鏡の中の青春   作:ひいろの鳥

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ワルプルギスで告知された魔弾がかっこよすぎたので書きました。濁流ホシノとかは...後日出します、ハイ。
今回は晴らし無しの曇らせかつ生徒4人分纏めての投稿です。私は曇らせが苦手ですが(免罪符)、どの生徒のやつがぶっ刺さったかは教えてください。私も色欲共鳴します。
それと、先日ファンアートを頂きました。めちゃ嬉しいです。もし描いてくださるのであれば、作品名を一緒につけてくだされば頑張って捕捉しますのでよろしくお願いします。FAタグなんかは...自分が作るのも烏滸がましい気がするので、要望があるまで作るつもりは無いです。悪しからず。

毎度ながら評価感想お気に入り登録等ありがたく受け取っています。感謝!


魔弾の行先

シロコ*テラー

 

間違いと言うならば、きっと、その瞬間が最大の過ちだったのだろう。

 

ホシノ先輩が暴走した。理由も原理も分からない。

ただ、妖しい光と灼けそうな程の熱が、一帯に広がっていて、その中心に揺らめきながら立つホシノ先輩がいるという事だけが、事実としてあった。そして、空崎ヒナ──この都市の中で、最も強いと言う人、その人が倒れ伏し、その周囲には抉り穿たれた跡が残っている。それらが、その惨い程の強さを表していた。

 

きっと、今の先輩には、誰も勝てない。直感的にそう思った。そしてそれは事実だった。避けるのでやっとだし、近づくことすら出来ない。

だから、諦めかけていた。アレが──宙に浮かぶ何かが、現れるまでは。

 

それは、私に言い掛けてきた。

 

曰く、今のこの状況を打開する力を与えると。

狙ったもの全てに当たるが、最後には愛する者の心臓を穿つ弾丸を与えると。

 

私は、迷うこと無く──

その力を受け取った。

そして、静かにその銃口を、先輩──否、先輩()()()()()に向けて、引き金を引いた。

 

心臓の在り処を見つけ出し、

それを確実に穿つように狙いを定め、

全てを──先輩の抱える全てを、何もかもを貫くように、

愛情も不安も憐憫も後悔も、全ての感情を加速させ、

 

 

 

 

 

先輩は死んだ。

私が殺した。

私の愛する人は、最初の弾丸で死んだ。その事実に耐えきれず、ワンワン泣いた。そんな事しても、二度と生き返らないと言うのに。

 

周囲にいる皆が何かを言っている。私を慰めているのかもしれない、貶しているかもしれない、私には何も聞こえなかったが。

 

そしてまた、私は知っている。

私の世界に、大きな穴が空いたことを。その穴は誰にも埋められないということを。

そして、この穴は広がっていって、いずれこの世界を飲み込んでしまうだろうという事も。

多分──否、絶対に私は、皆と一緒に生きられない。その内に、この世界諸共、私の弾丸によって、死んでしまうだろう。

ならば、一発ずつ。

 

次に撃ったのは、ノノミだった。視界に、愛する人を入れたくなかった。

ノノミも矢張り、その一発で死んだ。

 

セリカとアヤネも、続いて穿たれた。

先輩達が大切にしようとしたものを残したくなかった。

そして──

 

 

「シロコ...。」

 

先生は真っ直ぐと、私を見つめている。

きっと、こうなってしまった私にすら、手を差し伸べようとしているのだろう。でも──

 

「手遅れだよ、先生。」

 

そう言うと、先生は哀しそうな顔をした。

 

「でも」

「どうするって言うの?私の愛する人は全員──」

 

死んだって言うのに。

 

「シロコはさ」

 

それでも、先生は続けた。

 

「それでいいの?」

「...どういうこと?」

 

「私は、シロコがそれでいいなら、受け入れる。でも、君自身がそれを望んでるのか、私には分からない。」

 

望んでいる訳が無い。そう言いたかった。でも、代わりに腕が、先生の胸に銃を差し向ける。

そうしなければならないように。

私の衝動が、私の愛する者を全て殺してしまえと叫んでいる。

そして、その先はきっと──

 

「...私は、君に責任を背負わせたくない。

だから、せめて──私を忘れて。そして」

 

先生は優しく微笑みながら、銃身を掴んで、ゆっくりと自分の胸に押し当てた。

 

「撃て。」

 

銃声が、静かな夜の砂漠に響いた。

周囲には、息をしないものしか居ない。愛する者は全員、この世を去った。

 

頭上にいた、雷を放つ神を撃ち抜いたが、弾丸は消えなかった。

最後の弾丸は、何処かに消えてしまった。

 

 

その後、キヴォトスは荒れ果て、やがて消滅した。私のせいだっただろうし、或いはそれに乗じた他の何かが直接壊したのかもしれない。

確かなのは、私は衝動に駆られるままに、銃を撃ち続けたという事だ。

そしていつの間にか、世界を渡る能力も得ていた。そのまま、衝動を抑えきれずに、色んな世界を見て回った。

だが、どんな世界にも共通することと言えば──

 

全ての世界は、どんな形であれ終わりを迎えるということ。

そして、その原因に、少なからず私がいたこと。

私が、大切な皆の笑顔を奪い続けているということだった。

 

だから、私は私が許せない。

全ての世界のシロコを殺さなければならない。それが、私に出来る、ただ一つの責任の取り方だ。

大切な人との約束は、今も違い続けている。こんな私を見たら、どんな先生でも、きっと手を差し伸べようとするのだろう。

でも、そうして、私の事が大切になったら──

 

きっと、それこそが私の終わりで、私は喜んでこの銃を撃つだろう。


城前サオリ

 

その力を受け取ったのは、あの計画──エデン条約の強襲が為される直前だった。

アリウス自治区の瓦礫の中にいた何かを引っ張りあげてみると、ソレは意気揚々と言い出した。

 

「お前にこの弾丸をやろう。

弾丸は全部で七発、そしてこれらは全て、お前の望むところに当たる。

だが、最後の一発は──」

 

お前の大切な人を貫き、殺すだろう。

 

その時、私は力を欲していた。この現実を変えられる力を。あの大人を殺す力を。アツコを幸せにする力を。

 

この虚しさから解き放たれる力を。

 

私はその銃を受け取り、来たる日を待ち望んだ。

エデン条約の調印の場が、爆炎で硝煙で包まれる、その瞬間を。

 

 

 

先生は死んだ。呆気なく、虚しく。

魔法の弾丸は、全てをすり抜けて、あの者の心臓を貫いた。

 

空崎ヒナは、その死体を踏み越えるように、肩を怒らせながら此方に向かってきた。当たり前だとも言えた。先生が慕われているということは知っていたから。

だが、だからこそ、大人によって形成された劣悪な環境に身を置く私にとって、その存在は――大人によって幸福を享受しているその者を、否定したかった。

否、今までそんなことは考えたことすらなかったはずだ。それなのに、今はその衝動に駆られている。

そして、その衝動のままに――

 

空崎ヒナの心臓も、撃ち抜いた。

それでも、少しは耐えたが。いずれ、時間の問題だった。

 

それで、エデン条約における私達の使命は終わった。

ベアトリーチェ、あの憎むべき大人から、アツコを取り返せる――

 

筈だった。

 

 

「...そうですか。ご苦労様でした。」

 

それだけ言って、その大人はアツコの手を引き、そのまま奥に下がろうとした。

 

「待て、ベアトリーチェ。約束が違う。」

「約束...はて?そんなこと言いましたか?」

 

肩を震わせながらそう言ったが、目の前の大人は白を切った。

分かっている。このままこの大人を殺してしまえば、私たちもただじゃ済まないだろうということなんて。

いつもの様に虚しさに溺れて、またいつもの様に空っぽの明日を過ごせばいい。それが最善だし、それを手放す理由もなかった筈なのに。

その思いとは裏腹に、銃口はその大人の胸元を向いていた。

 

 

赤い血溜まりを踏み締めながら、姫の元に向かおうとした。

けれど、そうする資格が、今の自分には無いような気がした。

 

「大丈夫だよ、サッちゃん。」

 

代わりに、アツコが私の傍に歩み寄り、抱き締めてきた。

 

「こうしなきゃ、私も居なくなってたから。サッちゃんは悪くないよ。」

 

私は姫の顔を見れない。見る資格なんてない。

ただ、ギュッと肩を抱き寄せて、胸に顔を埋めさせた。今の顔はきっと、酷いものだろうから。

 

 

矢張り、ベアトリーチェが消えてから、アリウス自治区は一層荒れた。望んだ明日を掴むことすら儘ならず、結局トリニティにあった廃墟にまで逃げてきた。

そこで──一番で会いたくない者と出会った。

 

「錠前サオリ...。」

 

ガスマスクを着けた子供が一人、私達の前に立った。

いつしか私達の元を離れた裏切り者、白州アズサだった。

 

「お前が、先生を殺したのか。」

 

その言葉に、無言で頷いた。言葉は発したくなかった。

 

「何故だ!何故そんなことを...!」

 

決まっている。私の望む明日を掴む為に。掴んだものを手放したくなかったが為に。

それらは、以前であれば手にしても虚しいものだと、切り捨てただろう。けれど、今は──強欲にも、それらを全て欲していた。

何故かは分からない。力を持ったからか。しかし、その為に、目の前にいるかつての仲間を切り捨てるのは──

 

気づけば、私はアズサを撃ち抜いていた。

目を背けたかった。けれど、私に囁きかける何かが、それを許さなかった。

周りにいる仲間が何かを言っているが、それらが私の耳に入ることは無い。

私の魂は、地獄に向かって歩んでいる。私の為に、何もかもを捨ててしまう地獄に。

留まろうと思いたかった。それなのに、私の中に渦巻く衝動は歩みを止めなかった。

 

ヒヨリを撃ったのは、何故だったのだろうか。

アイツが耐え切れずに逃げ出そうとした時、私はその後のことを恐れた。虚しかった明日を、醜く抱き抱えたまま、その恐れと共に、撃ち抜いた。

ミサキも、その時に一緒に撃った。私の前に立ちはだかったから。否、むしろアイツらはそれを望んだだろう。私だけが、逃げ出したんだ。

この虚しさに満ちた現実から目を背けて、衝動と欲望の地獄に逃げていったんだ。

 

私はもう、姫とは一緒には居られなかった。

姫は私と一緒に居たがったが、私は私の事しか大切に出来ない。一緒に、この虚しい現実を生きられる人間では無くなってしまった。そして、そんな私に着いていくよりも...姫は一人でいた方がいい。

...否、それもまた、私が大切だからこそだろう。私が大切だから、こうして──私自身に銃口を向け、何もかもから解き放たれようとしている。だから、最後の弾丸も、私のことを貫く筈だった。

 

弾丸は、私を貫かなかった。

その事実に、私は最悪の想像をして、駆け出した。その想像が現実にならないことを、切に願った。だが、その願いを聞き届ける者は居なかった。

姫が──アツコが、胸に穴を開けて死んでいた。

その時、漸く気づいた。思い出したと言った方が良いかもしれない。何故明日を切に望んだか、何故全てを捨ててでも明日を手放さなかったのか。

私が大切にしていた人は──

 

 

何者かが、私の背中越しにケタケタ笑っている。

私は地獄に堕ちきれず、現実からも見放された。

或いは、あの時の悪魔は、この瞬間を切望していたのだろうか。


静山マシロ

正義とは何か、考えたことはあるだろうか。

私は、幾度となくその疑問と向き合ってきた。時には本を読んでみたり、大人に聞いてみたりもした。

それでも、明確な答えは分からなかった。

 

今、私の手には一丁の銃が握られている。青と黒を基調とした、少し古臭いマスケット銃だ。何故こんなものを握っているのか、その経緯は定かではない。確かなことといえば、この銃から放たれる弾丸は狙ったもの全てに当たるということ。そして、最後の七発目は、愛する者に当たるということ。

 

初めは半信半疑だった。ただ、任務の最中に、一回だけその銃を使ってみた。本来なら、この銃では当たらないだろう。実際に当たらなければ、それまでのものだ。

だが、予想に反して、その弾丸は、捕獲対象の心臓を貫いた。それもきっと、即死だっただろう。

幸いにも――否、不幸にも、誰がそれを為したかは分からなかった。真実を知っているのは、私だけということになる。

 

私は悩んだ。果たして、人を殺すことは正義になり得るだろうか。

人殺しは、勿論悪だろう。

だが、正義の名の下に為される殺人は、どうなのだろうか。

結論は下せなかった。

けれど、私は正義の側にいたかった。

 

その所為だろうか。私はいつにもまして積極的に任務に参加した。悪を探し出した。いつだって、悪に立ち向かうのは正義だから。

銃を構え魔方陣を描き引き金を引くたびに、悪人の命は消えていく。

 

そのまま、正義に酔いしれたら良かっただろうに。

矢張り、殺しは悪だ。その思いは頭から離れない。

今まで撃った数々は、私の背中を伝い、肩に重く圧し掛かる――筈だった。そうして、分かり易く悪を悔いたかった。今の私をはっきりと悪だと断じれる物が欲しかった。

 

そんなものは無かった。

むしろ、その逆だった。そこに快感すら見出していた。

いっその事、悪で在りたかった。白か黒のどちらかでいたかった。私は今、どちらの側に立っているのだろうか。そんな空虚な問いに答える人はいない。判らないから、居場所が掴めないから、私は誰の前にも立てない。誰かに裁かれることも出来ない。

 

私が悪ならば、もし弾丸が残っていたら、私自身を、残った弾丸で撃ち抜けばいい。

だが残ったのは、七発目の弾丸。

 

私は正義を愛する。では正義とは何だろうか?この弾丸は何処に向かうのだろうか?

 

私は未だに、この銃を引くことができていない。

きっとずっと引けないだろう。

正義とは一体何だろうか。

私にはまだ、その答えが見つからない。


中務キリノ

初めは憧れとか向上心とか、そういった気持ちだったのだと思う。

だからこそ、きっとその銃を受け取ったのだろう。

望んだものに必ず当たるが、最後には愛する人を貫く弾丸を。

私は銃の扱いが下手だ。言ってて悲しくなるが、犯人役を狙って撃った弾が人質役に当たってしまうし、敢えて人質役を狙えば犯人に命中してしまう。私の弾丸は、私の望まないものに当たってしまうのだ。

だから、その銃弾は、酷く魅力的に見えた。

だからこそ、安易にその力を掴んだ。

 

ただ、初めは半信半疑だった。だから試しに、練習場で使ってみた。普段の私であれば、どれほど至近距離でも外してしまうだろう。

だが、その銃を使うと、丁度的の真ん中を正確に撃ち抜いた。そこで漸く、この力が本当であると理解した。

実際、その後発生した事件でその銃を使ったが――そのおかげで、犯人を捕まえることができた。

その時はとても嬉しかった。自分のおかげで事件を解決することが出来たのだと。

そして、一発、また一発と撃っていき、その度に犯人は倒れていった。

 

でも、それでも――否、だからこそ、何かが怖くなった。

このまま進んで行っていいのかと。所詮、これは借り物の力で、私自身が評価されている訳では無いのではないのかと。

 

「キリノ、浮かない顔してるけど、どうしたの?」

 

ふと、先生がそう声を掛けて下さった。

 

「悩みがあるなら聞くよ?」

 

あなたは、いつものように優しい声でそう言ってくれましたが――

 

「...いえ、何もありません!」

 

何も言い出せなかった。

銃を貰った経緯を話すことが後ろめたかったからだろうか。それとも――この力を手放すのが惜しかったからだろうか。

その時、私は既にその銃に蝕まれていたのだろう。ゆっくりと、確実に、私が私ではなくなる、そんな感覚が、酷く恐ろしかった。

そして、その時に止めていればよかった。否、そう思いながら、止められなかったのだろう。

 

また事件が起きて、あの忌々しい銃を担いで、現場に向かった。

何時ものように、その銃で犯人の手元を撃ち抜けばよかった。そうして、引き金を引いた。

 

犯人は倒れず、代わりに背後で人が倒れ伏す音がした。

酷く厭な予感がした。振り返りたくなかった。振り返らざるを得なかった。

 

先生が、胸に風穴を空けて、倒れていた。

私のせいだった。

私が、私じゃない私が、あの人を殺した。

違う。しっかりしろ。私が、他でもない私が殺したんだ。

 

風景が早回しで動き続ける。人の声がヤイヤイと聞こえる。

数多の視線が私を刺し殺してくる。いや、刺し殺してほしいという願望だろう。

 

私は、静かに銃口を額に向けて、

震える指で、

引き金を引いた。




ご拝読ありがとうございました。
毎度のことながら、感想やお気に入り、評価などしてくれると作者がとても喜びます。
それと、リクエストも募集しているので、感想などに書いてくだされば書こうと思います。

マシュマロも開いたよ!俺、いいアイデアが思い浮かんだ...人は投げつけてくれると喜びのたうち回ります。幻想体×生徒とか、この協会この生徒に似合いそうだな...とか、そういうのをくれると嬉しくなります。
https://marshmallow-qa.com/pfrcn2t7nqzsj38?t=hb5gJk&utm_medium=url_text&utm_source=promotion

プロムン関係無い純粋なブルアカ創作をここに載せてもいいか

  • ええよ
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