エデンの来訪者   作:火取閃光

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第56話

 マリベルの合体魔法によって戦況は格段と変化した。しかし、それでも魔王像の加護を受けたセトは強く、戦況が長引いた事で自然とアレン達の共振も解かれてしまった。

 

「っ!? グッ……!?」

 

「しまっ……!?」

 

 セトの拳をモロに受けたアレンが吹き飛ばされ、アルスもセトの攻撃によって鋼の剣が破壊された。

 

 アレンが纏っていた鉄の鎧はセトの拳で凹む程の威力があり、それにより彼の肋骨が折れてしまい血反吐を吐いた。

 

 アルスも鋼の剣に自身の水とアレンの風を纏っていたが武器の耐久値や強度の差により砕け、セトの斬撃を受けたがギリギリのところで回避が間に合ったのだった。

 

 しかし、共振が解除された事による多大なる疲労感がアルス達に押し寄せてしまい、一瞬の隙を突かれて満身創痍のセトをマリベルに近付かせてしまった。

 

「忌々しい賢者めっ……!! これでも、くらえぇーー!!」

 

 セトは瀕死の状態で自身の負けを悟っていたがそれを簡単には認める訳には行かなかった。

 

 だから、この状況を作り出したマリベルだけでも道連れにしようとした会心の一撃が彼女を襲う。

 

 その瞬間、覚悟を決めたハディートが盾と槍を突き出してその身を挺してマリベルを庇ったのだった。

 

「グッ……!? ガァッ……!?」

 

「っ!? 邪魔をするな! 何の役にも立たないゴミクズ風情がっ……!! ぬぅ!?」

 

「ハディートさん、ありがとねっ……! これで、終わりよ! 合体! 絶対零度マヒャデドス!!」

 

「グガァオォォォーーッ!? そ、そんな、馬鹿なァァァ……!? この、わたしが、ニンゲン、なんぞに……」

 

 左右の手から同じ呪文であるマヒャドとマヒャドを掛け合わせて作り出したマヒャデドスによってセトは消滅したのだった。

 

 セトを倒した事によってアレン達は久しぶりの激戦に誰もが疲労とダメージで崩れ落ちる様に倒れたのだった。

 

「ハディート! 皆さん! ご無事ですかっ……!?」

 

 巫女達を連れて来た砂漠の女王フェデルが魔王像の最上階に出て見れば、傷だらけでボロボロになっているアレン達をみて青ざめる。

 

 しかし、疲労感で地面に倒れ込んでいたアレン達が手を上げて、生きている事を伝えると安心したのかホッと息を吐き重症者であるハディートを順に回復を行った。

 

「女王……。俺の、回復は、後回しで良い……」

 

「っ!? ダメです! 貴方が1番重症なんです!」

 

「それ、なら……! 早く、闇のルビーをっ……!」

 

「……分かりました。皆さん、お疲れの処すみませんが誰か闇のルビーの除去を手伝っては貰えませんか?」

 

「あっ、それなら、僕がやります……。疲労感はありますが、アレンに比べれば傷は浅いので……」

 

 ハディートに次いで重症なアレン。セトの攻撃をずっと受け続けるタンクの役割を果たしていた事もあり傷だらけだった。

 

 それに対してアルスはアタッカーであったが、同時に全体の指揮や補助に回っていたので疲労感はあるが傷自体はそこまでだった。

 

「助かります。では、私は左目を取りますので、アルスさんは右目をお願いします」

 

 女王フェデルの指示によりアルスは階段を上がり、魔王像にある紫色に濁った負のエネルギーが充満する闇のルビーを取り外して袋に入れた。

 

 闇のルビーは魔王像の要であるが故に、それを取り外した事で自然と建物の強度が弱まり崩壊が始まった。

 

 一同は急ぎ崩壊が始まった魔王像から出る為に駆けた。だけど、崩壊速度が早く間に合わない。丁度その時だった。

 

 砂漠の封印が解けて大地の精霊の力が活性化した事で、ナイラ河で控えていたティラノスが救出に入りアレン達は彼の背に乗って河を下ったのだった。

 

 河の下流では、ティラノスによって事前に運ばれた強制労働を強いられた民達が砂漠の村人達に介抱されていた。

 

 彼等は伝説の守護聖竜ティラノスが助けてくれた事や空を覆っていた闇が晴れた事で、セトが倒されたと知り女王達の帰りを待っていた。

 

 そして、ティラノスによって運ばれてくるボロボロのアレン達を急いで陸地へと運ぶ。

 

 巫女達の回復によってある程度までは回復したが、ハディートを含めて疲れから眠っていたのだった。

 

 そんな彼等を見て先代族長ザラシュトロの魂が宿ったティラノスは優しく微笑むと次第に体が崩れ落ちて、その魂は天へと昇っていたのだった。

 

 その光景に砂漠の民達は感謝の祈りを捧げた後、砂漠の封印を解いた英雄達を城まで運んで行ったのだった。

 

 泥の様に眠りこけて2日が経った頃、戦いの傷や疲労がある程度抜けたアレン達が目を覚ました。

 

 それだけで砂漠の民達は英雄達の目覚めに歓喜して、アレン達は若干の眠気を感じながら女王フェデルの元へ向かったのだった。

 

「まだお疲れの処、申し訳ありません……」

 

「い、いえ……。俺達も2日も寝ていたなんて……」

 

「あの、食料とか大丈夫でしたか……?」

 

「えぇ、大丈夫でした。幸いにも食糧庫や城の中でも極僅かしか知らない隠し部屋にある保管庫は無事でしたので、それを開放して民達へ還元しました」

 

「そう……。それなら良かったわ……」

 

「改めまして、皆さん。我々、砂漠に住まう者達を救って下さりありがとうございます。

 

 この砂漠を治める女王として、1人の民として皆さんの勇気と行動に感謝と敬意を表します」

 

 女王のお礼に感極まった砂漠の民達はパチパチッと言う大きな拍手と共に改めて歓声を上げて喜びを分かち合った。

 

 フェデルの側に控えた巫女の1人が静かに移動して、宝箱の中からある武器を取り出して彼女へ渡す。

 

「これは我が国に伝わる国宝の武器、その名も妖精の剣です。先の戦いでアルスさんの武器が壊れてしまったので、どうぞお納め下さい」

 

「えっ? いや、そんな高価な物を……!?」

 

「素直に貰ってやれ、アルス」

 

「アルスの戦力増強だぞー!!」

 

「そうよ。女王様からして見れば受け取って貰わないと困るわよ」

 

「あ、あぁ〜……。その、ありがとうございます!! 本当は正直、武器をどうするか困っていたので……」

 

「ふふっ。そう言って貰えたなら良かったです。それでは、砂漠を救済して下さった皆さん、僅かばかりではありますが宴を催しておりますのでお楽しみ下さい」

 

 単体に防御力が上がるスカラと同じ効果がある魔法武器の妖精の剣を手に入れて、嬉しさを隠し切れないアルスを微笑みながらアレン達は砂漠の民達が催した宴を楽しんだのだった。




これで過去世界の砂漠の国編は終わりです。
次回は現代へ帰還する話を書いてから、次の異変をサクッと終わらせたら良いな……と思います。

また、マヒャデドスに関しては独自設定です。
世界観的にマヒャドを最上級呪文と言う位置付けにした状態で、書くに当たりマヒャデドスをどうするか悩んだ結果……。

そうだ、合体魔法にすれば良いのか!?と言う結論に至り、
マヒャド×マヒャドの合体魔法で行ける様にしました。

確か、賢王ポロンがグノン戦でメラゾーマ×2とかやっていたので、あれがメラガイヤーだと仮定するなら多分合っているだろうと思いました。

そして、合体魔法の枕詞に関してはマヒャデドスの立ち位置が不明なので勝手に絶対零度にしました。

メラガイヤーとかも枕詞は考えておりますが、作中で出るまで良い感じのワードが見つかれば随時変えよう位に思っていますので、作中で出た際にはご了承の程よろしくお願いします。
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