黄金の空間
再びこの場所へやってきた。来た時は呑気に考えていたが、こうして見返してみるとランプのまじんのいやしい心がこの場所に現われているようで嫌な空間に感じる
「やっぱり」
昨日と同じくランプがそのまま置かれている。隠れる気はないようでありがたい
「皆、一気にいくよ」
僕が剣を抜いて雷を纏わせると同時に他の皆も武器を構えた
「ええ、準備は万端です」
「一瞬で塵にしてやろうぜ」
「絶対許さないんだから」
「アタシだってやってやりますよ!」
ソール達だけでなく、サンディもあのレインボージュエルが付いたブローチを持っている
僕がナンシーさんの時と同じようにランプの蓋を開けた。モクモクと煙が出てきて、あのランプのまじんがあらわれた
「おお、今回は随分と早い。あなたがたが」
退屈そうに、でもどこか驚いたような声で話そうとしているランプのまじんのセリフを遮ってロードが一瞬で動いた
「失せろ」
その言葉と共にランプのまじんの体に斜めに大きな切り傷がついた。バッサリと切られた場所から青い血が流れていく
「ギャアアアァァ!!なに、なんですか!!痛い!!」
「はあっ!」
突然の事で慌てて驚くまじんを尻目に、後ろからソールが5本連続で火のついた弓矢を放つ
そこにエイリークが火の魔法で重ねていき、更に巨大な火の塊の矢となる
「「合技!五連爆炎弾!」」
ボォォン!!ボォォン!!
巨大な火の矢がまじんの体とランプに連続で当たり、爆発を巻き起こしていき、爆炎と煙でまじんの叫び声と姿が見えにくくなる
「あちぃぃぃ!!殺す気か!!」
僕は一気に高く飛び上がって剣を振りかぶる
「一気にブチかましちゃおー、ナイン!!」
サンディがそれに合わせて持っていたブローチのレインボージュエルの白い光を僕の剣に纏わせて白く輝かせる
「「合技!クリスタルソード!」」
ズバァァン!!
ロードの作った切り傷とは反対の方向に大きく傷跡を付ける。まじんの体には大きなバツ印が出来上がった
「うぎゃああぁぁぁ!!」
まじんはふらふらとその場に倒れ込んだ。そこに
カァン!!カカカァン!!
首や体、手やランプから伸びているまじんを繋ぐ場所に一気に矢が放たれる
「う、動けない.....」
「楽にしねると思うなよ」
ロードがまじんに向かって飛びかかり、喉元に剣を突き刺した
「がああぁぁ!!」
「中々消えないな」
「しぶといのね。もしかして、ランプの方が本体?」
エイリークの言葉に少しハッとした
「そうかも!よし、エイリークランプ目掛けて!」
「うん!ヒャダルコ!」
エイリークの氷の刃が複数ランプに当たっていく
パリィィン!パリィィン!
「はやぶさ斬り!」
少し凍りついたランプに僕が高速で剣を振り払った
ガァァン!!
硬そうな音が聞こえた後、ランプが割れた
パキィィン!
「あああぁぁ!!消える、消えてしまうぅぅ......」
ロードの攻撃で切り刻まれていたまじんがランプが砕けると同時に消えていった
「......こんなクソよええのに、胸糞悪い事しやがって」
「.........」
ランプのまじんは倒したものの、心の中は一向に晴れそうにない。全員同じなのだろう。息ぴったりのコンビネーションで連続攻撃が初めてできたのに、誰もその喜びを言葉にする者はいない。それよりも圧倒的にアンナちゃんとナンシーさんがいなくなってしまった悲しみや自責が胸の中を支配している
「......とりあえず、サ。あのチョームカつくのは倒したんだし、一旦こんなセンス悪い所出よ」
サンディも少し悲しそうな顔をしながら言った。サンディのこういう所はいつも助かるな
「そうだね。うん、フェリシダに戻ろう」
フェリシダ
ナンシーさん達のお墓を作った後、広場に戻ってきた時には陽が落ちそうになってきていた。もう少しで夕方だ
「......これからどうする?」
エイリークが泣きそうな顔で言った。全員まだ顔は晴れそうにない
「もう一個の方に行くんだろ?あの黄色い流れ星が見えたっていう北の方によ。確か広い草原だったはずだ」
ロードもいつもより深く顔に皺を寄せている
「そうでしたね。そっちに向かってみましょう」
ソールもつらそうな顔をしながら苦しそうにして言葉を出した。すると
「こんにちはー。ねえねえ、アンナちゃん見なかった?」
広場の方から陽気に笑ってステップを踏んだ女の子がやってきた。僕はそっとしゃがんでその子に目線を合わせた
「えっとね、アンナちゃんは今日なくなっちゃったんだよ。だから、もう会えないんだ」
僕が女の子にそう言うと、予想だにしない言葉が返ってきた
「え......アンナちゃんしんじゃったのー!わーいわーい!じゃあお祭りだね!!」
女の子はそれを聞いて涙を流しているのに、変わらない笑顔でステップを踏んで踊りながら広場へ嬉しそうに戻っていく。周りの大人達や子ども達も
「おー!そうか!あの優しいアンナちゃんがなー!わははは!なんて残念なんだ!それではお祭りとして皆で踊ろうではないか!!」
全員が笑顔で涙を流しながら踊って歌っていく
ここは!夢の国さ〜♪
楽しんで!わずかな時間〜♪
人生のほんの少しだけ〜夢を見よう〜♪
昨日自分達も歌って踊った曲が流れるものの、あまりにもありえなさすぎる光景に僕だけでなく、ソール達も全員驚愕した顔のまま動けない
「なん、で......」
「......人の心なんてねえってのかよ」
「怖い......怖すぎるよ......」
「ヤバすぎるって、もうヤバいなんてモンじゃないって」
「.........」
あまりにも人間とは思えないような言動と狂気さに言葉が出てこない。ロードが固まってしまった僕の手を引いてくれて、そのまま全員黙って国を去っていく
去り際に賑やかな声と祭囃子の中、また曲が聞こえてきた
Esta es la tierra del fin♪Una tierra donde la felicidad♪ha sido robada♪
Felicidad♪Felicidad♪Felicidad♪
何を言っているかわからなかったが、あまりの狂気さにこの曲には恐怖を感じた
ここはいつでも誰もが笑顔で楽しい幸せの国。ここでは"どんな事も"楽しく幸せに過ごせるそうだ。踊りと幸せの国、フェリシダ・ロカ
ソール「なんか、俺今回の件で黄金が少しトラウマになりそう」
サンディ「エグかったもんねー。アタシもちょっとしばらくはいいかも」
ソール「サンディさんもですか。好きそうでしたのに」
サンディ「モチロン好きですケド!でもこれはちょっとワケが違うじゃん。アタシもドン引きよ」
ソール「怖い事たくさんありましたもんね。うっ、思い出すだけで鳥肌が」
サンディ「ダメよ、しばらくは思い出さない方がいいわ。それよりさ!ソールの好きな甘い物でも食べて気を紛らわしましょ!ホラホラ!」
ソール「あ!なんか俺の知らないお菓子がある!いつの間に」
サンディ「美味しそーなのグビアナで見つけたの。エイリークと味見してなかなかイケてたから買ったのよ。ソールもこーいうの好きデショ?」
ソール「やったー、ありがとうございます、サンディさん。ん!!サッパリしてるのに甘さもしっかりしてる!美味しい〜」
サンディ「でっしょ!?中々出会えない味よねー。アタシももらおっと」