エデンの来訪者   作:火取閃光

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第21話

 キーファ達が無事に帰って来てお互いに心境を伝え合った。

 

 まず、リーサ王女についてはキーファの行う責務を代わりに受けると彼女自身の口から伝わり、キーファも申し訳なさと嬉しさで顔がぐちゃぐちゃになって喜んでいた。

 

 ガボ達についてはいまだに人間生活に慣れない部分とかが偶に出るだけでなんとか獣の習性などの人間社会に不要な矯正は済んだ。

 

 彼は羊飼い的な職業をマスターしている為かホイミやキアリーなどの呪文も自由に使える。

 

 今後は戦士や武闘家だけではなく僧侶や盗賊方面も鍛えられると知り戦力増強の道標となった。

 

「俺達現代側はこんな感じ。キーファ達過去の異変は結構時間が掛かったけどどんな感じだった?」

 

 キーファ達が言うには人間の愛憎が混じった様な世界で、ただ原因となる魔物を倒せば良いって感じでは無かったらしい。

 

 機械と人間の争いと愛しているが故の憎悪など割り切れない悔しさみたいな物で苦戦したが乗り越えたらしい。

 

 そして、魔物達との戦闘で収集した幾つかの種やきのみの数々。

 

 力の種は前回の2つに加えて新たに4つ。守りの種は2つと新たに5つ。賢さの種は2つと新しく8つ。素早さの種は2つと新しく7つ。そして、命のきのみは3つで不思議なきのみは5つ手に入たそうだ。

 

 今回も采配は俺が無難らしいが珍しくマリベルとアルス、キーファが前回の異変に思うところがあったのか要求した。

 

「僕は命と不思議なきのみ1つずつと守りの種を2つ欲しいんだ」

 

「その思いは?」

 

 普段は気弱で自分の意見を言わないし場の空気を読み過ぎて言えないアルスが目に力を入れて発言した。

 

「僕はみんなとは違い戦闘スタイルがどれも中途半端だから、せめて中衛の役割としてこなせる様にしたいんだ」

 

 彼は戦士と武闘家、僧侶の一体ラインを超えているが突出はしていない。得意の船乗りも完全にはマスター仕切れていないのだ。

 

 だから、自身を中途半端と表現したアルスの自己分析力は正しいと思うのと同時にそれを自ら言えるのは凄いと思った。

 

「良いと思う。でも、それなら力も種も1つは食べる事を勧める」

 

 だからこそ、アドバイスとして力の種を勧めた。突出しているモノがないなら種が余っている分、使うべきだと思った。

 

「っ!? 分かった」

 

 そして、アルスは力の種1つと守りの種2つ、命と不思議なきのみを1つずつ食した。

 

「マリベルはどうする?」

 

「わたしも命と不思議なきのみを1つずつと守りの種と力の種、素早さの種を2つずつ欲しいと思うわ」

 

「今回は一杯だね。何か思うところでも?」

 

 思った以上に数を要求する彼女の表情は苦虫を噛み潰した様な悔しさが滲み出ていた。

 

「……やっぱり魔法の使えない状況じゃ私は無力に等しいと実感しただけよ。だから、最低限の物理攻撃手段が欲しいと思ったのよ」

 

「なるほど……。それなら一層闘気力習得まで戦士をやってみるか、武器術を身に付けるかがオススメかな?」

 

「闘気力に、武器術か……」

 

「鞭では全体攻撃に向いている反面1撃がどうしても弱くなる。その分、杖やナイフを身に付ける事で自衛策に繋がるからアルスの様な中衛がより動きやすくなる」

 

「そうね……。考えてみるわ」

 

 炎の山と呼ばれる過去のエンゴウの火山で拾った聖なるナイフを親方に鍛え直して貰った聖なるナイフ改を彼女に渡す。

 

 片手剣と呼ぶには少し短いが聖なるナイフに比べて長くそれでいて軽いこの武器なら彼女でも扱えると思い渡した。

 

 そして、今度はキーファの選択の番だ。彼も前回の異変で何か思う事があったらしい。

 

「俺は不思議なきのみ1つと賢さの種を2つで良い。賢さは呪文耐性を上げてくれるみたいらしい。異変の戦士長が言っていた。

 

 不思議なきのみは後少しでミラクルソードや微睡斬りが掴めそうな感じがするんだ」

 

「分かった。そういうことなら持っていけ。戦力増強は俺達としても嬉しいからな」

 

「ありがとう」

 

 そして、彼は種を食べる。ミラクルソード系はどうしても魔力操作や魔力感知の魔法的要素が剣技に絡んでくる。

 

 魔法を武器に纏わせる魔法剣に近い性質を闘気力で再現した武技がミラクルソードや微睡斬りなのだ。

 

「そして、残った賢さの種は4つずつガボ親子に全て与えたいと思う。それに加えて親狼の方には素早さの種を3つ、ガボには守りと素早さと不思議なきのみを1つずつ与えたい

 

 この3週間以上ガボ親子と関わって方が人並み以上の学習能力を有していることがわかった。

 

 それを踏まえてキーファの言う呪文耐性が本当ならより使うべきだと考えた。

 

 親狼はガボのサポートの為に素早さを上げて、ガボはアタッカーよりもアルスと同じ遊撃に回す事を考えて防御力や素早さ魔法力を上げた方が良いと思った」

 

「まぁ、現状アタッカーは俺とアレンでなんとかなるからなと思う」

 

「遊撃型中衛の2人は流石に厚すぎるんじゃない?」

 

「流石に僕だけじゃどうしようもない時もあるから助かるよ」

 

 実質2.5枚の壁はやり過ぎだと思うマリベルだったが敵は正面だけではない。

 

 全体をカバー出来る様になれば前衛の安心感は段違いになると良いアルスは賛成した。

 

「オイラ達も協力するぞー!」

 

「ガウ!!」

 

 そして、彼等は賢さの種達を食べた。多分、こう言う呪文耐性が属性武技に足りない要素だったのだろうと思った。

 

 そして、最後は俺の強化である。前回は魔物の強さとかから保留にしていたがキーファ達の様子を見るに上げた方が良いと判断した。

 

「俺も流石に戦力を上げておきたい。力の種と素早さの種2つずつ、不思議なきのみを貰いたい。命のきのみや残りは保留で頼む」

 

「その理由を聞いても良い?」

 

「やはり命のきのみは有事の際に残しておきたいと言う事と他の種も特にガボ達みたいな新規が来ることで戦術が変化する可能性を考慮したい。

 

 俺の場合はアタッカーでもあるがアルスたち以上に中途半端で前中衛後全てに対応で出来る強みがある。

 

 その分キーファみたいにはアタッカーとしての部分が少し物足りない部分が出てきているからこの配分にした」

 

「それで良くないか?」

 

「私も異議ないわ」

 

 アルス達もキーファ達の意見に賛同して力の種と素早さの種を食した。

 

 力の種は闘気が更に増して、素早さの種は筋力を落とさずに軽くなった気がする感覚だ。

 

 種の消費をした俺達と言うかキーファ達は疲労の為に1週間近く休養を取った。

 

 その間にも俺とガボ達は訓練に勤しんだ。そして、キーファ達が正した機械の国フォロッドにはバーンズ王達と向かうのであった。

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