今週これ書いたから濁流ホシノはサボっても...え、ダメ?じゃあビ先生をサb...それもダメ?そっかあ...。
あ、毎度のことながら評価感想お気に入り登録嬉しく頂いてるのでしてくれよな!
「先生、少し良いだろうか。」
殆ど人が居ないシャーレの一室、その中で仕事をしていた先生は、当番だったサオリに唐突に切り出されて目を丸くした。
「何かあったの?」
「ああ。少し...手伝って欲しいことがある。」
躊躇う様に、サオリはそう切り出した。
「遠慮しなくても良いよ。」
「実は...この前アズサと偶然出会ってな。」
サオリの話はこうだ。
道端で偶然出会ったアズサと話をしたが、その中で一つ、興味深い噂話があったという。
「アリウス自治区にクリスマスプレゼントを作る工場がある」
一見荒唐無稽な話だし、出所すら謎な話題だが、不思議と認知度はそれなりにある。
何せ、先生自身も、当番の子供からちらりと聞いたことがあるぐらいだ。勿論、先生自身は話半分にしか聞いていなかったが。
「それで、どうしてその話を?」
そう聞いてみると、サオリは一瞬顔を赤らめ、口を開いた。
「その...姫達に、プレゼントをだな...。」
「アツコ達に?」
「ああ。クリスマスは、プレゼントを渡す日なんだろう?」
かなり単刀直入にそう聞いてきたサオリに、何ともまあ彼女らしい捉え方なのだろうかとも思いながら、先生は取り敢えず首を縦に振った。
「でも、プレゼントなら買えば──」
「金を工面しようと思ったのだが、上手くいかなくてな...。」
「お金なら出すよ?」
「いや、それは先生にも迷惑だろう。...いや...。」
そこまで言って、サオリはまた躊躇う様な間を置いた後、続けた。
「すまない先生、今の話は忘れてくれ。
結局、これは私だけの問題だった。無闇に先生を巻き込むものじゃなかった。すまない...。」
申し訳無さそうにそう言いながら、サオリは身を一歩引いた。彼女にはそう言った所があるし、それもまた魅力の一つと言えようが、矢張り先生としては頼って欲しいと思っていた。
だからこそ、先生は引きさがろうとするサオリを引き留めるように、腕を伸ばした。
「いや、私も着いていくよ。」
「でも...。」
「私も、生徒へのプレゼントを探したかったからね。」
「...ズルいな、先生は。」
「大人だからね。」
そう言って、先生は少し笑った。釣られる様に、サオリもまた笑い出した。
その後、何時何処で落ち合うかを決めて、その日は解散となった。
丁度雪がしんしんと降っているのを横目に、コーヒー片手にまた暫くの作業に取り掛かった。昔はサンタ何てものを信じてたっけ、などと無為に考えて見た。その時は、こんな時間まで起きてられなかったし、もっと純粋な子供だっただろう。今はもう大人だ。それが何だか少し寂しくなって、コーヒーをまた一杯煽った。
「ねえ、姫ちゃん...本当にあるんですかね...。」
たどたどしい足取りで歩くヒヨリが、その数歩先を軽やかに歩くアツコにそう問い掛けた。
時々躓きそうになるのは、矢張りこの場所――アリウス自治区が、先の戦いで一層荒れ果ててしまい、瓦礫を片付ける者も居ない為だろう。そもそも、この場所トリニティがアリウスを吸収合併しようと動いてはいるものの、矢張りここは放棄されることが前提になっている。に近寄る人間すら殆どいないし、いたとしても、カタコンベのパターンを調べ尽くしてまで来るなど、余程の好き者だろう。だがそれも、外部の人間に限った話で、元アリウス生の三人――アツコとヒヨリ、ミサキにとっては、古巣であり通いなれた場所なのも、また事実だった。
「さあ、私も分からない。」
「けほっ...じゃあ何でこんな所に戻ってきたっていうの...。」
淡々と返すアツコに、ミサキは埃に咳込みながら恨めしそうにそう言い返した。
「プレゼント工場を探しに、だよ。」
彼女たちもまた、アリウス自治区の噂を聞きつけて、こうして三人揃って古巣を歩き回っている。とは言え、未だにその工場とやらは見つかっていないのだが。
「それも噂じゃん...。」
うざったい気持ちを前面に出して答えるミサキに、アツコはまた微笑みながら答えた。
「でも、サッちゃんにプレゼント、渡したいでしょ?」
「それは...。」
その言葉に口ごもったミサキを見て、肯定と受け取ったアツコはまた歩き始めた。どうやら後ろのことはあまり気にしていないらしい。
「さ、サオリ姉さんにプレゼント...えへへ...。」
「...はあ。」
そう言いながら、或いは溜息を吐きながら、二人も追い付こうと彼女の後に続いた。
暫く歩いている内に、アツコが突然立ち止まった。
「ど、どうしましたか...?」
そう尋ねるヒヨリに、アツコは静かに向こうの側を指差した。その方向には、小さな影が幾つかあるようだ。瓦礫に遮られて、何が動いているかまでは、誰も見えなかった。
「犬や猫...では無いですよね...。」
「それにしては少し大きいし、違うと思う。」
「じゃあ一体...。」
三人で陰に隠れながら話しているうちに、小さな何かは少しずつ動いて行っていた。それを見逃すまいとして、三人は一緒に身体を乗り出した。
漸くその姿が見えた時――三人は言葉を失った。
赤や緑の、人間よりも二回り程小さい生き物が、まるで玩具の様な音を鳴らしながら歩いている。その足取りは一直線で、目的地があるように見えた。
「...着いていこう。」
「...本気で言ってる?」
ミサキの呆れの混じった声に対して、アツコは矢張り自信に溢れた声で答えた。
「大丈夫、見つかってまずそうだったら、相手すればいい。」
その顔を見て、ミサキは説得を諦めた。こうなった時の彼女を止められる人間は、恐らく先生ぐらいしかいないだろう。
結局、ゆっくり歩きだしたアツコを、二人は追いかけることしか出来なかった。
また暫く歩いていると、大きな建物が視界に入ってきた。無機質な外壁に、乱雑に煌びやかな装飾が施されている。
「あれって...。」
「ぶ、武器工場...でしたよね...。」
三人の記憶では、あの場所は弾薬や銃火器等を作っていたはずだ。無論、あのような装飾など無かった筈なのだが。
例の生物は、矢張り喧しく足音を立てながら、工場の中に入っていった。
「流石に帰らない?」
「...いや、行ってみよう。」
流石にアツコを止めようと試みたが、それでも尚彼女は譲らない。それどころか、少し目が輝いている様にも見える。興奮しているのだろうか。
「だって、面白そうだし。」
興奮していた。間違いなく。最早呆れて、ミサキは声すら出なかった。
「で、でも...危なくないですか...?」
ヒヨリも流石に止めようとはしたが。
「多分、あれはプレゼント工場。だから、雑誌とか食べ物とか、貰えるかも。」
その言葉に、唾を飲み込む音が聞こえた。
「それに、ここまで来て引き下がるの?」
「そ、それは...。」
暫く沈黙が続いた後、ヒヨリは意を決した顔をした。
「い、行きます!」
「ちょっ、あんた達正気!?」
ミサキも珍しく声を荒げたが、構うことなく二人は工場に入っていこうとしていた。
ミサキはその背中を見詰めながら、矢張りまた大きく溜息を吐いた。
「ふふっ、結局皆で来ちゃったね。」
大きな空洞の中に、アツコの声が静かに響いた。工場のエントランスと言える場所には、先程の生物はいない様で、この言葉を聞いている者も、三人以外この場にはいなかった。
「私は、あんたらが心配で...。」
「素直じゃないね。」
言い訳するようにぶつくさ呟くミサキに、アツコはバッサリ言い切った。ミサキにも、それに対して言い返せる元気は無く、ただ溜息を吐くだけだった。
「そ、それで、雑誌は...。」
「それじゃあ、探し回ろっか。」
その言葉とともに、アツコは奔放に目の前にある扉を開けた。
その奥に広がっていたのは、大量のベルトコンベアと、その上に載って動いている数多の箱だった。包装などもきっちりされている様に、三人の目には映った。
「おお...!」
「噂...本当だったんだ。」
「せめてアツコは確信してないと駄目だったでしょ...。」
三者三葉に口々に言葉を並べながら、目線は皆コンベアと箱の方に向かっている。
「それじゃあ、貰って――」
貰っていこう、その言葉は途中で途切れた。近くから、あの足音がしたからだ。
「隠れて!」
ミサキのその声と共に、三人は同時に近くにあった看板の裏に隠れた。
その直後に、矢張りあの生き物が、今度は赤黒い袋を引き摺って、先程まで三人が立っていた場所まで歩いてきた。
「さっきまで誰かいた様な気がしたノムけど...。」
「そんなことより、早く運ぶノム!工場長にまた怒られるノムよ!!」
妙に甲高い声を上げながら、生物達はまた動き始めた。
「...ねえ、あの袋...。」
「...動いてるね。」
距離が離れているせいで判りづらいが、あれらが運んでいる袋は、藻掻くように少し蠢いている様に見えた。
それが何だか酷く不気味に思えて、一層息を殺すように静かになった。
「ひ、姫ちゃん、ミサキちゃん、この看板...。」
そう言いながら、ヒヨリはそっと壁にしている看板に指を差した。
先程までは慌てていて気付かなかったが、その看板には目のように見えるデザインが施されていた。
「ど、どういうことなんでしょうか...。」
「...まさか――」
最悪の予想が、ミサキの頭を過った。だが、それを口に出す前に、あの生物たちが、目の前まで姿を現した。
向こう側も、三人の存在に気づいてしまったようで、直ぐに驚いたような声を出した。
「人間だノム!?」
「侵入者ノムか!?」
大袈裟に慌てふためきながら、二匹の生き物は口々にそう叫んだ。
それに掻き消されまいとするように、袋も先程より大きく動きながら、中からくぐもった声が飛んできた。
「誰かいるのか!?た、助けてくれ!!」
その言葉に、真っ先にミサキのバズーカが火を噴いた。
強烈な爆音とともに、肉が弾ける音を出しながら、生き物達が壁の方向に吹っ飛んだ。
「ミサキさん、大胆ですね...。」
「うっさい、早く開けるよ!」
その言葉を皮切りに、三人一緒にそれぞれ袋をこじ開けた。中から肉や血の腐る悪臭が漂う中、一人の少女が引き上げられた。ウルフカットの金髪は紅く染まっていて、少し痩せ細っているのは元来の性質だけのものではないだろう。
「はあ、はあ...ありがとう...私まで死ぬところだった...。」
そう言う少女の体は、血に塗れている。良く見ると所々肉片が引っ付いており、異臭の原因だと直ぐに勘付いた。
「...よく見ると、もしかしてお前...ロイヤルブラッドか?」
「...知ってるんだ。」
意外そうな声を上げるアツコに、少女は淡々と返した。
「お前は覚えてないだろうけど、私も元々ここの出だ。ベアトリーチェが死んでから追い出されるように出て行ったけどな。」
そこまで話して、立っていられない程疲労しているのか、その場にどさりと座り込んだ。
「貴女は何でここに?」
「あ?何でって、あの噂知らないのか?プレゼント工場だかがあるっていうからくすねて金にしようかと思ったんだよ。」
好奇心混じりで聞いてきたアツコに、少し苛立ちの色を見せながらも、少女はそう答えた。
「というか、むしろお前達も何でここにいるんだよ。」
彼女はまた、呆れたようにそう聞き返した。
漸く自分に引っ付いている物に気付いたのか、不快な音に堪える顔を見せながら肉片を叩き落としている。
「私たちもプレゼントを貰いに来たの。サッちゃんにプレゼントを渡したくて。」
「サッちゃん...ああ、サオリのことか?アレも愛されてんな全く。」
そう言いながら、引っ付いていた物を粗方落とし終えると、ゆっくりと立ち上がって口を開いた。
「兎に角、此処からは離れたほうがいいだろうな。分かるだろ?まともな物なんざねえよ――」
その言葉は続くこと無く、顰めっ面と共に途切れた。
「ああ、その中はもう覗かないほうがいいぞ。手脚の離れた胴体とか細切れの指とか、見たくないだろ?
くっそ、思い出すだけで吐きそうだ...。」
袋を興味深しげに覗こうとするヒヨリに、少女はそれだけを言った。ヒヨリは悲しげに少し項垂れたが、また直ぐに顔を上げた。それはただ立ち直った――訳では無いようだ。
「ま、また何か近づいてます!」
「...仲間が来たみたいだね。」
その言葉に合わせて、三人は一斉に武器を構えた。同時に、反対側から例の足音が響いてくる。先程よりも数が多く、また一回り大きいものもある。
「お前たちが侵入者ノムか!!」
ゴンベアの駆動音を掻き消す程の大声をあげながら、一回りほど大きい生き物が、小さいものを複数従えてぬっと顔を出した。それらは先程のものとは違い、トンカチやペンチ、ノコギリを手に握っている。それらが所々赤く染まっているのには、想像したくない理由があるのだろう。
「...皆、相手しながら逃げるよ。」
「あんた、立てる?」
「あ、ああ、何とかな...。」
その言葉に静かに頷くと、ミサキはバズーカを構えた。それに合わせるように、二人も各々武器を取り出した。
暫くの間は、銃弾と爆発の嵐が生き物達を襲った。肉の焦げる臭いや血の吹き出す音、このキヴォトス上には存在しない不快な感覚と共に、襲ってきた者共を一旦は蹴散らした。
「や、やりました、かね――」
「――!ミサキ、避けて!」
安堵の息を吐いたヒヨリの身体が、ミサキの声と共に突き飛ばされた。その直後に、爆煙を切り裂くようにノコギリが一筋、ヒヨリの首筋をちらりと搔き切った。掻き分けられた煙の奥には、まだ黄色い目が幾多も光っていた。
「まだいるみたい...。」
「ヒヨリ、大丈夫?」
「だ、大丈夫です...少し痛いですけど...。」
そう言いながら、少し切れた首を撫でた。まだ痛むが、アリウスという環境で育った故か、或いはキヴォトスの神秘の所為か、既に傷口は塞がっていた。
「やっぱり死ににくいノムねえ...。」
「どうせいっぱい叩いて潰せば死ぬノム!」
そう言いながら、また生物が続々と奥から現れて続けている。
撃つ、殺す、撃つ、殺す。
暫くの間は繰り返していたが、それでもこれらが途絶える様子は微塵も無い。それどころか、弾薬が時毎に消耗されている所為か、増えているようにさえ思えてくる。
やがて、取り囲まれるように、生物たちが横からも姿を出し始めた。
「まずいね、このままじゃ...。」
「や、やっぱり生きていくって辛いんですね...。」
「こっちの扉が開いてる、入ろう。」
そう言いながらアツコが指差した先には、無機質な扉が一つ立て掛けられていた。何やら怪しい様な気もしたが、今はそれを気にしていられる程の余裕を誰も持っていなかった。
「分かった、開けるよ!」
その言葉と共に、扉が軋む音を立てながら開いた。
中にはボロボロの机や椅子がある程度で、簡素すぎる、言い換えれば何もない部屋だった。
「ここまで来れば、大丈夫かな。」
扉を静かに閉めてその場にあった物で簡易的なバリケードを組みながら、アツコはそう言った。
それに安心しきったのか、全員が床に倒れ伏すように腰を落ち着けた。
「それで...これからどうしましょうか...。」
ヒヨリの言葉の通り、ここからどうにか出来る手立てがある訳でも無かった。
気付けば諦めたのか、生物達の物音は不気味なほどにしなくなっている。
「...ここ...。」
アツコが、唐突にそう言い始めた。いつの間にか、壁際を歩き回っていたようだ。
彼女が指差した所には、小さな穴があった。人が一人通り抜けられるほどの大きさは無い様だが、興味深しげにしきりに中を覗いている。
その瞬間、その隙間から、ガスが漏れ出る音が響いた。
同時に、赤と緑が混じった煙が、部屋中を満たした。
息を吸うまいと口を塞ぐ者、真面に吸う者、何とかして扉を開けようとする者、慌てて隅に隠れる者、様々居たが。
結局皆、耐え切ることができず、ゆっくりと意識を手放していった。
「ようやく捕まったノムか?」
「散々手こずらせたノムねえ...。」
あの声が、先程の隙間から響いていく声だけが、涅める意識の中に溶けいった。
次に目が覚めた時、四人は縄で縛られていた。
足元ではゴウンゴウンと機械が動く音がする。否、その音と一緒に、彼女達の身体も一緒に揺られているようだ。
周囲を見回してみると、LEDのか細い光の中、数多もの生き物達が、机の上で何かを切り刻んだり叩いたりする音が響いている。大量の箱が積まれては何処かに運ばれているのを見る限り、ここでは"プレゼント"を作っているようだ。
「捕まったみたいだね、私達。」
「はあ...やっぱりこうなるんだ...。」
「やっぱり生きていくのって難しかったんですね...。」
「クソッ...欲なんて掻くんじゃなかった...。」
四人四色に口々と、アリウス出身らしいといえばらしい恨み言やら遺言やらを並べながら、結局は皆一様に諦めの表情を浮かべていた。
何せ、ゴンベアの先には、身の丈の数倍、数十倍はあるであろうプレス機が待ち構えていた。
「生きている材料は新鮮ノム!!」
「これなら貰う奴らも満足するんじゃないかノム?」
傍で何かを作っている生き物達も、喜ばしそうな声を上げながらそう囁きあっている。
プレス機が目の前まで来て、いよいよ皆して目を固く瞑った瞬間だった。
ドン、という鈍い音とともに、眩しい光が部屋中を覆った。
「大丈夫か!」
「皆無事!?」
その声とともに、二人の人影が、光を背に現れた。
ご拝読ありがとうございました。
毎度のことながら、感想やお気に入り、評価などしてくれると作者がとても喜びます。
それと、リクエストも募集しているので、感想などに書いてくだされば書こうと思います。
マシュマロも開いたよ!俺、いいアイデアが思い浮かんだ...人は投げつけてくれると喜びのたうち回ります。
https://marshmallow-qa.com/pfrcn2t7nqzsj38?t=hb5gJk&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
...このテンプレも毎回変えたほうが良いんですかね、面倒だけど。
プロムン関係無い純粋なブルアカ創作をここに載せてもいいか
-
ええよ
-
あかんで