特に18話のダイアラックと移民の町に関しては自分でもかなり放置していましたので、独自設定と共にかなり文字を追加しましたのでご了承の程よろしくお願いします。
また、それに合わせて27話も追加しましたので今後はそれを踏まえた上で話が進みますのでご了承下さい。
海の見える丘でキーファの離別を聞いたアレン達は休息地にある自身の寝床に就いたが、それからも少し眠れず気が付けば眠ったのはかなり経ってからだった。
「起きなさいよ! いつまで寝ているのよ、アンタ達!!」
「アルス! アレン! 寝坊だぞー!!」
「ガウッ!!」
マリベル達の呆れを含んだ大きな怒鳴り声で目が覚めたアレン達だったがその表情はとても酷い。
「全くもう……! あのいつも寝坊助なキーファが早起きしているのにアンタ達が寝坊してどうすんのよ!
まぁ、アイツはどうせライラさんに惚れただの言って彼女の元に行ったとかだろうけど!!」
「その、あの……」
「……ごめん」
「な、なによ……。そんなに落ち込まなくても良いじゃ無い。それよりも、昨日の夜キーファと話し込んでいたみたいだけど?」
「それは……」
言い淀むアレンの様子を見て訝しむ様に首を傾げるマリベルだったが、その時テントの外では少し騒然としていてアレン達は急いで向かった。
そこに居たのは族長やベレッタ、ライラ達が見守る中でキーファとダーツが激しく戦っていた。
これはユバール族の伝統である守り手の儀式。現守り手のダーツから実力を認められる事で晴れて新たな守り手になれる試練であった。
「でやぁー! とりゃー!!」
「ぐっ……!?」
激しい攻防ではあったが防戦一方であったダーツと比べてキーファには余力があり、彼の攻撃によってダーツの剣が弾き飛ばされたのだった。
「……う〜む、分かってはいた事だが流石に良い腕をしておられる。いやはや、終始圧倒されました! 参りました!!」
「いえ、ダーツさん。ユバール族を1人で守護して来た貴方の腕も流石でした」
膝を地面につき滝の様な汗を流したダーツ。対してキーファは涼しげな笑みで近付き彼に手を伸ばしたのだった。
何が何だか分からず事情が飲み込めないマリベルとガボを他所に、事前に聞いていたアレンとアルスは泣きそうになるのをグッと堪えた。
「さて、族長様。これで、俺を守り手として認めて貰えますね?」
「うむ、勿論ですぞ。寧ろこちらからお願いしたいくらいじゃ。さぁ、キーファ殿、それにアレン殿達もこちらへどうぞ」
ユバールの族長が手を差し出す場所にアレン達は歩みを進める。マリベル達は戸惑いながらも、キーファがどう言う選択をしたのか頭では理解しつつも信じたく無い表情だった。
「皆の者! ここに逞しく、頼もしい若き守り手が誕生した! 我等ユバール族の新たな同胞となるキーファ殿!
そして、我等を神の祭壇へと導いて下さった勇敢なるアレン殿達! その勇気と感謝の意を捧げようぞ!!」
族長の言葉に合わせてユバールの民はそれぞれが想いの全てを込めて歌と音をを奏でた。
キーファが守り手の儀式を願い出た時に族長やベレッタを初めとしたユバールの民達には、自分達が時渡りの旅の扉を使い
そして、時渡りの旅の扉は精霊の紋章をその身に宿したアレンとアルスが居てこそ、初めて過去へ移動する事が可能な代物だと伝えた。
一度、過去のエンゴウから虹の聖水をホンダラから買った時にアレンとアルスの2人だけで現代に向かった事があるが、アレはエンゴウの異変が解決する前だったから出来た話である。
それはキーファの想像ではあったが同時に真理でもあった。精霊と共に歩む彼等だからこそ、アレン達の過酷な旅とキーファの決意に感謝していたのだった。
「ちょ、ちょっと……!? 一体、これはどう言う事なのよ!? 説明しなさい、キーファ!!」
「オ、オイラも、分からないぞ……。キーファは、オイラ達を嫌いになったのか……?」
「いいや、違うさ。俺はガボ達を嫌いになんかなっていない。マリベル、勝手に決めて悪いとは思う。
俺がお前達と旅をするのはここまでだ。俺は、ユバール族と共にこの時代に残る」
「な、なにを、急に言っているのよ……!? ねぇ! 冗談はやめてよね!?」
「オイラ、キーファと別れたく無いぞ……! 別れ、たく……!!」
マリベルとガボの悲痛な叫びが響き渡ると歌や音を奏でるユバールの民達も涙を流した。
アルスは別れの悲しみを理解したく無いと泣くガボをそっと抱きしめて背中を摩った。彼もまた悲しみをグッと堪えていた。
「……マリベル、キーファが一生懸命考えた末に出した答えなんだ。それなら、俺達は……。っ!?」
突然の別れの言葉に涙が止まらないマリベルをアレンが慰めようとした瞬間、甲高い音と共に彼の頬に鈍い痛みが広がった。彼はマリベルにビンタされたのだった。
「アンタの……! アンタの! そう言う何もかもを受け入れていたみたいな顔がずっと嫌いだったのよ!
キーファはずっとアタシ達と居た仲間であり友達でしょ!! そんな簡単に受け入れられる訳なんて、どうかしているわ!!」
涙を流して怒鳴り込むマリベルはハッとした表情でアレンを見て、居た堪れなくなり1人休息地から走り去った。
「っ!? マリベルッ……!」
「よせ、キーファ……」
「っ!? でも……!」
モンスターを殲滅したからこの辺りにはもう出てこないだろうが、あの状態のマリベルを1人には出来ないと思ったキーファの肩をアレンは掴み止めた。
「この場合は、マリベルが正しいのだろうな……。少しだけ、俺達とは時間を置こう。ライラさん」
「っ!? な、なにかしら……?」
「マリベルの、側に居てくれませんか? 歳の近い女性同士の方が、きっと彼女にとっても良い筈です……」
「……えぇ、分かったわ。それと、ごめんなさい……」
「……気にしないで下さい。マリベルの事をよろしくお願いします」
赤く腫れた頬を摩りながらアレンはライラに向けて頭を下げたのを見て、彼女は急ぎマリベルの元へと走って行った。