「オイラ、ガボ! よろしくな、アレン!!」
リーサ王女の宣言から数日が経過して漸く戻ってきたらかと思えば新しい仲間の伝説の白狼が擬人化した存在ガボと出会った。
リーサ王女は座学に関しては申し分がないほど頭が良い。
虚弱体質時代からなんとか存在意義を見出す為に頑張ってきた事もあるが頻繁にキーファから教えられてきた事もあった。
ただ、やはりダンスや外交を含むパーティーでは経験が無いから悪戦苦闘していた。
だけど、そこは大人達がカバーして彼女をサポートしていた。
リーサちゃんの看病役を降ろされたと思えば冒頭に戻る。今度は彼の世話をすることになった。
キーファ達曰く、俺がいない過去の異変で自分達の不甲斐なさを感じたらしい。
異変の探索はダイアラックやウッドパルナの様な小さな場所でも3日は掛かる。
エンゴウの村の様な大きな島はモンスターとの戦闘を考慮して隅々まで探索して手掛かりを探す過程で2週間近く掛かる事もある。
今回の魔人は搦手を交える敵だったらしく俺と言うサポーターのありがたみを感じた。
そして、このままではいけないと思い次の過去への異変は自分達3人でやらせて欲しいと願われた。
無論、俺だって過去の異変を解決する冒険に出たいと思う。だけど、彼等の必死な願いを受け入れた。
「よろしくな、ガボ。それとガボの親御さん? で良いのかな?」
「ガウ!」
「さてと、ガボ君には戦闘よりも人間社会に生きる人間としてやる事を優先的に教えていくからね?」
話に聞けばガボは伝説の白狼の子供か何かが擬人化した存在で人間の生活感がまるで乏しい。
だから、色々と教えた。人間の生活である基本的な生活の数々を。
ガボも獣だった頃には気にしないことも人間は気にする事に少し苛立ちを感じていたが、そこは食事やシスター:リース達の協力もあってなんとか教えられた。
彼は獣だったかもしれないが流石は伝説の白狼とも呼ばれる存在。学習能力はかなり高い様だ。
その為に1週間以上掛かると踏んでいたが2〜3日でほとんどを解決したくらいでちょっとびっくりした。
「それじゃ、日常生活の基礎を教えたから次は戦闘と言うこうか。ガボはどちらかと言えばアルス寄りのアタッカーだね。
縦横無尽に相手に駆け回って撹乱させてから相手を攻撃して、仲間のピンチに駆け寄る感じだよね?」
「うん! そんな感じ!!」
軽く組み手をして実力を測って分かった。ガボは普通に強い。
恐らく闘気を習得している事から戦士として一定の実力はあると思われる。まぁ、扱いが雑なのは仕方ない。
それ以外にも羊飼い的な職業も恐らくはマスターしていて、盗賊にかなりの適正があると見た。
だから、当分は戦士だけではなく武闘家としての技術を上げるために俺と組み手を何度もこなして実力を伸ばす感じから始める様にする。
本当は親狼? みたいにダンジョン盗賊適正が高いからそっちに育てたいが残念ながら教える人がいないからそうしている。
今は最低限の力をマスターする為に特訓の最中だ。なんだかんだで親狼との闘気を用いた連携はしっかりしている。
俺はもう10年近くの付き合いがある鍛冶屋の親方に彼等の装備を作って欲しいと願った。
バーンズ王はリーサ王女の一件で俺達の装備代金は肩代わりしてくれている為にありがたい気持ちで一杯だ。
ガボ達の装備は俺と似た様な軽量化した鎧一式と彼等のサイズに合わせた鉄の爪だ。
俺の様に絡繰を仕掛けない分、強度も増して良い感じなんだがガボは浮かない顔をしていた。
「何か懸念でも?」
「え? あーうー……。鉄の爪、貰えて、嬉しけど、もう1つ、欲しいモノがあって……」
そう言ってガボは過去の異変で使って壊れた木製のブーメランを言っていた。
流石の親方も鉄のブーメランとか無理かと思っていたら、出来るらしく他の装備とは調整もあって少し時間が掛かるらしい。
その間に鉄の爪を使った組み手を更に繰り返して自力を上げる事に専念した。
ガボ達もアレンの闘気操作の滑らかさや属性変化の武技には舌を巻く思いがあり頑張った。
途中、俺だけが相手だと偏ると思い兵士長にお願いしたが逆に属性変化の仕方を教える事で了承を得た。
彼等は武闘大会の日から闘気の属性変化をしてきたがあまり上手く行かなかったらしい。
だから、ガボ達を教えるついでに属性変化のコツを教えることにした。
闘気力の属性変化のコツは自身の適性を考える事から始める。俺の場合は風と氷。
キーファは例外中の例外だ。アレは全ての適性を持って生まれた剣の天才である。それとは比べてはならない。
だから、兵士長達やガボ達の適性を見極める必要がある。それは魔法を受けた時の耐性である。
「この耐性は言うなればヒャドやバギを受けた時にダメージが他の魔法と比べて少ないみたいな場合が起こるアレです。
この少ないダメージ、つまり耐性とは当人の闘気力の属性の適性がその魔法に向いていると言う証拠になります。
俺の場合はバギやヒャド系統の魔法を受けても他の人に比べて大したダメージはありません。こういう感じです」
こう言う耐性から闘気力を自由に扱える兵士長達は属性変化を少しずつ自身にあった適性に変化させるんだと伝えた。
自身の得意な属性変化が出来てから不得意な属性変化をマスターするんだと説明して彼等と訓練を増して行った。
結局、ガボ達はマスター出来なかったが闘気力の操作性がググーンと上がり兵士長は得意なイオ系、副長はギラ系の属性剣をマスターした。
大体、この辺りで3週間が経過した。今回の過去の異変はエンゴウの村くらいには大きな場所らしい。
ボロボロで帰って来た3人を出迎えて過去の異変についてガボ達と合流して話を聞いた。