エデンの来訪者   作:火取閃光

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第37話

 割と長い休暇を経た俺達は今日から冒険を再開する。

 

 グリンフレークの異変を解決しに出発してから5ヶ月も経過するとリーサ王女の体質が、より良くなっているのが見て分かった。

 

 今までは改善しても食べられる量に限りがあり、細過ぎていた見た目が少しずつ肉付きが良くなって年相応の女性に近付き始めていた。

 

 つまり、女の子から少しずつ女性になり始めたのだ。キーファやバーンズ王が言うには亡き王妃様にそっくりらしい。

 

 リーサ王女もダンスや音楽なども積極的に行っている為か、前よりも体力が付いて日に日に活動時間が増えていた。

 

 今ではフィル神父から僧侶としての修行も行っているらしく、その姿を見てキーファが少しだけ嬉しそうで寂しそうな表情を浮かべていた。

 

 そんな日々を経て新しく石板を完成して過去の異変へと転移する。相変わらず空は暗すぎる上に、毎度の事だけど変な場所に旅の扉が開かれた。

 

「さてと、過去の異変がありそうな場所を見つける為に探索を開始するか」

 

「今回はドロドロな人間関係じゃない事を祈るよ。もう金ないしさ……」

 

「まぁ、でも命懸けの戦闘よりはマシじゃない?」

 

「確かに言えてる」

 

「みんな、気を締めて行くぞー!」

 

「ガウッ!」

 

 今回はしばらく散策する羽目になった。馬車道も所々消えている為かこの暗闇の空間で何度か迷子になったりした。

 

 そんな中を少しずつ進んでいると森の中に灯りが見えてきた。どうも焚き火って灯りではなく集落くらいの規模の様だ。

 

「こんばんは。夜分遅くに申し訳ない。旅をしている者ですが……」

 

 集落に入ると俺達がとても珍しいのか、それとも警戒心が強いのか、或いは両方なのかジロジロと視線を向けた。

 

 彼等の装いを見るにどこかの民族の様な人達だ。更に特徴的な所は彼等は音楽を嗜んでいるのか、所々に打楽器やトゥーラが置いてある。

 

 奏でられているトゥーラの音楽を俺達は知らなかった。割と旅先で聞いていたりしている筈だった。

 

 それなのにこの楽譜は聞いた事がないほど美しく、それでいて優しさと慈しみ滲み出る様な音に心を奪われていた。

 

「おぉ……! 旅人達が我等ユバールの民の元へ来るなんて久方ぶりじゃ……。

 

 ようこそ、旅人達よ。我等ユバールの民はソナタ達を歓迎する。どうかゆっくりとなされると良い」

 

 民族の族長と思われるご老人がテントの中から出て来る。そして、俺達の姿を見ると本当に珍しそうな表情で驚いていた。

 

「ありがとうございます。それにしてもユバールの民ですか……。無知な故に貴方達がどの様な民族かを俺達は存じ上げていません。

 

 貴方達が許すのであれば、よろしければ俺達にご教授のほどをお願いしてもよろしいですか?」

 

 そうするとユバールの族長はビバ・グレイプと言う真っ赤な葡萄の様な飲み物を渡して説明をしてくれた。

 

 族長の話に寄ればユバールの民は、巫女の様な役割を持つ音楽と踊りの移民族だった。

 

 どうやらこの世界は一度魔王オルゴ・デミーラによって神様が敗北したらしい。

 

 深手を負った神は、休息のために世界の何処かで封印と言う形で眠っているそうだ。

 

 魔王オルゴ・デミーラの存在は大賢者カダルによって知っていたが、まさか神が敗北していたなんて梅雨知らずで気分は青天の霹靂だった。

 

 前々から少しおかしいと思っていた世界だったが、まさか神様がいて尚且つ敗北済みだった事に不思議と違和感がなかった。

 

 そう、何故か違和感を感じなかったのだ。まるで俺はそれを知っていて忘れてしまっていた事を思い出した様な感覚を感じた。

 

 そして、そんな神の封印と言う眠りを目覚めさせる事を使命として引き継がれて来た人達が、ユバールの民と言う衝撃的な事実にキーファ達は放心していた。

 

「そんな凄い人達だったとは……。しかし、族長殿。こんな大事な事を会ったばかりの俺達に話してよろしかったのですか?」

 

「そうよ。危機管理が足りないんじゃないかしら?」

 

「ちょっ……!? マリベルッ……!?」

 

「ホッホッホ。安心しなさい。精霊様に祝福された者がその様な悪行をする訳がないとワシは思ったのじゃ」

 

「……何のことでしょうか?」

 

「惚けなくても良い。しかし、まさか2人も祝福を受けた者達に出会えるとは……。これが神の思し召しと言う訳じゃな……」

 

「気が付いていましたか……」

 

「ちなみに、何で僕達がそうだと分かったのですか?」

 

「我等ユバールの民にも稀に祝福を受けし者が生まれるからじゃ。それに加えて我等の直感とも言うべきか、何となくお主達が普通とは違うと感じたからじゃ」

 

「正解です。俺は風の精霊の聖刻を持ちます」

 

「僕は水の精霊の聖刻を持ってます」

 

「ほぉっ……!? 風と水の精霊様の祝福とはっ……!? 長く生きて見るモノじゃな。

 

 確かにその肩と腕にある紋様は精霊様の祝福の痕じゃ。ユバールの民達よ! この者達は精霊様の祝福を受けた者達じゃ。目一杯彼等を歓迎しようぞ」

 

 族長の掛け声に遠目から警戒していたユバール民達から次々と歓迎を受けた。食事や飲み物、音楽や踊りなど受けて休息を楽しんだ。

 

 そんな時に先ほどの族長が出て来た大きなテントから音楽が止むと多くの人達が出て来た。

 

 族長と同年代くらいの老婆に恵まれた体躯の武人、俺達くらいの年代の男性と女性のペアだった。

 

 特に2人の青年の内、男性の方はトゥーラを持っていて女性の方は身なりから踊り子の様な格好だった。

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