機械の国へ船で旅立つ。今回から、王族の責務がキーファからリーサになった事でキーファはお役御免の冒険者枠になっていた。
機械の国ではエスタード島ではみないロボットが発展していて微かな記憶にあったルンバを思い出した。
そして、過去の異変に深く関わった北東の研究所、今で言う禁忌の土地では過去の異変にあったカラクリ兵事件などを解決して船乗り達も歓迎の宴に下を打った。
前回の異変でもそうだったがこうも距離が長いとテントとかで野宿する事が多くなるのかも知らないと思い馬車の購入を決意した。
幸い、ガボの時に現代から過去、過去から現代への移動は可能らしい上に謎の神殿は無駄に広い。
あの管理者を自称する妖精もきっと暇でしかない筈だ。馬車が必要ない時は彼? に世話をしてもらおうと考えていると甲板に意味深な謎の霧が発生した。
キーファやマリベル、アルス達もそれに気が付いたのか外へ出て、俺はガボ親子を連れ出した。
船から降りてフォロッドの大地に立ち警戒心を抱いているとそこには今までに見たことがないほど大きな塔が出現した。
「な、なにぃっ……!?」
「こんな塔、さっきまでなかったわよねっ……!?」
驚愕するキーファと自身の不注意を確認するマリベル。
「みんな、幻覚に注意!!」
「いや、あれは実物っ……!?」
こんなあり得ない状況にマヌーサの様な幻覚を見せられているとアルスは注意されているが、俺の直感があれは実物であると言っていた。
「誰かいるぞー!!」
「ガウ!!」
霧の影に2人の青年の姿が映し出される。しかし、その内の1人には身に覚えがあった。
「っ!? まさか、その顔立ちっ……!? 君はグレンなのかっ……!?」
「と言う事はつまり横にいる人物はっ……!?」
「みなさん、ご無沙汰しています。エンゴウではお世話になりました。グレンです」
「私は大賢者カダルを継し者・ベゼルと言う。弟子のグレンから話は聞いている。世話になったな」
あのアルスよりも線が細く幼かったグレンはまるで数年経ったみたいに筋肉質の長身へと成長してキーファと同年代に様変わりしていた。
そして、グレンが師匠と仰ぐ大賢者ベゼルと言う人物は見ただけで分かる。今の俺達では叶わないくらいの実力差を感じた。
「ほう……。君達は分かるのかね? 流石、魔王オルゴ・デミーラから封印されし島々を解放した選ばれ者達だ。
この塔は蜃気楼の塔と言ってな? 大賢者カダルが住まう魔法の塔であり今の時代にあって、ここにない不思議な塔と覚えてもらえれば良い。
この塔の中では時間が歪んでいてな? グレンを見てもらえれば分かるが遥か過去の時代に生きた人物がいまだに生きている。
現代では2〜3日程度の時間で塔の中では6ヶ月も修行が出来る。お前達、ここで修行をして行かないか?」
大賢者カダルもといベゼルの提案は破格だった。俺達もそこそこの実力はあるが魔王と戦うには心許ないと思っていたところだった。
「こう言うの……実技試験とかって無いのですか?」
「最初はドラゴラムと言うドラゴンに変身する魔法で襲撃してから考える予定だったが気が変わった。
過去の異変を正して伸び切った鼻をへし折ろうと思っていたが全員自身の課題に向き合った良い目をしている。合格だ」
悪戯顔でニシシッと笑うベゼルの表情にふうーっと肩の力が抜ける様に脱力して武装を解除した。
ドラゴラム。微かに残る転生者知識でもモシャス系統変身魔法で全ての魔力を犠牲に滅茶苦茶強いドラゴンになると呼ばれる伝説の魔法。
一度このパーティで戦ってみたいと言う気持ちはあるが肌で感じるベゼルの人とは思えない魔力量に少し恐怖した。
魔力感知が俺よりも高いマリベルなんかは顔が青くなり座り込んでいる。それだけ実力差があるのだ。
「さて、最初の質問に戻るが蜃気楼の塔で修行するか? それともしないのか? どっちにするんだ?」
大賢者ベゼルの質問に全員で目を合わせる。こんなチャンスは滅多に無いと思い全員の心は一つになる。
「ぜひ、大賢者ベゼル様の元で修行をさせてください。俺達はもっと、もーっと強くなりたいんです!!」
「それが答えか。ならば迎えよう! 選ばれ者達よ!!」
フォロッドの儀典は1〜2週間は続く上にその間船乗り達は宴でそれどころではない。
2〜3日で6ヶ月の修行が出来る空間にワクワクしながら俺達は歩みを進めたのだった。