エデンの来訪者   作:火取閃光

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第55話

 魔王像の最上階へ辿り着くと蜥蜴人(リザードマン)系の紫色のモンスターが下衆な笑みを浮かべながら傷だらけのハディートを痛ぶっていたのだった。

 

「残念だなぁ。もう少しで闇のルビーを外してこの砂漠を救える処だったのにな……。

 

 んん? 今日はやけに反抗する者が多いな……。もしや、先程からの騒動はお前達が原因なのか?

 

 クッハッハッハ! 力の差も分からぬ馬鹿どもめ! このセトがお前達の相手をしてやろうかっ……!!」

 

「アレン達、気を付けろっ……! コイツは見た目以上に魔王像の力で強化されているっ……!!」

 

「っ!? 了解ですっ……!」

 

「マリベルはハディートさんの回復! 僕は2人を守るからガボとアレン達はセトを攻撃!!」

 

「任せなさい!」

 

「分かったぞー!」

 

「ガウッ!!」

 

「行くぞ、みんな!!」

 

 セトと名乗ったリザードマンはその翼故に空を舞う事が可能だったが、そこは同じく空中戦が出来るアレンが風を開放して地面に叩き落としながらガボ達と協力して戦った。

 

 しかし、このセトと言うモンスターはこれまで戦ったモンスター達よりも明らかに強過ぎる。

 

 それは数ヶ月の間、大賢者の元で修行したアレン達聖戦士が全力で戦っているのにも関わらずダメージを与えられずにいたのだ。

 

「クッハッハッハ!! これは驚いたぞ!! まさか、風の精霊の守り人がこんな場所に居るとはなっ……!!

 

 だがしかし、好都合!! これでお前を殺せば、この世界の希望は潰えて完全なる闇がこの世を支配する!!」

 

「そんな事をさせる訳には行かないっ……!!」

 

「アルス! こっちはもう大丈夫よ、行って!!」

 

「っ!? うん!!」

 

「アルス、出し惜しみは無しだ!! 行くぞ!!」

 

「「共振」」

 

 アレン達の中に眠る風と水の精霊達の力が解放され、お互いに影響し合う事で更なる力の増幅を行った。

 

 お互いの腕と背中に完全となった精霊の紋章が浮かび上がり、多少だけどそれぞれの属性を使える様になっていた。

 

 アレンはセトが放つ火炎に対して、アルスが持つ水の紋章から力を得て水の守りを使って炎を打ち消した。

 

 アルスはアレンが持つ風の精霊から力を得て、自身の剣に風を纏いバギクロスの如き斬撃でセトを攻撃していた。

 

「っ!? ぬぅっ……!? 水の精霊の守り人までも居たのかっ……!? だが、魔王像によって得られた我が力の前にひれ伏すが良いわっ……!!」

 

 セトにダメージを与えるアレンとアルスをサポートする様に呪いの斬撃を放つガボ。彼が放つ剣王震空呀は簡単には癒えない傷を付与する呪い斬撃である。

 

 それは魔王像の加護を受けたセトですら回復阻害を受ける程の呪いであり、アレンやアルスの攻撃を捌きながら行うには鬱陶しく思うほどだった。

 

 そして、ガボの斬撃がセトの片翼を切断するになり屈辱に燃えるセトは燃え盛る火炎の息吹でガボに狙いを定めたが、アルスの水の力で防ぎ切られる一進一退の攻防。

 

 精霊の力をその身に宿すアレン達の攻撃にセトは思った以上のダメージを受けつつも、魔王像の加護で得た力はまだまだ健在だった。

 

 あと一歩。あと一歩足りない状況だった。共振は爆発的に強大な力を増幅される代わりに魔力やスタミナの消費がとても激しい。

 

 このまま行けばジリ貧でアレン達が負けるのは必定とも呼べる状況に、ハディートを回復させたマリベルはある決断をした。

 

「ハディートさん、ある程度は回復し終えたわ」

 

「あ、あぁ……。すまない、先走ったのに足手纏いになってしまって……」

 

「そんな事は後にして。アタシはこれから大魔法の準備をするわ。その間、集中するからアタシを守ってちょうだい」

 

「っ!? 勿論だ! 絶対に守ってみせる!!」

 

「ふふっ。頼りにしているわ。アレン!!」

 

「っ!?」

 

「アレを使うわ! アタシに合わせて!!」

 

「了解した!!」

 

 マリベルの緊張により強張った様な表情をしつつも、無理に作った不敵な笑みを見てアレンは気合を入れ直して猛攻を続けた。

 

 マリベルの行う大魔法とは蜃気楼の塔での修行の末に身に付けた歴代賢王達が編み出した秘技とも呼べる魔法である。

 

 中級呪文は既にマスターしているが最上級呪文となるとまだ成功率は50%くらいだけど、ここでやらなければ未来はないと覚悟を決めて集中力を高めた。

 

「右手からバギクロス。左手からマヒャド……! 合体!! 氷刃嵐舞マヒアロス!!」

 

 マリベルから感じた強大な魔力によそ見をしたセトにアレンは追撃して隙を作った。

 

 その隙を見逃さなかったマリベルは風を纏った無数の氷刃を撃ち放つが如く、バギクロスとマヒャドを合体して威力を増幅させた新たな大魔法マヒアロスをセトに放ったのだった。

 

「グッ、グガァオォォォーーッ!? バ、馬鹿なっ……!? 合体魔法、だとっ……!? あ、あり得ないっ!? まさか、異なる呪文同士を掛け合わせた、とでも言うのかっ……!?」

 

「ふふっ。そんなに信じられないかしら? それなら、もう1発受けてみれば良いんじゃない?

 

 右手からイオナズン。左手からバギクロス……! 合体!! 爆裂旋風イオナロス!!」

 

 合体魔法によって激しく動揺したセトに対してマリベルは無数の大爆風とも呼べる一撃を放ち痛恨の一撃を与えた。

 

 これには魔王像の加護を受けたセトとは言え堪らず地面に膝を付いて、受けたダメージを隠す余力は無かったのだった。

 

 マリベルはあの大賢者ベゼルが次代賢王の後継者に選びたいと本気で思った逸材であり愛弟子だった。その実力が今、解禁されたのだった。




いや〜書きたかった合体魔法が書けて嬉しいです。
藤原カムイ先生の作品を出すなら合体魔法は欠かせませんので、どのタイミングで出そうか迷った結果ここにしました。

独自設定でセトが超強力になっていますが、魔王像の力って多分これくらいはあるんじゃね?と思ったのでそうしました。
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