鏡の中の青春   作:ひいろの鳥

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やべ〜このままだと2週間放置することになる〜、となって急いで書きました。ぶっちゃけ短いし救いも無いです。ご容赦。


凶弾の穿つ記憶──凶弾の射手×生塩ノア

「だから、何も覚えていないんですか!?」

 

真白い机を間に挟みながら、無機質な部屋中にその声が響いた。

私は、その言葉にまた静かに頷いた。今日で56回目のこの問答にも、いい加減飽きてきた。

 

「困りますよ生塩ノアさん。貴女だけが、唯一の手掛かりだと言うのに...。」

 

目の前にいる尾刃カンナさんは困ったような口調でそう言ったが、私にはどうすることも出来なかった。覚えていないのだからしようも無い事だ。

 

──否、本来なら()()()()()()ということは、私にとっては殊更重大な事ではあった。

私には特定の人の記憶が無いようだ。カンナさん、否私以外の全員はその人を探しているようだが、どういう訳か私だけが覚えていないようだった。

 

ただ、記憶に残っているのは──

 

「何でも破裂させられる」と渡された、一丁の古びた銃。それ自体はヴァルキューレに引き渡されているが、それを何者かから渡されて、そして──

その銃を撃った。ある時は誰かを守る為に、ある時は生きる為に、またある時はただ快楽の為に。

だが、誰かの為に撃った記憶はあれど、誰の為だったかは──

 

駄目だ。矢張り、その記憶は穴が空いたようにぽっかりと空いている。

ただ、確かなことは幾つかある。

一つは、あの銃弾は最後には私が大切にしている人の元に向かうということ。

そして、そんな人は私には居ないのだということ。

あの銃弾は、未だ撃つことが出来る。ヴァルキューレの人達には撃てないらしく、一様に壊れていると断定していたが──そんな事は無い。ただ、私にしか撃てないだけだ。それが契約だったから。

そして、撃ってしまえば矢張り誰かの頭が破裂するだろう。

それ故に、私には大切な人など居なかったのだと言う結論を下した。

それは些か寂しいことではあったが──

穴の空いた記憶を埋めてくれるのに、それは大いに役だった。

 

「...今日はもう時間なので終わります。」

 

カンナさんは溜息をつきながら、そう言った。

 

「あの、私はいつ解放されるんですか?」

「...貴女の記憶が戻るまでです。」

 

私の疑問に、カンナさんは短く答えた。

 

「何故──そうしてまで、私を犯人にしようと...」

 

私のその言葉に、カンナさんはまた短く溜息をついて答えた。

 

「私達は貴女を犯人にしたい訳ではありません。しかし、貴女が犯人であるとしか考えられないのが一つ。そして──」

 

少しの間を置いて、カンナさんは続けた。

 

「先生が、貴女を元に戻してあげて欲しいと言い遺していたので、それに従っているまでです。」

 

その言葉を最後に、カンナさんは部屋を出ていった。

先生──それが、あの人達にとって大切な人らしいが。

矢張り、それが誰かを思い出すことは出来なかった。

そして、そうして穴の空いた記憶は、私には酷く気持ち悪く感じられるものでもあった。

 

 

 

 

「それで、まだ──思い出せないんですか。」

「はい...申し訳ありません。」

 

私の言葉に、カンナさんは不満そうに頷いた。

 

「貴女は何でも記憶出来る方だと聞いていたのですが...。」

「はい、ですから──何故私は思い出せないのでしょうか...私も気になっているんです。」

 

その受け答えに、カンナさんは矢張り溜息をついた。

 

「あの...私も一つ聞いていいですか?」

「...何でしょうか。」

 

「その...先生とは、どう言った人だったのでしょうか。」

 

「...いつも生徒の為に奔走している人でしたよ。少し頼りない所はありましたが...。」

 

懐かしむような口調でそう言った後に、カンナさんはこちらを向いた。

 

「貴女もお世話になっていたはずなのですが。」

 

「...すいません。」

 

私は、そう答えるしか無かった。

 

「姉御!!」

 

突然、その声と共に扉が勢い良く開けられた。

 

「姉御では無いと何度言えば...それで、どうした?」

「先生の遺品から、ノアさんとの写真が──」

 

写真。

その言葉に、一瞬身体が反応した。

 

「見せてくれ。」

 

写真という言葉が頭の中で反響し、それを見ることを喧しく拒み始めた。

 

「ノアさん、この写真に見覚えは?」

 

見たくない。

 

見てはいけない。

 

必死に目を背けたが、カンナさんはぐいと写真を押し付けてくる。

 

それを見てはいけないと、穿たれた穴から理性の声が反響する。

 

「ノアさん。この写真を見て下さい。」

 

そうして。

 

 

視界に、写真が一葉入った。

 

 

 

私と、大切だった先生とのツーショット。

その瞬間に、私は全てを──

 

 

 

「私は──」

 

全てを思い出した。

 

先生を守ろうと、あの人に銃口を向けるものをこの手で破裂させて。

そうして、弾数すら数える間もなく撃ち続けて。

最後に、その弾丸が向かった先は──

 

 

 

瞬間、私の手にはあの銃が握られていた。

それに応えるように、私は目の前の人にその銃口を差し向けた。

 

「私は、この人を思い出すべきでは無かったのに──どうして、どうして...!!」

 

そう叫びながら、引き金を引いたが。

 

銃弾は、放たれること無く消えてしまった。

 

最後の弾丸は、とうに撃ち出されていたのか。

 

悪魔の笑う声が、背後で聞こえたような気がした。

プロムン関係無い純粋なブルアカ創作をここに載せてもいいか

  • ええよ
  • あかんで
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