ダンジョンにろくでなしが居たって間違いじゃ無いだろう?   作:ケツアゴ

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ろくでなしはろくでなしと仲が良い

「精霊の分身みたいな物ですかい。またとんでもない物を……」

 

 旦那とは持ちつ持たれつつ、無茶振りされつつ振り回されつつ、、思い返せば妙な関係性だが利益は齎してくれるから続いてる。

 っても向こうの力が圧倒的過ぎてこっちから切れる訳ねーし、偶に女神を連れ込んでいることをネタに脅す?

 

 おいおい、何を馬鹿なことを。前に似たようなことをほざいている馬鹿がいたが、その日から噂すら知らねぇな、どこで何をやってるのやら。

 

「少し調べた限りじゃ他の生物に寄生して体を乗っ取るって感じだよ」

 

 此処の顔役なんぞになっちまったが運の尽き、旦那に気に入られて今も厄介な代物を持ち込んで……。

 

「うおっ!? んな物騒な物はしまってくださいよ」

 

 テメェの口で厄介さを語った、その瞬間にこっちに向かって投げてきやがった。

 信じられねぇ、旦那以外の誰もしねえだろ、そんな真似!

 

 球体に入った赤子でお手玉をする旦那の事だ、私が故意以外の理由で彼の方に落とす訳が無いじゃないか、とか迎えてるんだろうが、故意にやるって思われている時点で人間として終わってるからな? 俺自身もろくな奴じゃねぇって自覚はあるが、このろくでなしよりはマシだろう? 精々が弱みにつけこんでふっかける程度だぜ?

 

「……それで俺に話して良かったんですかい? 旦那」

 

「君はダンジョンの中の街の顔役だろう? 確実に今後も続くダンジョン内部の揉め事の火種だ。私なりの誠意って奴さ」

 

「誠意ねぇ。旦那の事だし俺の反応を楽しむ為じゃないんですかい?」

 

 どう考えても俺に知らせて良い問題じゃねぇだろ!? いや、まさか今後十八階層で何か起きるって事か!?

 

 その対処の為なんだろうが、どー考えても旦那が持ち込んだ問題とか、解決するのが億劫な厄介事が理由だろうよ。

 

 

「おや、九割九分九厘の理由が分かってたか、流石はボールス君。君は品性と格上相手のプライドは無いけれど頭は回るよね」

 

「旦那はもうちっと礼儀とか遠慮を身に付けて……言っても無駄っすね」

 

 あー、思考を見抜かれてやがる。この気紛れとノリと惰性で生きてる爺さん、マジで()()()()かなぁ。

 

 

「おいおい、私が君の何十倍生きていると思っているんだい? 常識なんて身に付けた上で好き勝手やっているのさ」

 

「常識を知っているのと身に付けているのは別物っすよ、旦那」

 

 まあ、こんな事をくっちゃべった後はどの女神のケツの形が良いとか、巨乳で露出の少ない貞淑な女神と思ったら詰め物してるドエロいのだったりとかで盛り上がって、女神に関する猥談をしたりイシュタル・ファミリアの店で使えるクーポン券を貰ったノリで秘蔵の酒を出したら全部飲まれたとかあったのが少し前……。

 

 

「それでこの光景って事か……」

 

 なんかデッカい花のモンスターが街を包囲って程じゃねぇが結構な数で現れてやがるし、臨戦体制は既に整ってるし天井を見れば魔石の場所と性質を書いた文字が浮かんでやがる。

 

 そんなの出来るんなら速攻で片付けて下さいや、旦那。まあ、何でもかんでもやってくれる人じゃねぇから言っても無駄だろうが。

 

「仮に世界中から保護を頼まれたら全部の権利と引き換えに引き受けて途中で投げ出すんだろうな」

 

 頭を掻きながら武器を取って呟く。その全部ってのは本当に全部だ。

 

 衣食住の全部は勿論、名前も仕事も一日のスケジュールや三大欲求すら決めて、それで困る連中の前で自由に振る舞って、そんで飽きたら今日から自由だけれど保護も終わりだよ、とか言って困る姿を楽しむんだろうよ。

 

 そんな性悪だって知ってるから俺やギルド長みたいに付き合いのある連中は世界最強の力をアテにはしねぇ。偶に力を貸してくれたらラッキーで、可能なら余計な真似だけはすんなって事だ。

 

 さて、やるか。

 

 

「おい、野郎どもっ! どうせ旦那は役に立たねぇ! 今後此処を使いたきゃ戦いやがれ!」

 

 旦那の警告でさっさと逃げた連中は今後の料金を割り増しにして、店を構えてる奴は場所を端に変更してやる!

 

 剣の柄を握り締め、向かって来た花型モンスターの首を両断、随分と硬いせいで腕が少し痺れたが問題の無いレベルだ。

 

 魔石に反応するってんで勿体無いが手近な場所に置いてた買い取り済みの物を地面に投げつけ、群がった所を横から切り裂き、喉奥に切っ先を差し込む。

 周りを見れば数人掛かりで一匹ずつ相手をしているし、周囲を完全に包囲する程の数じゃなかったのは不幸中の幸いって奴か?

 

「……さっさとランクアップしとけば良かったな」

 

 旦那の思い付きに振り回されてそれなりの経験は積んだからか前回の更新でランクアップは可能になった。こっちの仕事が忙しいし、どうせゴライアス退治もあるって事で次の更新は少し経ったらって事にしたが失敗だったな。

 

「担当アドバイザーの嬢ちゃんにも悪いから億劫だったんだよ。公開するには少し問題がある内容だし」

 

 ギルドはランクアップの参考にって冒険者の偉業について具体的な内容を公開しちゃいるが、旦那に関わった冒険者についちゃ頭を悩ませるって聞く。そりゃそうだ、下手すれば死ぬ内容……実際に真似して死んだ馬鹿も居りゃ、旦那の無茶振りで心が折れて引退した奴も大勢だ。

 

 

「旦那ぁ! ちったぁ手伝ってくだせぇよ! これってアンタが持ち込んだ問題でしょうが!?」

 

「そうだね、普通は私が責任を取るべき事態だし、秒で済む」

 

 俺の言葉に顎に手を当てて考え込む素振りを見せる旦那にもモンスター共は食いかかるが、まるで透明な壁でもあるみたいに弾き飛ばされて、旦那は気にした様子も見せずに椅子に座って茶を啜りながら菓子を食っていた。

 

 分かってたよ! この人がどうにかしてくれる筈無いって!

 

 

「大丈夫大丈夫。終わったら気が向いた時に深層の素材を売ってあげよう。復興費用には足りるだろう? 頑張って経験値を稼ぎなさい、若者達よ」

 

「……俺は普通の人間なんで若者って年齢じゃないんですがね」

 

「おや? 私だって不老な上に死んでも即座に甦る以外は普通の美青年だぜ?」

 

「……よし、だいぶ数が減って来たな」

 

 ツッコミを入れたら負けだ、ツッコミを入れたら負けだ!

 

 青年って年齢じゃねぇだろうが、若作り爺ぃ! って叫びたいのを我慢すればモンスター共の動きがおかしい。十七階層に続く通路の方に反応して……。

 

 

 

「おう、これで安心だ。ロキ・ファミリアが来たみてぇだな」

 

 何か派手な魔法が見える。何があってアレだけ派手に魔法を使ってるかは知らねえが、これで一安心だ。

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、消化不良感。皆で下層に突っ込んで経験値稼ぎに行くかい?」

 

 取り敢えず旦那は死なねえかな、マジで。

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