ダンジョンにろくでなしが居たって間違いじゃ無いだろう?   作:ケツアゴ

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ろくでなしだって贔屓する

「良いかい、副団長? そんな血塗れで建物に入って来て、更には業務外のことをアドバイザーに質問するなんて業務を妨害する行為だよ」

 

 ロイマン君とちょ〜っと相談したい事があったってのに驚きだよ。私はベル君と向かい合って座り反省を促す。

 流石に落ち着いたのか反省の色を見せるし、この辺で終わらせるか。

 

 

「ギルドの運営資金はファミリアからの税金、そしてヘスティア・ファミリアは私が所属してるからってランクを上げられて税金が高い。つまり払ったお金をドブに捨てる行為だ。……だから今夜はヘスティアさんには秘密で歓楽街に行こうか」

 

「えぇ!? いやいやっ!? どうしてそうなるんですか!?」

 

「だってどんな事にどれだけお金が必要か知ってればお金を無駄にしないだろう? 私がイシュタル様を数日独占するのにどれだけ必要だと思ってるんだい! 歓楽街の売上の三割だぞぉ!」

 

 え? ふっかけられてないかって? あんなエッロい美神を独占して好き放題なプレイを楽しめるんだから安いじゃないか。

 

 

「それと女の子に別の女の子について聞き出そうってのも良くないかな? 将来的にデートとかで困るぞ、女性の扱いを知らないと」

 

「無理無理無理ですって! 歓楽街とか絶対にっ! 女の人とそんな事をするなんて無理ですぅ!」

 

「おやぁ? 私は歓楽街に誘いはしたけれど、娼婦を買うだなんて言ってないのに、何だかんだで男の子じゃないか。はっはっはっ! でも、春姫ちゃんのお風呂を覗いたら駄目だぜ?」

 

「春姫さんのお風呂なんて覗きませんよ!?」

 

「つまりヘスティアさんのなら覗く、と。まあ、見た目は小さくても胸は大きいし、今の年齢なら十分に対象になるか。……実は既に何十回も覗いてる?」

 

「誤解ですよっ!?」

 

「五回も覗いたんだ。……まあ、おふざけはこの辺にしようか。君が血を撒き散らすとか迷惑を掛けっぱなしだし、これ以上騒ぐのは良くないからね」

 

「誰のせいだと思ってるんですか!?」

 

「私」

 

 普通に自分を指差す。いや、どう考えても私じゃないか。やれやれ、何を言ってるんだか。

 

 

「それでアイズちゃんがどうしたんだい? 一目惚れでも……あぁ」

 

 こりゃ正解か。一目惚れの一言だけで真っ赤になったベル君、私の初恋の時はこんな感じじゃなかったし、君の親って婚前交渉の末に君が誕生したんだよ? 身内で死者が関わってるから気が向かないと弄くる理由にならないけれどさ。

 

「えっと、ミノタウロスが上層階に出て、追い詰められた所を……」

 

「あー、成る程ね」

 

 命の危険から救ってくれた相手に惚れちゃったんだ、よくある話だ。私だって昔は何度か告白されたよ。

 やれやれ、私がお爺ちゃんだって忘れてるんじゃないのかい?

 

 

 それにしてもミノタウロスから、ねぇ。

 

 

 ベル君は助けられた事ばかりに着目してて、そもそもミノタウロスがどうして現れて、アイズちゃんがその場にどうして居合わせたのかを考えていない。

 

 

「まあ、先ずは落ち着きなさい。エイナちゃんだって立場があるんだし、そこまで情報は持っていないさ。この私と違ってね!」

 

「ええ!? 本当ですか! じゃ、じゃあ……」

 

 それを諭して考えさせる、なんてしないよ? ヘスティアさんのベル君への感情は恋慕混じり、これは面白くなりそうだ!

 

 私は! 他人の恋愛事情を弄くるのが大好きなのさ!

 

「おやおや、随分と嬉しそうで結構。若者の恋路は(面白半分に)応援したくなるのが年寄りってものさ(諸説あります)。でも、人目だってあるんだし、先に帰って質問を考えておきなさい。私は彼女とは赤ん坊の時からの付き合い、兄さんと呼ばれ慕われているから大抵の事は分かるよ」

 

 両手を広げて視線を集め、胸をドンと叩いて任せておけとアピール。

 ベル君は純粋で私と付き合いが短いから簡単に乗せられる。

 

 ほら! 希望に目を輝かせているぞ!

 

「はい! よろしくお願いします!」

 

 ベル君はウッキウキでホームへと戻って行く。多分ヘスティアさんには惚れた相手の事まで話すんだろうさ。修羅場! まさに修羅場!

 

 それが楽しい! 面白い! ぐぬぬ顔が見れそうだ!

 

「しっかし、アイズちゃんか」

 

 ……縁かなあ? 記憶は完全に消えても感情を刺激する何かを感じ取った、とか?

 

 

 

「さーて、これからギルドは忙しくなるぞぉ! あっはっはっ! 他にミノタウロスを目撃した冒険者は多いだろうし、問い合わせが殺到するだろうね」

 

「そしてロキ…ファミリアが退治したとかですかな? まったく、頭が痛い」

 

「はっはっはっ、君は少し苦労で食が細くなった方が良さそうだけれどね。でも、担当の子に聞き取りとか対応丸投げで良くない?」

 

「えぇっ!? 私がですか!?」

 

 担当アドバイザーの子が悲鳴をあげてるけれど、別に良いじゃないか、死ぬ訳じゃないんだし。

 

「いや、冗談抜きで健康に悪いし、痩せなよ。限りある命は大切にするべきだよ? そういう意味では今回の件で心折れたり逃げ出す子は運が良かったよ。ダンジョン奥地で折れるよりもね。まっ、五十年後に死ぬのも五日後に死ぬのも大きく変わらない……いや、変わるのかな? まあ、どっちにしろ同じで良いや」

 

「いや、同じではないでしょうに。……あー、それれでですな、アステマさん。ロキ・ファミリアは規模としてはオラリオでも最大クラスでして……」

 

「そうなんだよね。おかげで書類作業とかも大変でフィン君達も自分の為に使う時間が少ないみたいだ。やれやれ、何の為に弱ったゼウス・ヘラ同盟を追い出したんだか。おっと、大丈夫だよ。あの時みたいにはならないからさ」

 

 ちょっと不甲斐ない様子にため息しか出ないけれど、ロイマン君が言いたいのは別の事だろうさ。

 どう考えてもロキ・ファミリアのポカの可能性が高いし、報復はしないのかって事だよね。

 

 私のお気に入りの店を襲い、あの美味しかった料理を食べられなくした連中みたいにさ。せめて子供が生きていたら秘伝のスープの再現が可能だったかも知れないのにね。

 

 

 

「アイズちゃんとか気に入っている子もいるし、ダンジョンで死ぬなら自己責任って事で何もしないさ。これが例えば……ほら、彼処に居るランクアップの詐称をしているルルネちゃん、あの子の所属するファミリアなら主神は目玉を抉って舌を切り落とし、大勢の芋虫が吊るされてギルドが揉み消しに走る事になるだろうけれどさ。彼処には仲の良い子がいないし」

 

「そっちも勘弁……って、ランクアップの偽装っ!?」

 

「あっ、逃げた。ところでロイマン君、ちょっと質問なんだけれど……」

 

 ルルネちゃんの背中を眺め、見えなくなったところで声のトーンを変える。問い掛けられたロイマン君が思わず顔を強張らせる程に真面目っぽくだ。

 

 

 

 

 

 

 

「裸エプロンと下半身脱衣と濡れ透けシャツのどれが一番エロいと思う?」

 

「アンタ、マジでいい加減にしてくださいよ!?」

 

 これは少し耳にした噂だけれど、ロイマン君って普段の素行が原因でエルフから豚だのなんだの侮蔑されているが、私に色々と意見ができる点については高い評価を受けているらしい。

 

 

 何か私が問題児みたいな扱いだなぁ。

 

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