【僕たち】のヒーローバース   作:夢見969

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林間合宿までいけば描きたいシーンが沢山あるんだ……頑張るぞ…頑張る……


職場体験のその前に

「さてと、面談の時間だよ。飯田くん」

「先生! 何故、僕だけっ。いえ、失礼しました、理由は分かっています。先ず、兄を助けていただきありがとうございました」

 

ビシッと頭を下げて礼を言ってくる飯田くんに僕は少し困っちゃうんだよね。

 

「いいや、僕が間に合わなかったからインゲニウムは休業することになっちゃったわけだしね」

「休業…、先生は兄の容態を知っているのですよね」

「知ってるよ。知っていて僕は尚、休業って言葉を使わせてもらっている」

 

オットー博士……あー、ドクターオクトパスの神経制御を用いた義足を作ろうとしてる!とは流石に言えないし、どうしよう。

 

「ま、色々手立てはあるかもしれないと思ってるからね」

「そうですか…」

「それより、インゲニウムはキミに名を継いで欲しいと思っていたみたいだけど、ヒーロー名は天哉で良かったの?」

「…………僕はインゲニウムの名に相応しくないですから」

「誰だって最初はそうだよ。最初から名に相応しい活躍なんてできない」

「そうではなく、ヒーロー志望だというのに。僕は、……僕はヒーロー殺しを憎み、復讐を願ってしまっているんです」

 

あぁ、なるほど。僕は知っている。この瞳を。復讐に満ち、負の感情に渦巻いているこの瞳を。

いや、僕の知っている瞳よりは隠すのが上手いかもしれない。

 

「ま、とりあえず飲み物飲んで落ち着いて。 昔話をしようか」

 

面談室にあるテキトーな飲み物を取り出して彼へ軽く放りながら僕は外を軽く眺めて笑う。

グウェンのことや、メイおばさんのことは悲しみを呑み込めたけれども、未だにこの話はちょっと辛い。けど、先達としてこれからのヒーローを目指す少年に少しでもナニカを残せるならば語らねばなるまい。

 

「ほかの先生たちも知ってることなんだけど、生徒に話すのはこれが初めてだ。 僕には父も母も居なくて叔父と叔母に育てられたんだよね」

 

ベン叔父さん。僕の愚かな判断と言動で言葉を交わすことが出来なくなってしまった愛する人。

 

「ヒーローに成り立てのころさ。僕は結構やり手で……あー、この国の言葉で言うと天狗になってたっていうのかな? 何もかも上手くいってた時、一人の強盗と出くわしたんだ。ちっぽけな強盗くらい僕じゃなくても、警察でも捕まえられる。なんて思ってしまった」

「それは……」

「ヒーロー志望で真面目な君ならば有り得ないことだよね。それに、これは襲われたキミのお兄さんとは違って僕の自業自得が起こした悲劇なんだけど。 僕が捕まえなかった強盗は路上に停まっていた車の運転手を撃って、逃走したんだ。 撃たれたのは、僕の叔父だったよ」

 

口を一文字に閉じてこちらを見つめている飯田くん。ほんと、なんでこんないい子が憎しみに囚われないといけないんだか。

 

「その、その強盗はどうなったんですか?」

「死んだよ。 怒りに任せて追跡した僕を恐れて、車で大事故を起こして爆発したさ」

「ッ!!! せ、先生は……どう、思ったのですか」

 

復讐を終えて。かな。

 

「虚しかったし、怒りが治まらなかったけど…本当のことを言うのなら なんにも。 かな」

「なにも……? 仇が、亡くなって何も…?」

「少なくとも僕はね。仇をとったとか考えるよりも先に叔父を亡くした悲しさの方がきたから」

「では、では…! 復讐なんか何にもならないと。だったら、俺のこの気持ちは!怒りはどうすれば!!」

「え、いやそんなことは無いよ? 復讐で気が晴れる人も居るし、怒りが原動力で人を助けることだってあるから」

 

少なくともハルクは怒って強くなってるんだし。僕は正直否定的では無いんだよね、復讐って。

 

「叔父が『大いなる力には大いなる責任が伴う』って僕にくれた言葉があるんだ」

「大いなる力…?」

「僕からすればキミ達……違うな、雄英高校やプロヒーローを目指す皆かな? は十分に大きな力を持ってると思う。 その反面、その力を振るうには多大な責任が伴うと思っている」

 

個性が有り触れた世界。中には人に無害な個性だったり、リカバリーガールのような人を癒す個性を持つ人も居るだろう。でもその中で、ヒーローという仕事を目指すにはそれ相応の責任が発生する。 学校の先生って力の伸ばし方はもちろんだけど、そういった意識付けも教えていかないとダメだと思ってる。イレイザーは結構そういう点を教えるのは上手いかもしれない、僕よりも。

 

「僕は偉そうに、復讐をやめろ! 復讐は何も生まない! なんて言うつもりは無いし言えた立場じゃないよ。だから飯田くんが何を考えて、どう行動しても僕は責めない。もちろんこんな唆しをしたから責任は取るし、危険な目にあったら必ず助けるつもりさ」

 

激情に一度駆られ、大人に諭されたからと言って簡単に諦めるような子だったらそもそもヒーロー科なんてきてないだろうし。だから、彼が取り返しが付かないミスをする前に僕たち大人が助けてあげないといけない。

 

「…先生。僕は、保須市のヒーロー事務所にいきます」

「そっか、何か見つけられるといいね」

 

ワシワシ、と頭を撫でてやれば彼は立ち上がり頭を下げて面談室を出ていった。『エンジン』の個性は攻撃にだって使える。けど、その脚を人を助ける為に使えるかどうかは彼次第だろう。

 

「それでぇ、人のプライベートを立ち聞きするなんて悪い子だねぇ? 僕に何の用だい爆豪くん」

「……ちっ、気付いてたんならなんかあんだろ」

「キミにも関係ない話じゃないからね。 ヒーローとして売っていくなら、ご両親も巻き込まれる覚悟は持った方がいいよ」

 

ギンッ!と鋭い瞳で睨んでくるあたり、どんなに言葉を強く吐いても親は大切なんだね。

 

「それで、もう1回聞こう。何の用だい?」

「アンタは指名しねーのか」

「は?」

「だからぁ! プロの指名だってんだよ!」

 

プロ、プロの指名…………あ、あぁ!職場体験のか!

 

「ないね!!!!」

「ねーのかよクソがァ!」

 

うーん、素直だなぁ。

 

「悪いねぇ、僕ってば今、超忙しいんだ! とはいえ、模擬戦とか組手とかなら相手できるから職場体験が終わったら僕のところへおいでよ」

「……あぁ。スパイダーマン、聞きてーことがある」

「それくらいなら幾らでも」

「今の俺はどんくらいだ」

「…………そうだな、僕が知る人たちと比べるんなら下から数えた方が早いよ。クラスの中で言えば、5本指に入るかな」

 

こと、戦闘面においては群を抜いてトップクラスだろう。でも水難事故は蛙吹ちゃん、崩落現場なんかだと麗日ちゃん、山岳救助だと口田くん、大規模災害とか全体を見ることが出来るのは八百万ちゃん……と、総合的な面から言うと爆豪くんが現状トップになるのは難しい。ヒーローって戦って勝つだけでは成りえない。それをわかってて聞いてきたんだと思うけども。

ぐっと、顔を持ち上げたが噛み締めるように言葉を聞き続きを待つ。この忍耐が普段からあればねぇ…

 

「若いんだから当たり前だけど、圧倒的に経験値が足りない。個性は強力だけど今はその一点突破だけだ。きっとこれはこの後の授業で教えていくんだろうけどね」

「…わかった」

 

後進の育成、って難しいなぁ…スタークさんやキャップってホントすごいや……

さて、気を取り直して僕も仕事に戻らなきゃだ。 A組もB組もヒーローネームを考えて1週間の職場体験の準備を進めている。職場体験中、僕はオールマイトの相棒って立場上、教員の職務よりも街の治安維持活動を優先的に行ってるんだけど…いやほんとに事件が多いんだよねぇ。

 

「やぁ、今日も元気に……がっ!?」

 

目的の部屋の扉を開けたら顔面に金属の球体が直撃した。痛い……!

 

「おや? スパイダーマン先生!」

「おや? じゃないよ発目ちゃん! 何これ、すっ飛んできたんだけど!?」

「あぁ、それですか! それは以前、先生からアイデアを頂いていたモノを私なりにデザインし直したベイビーです! 名付けてスパイダードローン!」

「いや名前そのまんまだし!!」

 

でも僕が前に図面引いたのは本当にドローン状のモノだったのに、出来上がったのは野球ボールみたいなサイズの機敏に飛ぶ別モノ。

 

「これはですね、通常のドローンと同じく映像を中継できますし、スパイダーマン先生のホログラムを出せたりウェブを打ち込むこともできます! そしてなんてったって先生のスイングに追従出来るくらいの速度が出ます!」

「マジで!? 最初の打ち合わせよりも機能盛り盛り過ぎない!?」

「あと自爆すれば周囲3mにウェブの原液を撒き散らして集団捕縛ができますよ!」

「なんか自爆って物騒な響きが聞こえたけど! でも本当にすごいね。数は幾つぐらいあるの?」

「とりあえず一つ出来てしまえば量産はヨユーだったので十個ほど作っておきました!」

 

何この子怖い。下手したら将来スタークさんと張り合えるんじゃないの?

 

「他になにか面白そうなアイデアあったりします? 私的に緑谷さんの個性に関するベイビーを作るのも面白そうだなーとか思ってましてぇ!」

「え、んー……」

「あ、スパイダーマン先生のスーツを片方バラしていいですか」

「ダメに決まってるけど!?」

「ナノスーツかアイアンスパイダーどっちかだけ! どっちかだけでいいので!」

「二着しか無い片方を分解されたら困るんだって!」

 

このペースで僕のスーツの解析までされたらヴィブラニウムを探し当てたり、アイアンマンスーツを創りそうだから絶対に阻止しないと…

 

「……はっ!! 天啓が、天啓がきましたよ!」

「ロクでも無いお告げな気がする天啓だなぁ…」

「個性拡張型ヒーロースーツです!」

「んん? それはみんなのヒーロースーツみたいなもんじゃないの?」

 

拡張型、ってところはあまり分からないけど今のヒーロースーツはみんなの個性に合わせたスーツになってるし。

 

「いいえ、ここで言う拡張は使用者の個性とは別の方向での拡張を示します! 例えば緑谷さんですが、彼の超パワーがありますが空を飛べることはないですし、水中で息が出来る個性ではありません! なので! それをスーツによってスマートに補おうというコンセプトです!」

 

個性に合わせないスーツ……ねぇ。

 

「でもそれってかなり大変じゃない? 本人に合わない外付けの個性、みたいなモノをスーツに任せるってことだよね」

「えぇ、ゴテゴテとしたものですと戦闘の際に邪魔になりますのでガントレットとフットパーツで推進力を得れたりすればスマートですよね! 最終的にはスパイダーマン先生のアーマーやスーツの様な装着者のシルエットを大きく変えないものを作りたいです!」

 

なるほど………………いや、アイアンマンスーツじゃない?それ。

 

「まずは動力ですね! バッテリーでは容量がかなり厳しい…とはいえ、核動力は論外。 むっ、そういえばヒーロー科に電気系統の個性の方が居ましたか。 まずは彼用の装着アイテムを作って本人からの供給で割合を調べて…………!!!!」

 

あわわわ…、なんか不味いことになりそうなんだけど!?

僕のせい? 僕のせいだよねぇ! 初対面でお互いの技術的知識に興味持っちゃってナノボットとかの話をしたのが全部悪い。

 

「ふ、ふふふふふふ……ドッ可愛いベイビーのアイデアが湧き出ます! スパイダーマン先生、これから早速始めますので宿泊許可とデータの取りまとめお願いしますねぇ!」

 

あ、僕も巻き込まれるんだよね。やっぱり。部屋の隅っこでパワーローダー先生が手を振ってこっそり帰ってるし!

 

「あ、ここに先生のスーツの稼働データ打ち込んでおいてください」

「わかった。ってだからダメだって僕のスーツは極秘なの!」

 

僕一人で彼女を止められる気がしない…!

 




飯田天哉
スパイダーマンに助けられたとはいえ、ヒーロー殺しに対する怒り憎しみ負の感情はかなりのもの。それを見抜かれて面談するけど止められた訳でも無く、経験のうちと言われてしまい原作と同じく保須市へと行くことを決める。

爆豪勝己
スパイダーマンについて行ければ経験になると踏んだが空振り、実力を聞いてみるもアイアンマン、キャプテンアメリカ、ソー達なんかに比べられりゃそりゃ、下から数えた方が早いよ。 でもかっちゃんはこれからの伸びしろがヤバいからね。 きっと一人でロキとかと殴りあえるようになるよ。

発目明
やっぱり技術の特異点。個性によって遅れていた分野を発展させるとしたら彼女が欠かせない存在になり得る。目指せ宇宙開拓。
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