鏡の中の青春   作:ひいろの鳥

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濁流ホシノを消してしまったので、代わりにこちらを投稿します。お茶濁しタイムだ。宇沢にセンク協会って似合いそうだよね...。
それと学校が始まってしまったので投稿頻度は落ちると思います。ご容赦!

毎度ながら評価感想お気に入り登録は有難く頂いてます、かんしゃぁ~!


センク協会四課─杏山カズサ/センク協会四課─宇沢レイサ

杏山カズサ

 

路地裏に、カツカツと足音が響いている。

剣を携えた子供が、独りで出歩いているようだね。

子供は、こういった一人の時間もそれなりに好きだった。

勿論、仲間と一緒にいる時間も好きだけれど──昔を思い出すのか、子供は度々、一人で人気の無い場所を練り歩いている。

また、ひっそりした場所が好きなのは、それだけが理由じゃなかった

 

「あ、このスイーツいいかも...買って帰ろうかな。」

 

見知らぬ場所にある、見知らぬスイーツ。それを仲間と一緒に楽しむこともまた、彼女の趣味の一つだった。皆と共に甘い一時を過ごす様子を思い浮かべながら、子供は人数分のケーキを買った。その時の足取りは──うん、何時もよりも軽いようだね。

 

でも、こう言った場所だからこそ、トラブルというものも常に付き物だった。

 

「おい、お前、いいもん持ってんじゃねえか?」

「あたしらにも寄越せよ、あぁん?」

 

子供が幾人かの人に囲まれた。その人達は皆、各々武器を持っているようだ。

子供は、呆れたように溜息を吐いた。さっきまでの軽やかさも、今の状況じゃ似つかわしく無い。

少し逡巡した後、子供は──付けていた手袋を外して、向こう側に投げつけた。

 

「おい、これは何──」

「それを拾うのが開始の合図だから。」

 

戸惑っている人に対して、少し苛ついた態度を見せながら、子供はそう言った。

そう、子供の所属している所では、投げられた手袋を拾うことが、決闘の合図に他ならなかった。

そして、一人が手袋を拾い上げた瞬間──

 

「アレ!」

 

その掛け声と共に、子供の剣が、一人の体を貫いた。

 

「くっ...!」

「こんにゃろ!!」

 

慌てて、他の人たちも武器を構えて攻撃を始めるけど...その人達は知らなかったんだ。

子供の所属するセンク協会は、一対一を専門にはしているけれど──

こうした狭い路地で向かってくる相手をする事も、得意としていたんだ。

 

一人ずつ撃ってくる銃弾を掻い潜り、掠める銃弾を剣先で弾き返す。

しなやかな剣戟は一見直ぐにでも折れそうに見えるけれど、そんな素振りすら見せずに子供は一人の懐に潜り込んだ。

その瞬間の相手の揺らぎを見逃さないように、子供の一突きが素早く繰り出され、そのまま一呼吸の内に再び同じように距離を取り、それを繰り返す度に一人、また一人と沈んでいった。

 

「サリュー!」

 

その声とともに、最後の一人の体も敢え無く地面に倒れた。

その様子を横目で見ながら、剣先を払って、少しずれた帽子を直して子供は帰路に就いた。

子供がセンク協会に入ったのは、友人と共に時間を過ごすためではあったけれど...この様子から見るに、本人にその気はなくても、天賦の才があったのかもね?

 

「はぁ...やっぱり崩れちゃった...。」

 

...子供はそんなことより、ケーキがぐちゃぐちゃになったことの方が気になっているみたいだけれど。


宇沢レイサ

 

「杏山カズサ!今日こそ決着を付けますよ!!」

 

その明朗な声と共に、練習場の真ん中を手袋が舞った。

それを顔面で受け止めた人は、呆れた様なため息をつきながら、顔に張り付いた手袋を投げ返した。

この場所において―ことこの二人の間では――この様な光景は日常茶飯事だった。

 

「「アレ!!」」

 

開始の掛け声と共に、二つの剣先が勢いよくぶつかり合い、けたたましい金属音を鳴らし合った。

子供の相手は、適切な距離を取りながら一撃ずつ丁寧に受け流し、また切り裂いている。

それに対して子供は――物凄い勢いで攻撃を仕掛けているみたいだ。相手が引き下がる間にも、三度の攻撃を繰り出している。

けれど、それは決して闇雲に攻撃している訳では無かった。的確に急所を突くその動きに、相手もつられて攻め入るような動きになっていっているようだ。

 

「そ、そこまで!」

 

やがて白熱していく剣戟の最中、また別の声が聞こえた。

その声とともに、二人は剣を降ろして礼をした。こういった礼儀もまた、この場では重視されていた。

結果は、いつも決まって五分五分だった。それこそが、子供が絶えず決闘を申し込む理由でもあった訳だが。

 

「全く...いつも言ってるけど、あんたは無暗に攻めすぎ。もっと下がらないと。」

「カズサも人の事をとやかく言える訳じゃないと思うけど...。」

「ッ...それは、こいつに合わせないとすぐにやられるからで...!」

 

決闘が終わった直後だというのに、練習場には元気な声が響いていた。

 

 

 

 

「...という感じですね!」

「は、はぁ...。」

 

子供のその答えに、後ろで手帳を持ちながら着いて行っている人は不満げな声を漏らした。

インタビュアーはセンク協会の業務風景を知りたかったし、主観と実体験が多分に含まれているとはいえ、その点でいえば目的は為されていた。

それにも関わらず、眉をひそめているのは...路地裏の中を無意味に歩き回っている,、その一見無意味な行動に対する不信もあったのだろう。

 

「な、何でこんな場所を散策しているんですか...?」

 

不信感の籠ったその言葉にさえ、子供は得意げに答えた。

 

「勿論、決闘のためです!」

 

その言葉に、インタビュアーはまた溜息を洩らした。このままでは埒が明かないし、早めに切り上げようかとも思っていた。

けれど、その考えは、すぐに切り替わることとなった。

 

周囲の様子が、ヤイヤイと騒がしくなり始めた途端、子供はその方向に一目散に駆け出した。

慌てて追いかけた先には、睨み合う二人のスケバンと、それを取り囲む大勢の人だかりがあった。

子供は、その群衆の群れを掻い潜るようにして、中央に躍り出た。

 

「さあ、この決闘の申し子たる宇沢レイサが来ましたよ!!」

 

矢張り騒がしく、子供は常に変わり続ける名乗りを上げながら、二人をチラリと見た。

そして、二人の話を聞くと、すぐに片方に手袋を投げつけた。

 

「さあ、それを拾うのが合図ですよ!!」

 

それを聞いたスケバンは、仕方のないと言った風に手袋を拾い上げた。

その瞬間――

 

「アレ!!!」

 

子供の素早い剣先が、相手の胴体に襲い掛かった。

子供の剣術は、見る人によっては闇雲で隙だらけのものになるけれど――恐れずに立ち向かう姿勢と、その勢いから繰り出される攻撃は、周囲の人々に息を呑ませるには十分なものだった。

そして、その時の爽快な笑顔は――子供の決闘好きな性分が、この仕事と合致していることを、端的に表していた。




ご拝読ありがとうございました。
毎度のことながら、感想やお気に入り、評価などしてくれると作者がとても喜びます。
それと、リクエストも募集しているので、感想などに書いてくだされば書こうと思います。

マシュマロも開いたよ!俺、いいアイデアが思い浮かんだ...人は投げつけてくれると喜びのたうち回ります。幻想体×生徒とか、この協会この生徒に似合いそうだな...とか、そういうのをくれると嬉しくなります。
https://marshmallow-qa.com/pfrcn2t7nqzsj38?t=hb5gJk&utm_medium=url_text&utm_source=promotion

──ちょっとしたご相談タイム──
近いうちpixivの方で純粋なブルアカの創作を上げようと思うんですが、こちらの方に投稿する際、鏡の中の青春に投げるか別枠で投げるかを悩んでます。別枠をとるのが良いのは分かってるんですが、そうすると多分あんまり見られないし、でもこっちに載せるとプロムン×ブルアカを見たい人も居るだろうし、でもでも設定的には別にプロムン関係無くても良いし、う〜〜〜んってかんじです。なので、アンケートに答えてくだされば幸いです。

プロムン関係無い純粋なブルアカ創作をここに載せてもいいか

  • ええよ
  • あかんで
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