その日もいつもと変わらない日常の時が流れていた。
「いただきます!」
マコトは朝食や学校に行く準備を済ませた。
「行って来ます!」
「て、まあ、家には“誰もいない”んだけどな」
マコトは誰も居ない家を出た。
「あ、レナだ!」
マコトは自転車を漕いでいるとレナを見つけた。
「おはようレナ!」
マコトは自転車から降りて彼女に話しかけた。
「あ、おはようマコト君」
マコトとレナは一緒に学校に向かって歩いて行った。
「それで昨日の仮面ライダーが本当面白くってさ」
「いつもその話だね」
「ごめん、レナには興味なかったよね?」
レナは首を横に振った。
「ううん、真剣に話しているマコトを見れるのが好きだから全然していていいんだよ」
レナはマコトに伝えた。
(俺のクラスメイトのレナは時々、俺に男のようなカッコよさを見せる時がある)
マコトはそんなレナを見ると胸が高鳴った。
「嬉しいよ、俺もレナのことが好きだ!」
マコトはレナに素直に気持ちを伝えた。
「あ…(まるで告白しているみたいになった)」
レナは好きという言葉を使った事を後で意識して顔を赤くした。
(これならまるで告白みたいになっている…!)
(いや、そうなんだけどさ!?)
マコトもレナと同じように顔を赤くした。
「ところで何かを忘れているような…」
マコトは胸に僅かな違和感を感じて空を見上げた。
♢♢♢
その後、マコトは僅かな違和感を残したまま英語の授業を受けていた。
(英語は仮面ライダーで習った単語が出てくるから面白いよな)
マコトはそう思って教科書を見た。
「いいですか、粒子は英語でクアンタと言います」
マコトは英語の教師と教科書を見て頭が痛くなった。
『英次さん、英次さん、英次さん』
マコトの脳内に知らない相手を呼ぶ自身の声が聞こえた。
「なんだ…」
マコトは思わず頭を抑えた。
「マコト君、大丈夫!?」
「誰か守一君を保健室に連れて行ってあげて」
「それなら私が連れて行きます」
レナを筆頭とするクラスの生徒や教師が彼を心配した。
「立てる?」
「ありがとう…」
マコトはレナに保健室に連れて行ってもらう。
『俺は英次さんみたいに人を助けたいと思ったんです!』
「誰なんだ英次さんって…」
「気になるか?」
マコトの前にスーツを纏った士がやってきた。
♢♢♢
士はマコトたちを学校の外に連れ出した。
「仮面ライダーはフィクションじゃなかったのか…」
マコトは自分の知っている常識とかけ離れた光景に戸惑った。
「それを言うのならばお前だってそうだろ?」
「……」
「俺が仮面ライダー…?」
「まあ、覚えていないのならいいが…」
士は人目の付かない場所に着くとオーロラカーテンを出現させた。
「この先に行けばこの世界の真実に辿り着ける。だが、同時にお前自身の事実を知ってしまうことになる」
「俺の真実…」
「怖いのだったら今なら引き返すことだってできるぞ」
「そうだよ、マコト君が苦しむ必要なんてない」
レナはマコトの腕を強く握った。
「俺のことを心配してくれてありがとうレナ、それでも俺は行くよ」
「だったら私も連れて行って…」
「ああ、レナを一人ぼっちになんてさせない」
マコトたちはオーロラカーテンの中に飛び込んで行った。
「さて、俺はこいつの相手でもするか」
士の前にアナザーディケイドがやってきた。
「お前の力はこの世界が捻じ曲げられた時にマコトの持っていた他のライドウォッチと一緒に消滅した筈だ」
「こんな事もあろうかと思ってあいつには俺の力の半分を渡した」
「変身!」
【カメンライド】
【ディケイド】
士は仮面ライダーディケイドに変身した。
♢♢♢
マコトたちが現れたのは研究施設の中だった。
「ここはどこなんだろう?」
「俺は昔、ここに来たことがあるような気がする…」
マコトは朧げながら知っている気がした。
「え?」
「こっちだ」
マコトは僅かな記憶を頼りに施設の中を歩いた。
♢♢♢
マコトがやってきたのはデスクが置かれた部屋だった。
「父さん…」
マコトはそこに幼い自分と父親の姿が見えて涙を流した。
「マコトのお父さん?」
「俺は幼い時に父さんと一緒にここで暮らしていたみたいだ…」
「でも、マコトのお父さんはマコトが生まれる前に不治の病で亡くなったんじゃなかったの…?」
「うん、その筈なんだけど…」
すると、PCに表示されたマップに赤く点滅しているフロアがあった。
「ここに行ってみよう」
「簡単に踏み込んだらいけないよ…」
レナはマコトの腕を強く握りしめた。
「…さっきもそうだった。レナは俺の身に起こっていることについて何か知っているんじゃないの?」
「…マコトには何も知らないまま幸せにいて欲しいんだ」
「俺はレナがいてくれたら、それで幸せだ」
レナはマコトの言葉を聞いて昔に聞いた言葉を思い出した。
「マコトは変わらないね…」
「行こう…」
「ああ…」
マコトとレナは手を結んで施設の中を移り渡った。
♢♢♢
その頃
「ぐっ…」
ディケイドはアナザーディケイドに苦戦をしていた。
「お互いディケイドの力で戦う以上は半分しか力がないお前の方が不利に立たされるのは当然だな」
「偽物の癖に言ってくれるな!」
「ふっ、お前に面白い物を見せてやる」
「大丈夫か?」
アナザーディケイドはオーロラカーテンを出現した。
「ダークライダーを呼べるのか…」
アナザーディケイドは白い魔法使い、フィフティーン、ダークドライブ、ブラッドの四体を召喚した。
「あの方から頂いた力でライダーを操ることができる。こうやってな」
アナザーディケイドは四体のライダーを洗脳した。
「そうやって俺たちにライドウォッチを渡すように仕向けたんだろ」
「その通りだ」
(さて、この時間稼ぎがどれくらい保つかな)
ディケイドは向かってくるダークライダーに備えてライドブッカーを構えた。
♢♢♢
マコトたちはPCに表示されたマップに赤く点滅しているフロアに来たが一面壁に覆われていた。
「壁だらけだ…」
「ここ…(未来のマコトが私たちを作った場所に似ている…)」
レナは未来の世界の光景を重ねた。
「この部屋のことなら任せて、見たことがあるような気がする」
(これが間違いないとすれば…)
レナは壁の一面を押すとパネルが出現した。
「ここに暗証番号を打ち込めば扉が開かれる」
「な、なんて近未来的な隠し扉だ…」
「暗証番号はマコトの誕生日…」
レナはパネルに暗証番号を打ち込んだ。
「……」
レナは指を止めた。
「どんな事が待ち受けているかわからないけど…」
マコトはレナの手を掴んだ。
「俺たちなら乗り越えて行ける」
「…私の手をあなたが握ってくれるから私ももう迷わない」
二人は一緒にエンターを押すと壁全体がドアのようにスライドして隠されていた光景が現れた。
「沢山の俺がいる…」
「マコトも私と同じクローンだったんだね…」
(未来のマコトが私を生み出す技術があったのも説明づく…)
すると、この場に英次が現れた。
「英次さん…」
マコトは衝撃的な光景を見たことで記憶を取り戻した。
「知らないことで幸せになれると思ったんだけどな…」
「人間なんだ、弱点なんて生まれた時点から誰しもが持っている」
「お前はこの事実を受け入れるのか?」
「はい」
「俺は一人じゃない。レナと一緒に手を握っていける」
マコトはレナの手を掴んだ。
「そして、この先で待っているヒーローになる夢を絶対に掴む。その道は誰にも邪魔させない」
マコトは英次にそう宣言した。
「マコトの夢を隣で見届けるまで運命の通りに消えるのは嫌だ。だから最後の最後まで抗うよ」
レナはマコトと英次に決意を告げた。
「どうやら俺の思い過ごしだったようだな」
英次が指を鳴らすとマコトの元にジクウドライバーが現れた。
「これで世界は崩壊が始まる前に戻った」
「お前にはこいつか?」
英次はレナにブランクウォッチを渡した。
【ネイチャー】
レナが受け取ったブランクウォッチが新たなライダーのライドウォッチに変化した。
「これで私もマコトと同じように戦える!」
レナはネイチャーライドウォッチを大切に握りしめた。
「いつの間にか全知全能のような力を身につけていたなんて流石英次さんです!」
「みんなの力を組み合わせただけだ…」
英次はフルセイバーライドウォッチをマコトたちに見せた。
「ぐぁーっ!」
出現したオーロラカーテンからディケイドが転がってくると変身が強制解除になった。
「結構酷い有様だな。立てるか?」
「ふっ、悪いな」
士は英次の手を掴んで起き上がった。
「苦戦する描写がなかった士さんが負けるなんて…」
「その様子だと記憶を取り戻したみたいだな」
「はい…」
「あっちには見ての通り強敵がいる」
マコトたちはオーロラカーテンの向こう側にアナザーディケイドがいるのが見えた。
「俺の目的はここまでだ。最後にお前のディケイドライドウォッチをこっちに向けろ」
「こうですか?」
士がマコトの取り出したディケイドライドウォッチを触るとマゼンタ色に光った。
「これで本当の意味で平成ライダー全ての力がお前に継承された」
「やれるか、ネクス?」
「勿論です!」
マコトはレナの手を握って頷いてみせた。
♢♢♢
オーロラカーテンからマコトたちが出て来た。
「遅かったじゃないか。遅くて変身解除して待っていたぞ」
その声が聞こえてマコトたちはそっちに振り返った。
「父さん…」
「刃さん…」
そこには刃がいた。
「あの時、崖から堕ちたと思っていたんだが…」
「それ生存フラグですよ…」
「このディケイドアナザーウォッチの力を使って俺の目的 マコトが生きていられる世界を必ず果たす」
【ディケイド】
刃はディケイドアナザーウォッチを取り込んでアナザーディケイドに変貌した。