お茶濁しではあるんですが、実はこの概念割と気に入ってたりするのでいつか本編で長めに九人会エンジニア部を書きたいな~とも思ってます。いつかね。
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「クソッ、何だよお前ら...ここで何してんだよ...。」
「こちらの台詞だ。何が目的でここに立ち入ってきた。」
縛り上げられたヘルメット団員が藻掻く中、それを無視するように奇妙な格好の者達が尋ねる。
廃墟の中には、彼ら以外に人はいない様だ。代わりにあるのは、キヴォトスが成立する前にあったという、遺物ともいうべき技術と、それを元にした物品が眠っているという――所詮噂程度の情報だった。
だが、それに釣られてこの場に顔を出す者もそう多くないし、未だにそう言った人間が後を絶たないのも、その噂が真実であるという何よりの証だった。
「お前たちも知ってんだろ?ここに太古の遺物だか何だかがあるって...。」
「興味もないな。技術なんて唾棄すべき物だ。」
「けっ、すまし顔しやがって。」
ヘルメット越しでも分かるぐらいの悪態をつきながら、縛られた者は足掻きながらもズルズルと引き摺られていった。
「大体、お前たちは何者なんだよ!」
「技術開放連合軍、とだけ言っておこう。詳しくはリーダーにでも聞くといい。あの方は他愛もない雑談を好まれるからな。」
それだけ答えると、技術開放連合軍を名乗る者達はまた押し黙った。これ以降は口を開きそうにも無いことを察すると、ヘルメットの方も黙り、暫くは人を引き摺る音だけが空虚な廃墟に響いた。
暫くすると、襖がその場にいた全員の目に入った。
廃墟の中にそれがぽつねんとある光景は、奇妙と言わざるを得なかった。
だが、連合軍の方はそれに慣れているのか、構わない様子で襖の向こうに言うように声を出した。
「リーダー、また一人捕まえました。」
「...入れてくれ。」
襖の向こうから、一際落ち着いた声が聞こえた。その言葉に応じるように、連合軍の一人は襖を静かに開けた。
少し開けただけで、襖の隙間から花の香りが漂ってくる。隙間が大きくなるごとに、香りも強まり、広がっていく。
完全に開け切られたその奥には、一人の女性が座り佇んでいた。だが、周囲に生えている花が影になって、姿はよく見えない。辛うじて表情は読み取れるが、どうでもよさそうな顔をしている。
「...その人が、かい?」
「ええ、また此処から何かを盗もうといたようで...。」
「分かった。下がって貰って構わないよ。」
彼女は連合軍達にそう優しく言い放ち、それに応えて彼らもまた何処かに引き下がっていった。
今この空間に残っているのは、ヘルメット団員と、眼前にいる女性だけだった。
「あんたが...ここのリーダーって訳か。」
「...そうだね。」
暫し躊躇うような沈黙を残した後、女性は一言でそう返した。
「それで...どうして此処に来たんだい?此処には――何もないはずなんだけどね。」
「何もないはずは無えだろ!昔の技術が残ってるって聞いたから来たんだよ!!それともなんだ、分けるのが惜しいから嘘ついてんのか?」
それを聞いても、何のことか分からないといった風な顔で、女性は無言を貫いた。
「答えろよ!!」
「本当に何も無いんだよ。此処には、この花ぐらいしか無いさ。」
「何も無いってんなら、何でここにいるんだよ!!」
その怒声に対して、呆れたように溜息を吐いた後、女性は音を立てて何かを鳴らした。
それは、扇子が開く音だった。
瞬間、え辛い香りが、空間に満ち満ちた。その匂いと雰囲気の物々しさに、必死に叫んでいた者も言葉を飲み込んだ。
「花には――各々が咲くに適した場所があるだろう?それと同じさ。」
「はぁ?意味分かんねえよ...。」
淡々と言われる、その雲を掴む様な会話にヘルメット団は呆れた声しか出せなかった。
それに、そう言った反応しか出来なかったのには、また別の理由があった。
「何だよ、その頭...。」
「...昔を懐かしむ気持ちが、こうして私を咲き誇らせたんだ。」
そう言う女性の視線は、何処か遠くを見詰めていた。
そのまま、花を掻き分け静かにヘルメット団に近づいてきて、先程まで叫んでいた者も、その威圧につい後退ってしまった。勿論、女性本人に威圧する意志は無かったのだろうが。
「君は...。」
女性が、静かに口を開いた。
「君は、この様に燦然と咲き誇る花を見たことはあるかい。」
「は?」
「無いだろうね。今や花々は造花で事足りてしまう。けれども、彼等はそれが耐え難がったんだ。」
まるで他人事かのように、女性はそう宣った。
「技術は――確かに笑顔を生み出すけれど、そこに生まれる責任や渇望が、やがて切に願っていたものを奪ってしまうんだ。
技術が無かったら、君がこうやって何かを盗み出そうとすることも、無かっただろう?」
その女性の言葉に、圧倒されていた人は暫く言葉を失っていたみたいだけれど。
「いや...それでも、技術があったからこそ助かったり便利な所もあるし...。
それに――」
一息ついた後、ヘルメット団員は続けた。
「昔の技術の遺物とか...ワクワクするじゃんか。」
その言葉に、女性は目を丸くした。その後、何かを思い出すように、遠く上を見詰めたのちに、柔らかい笑顔で口を開いた。
「それも――そうだね。」
「え?」
予想外の答えに口から何とも言えない言葉が漏れ出る中、女性はニヤリと笑いながら続けた。
「私は、きっと彼等とは別の夢を持っている。
初めて何かを発見した喜び、何かを作り出した楽しみ、その感覚を忘れたくなかったんだ。
どんな責任も渇望も無く、純粋な歓びを味わえたあの日を――この香りに載せて、深く味わいたいんだ。」
「...あんた、名前は何だよ。」
呆れたようにそう聞いてくる言葉に、女性は素直に答えた。
「白石ウタハだよ。」
「...ハハッ、道理でな。」
「と、言うと?」
キョトンとした口調で聞き返すウタハに、ヘルメット団員は笑いながら答えた。
「マイスター...いや、部長。」
「...もしかして、君は――」
「昔は、あんたを慕っていたし、だからこそ、自分勝手に消えた時には恨んだりもしたさ。
でも、その夢を――私はやっぱり応援したいな。」
その言葉とともに、血に濡れた花に囲まれて、ヘルメット団員は静かに倒れ伏した。
そのヘルメットを外して、静かに顔同士を近づけた。
遠い記憶に土を被せて埋めた、名も無き懐かしい顔がそこにはあった。
「...私は、この道を辿り続けるよ。たとえ、昔に置いてきたものを全て、切り捨ててでも...。」
彼女の心は、何よりも強靭で、しなやかだった。
けれども――否、だからこそ、かつて大切だったもの全てを土に還さんとする、その決意は誰にも手折れなかった。
それを抱えたまま、ウタハは――漸く、燦々と咲く花達と共に立ち上がった。
そして――。
「部長、どうして...。」
「説明...してください...。」
悲嘆の中でそう叫ぶ子供達が、ウタハの目の前に立ちはだかる。その背後には、見知らぬ大人もいた。
己がかつて住み着いていた古巣の光景を懐かしみながら、その郷愁を掻き消すように音を立てて扇子を閉じた。
子供達のことは、心から愛していた。だからこそ、扇子でその顔を隠すように立っていた。
それは、今から行うことから目を背けようとしたからか、過去に遺した想いを全て覆い隠すためか、そのどちらもだったのだろう。
もう、ウタハの中で、向かうべき道と、それを辿る心は決まっていた。
それを、燦然とした花香に囲まれた中で、聢と確かめたからこそ。
「咲き誇れ。」
その言葉とともに、扇いっぱいに込められた、血を宿した香が満開になった。
ご拝読ありがとうございました。
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プロムン関係無い純粋なブルアカ創作をここに載せてもいいか
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ええよ
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あかんで