白髪の女性「貴方が…………酷い火傷だね。来て、うちで治療してあげるから。」
モモイ「近寄らないでッ!」
私は彼女の手を振り払った。
白髪の女性「大丈夫、私は敵じゃないよ。君に危害を加えるつもりはない。」
彼女を警戒して拒絶したわけではない。拒絶した理由は、既にこの浮世で生きる意思などなかったからだ。
自分を庇って自ら犠牲になったユズや、自分が無力だった所為で失ってしまったミドリやアリスの事を思うと自己嫌悪に押し潰されそうになる。
この十字架を背負って残りの人生を歩めるわけがない。
モモイ「どうして…邪魔するの……私が死んだって貴方には関係ないでしょ!!」
彼女は少し考えて言った。
白髪の女性「見殺しにしたら、夢心地が悪いじゃない。」
そんな独善的な理由で自決を邪魔されたと思うと、無性に腹が立ってきた。
私は彼女に襲いかかるが、木刀ですんなりとあしらわれてしまう。
白髪の女性「その傷、早く治療しなければ感染症になるよ。」
モモイ「願ったりだ!私は死にたいの!放っておいてよ!」
その瞬間、私はその場に倒れ込んでしまった。
当然だ、満身創痍で何日も走っていたのだから。
目が覚めると、私は布団の上に寝かせられていた。
顔には包帯が巻かれ、身につけていた武器は全て取られていた。
白髪の女性「目が覚めたようだね。手負であんなに動いたから疲労で気を失ったのだろう。」
私は側に置いてある行燈に手を伸ばす。
白髪の女性「やめておいた方がいいよ。仲間に託された命を無駄にするの?」
モモイ「…!!」
モモイ「何で…知っている?全て見ていたのか!?」
白髪の女性「いや、私は何も知らない。この前に都心部でカイザーとの交戦があったこと以外は。君がここに流れ着いたのは、カイザーの魔の手から逃げる為だろう?」
白髪の女性「そして、手負の君が何故ここまで逃げてこられたか考えた。それは、仲間が君の為に犠牲になったからだろう?」
白髪の女性「その表情を見るに当たりのようだね。辛かったね。この辺の自治区はカイザーはもう興味は無いらしいから安全だよ。」
モモイ「あんたに私の何がわかるの!!推測だけで話さないで!!」
白髪の女性「分かるよ。何もできず大切な人を目の前で失った時の私と同じ目をしていたもの。」
モモイ「…!!」
白髪の女性「まだ名乗っていなかったね。私は御稜ナグサ。君は?」
モモイ「…………才羽……モモイ。」
ナグサ「そう。食事、持ってくるね。」
ナグサは襖を閉め、部屋を出て行った。