エンゴウの村の異変を正した俺達一行は現代へ戻り新しく出現したエンゴウの村があると言う島へ向かった。
エンゴウの村では聞き込みの結果、過去と同じ店にパミラと言う占い師がいると言う話を聞きつけて向かう。
「貴方が……パミラ、さん……??」
「お主達がどの時代のパミラを指しているかは知らんが、今代の占い師パミラは儂じゃ。過去の異変を正した来訪者達よ」
彼女の言葉に驚愕して話を進めるとパミラと言う名前は襲名性で過去のパミラと現代のパミラは別人らしい。
ただ、占い師パミラを名乗る以上、過去にいた最高の占い師パミラを超えるほどの力はないが研鑽を続けているらしい。
その力の証明として小さなボタンを探していた少年のボタンを探し当ててお礼に小さなメダルを貰った。
そして、その後の行動指針を占って貰うと火の神様がいる火山に目的のモノがあると占ってもらった。
今後も目的の物を調べるなら過去に深く関わった場所の探索が最も効率的だと占って貰いその対価として10Gを払おうとしたが彼女はそれを受け取らなかった。
その理由は数世代前の、それこそ最高の占い師パミラが遺した言葉にはいつの日か自分達の前に現れた来訪者に協力して欲しいと言う言葉だったからだ。
そこからは火山を探し歩き緑色の石板を見つけてエスタード島へ帰還しバーンズ王達へ報告と命のきのみをリーサ王女へ試す事を提案した。
バーンズ王は命のきのみの効果を聞いてあの時のキーファ同様に動揺してしまい王様ではない父親としてのバーンズを初めて見た。
「お兄様? お父様? 私にこれを……??」
リーサ専属の医者との立ち会いの元、リーサ王女には少し硬いきのみを料理長が粉砕して飲み物に混ぜてくれた。
これでも命のきのみとしての効果を発揮するかは分からないが少なくとも後4回は試すことが出来る。
彼女は意を決して命のきのみを食した。ゴクゴクと飲み込まれるきのみの入った飲み物を完食する。
リーサ王女はその線の細さや病弱、虚弱体質からあまり食べ物を上手く消化出来ない。
例え飲み物と言えどそんなに飲めない彼女が飲み干した事に兄キーファと父バーンズ、料理長達はそれだけでも涙した。
「くっ……!? ふぅーっ……!!」
命のきのみ入りの飲み物を飲み干した彼女に変化が訪れた。突然の発汗に彼女は驚き少し体に負荷を感じた。
「リーサっ……!?」
周囲は虚弱体質が悪化したのでは? と騒然としたがそれを当の本人であるリーサが手を挙げて止めた。
「大、丈夫、ですっ……!」
「リーサ! 無理してないか!?」
「突然の事で、体がビックリしただけ、だと思いますっ……! その証拠にほらっ……!!」
リーサの青白く血が通っていない様な白い肌からキーファ達同様に血が駆け巡って少し赤くなっている手を見せた。
命のきのみはリーサ王女の虚弱体質を克服した。その事実に彼女の兄と父が号泣しながら抱き合って喜びを分かち合った。
リーサ王女の突然の発汗は虚弱体質だった彼女に増加した生命力が多過ぎた結果起きた様なものだ。
ゲームで言えばリーサ王女のHPが2〜3しか無かった所がいきなりHP7〜8に増えたみたいな状況だ。
そのあとは詳しい検査の為に女性医師達とマリベルを残して男性陣は彼女の部屋から出ていき玉座へ集まる。
「キーファよっ……!! それに、お前達よっ……!! よくぞやったっ……!!」
涙で顔がぐしゃぐしゃで言葉にもならないバーンズ王は怖かった。
愛しい妃と同じく体が弱いリーサ王女がふとした事で死んでしまいまたあの時の何も出来ない絶望を味わうのかと思った。
「へへっ! でも、親父……今回、リーサへ命のきのみを使おうって提案したのはアレンなんだぜ!」
「アレンよっ……! ありがとうっ……!!」
「気にしないでください、バーンズ王。もう10年近くの付き合いです。知らない仲ではないでしょう?」
「あぁっ……!! そうだなっ……!!」
「念の為にしばらくはマリベルがリーサ王女の側で経過観察すると良いでしょう。
妹弟子ですが、あの子は俺よりも魔法が上手い。急時の際には必ず力になるでしょう」
「他の命のきのみ4つも譲渡します。これは僕達全員の総意です!!」
「ありがとう! ありがとう!!」
玉座で嬉し過ぎて泣き崩れるバーンズ王とその側で手を握り涙を流すキーファ達をそっと空気を読んで城を後にする。
アルスとは城下町で別れて1人酒場に行った。酒場では大体が酒しか出ないけどその雰囲気が好きでアレンはよく行っていた。
酒場からしたら酒も飲まない冷やかしの客と思うだろうがアレンはエスタード島で頑張っている姿がよく目撃される。
何処ぞの飲んだくれとは違い誰も彼もが彼に影響されて仕事を行い、気分が乗った彼と共に酒場には音楽が流れた。
勿論、音楽の旋律はアレン。トゥーラをかき鳴らしてそれに合わせて兵士や商人が歌い、給仕が踊り出す騒ぎだ。
店主はその光景が大好きだった。その光景はお金なんかよりも価値があって気分が良くなり酒が一段と上手くなるからだ。
今日もアレンがトゥーラ片手に酒場に来る。しかし、普段の穏やかな彼とは違い凄く体調が悪そうだった。
その原因はホンダラが自慢気に給仕達に語るホットストーンと言う謎の鉱石を見た時からだ。
彼はホンダラの持つホットストーンを見るなり急に頭に酷い頭痛が走った。
それはまるで今まで忘れた記憶が急激に戻りそうな、そんな感じの頭痛だった。
「ホ、ホンダラ、さんッ……? その、石はっ……??」
「おーう! アレンじゃねぇか〜! ひっく……。これか〜〜?? 触っているだけで、温まる不思議な石なんだぜ〜〜??
ひっく……。凄えだろ? 良いだろ〜〜?? ひっく……。つーか、お前顔色変だぞ〜? こんな所来る前に家で寝てたら〜〜??」
ホンダラに心配されるなんて相当顔色と言うか頭痛が激しい様だ。だけど、それを何としてでも取り返さないとと言う気持ちが強かった。
「それ、売ってくれませんか?」
「えぇ〜? 嫌だよ〜〜?? ひっく……。5000G払われたってやらねえぞ〜〜??」
「……1万G。倍額出します。それを売ってくれませんか?」
「ああ〜〜? お前って意外とお金持ちだっけ〜〜? 5万Gだ〜。払えない額じゃねぇだろ?」
あまりにも調子に乗ったホンダラに遂に酒場の店主や酒を楽しんでいる客と給仕がホンダラにキレた。
「おい、テメェッ……!! 調子に乗るなよ!!」
「お前には酒場の借金があるし、それ以上調子に乗るならここを出禁にしても良いんだぞ?」
「っ!? チッ! それなら1万Gで手を打ってやるよ。こんな不思議なだけの石ころが1万G! 俺ってツイてるぅー!!」
そして、ホンダラから1万Gで交換したホットストーンを胸に抱いて家に帰る。
その暖かさはまるで肉親と思える様なフィル神父達に抱かれた様な安心感と共に頭痛が消えて眠りに着いた。