ダンジョンにろくでなしが居たって間違いじゃ無いだろう? 作:ケツアゴ
アマノサグメ、それが私の母の名前……らしい。え? 実の親の名前忘れるとか、薄情すぎるって?
別に良いじゃないか、普通の人達だって数年間縁が切れた友人の名前を忘れたりするだろう?
ただでさえ狙われるから弱いうちは不老不死ってことを隠してたんだ。人と神との間の子だなんて厄ネタを口には出来ないさ。
あとは縁探しの女神とかだっけ? まあ、私からすれば勝手に居なくなった母親程度の認識だ。
「まあ、そんな訳で彼には神からの試練(笑)が降り掛かるんだろうけれど大変だね」
他人事? おいおい、仮にも同じ組織に所属する仲間、更には立場上は私の方が下なんだし、暖かく見守るに決まっているじゃないか。私の事を性格が悪いとでも思っているのかい?
「うわぁ、性格悪い……」
最速でランクアップを果たしたベル君の今後について私はとある人物に雑談ついでに話をしていた。
アポロン・ファミリアのカサンドラちゃん、面白い能力……いや、呪いを持った愉快な子だよ。
場所は中心部から少し離れたカフェの角。老人として悩める若者を助けようと此処で偶に話を聞いてあげているってのに、私が近況を話したらこの始末だ。
神器が廃れたら世も末だよ? そんな世の中は面白くないし……。
「……世界とかちょっと滅ぼしちゃおうかな?」
「アステマさんが言うとシャレに聞こえないので止めて!?」
「いや、流石に一割も破壊したら神だって本気になるから多分無理だよ? 精々が緩やかに滅ぶ状況にまで追い詰めるだけで」
それに私だって友人達が愛した世界を滅ぼそうなんてそんなに思わないよ。
幾ら死んで生まれ変わったら其処までっていってもねぇ?
「そうそう、それで今回はどんな予知夢を見たんだい?」
そんな事は放っておいて、今日はこの子の夢について聞くべき時だ。神の恩恵とは無関係に存在する地上の神秘、私の父が本来不可能な筈の種付を女神相手に成功させたみたいにカサンドラちゃんにも未来を抽象的なイメージとして知る予知夢の力がある。
「地面の中の蟻の街で象が花に殺されて、その花に街まで壊される夢で……」
「蟻の街はリヴィラ、象はガネーシャファミリアの団員って所かな? それで相変わらず……」
「うん……」
その予知夢は凄いけれど、私の人生と同様に呪いに似た物まで付き纏う。
神以外の誰も信じない、何度も何度も偶然では片付かない的中率を見せてもだ。
私の問い掛けに俯きながらもカサンドラちゃんは上目遣いに視線を向ける。
神以外で唯一話を信じてくれて、起こるであろう事をどうにか出来る私を頼ってるんだ。
……それにしてもガネーシャ様の眷属か。
「大丈夫。ちょっと極秘のクエストでモンスターの大量発生の調査に行くけれど、そのついでに気を掛けておくよ」
「あ、ありがとう」
若者に頼られるのは老人として悪い気分はしないのさ。私が信じてくれない事を危惧していたカサンドラちゃんの頭を撫でて安心させてあげる。
まっ、互いに呪いに狂わされた人生の持ち主って事で力になるよ。
「ところで君の所のエルフの中に私が怪物趣味だって陰口叩いてるのがいるんだけれど四肢をもぎ取って良い?」
使役している事になってる子達が通常よりも美形だからって失礼だよね。
だいたい、モンスターと馴れ合う云々ならユニコーン飼ってるハイエルフはどうなのさ。
見た目が美しいからってなら同じじゃないかな?
「え、えっと駄目です。アポロン様から注意して貰いますから。あの、そんなに物騒な事を言ってたら友達を失くし……いえ、なんでも」
「大丈夫大丈夫。気に入ってる子の多少の暴言は見逃すさ。これでもウン百歳超えのお爺ちゃんだぜ? それにこの程度で失う友達は居ないさ」
そもそも私に友達が一人も居ないのは全員寿命やら何やらで死んだからだよ。
さてと、今日が期限ギリギリだったし、私が行かないのならガネーシャ様の眷属辺りが向かうだろうし……。
モンスターの大量発生の原因の調査は少し前に元弟子が依頼してきた事だ。
気乗りはしないけれどボールス君達もリヴィラが壊滅したら困るだろうし、何よりも彼処に女神を連れ込む楽しみが暫く出来ないのは痛いからね。
女神の誇りか声を上げまいとするのを周囲に聞こえる程に出させるのが気持ち良いんだ。
だから依頼をこなして予言を避けるべく立ち上がった私はウエイトレスを呼び止めた。
「ケーキセット三人前をヘスティア・ファミリアのホームに届けてくれるかい? チップは料金の三割程度で、支払いはこの子がするからさ」
勿論この場は毎回カサンドラちゃん持ち、相談聞く側なんだから別に良いよね。
「うわっ。これは流石にビックリだ。……高い場所から身降ろしたら虫が蠢いてるみたいだ」
言われていた階層に来てみれば驚く事に道を埋め尽くすモンスターの大群、これに襲われれば適正レベル程度じゃ波に飲まれて餌になるだけだ。
「向かってる方向は……成る程」
食料庫の方に向かっているみたいだけれど、反対側の方にもあるのに一方にだけ向かうのは不自然だ。
天井近くに浮かんで見下ろせば視認出来る不自然さに今回の理由は大体分かる。
分散されるべき筈なのに、って事だ。
「冒険者は居ないみたいだし……パッと終わらせるか」
範囲指定・何か異常が起きてるらしい場所以外全て。
殲滅対象・この階層のモンスター全部。
方法……まあ、適当に焼き飛ばす
目の前に人差し指を向ければ蝋燭の灯り程度の小さな青い火が現れる。それは眼下に向かって緩慢な動きで落ちて行き、落下速度とは正反対に膨張を続ける。
一番高い所に居たモンスターの頭が炙られて音が鳴った時、青い火は階層全てを飲み込む程になっていた。
「この魔法はそうだな……ソドムとでも名付けようかな」
モンスター達が火を一斉に見上げ、聡い個体が別の階層への脱出を計ったけれど無駄だ。
蝿でも一休みの足場にしそうな速度から一転、逃亡の一歩を踏み出す前に全てのモンスターを一瞬で飲み込んだ。
「やばっ。適当にやったから下に続く穴が幾つか開いちゃったよ」
地面は熱で融解し、階層のほぼ全てが黒く焼け焦げている。魔石もドロップアイテムも灰さえも蒸発していて残ったのは傷一つ見られない緑の壁。
「わたしのまほうにたえるだなんておどろきだぁ。なーんちゃって」
ゴライアスに匹敵する巨体を誇る骨の竜みたいなモンスターが出て来たので踏み砕き、灰を風で散らして壁に近付いて行く。
あー、鬱陶しいな。此奴って魔法を反射するんだよね。
眼前を埋め尽くす程にさっきの奴の小型バージョンが湧き出して飛び掛かって来るけれど、殴るか蹴るか、魔法で飛ばした石塊を無数に飛ばすかすれば到着だ。
「はいはい、成る程ね」
どうやら目的の場所まで続いているし、中には例の花まで沢山待ち構えているらしい。
「じゃあ普通に進むか」
緑の壁は蹴りで粉砕、散歩程度の速度で進みつつ襲って来る相手は手で軽く撫でて粉砕。
偶には軽い運動しないと気が滅入るから見慣れぬ景色を楽しみつつ、飽きた頃に奇妙な物を発見した。
「おや、君は誰だい? 何かは分かっているから言わなくて良いよ」
それは奇妙な球体に入った赤子みたいな……精霊の一部だった。
「じゃあリヴィラで酒でも飲みつつボールス君に見せてみよう」
あの子、面白い反応をするんだよね。
「……目を離した間に何が起きた? まあ、良い。反応を頼りに…。は? 反応が一気に階層を飛び越えた……? い、いや、良いだろう。邪魔者は殺すだけだ」
」
カサンドラちゃんは(報われない)恋をしちゃってます 未だろくでなしを理解してないので、主神がアレだから
周りが知れば全力で止めるでしょう
リューさんのパーティを壊滅させたモンスター(群れ) 名前も出さずに蹂躙されました(;ω;)
その巨大バージョン(黒)なんか踏み砕かれました(´;ω;`)
ダンジョン 焼かれて穴まで作られましたヽ(;▽;)ノ