【僕たち】のヒーローバース   作:夢見969

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年度で言えばそろそろ2024年度も終わるので実質初投稿です。

最後末尾にお知らせあり


覚醒…しちゃった?

I・アイランドでの宿泊3日目の夜。

出久は島の一角にあるトレーニング施設に立っていた。それと言うのも呼び出されたからだ。他でもない、爆豪勝己という己の人生を語る中で欠けることのない存在に。

 

「テメェの個性の話だってのは言ったろ」

「かっちゃん」

 

剣呑な空気感に耐えきれず、出久なにか声を出そうとするも静かに、いつもの苛烈さをしまい込んだ爆豪勝己の言葉に名前を呼ぶだけで留まってしまう。

 

「無個性で出来損ないのテメェが、どういう訳か雄英に合格して。どういう訳だが個性発現だ? コミックかなんかかよ」

 

苛立ちながら髪を乱雑に掻き、瞳に理知的でありながら隠さぬ憤怒を燃やす。

 

「神野では攫われる醜態晒した俺。 対してテメェらは規律違反しながら一手で盤面ひっくり返す活躍だ? ざけんな。ずっと、テメェの気色悪さを考えてた」

 

目は反らせない。

 

「オールマイトから貰ったんだろ。その"個性"」

 

出久にとっての明確な秘密。オールマイトやスパイダーマン。ごく一部の関係者しか知らない秘密。 口を滑らせたことがあるとはいえ、彼はその答えに辿り着いた。

 

「敵のボスヤローは人の"個性"をパクって使ったり与えたりするそうだ。信じられねぇが脳無とかいうクソ共の"個性"複数持ちから考えて信憑性は高ぇ。プッシーキャッツの一人が"個性"消失で活動中止。 それにオールマイトとボスヤローの面識…確定だろ」

 

沈黙は続く。出久は口を閉じ、ただただ彼のことを見つめるしか出来ずそんな様子に呆れ混じりの溜息を落とした。

 

「沈黙は肯定だろうがクソが。てめぇも俺も同じヒーローに…オールマイトに憧れた。ずっと石ころだと思ってたヤツが、知らん間に憧れた人間に認められて成長して…構えろや」

 

待って、と言葉にするよりもカラダが直感的に構えた。構えてしまった。

 

BOOOOOM!!!!!!

 

片手の爆発による急激な加速。フリーな右腕。

大ぶりの一撃…、違うフェイント…思考が定まらないそんな状況かでもカラダが又しても先に動き大きく飛び上がった。

 

爆裂。

 

地面をエグるような爆炎の波が先程まで立っていた所を焼き払った。

 

「いっちょ前に避けやがって…今までそうやって俺を舐め腐ってたのかよ。アァ゛!?」

「そんなわけ、…そんなわけ無いじゃないか!!」

 

身体を翻し、トレーニングルームに建つビルの壁に張り付くように一瞬静止する。

 

フルカウル12%

 

腕を破壊せず、カラダの限界まで引き上げた個性は緑電を纏い壁にヒビを叩き込み一気に彼の目と鼻の先まで距離を縮めた。

 

「たかだか、多少早いだけ。だろォが!」

 

直線的な動きは見切るまでもなく、半歩横にズレるだけで躱されその横っ腹に爆破を叩き込まれる。

出久とて弱いわけは無い。 自傷覚悟ならば凶悪な敵とも殴り合える。 力を抑えてもある程度の組手では観察眼も相まってそこそこの実力がある。だが相手が瞬間、瞬間の成長をする天才的センスの持ち主の爆豪勝己であれば現時点で勝てる要素はほぼない。

 

吹き飛ばされ、腹を焼かれても声を押し殺し睨みつけるように這い這いの姿で低姿勢からの攻撃へと行動が切り替わった。

足元を爆破しようとすれば滑り込むように股の間を滑り抜けて背後に周り、背後へ爆破をすれば一歩後ろへと下がって退避してみせる。

 

「そォかよ。 やっぱりそうだ。 オールマイトだけじゃねぇ、あの蜘蛛ヤローも知ってんだな…!」

 

似ていた訳では無い、ただその動きの癖が何処と無くスパイダーマンの戦い方に通ずるところを感じ取っていた。

 

戦い方を変えたとて爆豪が優勢なのは何一つ変わらなかった。被弾はし、服は焦げていく。 浅い一撃程度ならば爆豪に届くがその程度。 そんなやり取りを大人の三人は見下ろしていた。

 

「青春ってやつ?」

「もっと、大事なことなんだ。私のせいであるんだけどね」

「ちゃんと使用許可を取っているのがタチが悪い。オールマイト、アナタの考えで?」

 

グウェンとオールマイト、相澤が手を出す訳でも無くそんな姿を見続けている。

 

「まさか。 まぁ、きっと気を利かせた誰かが居たんだね」

「はぁ…少なくとも緑谷のほうは絶対安静になりますよ。アレ」

「こんだけ色々ある島なんだし何かあるんじゃない? 回復装置みたいなやつ」

 

 

「俺は……俺はオールマイトを終わらせちまってんだ!! クソザコのてめぇは認められて、強くなって! 今この瞬間でさえ、てめぇが追いついて来ようとしてる!!」

 

絶叫に近い怒号が響き、若いわ。なんて言葉が漏れ出るのは事情を知らないグウェンぐらいだった。オールマイトは苦虫を噛み潰したような表情を見せ、相澤は己のやり方ではメンタルケアまで出来てるつもりはなかったので同じように目を細めている。

 

「僕は、僕はずっと見てたさ…! 遠い憧れ(オールマイト)身近な凄い人(かっちゃん)も!! 追いかけるのは、スタートラインに立てたからには追いかけるのは当然だろ…!!」

 

さらにギアが上がった。 出久のカラダはより早く地面を滑り、低空の攻撃を警戒した爆豪が咄嗟に腕を出して攻撃よりもガードの選択を取るもすり抜けるように、"初めて"蹴りが脇腹に突き刺さった。 メキッ…!と音を鳴らし吹き飛ばされる姿は最初の出久のようだが、爆破で勢いを殺して反撃に移る。

爆破の中を拳が飛び、蹴りが放たれる。 咄嗟に出た蹴りが刺さったことに出久の中のスイッチが噛み合いふたつを組み合わせたスタイルで爆豪のカラダを殴打し始めた。 だが、もはや限界が近いのは出久の方だ。 重傷に近い火傷に爆発と打ち付けられた時による打撲の数々。

 

「目障り、なんだよォ!!!」

「こ、んな! もんかよ!かっちゃん!!」

「はぁぁああ!!!!?」

 

何度も突撃を繰り返し、爆破を受けても攻撃を止めなかった出久のカラダがここで始めて急停止した。 一拍、攻撃の手がズラされ爆豪の攻撃が空をきり、晒された極大の隙。誘われたと分かった時には頬に出久の拳が突き刺さった。

 

「お、らァァァ!!!」

「ま、けるかァァァァ!!!」

 

拳がぶつかった時に巻き起こる拳圧と爆風が巻き起こり、煙が晴れれば組み伏せられた出久の姿が見えた。

 

「なに負けとンだてめぇ…」

 

ようやく轟音が止んだトレーニングルームにポツリと言葉が零れ落ちる。 いつもの様な怒号ではなく、虚しさを覚えたような言葉が。

 

「ま、だ…………ッ…、あ、ち、違う……ダメだ……ッ!!」

「ァ…?」

「かっちゃん、はなれ、てッ!!!!!」

 

 

 

突如、叫びと共に黒い奔流が辺りに噴き出し、吹き飛ばした。

 

 

 

「ちょ!? あれヤバくない!? 私は行くから…!」

 

いの一番にグウェンは飛び出し、黒に弾き飛ばされた爆豪を抱き上げて波のように押し寄せるソレから逃げ回る。 抉るように次々と刺さる黒いそれは出久を中心にして吹き荒れている。

 

「オールマイト、アレは!?」

「な、なんだアレは……いや、まさか…。相澤くん、アレも緑谷少年の"個性"だ! 視てくれ!」

「……ッ!」

 

咄嗟に思いついたのかオールマイトが声を上げれば黒い、その奥を見据えた。ギリギリ見える出久を視界に捉えるとふと、暴れていたそれが消え失せ静寂が戻った。

 

「……見続けた方がいいですかね」

「…何かがトリガーになったか分からないが、意識を失っているようだ。 とりあえず彼らを医療施設に運ぼうか」

 

ぐったりと、意識を飛ばしている出久。 同じく限界のところに不意を打たれた爆豪も意識がないため大人、三人によって医療施設へと運ばれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

本日は快晴なり。

雇い主であるスパイダーマンは授業に復帰はしているもののまだ活動は縮小との事で私と彼女で簡単な雑務を行っている。 高校の中の掃除とかだ。

 

む、お前は誰だ? と。

まぁたしかに! 林間合宿にはついて行ったけどやっていた事はB組の生徒たちの保護とかだったし、出番なかったけど! これでもスパイダーマンが留守の時は敵を捕まえたり、ご近所のマダム達と談笑し、交流を深めているのは私なのだがね!!

 

「ところで今日のお客人は変わっているようだが」

『スパイダーマンから連絡があったわ。 ソイツの名前は──』

 

目の前に立つレディは白とピンクを貴重にしたコスチュームを身に纏い、多数のドローンを背後に…いや、私と彼女を囲うように待機させている。

 

「はぁい、世界の皆様こんにちは♡ 私はスクリューボールよっ! 配信見てくれてありがとうっ。今日の配信は簡単! 今話題の雄英高校に突入してみようっ!」

「させると思うかね? 雇い主が色々と大変なのだが」

「フフフ、勿論妨害だってなんだってウェルカム! その方が数字が取れるから…っ!」

 

駆け出すスクリューボールが地面を踏み、飛び上がると同時に何処からかスノボーの様な飛行ボードが飛んできて乗り空へと走っていく。

 

「私も行かせてもらおう。 諸君(リスナー)! これより始まるはスパイダーマンに負けぬ捕物劇! 私は蜘蛛の下僕たる英雄(仮) ジェントル・クリミナル!!」




緑谷出久
史実なら寮に入ってからやり合う喧嘩を作者の思いつきで時期がズレたI・アイランドでやる羽目になった挙句、かなり早いタイミングで『アレ』が出てきた。 心操くんが居ないため相澤先生による強制鎮圧である。



爆豪勝己
ほぼ勝てる戦いで苦戦を強いられたが勝った。一重にタフネスの差。 とはいえこのままでは非常に危ないので学校に戻ったらスパイダーマンに特訓のはなしをつけにいくつもり。 原作よりも出久に対する不快感が減った。とはいえムカつく。



ジェントル・クリミナル
スパイダーマンが来たばかりの時期からかなりの数、小競り合いを起こしてはあのスパイダーマンから逃げおおせている。 個性による妨害もさることながら彼女の協力が大きい。



ラブラバ
スパイダーマンのスーツがネットにアクセスしているのを見つけてアタックした。 別のマルチバース、Fridayやトニースターク特製のファイヤーウォールすら食い破ってスパイダーマンの位置を特定したりしまくったせいで刑務所にぶち込むより部下にした方が良い、なんて思われてしまい飼い殺し。とはいえ、給金は出るしジェントルと休暇で出掛けられるので今の方がいいかもしれない。



スクリューボール
配信活動していたらいつの間にか異世界だった件。





お知らせ
このままではエタる可能性がある為、I・アイランド編と爆豪くんの特訓相手、必殺技のお話をやったら一旦、最終戦争まで時系列を飛ばすやもしれません。 忍殺的お話更新ジツ。
ぶっちゃけ一番描きたいシーンがあるのがデクくんが一人離脱してからの絡みな為。
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