ダンジョンにろくでなしが居たって間違いじゃ無いだろう?   作:ケツアゴ

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ろくでなしには朝飯前らしい

「アステマが自由? ふふっ、傍目にはそう見えるのかも知れないわね」

 

 それは何度か前の挑戦の後、目と耳と鼻を塞いで素手とパンツ一丁でアンフィス・バエナ討伐をやらされた後の更新の時だった。

 ガリバー兄弟を除いて二人一組で挑み、一番活躍が少なかった組が深夜の外壁を逆立ち(+パンツ一丁)で三周するんだけれど……。

 

「……終わったな」

 

「終わったか……」

 

 普段から連携が取れているガリバー兄弟は当然として、色々あった僕とヘディンはそこそこ、問題はオッタルとアレンだった。 

 

 もう見えてるだろうってレベルで足を引っ張り合い、結局ガリバー兄弟が終わらせてドンケツになった二人の顔を見たんだけれど、色々な意味で終わっていたんだよ。

 

 オッタルのパンツにブレスが掠って別の意味でも終わってたけれど。

 

 

 と、取り敢えず文句を言いながらもアレンは速攻で終わらしたけれど、オッタルは重量級だから幾らレベル由来の速度でも目立つんだよな。

 

 

 思ったんだ、彼の信用とか地に落ちそうだって。

 

 

「あれって……」

 

「どうせアステマ関連でしょ」

 

 うん、大丈夫だった。地に落ちた勢いでダンジョン深層まで地中を貫いてる信用の持ち主がオラリオには居たから。

 

 

「そーいや知ってるか? あのヘグニの闇とか何とかの頓珍漢な発言もアステマの仕業だって噂だぜ」

 

「あー、やっぱり!」

 

 ……うぇ? これって否定した方が? で、でも…:…。

 

 そんな事もあって、フレイヤ様にステイタスの更新をしていただけるって時に僕は他ごとに意識を割いちゃって、あまつさえ愚痴まで零しちゃったんだ。

 

 あの人はどうして彼処まで自由なんだろう、って。

 

 

 でも、フレイヤ様の返事はそれを否定するみたいな物だった。まるであの人が何にも縛られていないってのが間違いみたいで……。

 

 

 多分それが伝わったんだろう、続きを話してくれる時の顔は何処か呆れていて、愛しむと同時に憐れんでさえいるみたいだった。

 

 

 

 

「何と言うか、君も大変だね。あの人、あんなんだから悪評もそれなりにあって、女神を無理矢理に……ってのは闇派閥所属だった奴が言ってただけなんだけれど、他にもあるからね」

 

「でもお世話になってるから。……良い夢を見られるお香だって聞いたんだけれど、アイ、じゃなくって、す、好きな相手と混浴する夢で……」

 

 絆ってのは共に過ごした時間だけが関係する訳じゃない。私だって付き合いが数百年単位だろうと嫌いな神はいるし、逆に数日で仲良くなった相手だっているんだ。

 

 その点、訓練の最後で一緒に私に挑んだり、女神達の入浴を覗くって至福の体験の後でアルテミス・ファミリアの女性陣からゴミを見る目を向けられたって経験を共有したんだ。

 

 今だって私からの被害を互いに話しているけれど、夢については文句を言われたくないね。

 

「ちゃんと濁り湯にしてあげただろう? 尤も、僅かに見えるって方が唆る場合もある。ああ、それとヘグニ君の前で誰を好きだのは言わない方が良いよ?」

 

 夢の中で最後にはどうなったかまでは知らないけれど、叫び声に驚いて部屋に入って来たヘスティアさんと春姫ちゃんに元気になった所を見られただけじゃないか。

 

 あのお香、リヴィラの街で売ろう。絶対馬鹿な男に高くれるぞ。

 

「それにしても昨日浴びた視線は凄かったね。流石は処女神の眷属だ。恋愛の良さを彼女に教えたとはいえ、厳しい厳しい」

 

「うぅ……」

 

「思い出したら胃が痛い……」

 

 

 翌朝、私はベル君達をとある遺跡にまで連れて来ていた。既に長い時の流れやモンスターによって崩壊している所がチラホラある中、奥まで来た時に感じたのは大精霊の力の気配だ。

 

「これは……」

 

 精霊に近しい種族だから分かる力の波動にヘグニ君は息を呑む。ランクアップしたら感覚鋭くなるから面倒だよね。

 だからこそ害虫とかが這い回るのまで分かっちゃうんだ。

 

「ねぇ、ヘグニ君。今度ベート君の部屋に百匹送り込むならハエとゴキブリとカメムシのどれが良いかな?」

 

「被害が大き過ぎない!?」

 

「闇派閥の時は出入り口封鎖の上に三百匹だから軽いさ。あの時、知らずに殴り込んだ正義のファミリアの子達が……」

 

 一人は着物だったせいで袖とかに入り込んでいたのをお風呂の時に……。

 

「そんな事ばかりしてるからろくでなし扱いされるんだよ」

 

「死なない化け物だって石を投げられた子供時代に比べれば平気だよ。今回浴びた視線だって闇派閥の女神を……君達には刺激が強いか。ごめんごめん、子供の前でする話じゃなかったね」

 

 あの日、口説くのに苦労した女神を送還されちゃって、その腹いせに恋人だった眷属の女の子の前で犯しちゃったんだよねぇ。

 まっ、二人揃って女の子を攫って楽しんでいたし? 別に良いじゃないか、役得があっても。

 

 あの悔し涙や叫び声の中でヤるのも悪くなかったね。

 

 

「はーい。この先に大精霊でさえ封印が精一杯だったアンタレスってモンスターが封印されているから倒そうか」

 

「えぇっ!?」

 

「また始まったよ、無茶振りが……」

 

 ヘグニ君のリアクションはそんなに面白くないな。ちょっと普段から思いつきでやらせて来たから無理はないけれど面白くも無い。

 

「アステマさん正気ですか!? 幾らなんでも無茶……なのかな? 似た話を解決したのも何度もあるし……」

 

「うん、この程度のモンスターなら既に何体も倒しているよ。遥か空の上から星を落とすか直接ぶん殴るかで終わりだけれど、今回私はギリギリまで手を出さないよ。じゃあ、頑張って」

 

 お気に入りのソファーと足を置く為のクッション,ウイスキーにナッツ類を幾つか取り出したらスタートだ、抗議の受付は一昨日終わったよ。

 え? 今朝の提案なのに締め切りが一昨日なのは理不尽だって?

 

 

「この世は不条理で理不尽な物だよ。災害も怪物も病も人間も道理を前に引っ込んでやくれると思ったら痛い目をみる。痛い目ですんだらラッキーかもね、寧ろ」

 

 遺跡の周囲に結界を展開、同時に二人にちょっとした魔法を使えば朝の運動の始まりだ。多少ハードだろうけれど、冒険者になったのなら頑張ってくれ。

 

 瓶の蓋を外すとナッツと一緒に口の奥に流し込む。さて、私には朝飯前だけれど、二人はどうかな?

 

 大精霊の封印だろうが時間経過で劣化していたんだ、ちょっと弄れば蠍に似た姿のモンスター、アンタレスが姿を見せた。

 

「あれがアンタレス。ベル、下がってて。君は隠れて……と言いたいけれど、周囲の手下っぽいのをお願い」

 

「う、うん!」

 

 さーて、この二人が生きている内に黒龍相手の戦力になってくれれば嬉しいけれど、どうだろう?

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