騒ぎは夜中まで行われて次第に眠くなったアレン達はジャンに連れられてテントは入り休ませてもらった。その次の日の朝だった。
「モンスターだっ……!!」
「全員起きろー! モンスターの襲撃だ!!」
テントの外からユバール族の悲鳴が聞こえた。アレン達は直ぐに意識を覚醒すると側にある武器を片手に急いで外に出た。
「っ!? アレンッ!!」
「あぁ、分かっている! ガボは戦えない女子供や老人達をテントに避難させろ!!」
「了解だぞ!」
「アルスはガボのサポート!」
「任せて!」
ユバール族のテントを襲うモンスターは幸いな事にそれほど強くはないがかなりの数がいて乱戦中だった。
そんな中で周囲を見渡すとベレッタや族長、ジャンを守っているマリベルの姿を発見した。
「マリベルッ!」
「アタシは良いから! 他を頼んだ!」
「了解!」
「なぁ、ジャンさん! ライラはっ……!?」
「分からないっ……! 探しているけど見つからないんだっ!?」
「っ!? クソッ!!」
今、確認出来ていないのは踊り手のライラと彼女の父であり守り手のダーツに加えてユバール族の子供だった。
昨夜心を通わせたライラが心配であるキーファだったが、深呼吸と共に先ずは周囲のモンスター達を倒す事に専念してアレン達と共に迎撃を行った。
そんな時、ガボ達の避難誘導を受けていた子供の声がモンスターの襲撃を掻い潜って響き渡った。
「ライラお姉ちゃんは西へ逃げた子を追って休息地を出たんだ! ダーツおじちゃんが向かっている!!」
「っ!? 分かった!」
「後は俺達に任せろ!」
「マリベル!」
「分かっているから先に行って!」
「ここは僕達が守るよ!」
「ガボッ!!」
「ライラの事は任せましたぞ!」
休息地にいるモンスターはまだまだ数が多いがキーファ達の迎撃である程度落ち着きを取り戻したジャンが、聖水と同様の効果がある退魔の調べを奏でた事で長老達の守りを固めたのだった。
休息地を出て西へ向かうアレンとキーファ。西へ道なりに進みながら集落へ向かうモンスターを撃滅する。
蜃気楼の塔で似た様なシュチュエーションで鍛えた2人は阿吽の呼吸でモンスターを倒して進む。
アレンが足止めを兼ねたヒャダルコで広範囲にモンスターを凍り付けて、倒せなかった奴等をキーファが剣技で仕留める。
この場所は森林が生い茂る道であるが故に燃えてしまうメラ系やギラ系、イオ系を控えて、比較的に巻き込みやすいバギ系を避けた結果の消去法でアレンはヒャド系を使っっていた。
そして、少し進んだ森の中で岩壁に追い込まれライラと少年を背に傷だらけのダーツが、今にも崩れ落ちそうになる体を気力だけで持ち堪えている姿が見えた。
「っ!? アレンッ!!」
「分かっている! 背中は任せろ!!」
アレンの声を聞いたキーファは足に力を入れると弾けた様にダーツ達を襲うモンスター目掛けて
それだけで沢山いたモンスター達は呆気なく倒されてしまいダーツ達は目を見開いて驚いていた。
「後は俺達に任せて下さい」
「直ぐに終わらせます」
そこからは圧巻の戦い振りだった。
長年ユバール族の守り手を務めていたダーツだけではなく、父から自衛として剣技を習っているライラですら言葉を無くす程に圧倒的な武技と呪文によってモンスターの軍勢は全滅したのだった。
「ふぅ……。ようやく片付いたな……。アレン、ダーツさんやライラ達の容体は?」
「ライラさんと少年の方は幾つか怪我はあったけど、どれも擦り傷や捻挫などの軽傷だったから既に
でも、ダーツさんは切り傷や骨折など重症だった上に幾つか毒や麻痺を受けていたから治療したとは言え今すぐ療養が必要だ」
「分かった。ダーツさん、俺が背負いますので無理せず」
「あぁ、いや……。すまない……」
「困った時はお互い様ですよ。特にこう言う時こそです」
「そう、だな……。ありがとう……」
「いえいえ、どういたしまして」
戦闘後と言うのに疲れた表情を見せずに力強い笑みを浮かべるキーファを見て、背負われたダーツは安堵した様に気を失った。
ホイミ系で失った血液が戻ったとは言え肉体や精神的な疲労感、貧血などの症状はどうしても残ってしまう。
特に彼の場合は瀕死の状態に加えて複数の毒や麻痺なども受けていたので、その疲労感はかなりだった。
ダーツを背負ったキーファは死の恐怖で体が震えて腰が抜けたライラを支え安堵させる様に気を紛らさせた。
その間、助かった事で安堵して気を失った少年はアレンが背負いつつ、周囲を警戒してユバール族の休息地まで護衛したのだった。
キーファ達の帰還にユバール族の民は3人の無事に安堵と感謝を込めて彼等を出迎えた。
そして、気を失っていた少年が目を覚ますとまるで物語に出てくる様な勇者を見た様にして、キーファ達の活躍を興奮しながらか話していた。
彼等もまた休息地で安心感を感じさせながら守ってくれたアルスやマリベル、ガボ達の活躍も相まってとても興奮していたのだった。