方かー、エイリークは深い事言うね」


エイリーク「そう?でも私は王女様も人間っぽくて親しみやすそうって思ったわ。私も寂しかった時お父さんやお母さんに甘えたから」


ナイン「そうなんだ。だからエイリークはユリシスさんの気持ちがわかったんだね。優しい」


エイリーク「ふふふ、そうかも。王女様と友達になれてよかった」

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