ダンジョンにろくでなしが居たって間違いじゃ無いだろう?   作:ケツアゴ

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アステマの見た目は胡散臭い感じの笑顔のお兄さんを思い浮かべて


ろくでなしに関わると疲れるだけ

「まーた娼館とはね。君、ちょっとは自分の年齢を考えたらどうだい?」

 

 

 ふぅ、流石に花じゃ誤魔化せなかったか。残念残念。

 

 我等の主神たるヘスティアさんは処女神、グータラで欲望に忠実な割には性欲に対しては厳しいんだから参るんだ。

 それを言うなら私以上に生きている神様方だって歓楽街に通ってるんだし、十代二十代に手を出したりするんだぜ?

 

 どうせ抱くなら見た目が若い方が嬉しいってのには賛同するけれどね!

 

 正座させられた私の前で腰に手を当てて怒り心頭、ご立派な胸が弾むけれど見た目が幼いから食指は微動だにしない。

 

 

「ハァ……」

 

「おぉい! 今、ボクに対して溜め息吐いただろ!? もー! 君のお母さんに……お、おっと、この辺にしておこうか」

 

「相変わらずポンコツだなあ、ヘスティアさんは」

 

 神の間では公然の秘密、そして基本的に人間には話さないのは私への同情か人でも神でもない相手への忌避感か。少なくとも忌避感を抱いてはいないヘスティアさんだけれど、直ぐ隣の部屋に春姫ちゃんとベル君が居るのを忘れて大声で喋る所だったよ、今。

 

 

「本当に口が悪いな、君は!? もう少し神であるボクに敬意を持ったらどうなんだい!」

 

「おや? 君の母親とは友達だから気さくに接して良いよ、とか言っていたじゃないか。様付けしないのも親しみの内さ」

 

 そんな事よりも副団長の歓迎パーティをしようじゃないかと告げながら虚空に手を突っ込んで換金してなかった魔石やドロップアイテムを取り出す。

 

 今回は運良くバロールがドロップアイテムを落としてくれたし、ざっと最低価格で四千万は行きそうだ。

 

 

「そうそう、小腹を満たしている時にフィン君達と会ったよ」

 

「何か余計な事を言っていないよね?」

 

 えー? 私の信頼無さすぎじゃない? フィン君の主神のロキ様とは無茶苦茶仲が悪いのに団員の心配とかさ。

 

 

 

 

 

 場面はダンジョン内に移り、時間は遡る。

 

「おい、なんか変な音が聞こえるぞ。妙な匂いまで……」

 

 ダンジョン遠征の途中、受けていた依頼の為にカドモスの泉水を集めに行く道中でベートが足を止めてそう言った。

 パチパチと何かが弾ける様な音と共に漂って来るのは香ばしい香り、ダンジョンの中ではあり得ない音と匂いに警戒しながらも目的の場所に居るのは階層主さえ越える攻撃力を持ったカドモス。

 異常事態に警戒を募らせながらも向かった先、そこで一行が見た物は……。

 

 

 

「天ぷらは揚げたてが一番だよね。泉水を使った水割りも最高だ」

 

 ダンジョンで海老天を肴に酒を飲むアステマの姿だった。野外用の簡易コンロで天ぷらと蕎麦を作り、瓶二本で豪邸が建てられるカドモスの泉水を大量に消費している。

 

 カドモス? 部屋の端に大量の灰が積み重なっているから多分それ。

 

「……皆、分かっているね?」

 

 アステマは食事に夢中でフィン達に気が付いた様子は無い。小声で囁いた言葉にベート達は静かに頷いて後退を開始、フィン達は逃げ出した。

 

 

 

「おや、フィン君じゃないか。ガレス君も久し振り。ベート君とラウル君も元気そうだね。ちゃんとご飯は食べているかい?」

 

 残念、しかし回り込まれた。若者二人に天ぷらを乗せた皿を差し出しての満面の笑みのアステマ、二人は思わずフィンとガレスの後ろに隠れる辺り大分苦手な相手の様だ。

 

「や、やあ、【不滅】。君も遠征かい? 聞いたよ、最近何処かのファミリアに入ったんだってね」

 

 

「と言うか、お主は何時の間にダンジョンに来ていたんじゃ? リヴィラの街では来てたという話は聞いとらんが」

 

 うん? 確かにあの街で一杯引っ掛けるのは楽しいけれど毎回って訳じゃないのにさ。

 

 

「今日はこうやってエビ天と蕎麦で一杯やる気だったからね。娼館の代金も稼ぎたかったから千蒼の氷園に瞬間移動で行って来たんだけれど、私って寒いの怠いから適当にドロップアイテムと魔石を集めた後は階層主を弄くって遊んでから此処にご飯を食べに来たんだよ」

 

「……ごめん、ちょっと情報量が凄くって」

 

「も、もう一度詳しく教えてくれ……ますか?」

 

 平然と語られる情報にフィンは頭を抱え、ベートは思わず敬語になる。尚、現在の公式記録では千蒼の氷園の奥まで行っていない。

 

「おや? 知らなかったか。私って温暖な地域出身だし、初めての死因が旅先での凍死だったからね。アレで自分が死んでも甦る体質だって知ったけれど、嫌な記憶だからさ」

 

「いや、違う。知りたいのはそんなんじゃ……と言うには重いけれど、そうじゃなくってさ!?」

 

「普通に考えて私の到達階層の事だろう? そりゃそうさ。私、今まで主神が居なくても恩恵維持できてたし、未所属だからギルドで買い取りも発表も出来てないってだけで普通に通ってたよ?」

 

「分かってた!? おい、フィン。このジジィ、分かってて重い過去に話を持って行ったぞ!?」

 

「只の不死身ジョークなのに。それにジジィは酷いなあ。私、肉体は二十歳位だから君より若いんだよ? だから精神も若いままなのさ!」

 

 ゲラゲラと腹を抱えて笑うアステマ、一方でフィン達の精神的疲労は凄まじい。

 

「……それで瞬間移動ってのは?」

 

「おいおい、今の私は別のファミリアの所属だし、あまり知ろうとするのはマナー違反だよ? まあ、私にマナーについて言われたくないだろうけれど」

 

「自覚あるなら控えてくれるかい!? この前もウチのホームに上がり込んでアイズを散々からかってたよね!?」

 

「年寄りは若者と関わりたいのさ。フィン君もあと三十年も生きれば分かるよ。アイズちゃんの母親とは結婚する前からの知り合いだったし、赤ん坊の時にオシメだって替えてあげてるんだ」

 

「この人、自称若者なのか年寄りなのかどっちなんっすか?」

 

「気にするな。疲れるだけだ」

 

「あれ? そもそも瞬間移動についてはリヴェリアちゃんは知ってるし、ロキ様とも酒の勢いで一発ヤッた時に話したけれどなぁ?」

 

「また新しい情報だね!? ええ!? ロキと寝た事があるのかい!?」

 

「うん。フィン君がオラリオに来た日の前夜にヤッた。君の前世が所属していたフィアナ騎士団とは仲が良かったし、注目してたんだ。因みにロキ様の内腿の付け根辺りにホクロがあって、性感帯は……」

 

「ガレス、どうしよう。詳しく聞きたい気もするけれど、そうは行かないって理性が告げてる」

 

「……お主、ロキのホクロについて知りたいのか?」

 

「違うよ!? 頼むからこの超級ろくでなしのペースに流されないでくれるかい!?」

 

「因みに初代団長の生まれ変わりも小人としてオラリオにいるけれど、平和に生きたいみたいだから誰かは黙っておくよ。才覚の殆どを受け継いでないしさ」

 

「また新しい情報が出た!?」

 

 

 

 

「ベートさん、自分あまり関わらなかったけれど、あの人に関わらないって幸せな事だったんっすね」

 

「そのクセ、重要な情報とか持ってるからタチが悪いんだよ、あのジジィ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでイシュタル様の予約時間も迫ってたし、リヴェリアちゃんが思い出しやすい様にって記憶映像を紙に転写する魔法を使って渡しておいたよ。娼館に連泊する数日分の代金は素材での後払いを約束にゴブニュ様とヘファイストス様に貰ってたしさ」

 

「なんか散々やってるね!? それと何を紙に転写したんだい? 変な物なんじゃ……」

 

「ほら、私って長生きだからハイエルフとも関わりがあって、リヴェリアちゃんが幼い時に居候してたんだけれど、野外での儀式の時にトイレに行きたくなって限界間近で涙目になった状態で私の袖を掴んだ時の姿さ」

 

「君、本当にその内に闇討ちされるんじゃないのかい?」

 

「大丈夫、私って不死身だから。どうやっても死ねないし」

 

 かなり前に哀れんだ神が力を解放しても無駄だったし、別の時はまさか人の部分が邪魔して神造兵器の神殺しの能力がちゃんと働かないとかビックリだよ。

 




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