エデンの来訪者   作:火取閃光

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第30話

「さてと……。キーファ、お前はこっちで何をしに?」

 

「それはお前もだろ? 多分、俺もお前と同じ理由だと思うぜ? リンダさん達の問題解決に動くんだろ? 手伝わせろ」

 

「っ!? ったく……。お前は察しが良すぎんだよ……」

 

「お前は何も言わなすぎるんだよ……。話に聞くぺぺさんかよ……。俺を頼れって」

 

「……ありがとう。そうさせて貰うよ」

 

「おう!」

 

 そして、俺達は不思議な神殿を出てグランエスタード城へルーラした。俺は自身の貯金がある銀行へ行き、キーファは王達がいる部屋へと向かって馬車やその他諸々なら手配を申請した。

 

 俺達が現代でやろうとしている事はキーファの言う通りリンダ達の関係を壊す事だ。これは俺達の唯の自己満足だ。

 

 だから、リンダの借金は俺の貯金から肩代わりをする。どうせ、武器や防具代にも使わずに銀行に眠っているだけのお金だ。

 

 それなら、人の事の為に使われた方がきっと良い筈だ。それに、これはぺぺと言うハーブ栽培職人への投資だと思っている。

 

 それは、キーファがバーンズ王やリーサちゃん達へ型落ちした馬車の譲渡を申請した事に繋がる。

 

 マチルダの墓やパミラの伝言の様に過去を変えた影響が現代に残る場合が多い。それを加味するとぺぺのハーブ技術が後々になって俺達の未来を良くする可能性があるのだ。

 

 特にぺぺのハーブ栽培技術は天才職人の領域だ。彼の代から脈々と継承して発展させる事が出来ればその影響はかなり大きい。ただ、これは賭けである。絶対にそうなるとは限らない。

 

 特に人間の心は時として相手の期待を裏切る事が往往にしてよくある話だ。更に子孫となれば祖先の恩を仇で返す事なんてザラにある。それに加えてぺぺとリンダにはイワンとの確執もある。

 

 グリンフレークをぺぺとリンダが継承する事は先ずあり得ない。あの街はボルックさんの家が所有している。彼も街の為とは言えど愛しい息子を切り捨てる選択をするとは考え難い。

 

 だからこそ、リンダさんの問題を解決するにはぺぺの家族諸共グリンフレークを出て、あの街の外に一から新たな村や街を築いて行く必要がある。

 

 そして、その土地がまだ見つかっていない事やその場所がハーブ栽培に適しているとも限らない問題点もある。だから、賭けなんだ。

 

 キーファはその問題点を含んだ上で、大臣達に型落ちの馬車や物資の融資をプレゼンテーションする事を頼んだ。その際にぺぺのハーブの一部を拝借して行っている。

 

 バーンズ王や大臣も馬鹿では無い。彼のハーブの質は賭けるに相応しい程の出来栄えなのだ。現代に彼等を連れて行く事も考えたが、それはあえて避ける事にした。

 

 キーファが過去に残る場合があると言う暗黙の了解がある以上、彼の身に何かあった時の万が一の為にその可能性は残しておきたいのだ。

 

「アレン! 朗報だぜ! 一部だけど親父達から融資を受けられたぜ! 直ぐに準備するってさ!!」

 

「そうかっ……!! ありがとう、キーファ。流石に俺だけじゃ、そこまでは無理だった。お前のお陰で何とかなりそうだよ」

 

「そっか……。お前の方はどれだけ下ろしたんだ?」

 

「ざっと12万Gだな。ほぼ全財産だ」

 

「12万……? 確かリンダさんの残りの借金は7万Gだった筈じゃ……??」

 

「使わないに越した事はないけどな……。多分、7万も正確じゃない。彼女の叔父さんが商人であって、彼女との関係が良好である事を加味して少し借金額が減っているとは思う」

 

 7万Gと言う借金は彼女が幼い頃の時の話である。リンダの両親がいつ亡くなったのか? は不明だけど彼女の様子からして数年は経っているだろう。

 

「だとしたらもっと何故……?」

 

 キーファはアレンの行動に対して疑問を抱いていた。借金額が7万Gよりも低いなら12万Gも必要ないのでは? と言う疑問を視線で投げ掛けた。

 

「そうは言っても稼ぎ頭のぺぺさんや婚約関係のリンダさんが街から居なくなる事をイワンやグリンフレークの人達は納得しないだろ? だから、借金に上乗せして支払って納得させる。

 

 それに、ぺぺさんは話に聞く限りかなりの頑固者だ。話し合いで上手くいくとは思えない。その辺り、キーファやボルックさんに一芝居を打ってもらって何とかするさ。

 

 それでもかなりの金額が残るとは思う。だから、残ったお金は彼等の投資にする予定さ。村や街を新たに作るにはそれだけお金が必要だしな……」

 

「そう言う事かっ…….! お前って、相変わらずだな……」

 

「いや、そうでもない。今回は話に聞くぺぺさんが、お前が言う様に俺と似ているから判断が付いた。そうじゃなきゃ説得も無駄に終わっていただろうからな……」

 

「っ!? へへっ……。おう! 芝居は任せておけ!」

 

 そして、過去のエンゴウの村へ行ってパミラから薬を貰ってきたマリベル達と合流して、俺達の作戦を伝えた。彼女達は驚きながらもとても呆れた様子だった。

 

「全く……。2人してそんな事を考えていたの……?」

 

「マリベルの言う通りだよ!! 何で最初っから言わなかったんだよ!! 水臭いじゃないか!!」

 

「オイラ達は仲間だぞ! キーファ、アレン!!」

 

「ガウッ!!」

 

「ハハッ! だな!」

 

「ごめん……。そして、ありがとう」

 

「まぁ、良いわ。今回は恨まれ役になってあげるわ。どうせ、過去のあの街にはもういく事は無いだろうからね」

 

「あぁ、そうだな……。今回限りで終わらせよう」

 

 俺達の馬車を神殿の妖精に預けてから、キーファが交渉で勝ち取った偽装荷馬車と共に再び過去のグリンフレークへと向かったのだった。

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