ダンジョンにろくでなしが居たって間違いじゃ無いだろう? 作:ケツアゴ
まぁ、あの人はあの人でコミケとか行ってるし、電子書籍でお勧めの読ませてもらうときに、本棚にBLとかあったしお互いオタクだって知ってるから今更 あの人は同人書いたりコスプレしたりしてた学生時代の人だし
急に知らされたのはびっくり
……どうしよう、凄く嬉しいけれど逃げ出したい。
本当は半日だけれど何ヵ月にも感じた特訓の最終課題、何回、いや、何十回気絶したかも分からなかったけれど、
「あれ? 歌とは逆?」
「歌?」
「い、いえ、メタなネタっていうか、何となく口から出た言葉なので……」
どうしてこうなってるのか、それを説明するなら朝、何処かに出掛けていた神様はアステマさんが迎えに行って、帰った後で僕にアステマさんが観覧席のチケットをくれたんだ。
「私もショーに携わる身だから融通が効いてね。春姫ちゃんには手伝ってもらう事があるから二人で行って来なさい」
「そっか、春姫君は来れないんだ。残念だよ。じゃあ、有り難くもらって行くよ」
それで妙に張り切っていた神様と一緒に闘技場にまで来たんだけれど……。
「おや? こちらのチケットは神専用の観覧席ですね。どうぞ此方へ」
「えぇ!? このチケットとベル君の隣の席って……いや、せっかく貰った物だし、他のファミリアと交流を持てって事なのかな? アステマ君だしなぁ……」
残念な事に神様とは離れた席だったんだ。神様もアステマさんの厚意のチケットだったから名残惜しそうにしながら途中で別の席に座る事になって、その隣が……。
「あっ……」
「!?」
ア、アイズさん!? っ!?」
ちょっと他より豪華な指定席の番号を探していたら、まさか隣がアイズさん達。
思わず逃げようとしたけれど足が動かず、勝手に席へと座ってしまう。
そして耳元で聞こえた声。
「ヘスティア様は過保護な親っぽい奴で君の恋愛に反対しているけれど、私は面白そうだから横から弄り回らせてもらおうじゃないか!」
これ、絶対にアステマさんの仕業! アイズさん達が持ってるチケットの袋にはピースしたアステマさんの絵が描かれているから間違いない!
「……あの」
「えっと……助けて貰ったのに逃げてすみませんでした!」
「いや、あれは私達が逃しちゃった結果だから謝るのはこっち。巻き込んでごめんなさい」
「いやいやっ!? 元々少し順調だからって潜り過ぎたのは僕ですし、アステマさんにも死ぬのや大怪我するのが嫌なら冒険者を諦めろって言われてますので!?」
「……そうか。テメェ、あの爺の仲間だったんだな。て事はあの女も当然……」
あれ? 女の子の声が……あっ。
互いに謝ってオロオロしている時、幼い女の子の声が聞こえて来た。妙に不機嫌そうなその声の主を探せばアマゾネスの人の影に隠れて見えなかった場所に凄く目つきの悪い狼人の女の子、フリフリの可愛らしい服装の子だ。
「えっと、君は? アステマさんに何か……」
「見下ろしてるんじゃねぇよ、雑魚が」
膝を曲げて話し掛けたんだけれど、この子、凄く口が悪い!
ギロリと睨まれた瞬間に覚えたのはミノタウロスなんて比じゃなくて、アステマさんと比べると悪いって感じの威圧感。
「こらっ! そんな事を言ったら駄目でしょう、ベートちゃん!」
「ちゃんって付けるんじゃねぇよ、まな板! 今の俺と大して変わらない、むしろ俺の方が微妙にあるじゃねぇか!」
え? ベート? いや、あのベートさんとは似ているけれど、こっちは女の子……あぁ。
あの日の夜、アステマさんは怪しいお兄さんから自称妹キャラ? の女の子になってたし、つまりはそういう……。
僕は全てを察する。多分僕への言葉への意趣返し……ってよりはそれを口実にした悪戯なんだろうなって。
「それで酒場でベートさんが言った酷い言葉だけれど……」
「えっと、さっきも言ったけれど浮かれていたのを直すのと気を引き締める薬になったので別に謝らなくても……」
「だとよ。俺は何も間違っちゃいねえだろ。それよかどうせあの女が爺の弟子とかなんだろ! おい、あのプリンって女は何処にいやがるっ!」
「ぼ、僕も(元の姿に戻ったから)暫く顔を見てないので……」
「ちっ! 最悪、あの爺に元の姿に戻させるか」
こんな感じで僕はアイズさんと隣の席で……とはならなかった。
「おい、なんでアイズの方ばかり見てやがる。潰すぞ、トマト野郎!」
「は、はい!」
「ベートちゃ……さん。絡んだら駄目」
「おい、ちゃんって呼ぶなっつってんだろ。頭撫でんなっ!」
「そんな事言ってもトイレとか勝手が違ってロキに頼ってたじゃん、ベートちゃん」
「そうよ。迷惑掛けたんだから威圧しないの、ベートちゃん」
「ぶっ殺すぞ、バカゾネス姉妹!」
こうして見ると凄い冒険者でも普段は普通の人達なんだな。アステマさんも『聞いたら後悔する英雄譚の裏話』シリーズを話してくれたけれど、その中で大勢が憧れた英雄達も普通の人だって思える部分が……特にアルゴノゥトについては詳細だし一部に私怨とかが混ざってるけれど、何処までが作り話なんだろう?
そんな風に考えている間にもモンスターとガネーシャ・ファミリアの団員との戦いは進んで行く。
この数日間の成果は更新されていないからステイタスには反映されていないし、あの人達は僕より強い筈なのに……。
「アステマさんって本当に別格なんだな……」
自称オラリオと同年代で不老不死って噂持ち、女神専門のプレイボーイでちょっとどころじゃない悪戯好きで生活はだらしない。
だって僕と春姫さんに書類作業を押し付ける為にヒラ団員になってるし、神様の扱いが親戚かなにかみたいな感じだ。
だけど最強、あの人の印象は最後にそれに行き着く。まるで神話に名を残す英雄みたいに……。
「さあ! 次はお待ちかね。オラリオ最強のろくでな……冒険者【不滅】の登場です!」
司会のお姉さんの声が全体まで響く。なんでもアステマさんが発明した道具らしく、手元の道具に向かって出した声が闘技場のあっちこちに設置された箱から大きくなって響くし、オラリオ中にお知らせする事があった時用に街中に設置されてもいる。
「あの人って本当に凄い……今、ろくでなしって言い掛けた?」
そんな大勢の前で酷……くはないのかな? 割りと順当な気も、いや、でも……。
「兄さんへの評価はそんな感じだよ? お父さんもあの人を頼るのは良いけれど憧れるのだけは絶対に絶対に止めなさい、って言ってたし」
「友達だったんですよね?」
「お父さんもお母さんも兄さんを親友だって言ってた。その上であの人みたいにならないでって言われたけれど」
どんな風に接したら親友扱いしてくれる相手からの評価がそんな感じになるのか疑問に思った時、不意に周囲が夜みたいに暗くなる。
でも、闘技場の中央部分だけ闇を切り取ったみたいに光の柱があって、それは二人を追いながら照らしていたんだ。
片方は……春姫さん!? 用事を頼まれたって聞いてたけれど、これだったんだ。
そしてもう一人は……。
「やあやあ、よく来てくれたね、皆! 私の事は気さくにプリンちゃんと呼んでくれたまえ」
何やってるの、あの人!?
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