ダンジョンにろくでなしが居たって間違いじゃ無いだろう?   作:ケツアゴ

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ろくでなしは呆れられる

「護衛の一人も側に置かずの密会なんて随分と不用心じゃないのかい? 元眷属としては苦言を呈したくなるね」

 

 此処はバベルの最上階、女神フレイヤの私室。窓から月明かりが差し込むその部屋で私はフレイヤ様と会っていた。

 

「うふふふ。貴方相手じゃオラリオ中の全冒険者をかき集めないと時間稼ぎにもならないでしょう?」

 

「まさか! 所詮一人相手に一度に戦える人数は決まっているし、烏合の衆なんて纏めて一度に終わらせるさ。時間稼ぎにもならないよ」

 

 間に置かれたテーブルの上にはワインボトルが数本と山積みにされたチーズ。その中でアーモンドを入れてる奴だけを選んで食べているんだけれど、ちょっと不満があったんだ。

 

「なーんで町娘の時と同じ服装なのかなあ? 普段のドレスは着ないのかい? あの谷間が開いた奴」

 

 そう! こんな夜景が綺麗な場所での密会だってのに地味な服装なんだよ、この女神。エロさではイシュタル様の勝利だけれど、それはそうとして美神の胸の谷間は拝みたいし、可能なら私の手で脱がせたい。

 

「だってアステマ相手にお洒落するとか少し癪なんだもの。別にムードとか演出する必要有るかしら?」

 

「いや、別に? ヤれるなら普段のドレスの方が女神に手を出すって事にそそられるだけで、そっちの服装も悪くない」

 

 いや、フレイヤ様には今一つムラムラしないんだけれどさ。それでも一応お世辞とか必要だし、嘘って伝わるけれど。

 

「ほらね、そうでしょう? 私、今はベルに夢中だから……ちょっと、アーモンド入りを独り占めしないで欲しいのだけれど?」

 

「え? だって好物だし」

 

 それに皿の上のチーズって高価なだけじゃなくって貴重な品なんだ。大手ファミリアの主神への限定販売。

 

 イシュタル様は私の好物だって知ってるから用意してくれるし、ロキ・ファミリアのホームに(リヴェリアちゃんやベート君やアイズちゃんで)遊びに行った時に(勝手に)食べる以外じゃ滅多に食べられない。

 

「これ、他のファミリアも買い置きしてくれていたら良いのにさ」

 

 あまり無理言って団員に嫌われた場合、眷属大好きなタイプの女神様とヤる機会が減るし。

 

 

 

「貴方、ちょっと自由過ぎないかしら? もう少し周囲を振り回すのを止めなさい」

 

「そちらも随分と好き勝手に動いているじゃないか」

 

「そんなのだから改宗してもらう事になったのよ?」

 

「いや、私が改宗を望んだんだよ? 自由に周囲を振り回すんだから」

 

 いやはや、自覚が無いってのは怖いよ。

 

 

 

「ベッドの中で“貴方の子供が欲しいわ”とか言ってたの

 

「貴方の子を産んで欲しい? の間違いでしょう? それに甘えさせたのは此方だけれど?」

 

 なのに今はこんな態度なんて、って感じに溜め息を吐くけれど、向こうも同じ対応だ。

 

「数万年以上生きてると記憶が色々混ざるんだね、ビックリしたよ」

 

「そっちだって普通の子達からすれば同じみたいな物よ? 寧ろ自他共に老人呼びしてる癖に……」

 

 おいおい、酷い言い草だな。下界用の肉体の純潔を散らした時に凄く動揺していた癖に。

 まさか大勢の相手をしたのに地上では元に戻ってるとかって驚いてたね。

 

「……私が処女になってるとか知っている癖に黙っていたの、まだ許していないのよ?」

 

「眷属の皆の相手をしてあげているじゃないか。ヘグニ君なんて遂にランクアップしたし」

 

 ついでにベル君も史上最速記録でランクアップ、ステイタスもオール999超え。

 参考の為の記録は公に出来ないと担当のエイナちゃんが胃を痛めそうだ。

 

 ヘグニ君の話題でベル君への注目が削がれそうだし、ヘスティアさんを騙して丸め込んだから発表は遅らせるけれど。

 ヘグニ君、凄く注目されて大変そうなんだよね、笑える。

 

 彼と一緒に戦ったからって事で、騒ぎがひと段落して安心した所に捧げるサプライズ! って所だよ。

 

「それで今日呼び出した案件はベル君? 私は形しか分からないけれど、そっちは色が分かるからね。随分と綺麗なんだろう?」

 

「ええ、ええ! あの子、初めて目にする色をしていたの。その輝きは増し続けているのだけれど……何処かの誰かに悪い影響を受けないか心配なのよね」

 

「名前を出せない相手を危惧しているんだ。私としても彼には注目しているし心配だ。何処かの誰か教えてくれたら消すのを手伝おう」

 

「白々しい。分かっている癖に。……まあ、良いわ。月一でイシュタルへの支払いを出してあげるから、私が出す試練の邪魔をしないでほしいわ」

 

「おっ、それなら少しダンジョンでの稼ぎを頑張って週一で通おうか」

 

「送還されちゃうわよ? 貴方、相手が一般人と同じ肉体って忘れてるでしょ?」

 

「死にそうでも回復出来るから大丈夫さ。いや、イシュタル様は二番目に体の相性が良いから怒らせたくないんだけれどさ。実は神って記憶弄るの面倒なんだ」

 

 面倒ってだけで不可能とは言ってない。その辺は母さんの血なのかな? ビバ! 神の血!

 

 

「……はあ。その可能な事ならやっても構わないって考えは控えなさいと眷属時代に何度も言ったわよ?」

 

「言われたね。でも、今はヘスティアさんの眷属だし」

 

「私の所に居た時から言っても聞かなかったわよね?」

 

 そうだったっけ? そうだったね。

 

 久々に見た溜め息を吐く姿に当時の思い出が蘇る。取り敢えず好きにするのに邪魔な相手をボコボコにしてからフレイヤ様とヤッて、後輩を弄ってフレイヤ様に振り回されて、ヤッて、なんか振り回されてるから眷属辞めたっけ。

 

 仲は悪くないけれど性欲関連では同族嫌悪が買っちゃうんだよね。

 この女神にここ迄呆れられるのって私と当神のポンコツっぽさじゃないか?

 

 ベル君に渡してる弁当だけれど、正直言って神フレイヤとしての存在に付随する呪いなんじゃないのかい?

 

「凄い侮辱を受けた気がするのだけれど?」

 

「冤罪だよ。私は貴女の料理が酷いって思っただけさ。もしかして食材への侮辱的な意味で農業の神に敵対してる?」

 

「もうアレね。神の力で殺してあげられなくても不能にする程度はして良い気がして来たわ」

 

「メンゴ」

 

 あっ、流石に怒らせ過ぎたか。でも、この神も揶揄うと楽しいんだよね。

 謝っておこうか、適当に。

 

「本当に貴方ってアマノサグメにそっくりだわ」

 

「え? 誰?」

 

 多分女神なんだろうけれど、ちょっと覚えがないぞ。

 

 今まで大勢の女神を抱いて来た私だけれど、その名前を聞いても僅かに引っ掛かる物があるだけだ。

 いや、抱くだけ抱いて名前を忘れた女神も幾らか存在するけれど……。

 

 何故かフレイヤ様は“此奴マジか!?”って顔だけれどさ。

 

 

 

 

「自分の母親の名前でしょう? え? 本当に……?」

 

「うん、忘れてた」




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