エデンの来訪者   作:火取閃光

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第15話

 種やきのみの使い道が終わり宿で休んで夜となる。エンゴウの村祭、火送り祭が開催された。

 

 この火送り祭はかなり有名な祭りなのか何処からやって来たか分からない商人が露店を開いていた。

 

 ここで、俺達の所持金事情になるが魔物との戦闘で出たパーティ共有財産はアルスが管理している。

 

 彼は普段は気弱だけどここぞって時に誰よりも勇気を振り絞る友人だから彼に頼んだ。

 

 そして、現在の所持金が1番多いのは俺だ。所持金5000G。何かあった時の為に袋に入れておいている。

 

 次いでアルス。共通財産を差し引いても所持金700G。伊達や酔狂で俺と同じく子供の頃から働いていない。

 

 王子であるキーファと豪商の令嬢であるマリベルは10Gしか持っていない。なんでもお小遣い何だとか。

 

 彼等は普段の買い物では基本的に値段を見ずに購入するだけの引き出しがある代わりにお金を所持する事はあまりないのだ。

 

 だから、俺の総資産額は15万Gで、アルスの総資産額7000Gとお金持ちの部類に入るが彼等の引き出し額に比べれば屁でもない。

 

 まぁ、それでもエンゴウと言う田舎で山奥の村祭には10Gもあればかなり豪遊出来る。

 

 俺も露店などを見ながら少し楽しんでいるとある商品が目に付いた。それはとても丈夫で軽いドレスと荊の鞭だ。

 

 マリベルも欲しそうな顔で覗き込んでいたので後で返して貰う事を条件に俺が払った。

 

 少なくとも今のマリベルは魔法師長から貰った魔法使いの外套(ローブ)以外は町娘とそう変わらない格好だった。

 

 だから、少しでも防御力が高い革のドレス手に入れられて良かったと思う。

 

「これより火送り祭! 送り火を開催する! なお、今回は久しぶりの旅の一同が来てくれたので彼等を最初にする!!」

 

 少しだけ残念がる様な声も上がったが、彼等にとっては毎年行われる催事だから諦めろと村長に宥められていた。

 

「お主達、これはチャンスじゃ」

 

「パミラさんっ……!?」

 

「儂が送り火をなんとか引き留めておく。お主等から貰った聖水もあるからなんとかなると思うが嫌な予感がする。気をつけよ」

 

「勿論だぜ!」

 

「分かったよ!」

 

「任せてちょうだい!」

 

「送り火の引き留め、お願いします!」

 

 儀礼的に村長の前で火送りをしてからパミラと別れ火山を探索する。

 

 今回は魔物との戦闘は無視して下層深くへ探索を進めるがそれでも魔物の数が異様に多い。

 

「チッ……!? モンスターの数が段々多くなっているっ……!?」

 

「この下に行かせたくないんだっ……!!」

 

「マリベル! 出来るだけ魔力は温存! 多数敵の場合のみ使用!!」

 

「そんな事、分かっているわっ……!!」

 

 マリベルは露店でアレンに買って貰った鞭を上手く使い攻撃する。

 

 彼女も馬鹿じゃない。伊達にアレンと一緒に魔法師長とフィル神父から魔法を習っていない。

 

 鞭の攻撃が魔物を倒せる威力が無い事くらい分かっているから足止めや注意を逸らす事に集中した。

 

 マリベルが全体に鞭攻撃をする。相手が意識をマリベルに向けた時に俺達の闘気を纏わせた攻撃が当たり消滅する。

 

 時間がないと焦るほど職業に盗賊が居ない事が悔やまれる。盗賊の探索マップ構築能力があれば何度も同じ所をぐるぐるしなくて済む。

 

 火送りが1つ送られる度に火山下から強い邪念と熱気が伝わって来る。そう時間は無いがようやく辿り着いた。

 

「フッハッハッハ!! 良く来たな! 神に選ばれし者達よ!」

 

「っ!? 人間っ……!?」

 

 邪念や邪悪な闘気とは正に彼が身に纏っている様なモノだと思った。赤い髪を上げて額に不思議な紋様と目や頬に黒い線があった。

 

「っ!? それに見ろっ……! 後ろに何かデカいのが居るぞっ……!?」

 

 邪悪な心に染まっている少年の背後にはゴーレムの2倍はある顔だけの炎の巨人が鎮座している。

 

「お前等なんて俺1人で十分だっ……! 喰らえ、業火よっ……!!」

 

 邪念に纏われた人間が放つ業火球はメラゾーマ以上の威力だった。それを無詠唱でノーモーションで放つ奴はヤバイと思った。

 

「っ!? マリベルっ!!」

 

「分かっているわよっ……!!」

 

 あのサイズの業火球を防ぐには俺達2人でヒャダルコの分厚い壁を作る必要があると思い用意する。

 

 しかし、突如無意識に上げたアルスの腕のアザが光りを上げると水で出来た膜が形成されて業火球を打ち消した。

 

「う、うそっ……!?」

 

「アルス、お前っ……!?」

 

 マリベルとキーファがギョッとアルスを見るが彼も何が何だか分かっていない様子だった。

 

「ぐっ……!?」

 

 業火球の危機は去ったが同時にアルスの腕にあるアザに呼応する様に俺の背中のアザと敵の額にある紋様が光り痛み出した。

 

「アレンっ……!?」

 

「それに、アイツもっ……!? 何がどうなってっ……!?」

 

 アレンが膝を着き背中を抑える様に邪悪な心に染まった少年が頭を抑えると蹲り身体中から邪気が抜けていった。

 

《ヤハリ、ショセンハ、ニンゲンノ、ニンギョウ、ダッタカ……》

 

 邪念に囚われた人間諸共に火炎の息を放つ炎の巨人。今度こそマリベルはヒャダルコで息を打ち消した。

 

 そして、邪念の消えた赤い髪の少年はマリベルのヒャダルコの時に咄嗟に俺が抱き止めて回収する。

 

「あがっ……!? ぼ、僕は、一体っ……!?」

 

「ぐうっ……! 無理をするな。ベホマ」

 

 背中が痛い。まるで火と水と風が無理矢理混ぜられた様な拒否反応があり過去一痛い中で彼を回復した。

 

「オイ、アレン!? ソイツを回復して良いのかよ!?」

 

「分からないが俺達には何か繋がりがある気がしてならないんだ……」

 

「そう言うのは後! 来るわよ!!」

 

 炎の巨人は唸り声を上げると炎系のモンスターを呼び寄せる。かなりの大群だ。俺は彼をそっと後ろの壁に倒してモンスター達と対峙した。

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