新しくアイラが仲間となった次の日、アレン達はユバール族と共に船に乗り込んでエスタード島へ帰還した。
その直ぐ後にユバール族を代表する族長と新たな仲間アイラと共にバーンズ王とリーサ姫達と挨拶を交わした。
その際にやはりと言うべきかアイラを見たバーンズ王やリーサ姫だけでは無く大臣や兵士長達が彼女を見て、キーファの面影が見えたらしく驚きを隠せずに居たのだった。
また、彼女もグランエスタード城に初めて来たのに何処か懐かしさを感じていて困惑していた。まるで休息地へ帰って来た時の様な懐かしさを感じていたのだった。
ユバール族の移住手続きはこれにて済んだのだった。元よりグランエスタード王国が誘致したのだから、事前に事務手続きの準備は進めていたので簡単な手続きだけで済んだのだった。
住宅地に関しては話していた通りアレン達が開発している研究村でテントを張って貰っているが、仮設住宅は開発計画の4割程度出来ているので数ヶ月しない内に順次住んで貰う予定である。
現在、この研究村ではビバ=グレイプなどの耕作以外に鍛治師の親方と学者、魔法師長などが協力して、アレン達が持つ魔法武器の製造や構造の研究が行われていた。
これは現代にフォロッド王国が復活した後、大賢者ベゼルの元で獲得した奇跡の剣と光の剣を親方に見せた事がキッカケで始まった研究だった。
鍛治師の親方はその道を歩んで数十年と言う熟練の鍛治師だった。その武器を見れば大抵の事は理解出来るし、ある程度は客の無茶な要求も叶えられる程度には腕に自信があった。
だけど、アレン達が持って来た魔法武器に関しては点で駄目だった。まるで構造や製造方法が見当も付かなかった。
その事にショックが無かったと言う訳では無いがそれ以上に魔法武器と言う未知の技術に魅力を感じ、1人の鍛治師としてのプライドに火が付いたのだった。
その後にグリンフレークの異変解決で幸いな事に破邪の剣や魔道士のローブなどのレシピと現品を貰った。
しかし、どうにも魔法を道具に込める技法を知っている前提で作られる職人技らしく、アレンもグリンフレークの職人に聞いたが失伝した技術で分からないと言われ途方に暮れていた。
そんな時に現れた人達がグランエスタード王国の学者と魔法師長達だった。彼等は魔法武器製造の失われた技術を蘇らせる為に共同で研究をしたのだった。
その結果、研究をする都合で新しく生まれたのが錬金学と言う学問で、彼等はこの錬金学を用いた技術を錬金術と定義したのだった。
学者達はアレン達が異変の解決をする中で身近にある魔法道具について研究を重ねていた。それがルーラと同等な魔法効果を持つキメラの翼と言う魔法道具だった。
この研究に関してはグランエスタード王国の文献を探していくと過去に変人と呼ばれた学者の研究資料が残っていた。
大陸が復活する前のエスタード島にも流通量が少なかったがキメラの翼と言う魔法道具が存在しており、その変人学者はこれを再現出来ないかと研究をしていたらしい。
ただし、大陸復活前の現代でもそうだったがモンスターを倒すとゴールドやアイテムを落とすと言うのは、この世界を創造した神が決めたこの世の摂理であると言う考えが主流だった。
だから、なんかモンスターを倒すとお金が落ちて自分達はそれを使って経済を回すと言う事に疑問を持つ者はほとんど居ないし、居たとしても研究した所でどうなる話でも無いからと見過ごされて来た話題だった。
そんな埃まみれになった変人学者の研究が日の目を浴びたのだった。彼等は時代を先取りし過ぎた偉大な学者に敬意を表して、その研究資料を元に更なる研究を進めたのだった。
その研究資料は色々なアプローチをして失敗した実験結果の数々だった。やはり単独で再現するにしてもノーヒントは流石に難易度が高過ぎた様だった。
ただ、アプローチした研究結果の中には破邪の剣のレシピに記載されている技術に関連していそうな記述が残されていて、学者達はそれを起点にアプローチを続けた結果が錬金学だった。
錬金学によってモンスターがドロップするお金を魔法師長のメラミによって溶かされ、宝珠と呼ばれる新たな魔法素材が誕生したのだった。
どうにも
その性質は魔法の増幅や保存に適しているらしく、魔法を込める事で道具として使える代物に変化した。
それで作られたのが
これは実験的に作られた物がこの3種類だったと言う訳ではなく色々な魔法を込めた結果、成功した物がこの3種類であり使用回数が3回を超えると崩れて塵になる欠陥品だった。
ただ、欠陥品とは言え新しい魔法道具として使える代物である事には変わらない。その事を踏まえて次は壊れず、魔法効果を伸ばすにはどうするのかについて研究が進んだ。
学者達は壊れず永続的に魔法効果を付与する為には、この宝珠にモンスターの素材や特殊な植物などを組み合わせて新たな素材を作る必要があるのでは無いかと仮説を立てた。
しかし、肝心のそれを組み合わせるだけの技術が確立していないので、今後の課題はそれについての研究と宝珠の魔法を増幅させる性質についての研究を進めるとの事だった。
幸いな事にモンスターの素材や特殊な植物については、アレン達が旅をする中でそれなりに回収していてそれなりに余裕がある。
また、復活した大陸に向けて放った調査兵団やアミッド商会達によって、世界中にある鉱山地や素材の情報や取引も開始していた。
バーンズ王達もこれについて資金を出し渋る事はせず、寧ろ応援する勢いで投資していた。
これはアレン達の支援でもあるが錬金術によって魔法武器や道具の製造が可能となれば、漁業によるモンスターの被害がグッと減少する。
今でこそボルカノや兵士長を筆頭にした強者達が居るから被害は減ったが、先代の王以前はかなり頭を悩ませる問題だった。
防衛力と言う観点から見れば、強い戦士や魔法使いを育成する事は容易では無く時間や資金で解決する事も難しい。
強くなる為には、それ相応の修羅場とそれを乗り越えるだけの才能や技術が必要だからだ。
しかし、魔法武器を作り出す事が出来れば未熟な戦士や魔法使いでも道具による支援攻撃が可能となり、結果的にそれは単純な防衛力を上げる事へ繋げるのだった。
正直これだけでも国家としては十分利益がある考えであるが、これに加えてリーサ姫のとある疑問がこの政策を後押しした。
彼女は何故、神が魔王に敗北したにも関わらず過去の大陸に居たモンスターが現代にほとんど存在せず、現代には海にのみ出現するのかについて疑問に感じていた。
勿論だけど彼女としてもモンスターに蘇って欲しいとか思ってないし、寧ろ国民が平和に暮らせる世界が続いて欲しいと思っている。ただ、それはそれとしてこの疑問が頭に浮かんでいたのだった。
もしも神が現代に復活せずに失われた大陸が蘇ったのであれば、強弱はあるが少なからずモンスターも蘇るのが道理である。何故ならこの世界は神が魔王に負けたからだ。
だからこそ、一部の場所を除き復活した大陸にモンスターが存在しない現状は何か言い表せない程にとても気味が悪いと感じていた。
嵐の前触れじゃ無いかと思い、杞憂である事は理解しつつも万が一は無い様に父であるバーンズ王へ自身の気持ちと共に報告した。
彼も娘の成長に感動しつつも考え過ぎと言うには否定出来ない現状に対して一考の余地ありと判断した。
何よりも楽観視した事で未来を託して過去に残った息子の決意を踏み躙っては顔向け出来ないと思い大臣達とも話し合った結果、何が起きても対処出来る様に備える決断に至ったのだった。
錬金術の誕生とグランエスタード王国の人達が有能過ぎると言う話でした…。ゲームだと無能では無いけどほぼ空気な人達だからフォーカスしたかった。
個人的にはゲームだから許されているけど、魔法武器ってそう簡単にポンポン作って良い代物では無いと思っています。
ドラクエシリーズで店売りしている妖精の剣とか微睡の剣とか炎の爪とか氷の刃とか…。
なんでそれが売られているのにモンスターに負けてんの!?
戦士として戦わずにしても道具として乱用すれば勝てるだろ!?
と思うのです。
だから、ゲームで店売りしている魔法武器達は天空の剣みたいな伝説の武器では無いけど、凄腕の鍛治師が作った武器でその一族の家宝や国宝になる逸品物くらいの認識です。
それを主人公勢は大量生産出来る様に研究しているので、ご都合とは言え書いていてすごい事しているなぁと思ったりしています。