ダンジョンにろくでなしが居たって間違いじゃ無いだろう?   作:ケツアゴ

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ろくでなしも遠慮する

 人の子の立ち入りを禁じられた場所である神聖浴場。そりゃあ管理とかは人間がやってるんだろうけれど、利用者が神だけだから別に良いだろうさ。

 

「なるほど、二人とも純情そうだけれど反応は結構違うね」

 

 覗き穴から見えるのは至福の絶景、白や褐色と肌の色こそ様々でも其処にいるのは女神達、並みの美女では敵わない美貌の持ち主達が惜し気もなく裸体を晒し、一切の警戒を見せていない。

 

 叫んだら覗きがバレちゃうし、ベル君とヘグニ君の口を塞いだ状態で覗き穴まで近付けたけれど反応はだいぶ違う。

 アイズちゃんにお熱のベル君は一瞬だけ絶景を見た後で羞恥心が一気に押し寄せたのか目を閉じるのに必死だ。

 

 女神達の入浴姿だぜ? 一瞬でも見てしまえば誘惑に抗うのは困難だろうに純情だねぇ、この童貞は。

 

 そうそう、童貞といえば実際はフレイヤ様に抱かれているのは決定のヘグニ君だけれど、フレイヤ様以外の女性に興味が無いかといえばちょっと違う。

 まあ、恋愛や崇拝は一途でも、性的な欲を一切感じない訳じゃないからかベル君より目を閉じるのが数秒遅れてしまってたんだ。

 

 二人して顔真っ赤だし、ヘグニ君なんか鼻血まで出しちゃって顔が凄く真っ赤、この絶景は一瞬だろうが確実に脳裏に植え付けられた筈。

 

 

「どうだい、来て良かっただろう? ……因みに私って浴場に来ている女神の六割と肉体関係持ってるよ。一度に複数相手にする事も……おや?」

 

 二人にはちょっと刺激が強そうな話をしようとした時だ、凄く嫌な予感がしたのは。

 周囲に漂う魔力、発動する寸前のトラップを解析すれば多分私が絡んでるけれど記憶に無いぞ。

 

 ……あれぇ? こんなの、何時設置したっけ? そもそも覚えてないのは……あっ!

 

 

「不味いな、二人共。このままだと顔面に"女神の入浴を覗きました"って大きな文字で書かれる上に数日は消えない」

 

「ええっ!?」

 

「ど、どうするの!? っていうか、此処の罠って設置したのは……」

 

「いやぁ、あの時は女神複数との約束が被っちゃって、二週間帰らずにヤッたり酒飲んだりで変になった状態で作業の納期がギリギリだったから少し忘れちゃってて。……めんご」

 

 てへぺろって感じでウインク&舌出しで謝るけれど、どうしよう。私の仕掛けた魔法のトラップの効果だ、私でも簡単には解除も誤魔化しも出来ないし……。

 

 

「このまま二人を置いて私だけ逃げ出そうかな?」

 

「ちょっとっ!?」

 

「こ、このクズ! 人でなし!」

 

 どうせギルドへの対処が凄く面倒で数日は雲隠れの予定だったし……うーん。まあ、流石に此処の覗きは不味そうだし、今後気楽にフレイヤ・ファミリアの幹部を弄くるのが少し面倒になりそうだから……。

 

 

「じゃあ、三人揃って一旦雲隠れしようか」

 

「「へ?」」

 

 二人の肩に手を置いて、返事を待たずにテレポート。向かう先は……ちょっと面倒な女神の所だ。

 

 

 

 

 

「そうか。事情は分かった、帰れ」

 

「容赦無いなあ、アルテミス様」

 

 私達の目の前には不機嫌さを一切隠そうとせず腕組みでピシャリと言い捨てる女神。

 神をも殺せる神造兵器を持つアルテミス様だ。……あっ、いや、大きな貸しも有るし……。

 

 

「どうにかならないかな、アルテミスさん」

 

 じゃあ、最低限の礼儀だけで良いや。

 

「君は本当に神への敬意が足りないなっ!? いや、理由は分かるが、年上だからな、こっちは」

 

「だから一応さん付けはしてるじゃないか。ねぇ、ベル君、ヘグニ君。あっ、此方はアルテミス様、恋愛嫌いの処女神だよ」

 

「いや、だから経緯をもっとだな。……まあ、良いだろう。未払いの報酬の話を出されたら弱い。その不愉快な文字が消えるまで居候を許そう。……どうせその二人は君に巻き込まれただけだろうしね」

 

 深い溜め息と共に肩を落としたアルテミス様がトボトボとあるいていく。よし! これでタダ飯タダ酒を手に入れたぞ。お金はあるけれどタダでの飲み食いは格別だからね。

 

 彼女と出会ったのはちょっと前、地上に降臨した頃だ。話には聞いていたからね、神すらも殺せる武器を持っているって。

 

「それで会いに行ったんですか?」

 

「流石に初対面でそんな貴重な物を使ってもらうのは控えようと思ったけれどね。ほら、反動が皆無とか有り得ないだろうし、使い捨てなら惜しみそうだろう?」

 

 誰に何の理由で使う気なのかは興味が無いけれど、手間掛かりそうだもん、慈善事業じゃ使ってくれないさ。

 今まで私の境遇を憐れんだ神は居るけれど、神の力を使ってでも殺そうとしてくれたのは僅かだし。

 

 顔にデカデカと書かれた文字にアルテミスさんの眷属がドン引きする中、私は小瓶に入れて持ち歩いている酒で喉を潤しつつ出会いを語る。

 

 私が死にたいってのを知らなかったベル君は驚き戸惑っているけれど、ヘグニ君は知ってたみたいだね。

 

 まっ、予想の範囲内だ。

 

「それで先に大きな貸しを作ろうと思ってね。外のモンスターは雑魚だけれど、経験値もショボいから外の子達も雑魚だし、助けたついでに口八丁で暫く身を置かせてもらって恩を売り続けた」

 

 ぶっちゃけアルテミスさんみたいな堅物の神の方が騙すのが楽なんだよ。嘘が通じない分、嘘無しで行けば簡単に思考を操れるからね。

 

 

「まあ、それで殺してもらえると思ったら通じなくってさ。じゃあ、代わりに何でも支払おうって言われたから処女を要求しようと思ったんだけれど」

 

「ちょちょっ!? 何を要求する気だったんですか!?」

 

「だから処女だって。処女神の純潔とかどれだけの価値があるんだって話だけれど……面倒になりそうだから止めておいた」

 

 女神ってさー、凄く面倒なんだよね。私も昔は人間とヤッてたよ。カーリー様の所の見栄えの良い子とついでにお試しでカーリー様を同時に相手してみたんだけれど、そのまま国に置こうとしたから。

 

 私って多分子供出来ないよ? 人間も女神も散々抱いたのに子供いないし、いなくて良いけれど。

 

 

 

「だって相手は万単位で処女拗らせてる女神だぜ? 手を出したらどうなる事やらって思ったし、口に出した瞬間に、やっぱり嫌なので考えておく、って言い直したよ」

 

 ヘスティアさんも気に入ったベル君にベッタリだし、処女神の姿かよ、あれが! って感じだよね。

 

 

「そ、それで僕達は何をすれば良いのかな? こ、こんな顔じゃオラリオに戻るどころか人前に出られないし……」

 

「別に今後の縁なんて無い相手だし、猥談の一つでもして仲良くなったら? 性欲だけの関係って楽だよ? あっ! 一人で発散する時も相手は決まってるのか? してるだろう? 職業柄溜まるだろうし。………アルテミスさんはどう思う?」

 

 

 取り敢えずさっきから近くに居るアルテミスさんにも意見を求めよう仮にも女神、良い案をくれそうだ。

 

 




ヘグニ君は面白い反応をしそうです
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