鏡の中の青春   作:ひいろの鳥

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めっちゃ投稿遅れました、すまんね。
さて、炎拳事務所おじのストーリーが余りにも某9級フィクサー過ぎてこの概念が出てきてしまいました。ちなみにガチャ結果は爆死です。笑えよ。
それと、投稿頻度とかに関しての諸々を最後の方に少し触れるので、目を通して下さるとありがてえです。


アビドス高等学校 生き残り──小鳥遊ホシノ

「あれは...あれは、アビドスの制服じゃ...!」

 

「ちょっと、止まって。あれが貴女の学校の制服な訳が無いでしょ?」

 

慌てて駆け出そうとする私の身体に、ゲヘナの風紀委員長ちゃんが掴みかかって止めた。

それでも、私はその腕の中でジタバタと醜く足掻いている。

 

「何を...あれは、確かにアビドスの制服じゃん...」

 

私は、力が抜けたように、それだけを言って呆としている。阿呆の様だ。否──事実、その瞬間は誰よりも愚かしい存在だったに違いない。

 

「夢と希望で満ちた...勇者の街へ...」

 

かつて大切だった人が、嗄れた声でそう呟いている。厭だ、そんな声は聞きたくない。それなのに、私は、耳を塞がずに、矢張り呆然としている。

 

「...クルナ!」

 

その人の、必死の叫び声。同時に悪趣味な建物の奥から現れたのは、これまた同じように虚ろな目と異様な格好をした者達。その中には、私の知っている顔もあったに違いない。

そいつらが、私達の方に押し掛けるようによろよろと近づいて来て。私は、咄嗟に銃を構えて、あの人の額に──。

 

 

 

悪夢は、いつもそこで終わっていた。

夜毎にあの夢を見て、アラームに叩き起されている。厭な日課だし、慣れるはずも無い。

未だに、私はこの薄暗い半地下の建物に独り引き篭っている。しがみついていると言った方が良いだろう。その有様は醜いものだと、自嘲してしまう。

 

切掛は...あの日、ユメ先輩が一つの仕事を持ってきた事だった。

その時、アビドスにも二年続けて新入生が増え、ユメ先輩本人は留年していたけれど──それなりに楽しい学校生活は送っていた。

でも、借金が消えた訳じゃ無かった。勿論、皆の頑張りで少しづつ減ってはいたが、到底間に合うような額では無い。そのことに、少しずつ疲弊していたんだと思う。

そんな折に、ユメ先輩が一つの仕事を持ってきた。「ラ・マンチャランド」という、突如として現れた遊園地の解体。何でも、人喰い遊園地だとか、そういう類のものだった。

依頼に書かれている通りであれば、報奨金は破格と言って差し支えなく、生き残るだけでも大きな額が貰えるようだった。それも、ブラックマーケットに転がっている悪徳な企業ならともかく、連邦生徒会お墨付きのもの、一定以上の信頼があるものだ。

 

ユメ先輩の目には、燃え盛るような希望が映っていた。それは、幾度と無く見てきた、あの目だった。その炎は、瞬く間に後輩達の間に広がった。私は──それに水を差したくなかった。その炎の中で冷え込んでいたのは、私だけだった。否、私も本当は熱く滾っていたのだろう。ただ、その熱さに慣れてしまい、汗をかく事すら無くなっただけだった。

 

そうして、ユメ先輩は、私以外の皆を連れて、ラ・マンチャランドに向かった。私は、学校の留守番だった。依頼の内容からして、私の半ば捨て身なスタイルにがそぐわないものだったから、仕方の無い事だと、その時は割り切っていた。

 

でも、ユメ先輩達は、帰ってこなかった。

幾日幾夜を数えれども、影すら現さずに、時間ばかりが過ぎていった。

そうして、何時しか、2回目のラ・マンチャランドの依頼が舞い込んできた。

そうして足を運んだ先で、私は、先輩を、後輩達を、その変わり果てた姿を見て──

 

そこから先は、夢の通りだった。

そうして、私は何もかもを失った。残ったものと言えば、この学校ぐらいだろうか。それも、近い内に消えてしまうだろう。そうなってしまえば、私には愈々何も残されなくなる。

だから──。

 

 

 

「...またいらっしゃったんですか。今日は恐らく開かないと思われますが...」

 

連邦生徒会の役員の呆れるような声を横に、私はただ呆然と、空き地の只中に浮かぶ球体を眺めた。

 

「遺品も、前回回収されましたよね?それなのにどうして...」

 

どうして、か。それは私が一番知りたい事だった。

 

初めは、私を気にかけてくれる子もいた。でも、その子もやがて、私の傍を去ってしまった。

否──あの子は、ただ自分の為すべき事を為すために、行くべき場所に行っただけだ。そんな変化は、生きていく内では必然だ。唯、私が愚かにも変わっていないだけだ。

でも同時に、私にはもう、変わるべき理由も、その為に帰る場所も無かった。

だから。だから、私は──。

 

 

 

 

「ギギッ...」

 

不快な金属音が、耳の中で反響している。

このラ・マンチャランドという場所には、Divi:Sion(ディヴィジョン)と呼ばれる機械達がひしめき合っている。こいつらに捕まってしまうと、脳をいじくられ、ハッキングされたコンピュータみたいに、ただそいつらの言葉しか聞けない無様な肉塊になる様だ。

でも、そんな奴等にも、弱点はある。

「魔王」と呼ばれる存在の命令こそが奴等の存在意義であり、それを刻み込まれた部位を破壊し尽くす事こそが、一番の対処法であると。

 

だから、私は、武器を新たにした。何もかもを焼いてを溶かし尽くす、無骨な火炎放射器。

金属を溶かす事は容易ではない。だが、極端な熱で炙れば、いずれ破損し、じわじわと溶けていく。

勿論、奴等にとってそれは、拷問の様な苦痛だろう。だが、私の抱いた喪失を晴らすには、この熱さが一番だった。

 

未だに、この遊園地の音楽は鳴り止まない。きっと永遠に、この響きは続くのだろう。

まるでゲームに出てくる魔王城の様な、悪趣味な建物。此処を作った奴──恐らく、魔王と呼ばれる存在が、何を思ってこの場所を作り上げたのか、私には理解出来ない。

だが、そんなことすらどうでもよかった。

私が望むのは、此処に終着した者達の全てが、私と同じように地獄で塗りつぶされることだけだった。

その為に──私はこれからも、この忌々しい魔王の城が燃え尽きるまで、炎を焚き続けよう。

全てが、燃え尽きるまで────。




ご拝読ありがとうございました。
毎度のことながら、感想やお気に入り、評価などしてくれると作者がとても喜びます。
それと、リクエストも募集しているので、感想などに書いてくだされば書こうと思います。
マシュマロは作品の概要欄にありますわよ!

さて投稿頻度について。詳しくは後日活動報告の方に上げますが、結論から言うと極端に頻度が遅くなります。
と言うのも、作者が来年度から受験なんですね。流石にそろそろ潮時かなと思う反面、まだマロのリクエストとかも消化出来てないし、せめてそいつらを消化してから...ってな感じで、一応限界まで留まろうとは思ってます。ただ、前述した通り投稿頻度はカスになると予想されるので、その点ご容赦をば。一応春休みにいっぱい消化出来たら良いね...。
活動報告の方で纏めたらまた報告します、それでは。

プロムン関係無い純粋なブルアカ創作をここに載せてもいいか

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