人格ストーリーなので内容は薄めです。ユルシテ。
「う~ん...今日のノリはいまいちだなあ...。」
筆を持った子供が、一人でぶつくさと呟いている。
目の前にあるのは、大きな真白いキャンバス。彼女の持つ物からして、彼女が何をしているのかは一目瞭然だけど...子供は何かに納得がいってないみたいだね。顔には焦りの色も見えるけど...今はそれどころじゃないみたい。
子供にはそうした気分屋な気質が多くあって、それは時に"課題"の期限との折り合いが悪くなるという面を持っているんだ。
「今は点描の気分じゃないかもな~...。」
そして子供は、この組織においては珍しく、定まった描き方というものを持っていないみたい。
何物にも囚われない描き方というものは時に反発を招くことにもなるけど...。
「ん、どうした?困ってるのか?」
「あ、野獣派の...ちょっと上手くいかなくてね、どうしよっかな~って。」
「期限までもうすぐじゃなかったか?
ふむ...それならここをこう塗るのはどうだ?」
「あ、ホントだ!ありがと~!」
逆に、他の派閥の描き方も取り込めるという点で、彼女は優れているみたいだ。
様々な描き方からインスピレーションを見出せるということは、芸術という場においては途方もないメリットに成りうるんだろうね。
そして、彼女の戦場が、こんな決められたキャンバスの上じゃないってことも、忘れちゃならなかったんだ。
「じゃじゃーん!どう、素敵でしょ!!」
「ふむ...良いだろう、合格だ。次からは指定のキャンバス上で...いや、忘れてくれ。次からも精進するように。」
彼女の芸術は優れていて、マエストロもそれを認めて彼女には特例が認められているんだ。
彼女に定まった描き方とキャンバス上で描く忠実ささえあればもっと上に行けるだろう、そう言われてるぐらいだ。それでも、子供はそれをするつもりはないだろうけれどね。
「さて、そろそろかな...。」
そう、子供にはもう一つ、仕事があったんだ。
「うーん...。」
子供の目の前には、紙の上に描かれた絵と、怖気づき震えている生徒がいる。
自分の体をも犠牲にしたのか、今にも倒れそうだけど...子供が下した評価は無情なものだった。
「これはダメかな、芸術魂が無いっていうか...。」
その言葉を聞いた生徒の顔は真っ蒼になった。落第という言葉の持つ意味を知っているだろうからね。
一度目は警告、二度目はブラックマーケットにおける保護の中断、そして三度目は...。
「う、うるせー!こんなもんクソ喰らえだ!!!」
さっきまで震えていた生徒は、自棄になったのか銃を構えたけれど...。
それより早く、子供の筆が胸を貫いた。
「皆難しく考えすぎなんだよね~...心のままシュッとしてバッとやったら出来るのに、そういうのって無いのかなあ...。」
目の前で倒れる生徒を一瞥すらせず、子供はそう独り言ちた。
その感覚を理解してくれる人は少ないだろうけれど...子供がそれを気にすることはないだろうね。
子供は、ただ描きたいものを描いているに過ぎないから。
ここに流れ着き、芸術というものに触れてからどれほど経っただろうか。
点を打ち、絵を描き、絵を眺め、気づきを得る。
その不可解さや不規則さは、私に無限の創造と想像をもたらしてくれる。
穿たれた点が集まり、真白いキャンバスを埋めて、空が生まれる。そしてその中にまたある点が、また新たな空を作り出す。
そこに空虚さというものが割り込む余地などない。
また、それらに没頭していると、自分の人生の意味が初めからそこにあったような気がしてならない。
否、実際そうなのだろう。
トリニティの襲撃に失敗した私は、羽をもがれ、打ち捨てられ、
虚しさに抗おうとしながら、結局それを享受しなければならないという現実に打ちひしがれながら、気づいた時にはここにいた。
私に虚しさを教えた者や、今思えば敵とさえ思える者もいたが...彼女らの語る虚しさなんてものに縛られることは、そもそも私にそぐわっていなかったのだろう。
無暗に抗おうとして結局折れてしまった翼は、今や絵の中に描き出されている。
そうだ。初めから、これでよかったんだ。
白紙のキャンバスに、規則的に点を打ち、世界を描き出す。この美しさに気づかないまま、勝手気ままに立ち上がる人生など、唾棄すべきものだったのだ。
だが、あの日々も決して、ただ虚しいものではない。
私の手によって新たに描き出されれば、また新たな価値を持って羽ばたいていく。それらがマエストロの耳に入れば、また一段と評価を上げていくだろう。
それを思うと、一段と軽い心持になって、そのまま「課題評価」に向かった。
私の傍に、数多の人間が群がってくる。
芸術を軽視し、空虚さで満ちた作品を出すもの。
ただ自分の命を守るために、無茶苦茶な抗いを見せるもの。
彼らを見ていると、アリウスという檻に閉じ込められ、芸術のげの字すら知らなかったあの頃の自分を思い出す。
だから、私が彼らに下す評価は既に決まっている。
D.
だが、それだけでは余りにも惜しい。彼らの抱く想念や諦観は、それ自体が芸術になるべきだ。
私の手によって、その空虚で無意味な作品に、価値を与えよう。
点を打つように、手に握っていた筆を振り回す。
絵の具のように多様で、それでいてある意味では一様な感情が、そのまま大きなキャンバスに描き出される。
赤い絵の具で描き出されたものを見て、私がつける評価は一つしかないだろう。
A+.
感想やお気に入り、投票などしてくれると作者がとても喜びます。
それと、リクエストも募集しているので、感想などに書いてくだされば書こうと思います。
とても今更ですがpixivの方でも纏めております。演出等の都合上こちらの方が出来は良いと自負してはいるので誘導してなかったけど、折角なので。
https://www.pixiv.net/novel/series/12497913
プロムン関係無い純粋なブルアカ創作をここに載せてもいいか
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ええよ
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あかんで