これは二人がまだ幼い時の話だ。
(僕は人と仲良くする方法が分からなくて同じぐらいの子供と遊ぶことはあっても友達にはなれなかった)
ハルトはいつも友達の輪っかに入れず孤立した。
(でも、英次だけは違った)
(英次は毎日 毎日 僕のことを待ってくれた)
ハルトが学校に行きたくないなぁと思っている日でも英次は彼のことを待っていた。
(こんな気持ちは初めてだ。誰かに必要とされていて嬉しかった。隣にいれば心が暖かくなった)
ハルトはその温もりに包まれていたいと思い、英次と一緒になれる時間を人一倍に大切にした。
(家庭環境が終わっている僕が人間らしくなれたのは彼のおかげだ)
--だが、その思い出は黒く塗り変わっていく。
♢♢♢
現代
「お前が俺を狙う理由はなんだ!」
「君の血だ」
アナザーディエンドは英次の心臓を指差した。
「私は前の君と親友だった。同じ部隊に所属して共に戦おうと誓い合ったこともあった」
「まさかお前が生まれたのは!」
「そうだ、君と同じあの島だ」
「だったら尚更、負けるわけにはいかないな」
【ケルビム】
「変身!」
【スピリットタイム】
【ケルビム!】
ネオクアンタはケルビムアーマーに変身した。
「そろそろだと思っていたよ」
「……?」
すると、ハルトがふらふら歩いてきた。
「ハルト…!?」
ハルトが自分で解いたのか歩いて来た道に縄が落ちていた。
「…わかったんだ」
「僕が必要なのは僕のことを見ているからって訳じゃなかったんだね…」
「旧世界の記憶を思い出したのか…」
「やっと僕を必要としてくれる人を見つけたと思ったのに!」
(今だ)
アナザーディエンドはハルトに向けてオーロラカーテンを放った。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
オーロラカーテンから放出された闇がハルトの体を包んだ。
「ハルト!」
ネオクアンタはハルトに触れようとしたが闇の威力が強くて吹き飛んだ。
「マイナス感情に反応して闇が集まって行っている。闇が満ちると彼は化物へと姿を変えるだろう」
「ちなみに一度闇に触れた人間はもう逃れられないよ」
アナザーディエンドは悪魔のように笑った。
「やべぇじゃねえか!」
クローズはクローズチャージになって怪人と戦っていた。
「俺がどう思っているかわからない癖に勝手に決めるな!」
ネオクアンタはハルトに近づいていった。
「今更どの言葉で繕っても無駄だ」
「ぐっ…」
「お前は俺のことお前を必要としているのは旧世界のお前の姿を重ねていると思っている」
「けど、俺がこの世界で一人きりにならなかったのはお前がずっと側にいてくれたからだ!」
ネオクアンタは近づく度にダメージを負って闇の威力に押されそうになった。
「近づくな!」
ハルトは闇を放った。
「ぐっ、うわぁぁぁ!」
ネオクアンタは闇を食らって変身が解除された。
「もう何も失ってたまるかっ!」
英次はそれでも足を止めなかった。
「捕まえた!」
英次はハルトの体を掴んだ。
「英次!」
「闇の力が君の方にも来ることになる。やめておいた方がいい」
「ぐっ、うっ…」
英次の方にも闇が流れ込んできた。
♢♢♢
英次は公園で蹲っているハルトにそっと近づいた。
「遅くなったな」
英次はハルトに話しかけた。
「遅いよ」
ハルトは英次の方に向いて立ち上がった。
「ねぇ、覚えている?僕らはこの場所で出会ったんだよ」
「ああ、忘れるわけがない」
「あの日から俺の周りにはいつもお前がいた。そしてこれからも俺達は離れることはない」
英次はハルトに手を差し伸ばした。
「うん、心はいつも一緒だ」
ハルトは英次の事を肯定するように手を掴んだ。
♢♢♢
その時、天から英次たちの元に光が降り注いだ。
「なんだ!?」
アナザーディエンドが驚いていると闇が蒸発するように消滅した。
「これは…!?」
「いわば祝福のシャワーみたいな…?」
「やめろ、その言葉だと変な解釈を引き起こすことになる」
英次はむっとした顔を浮かべた。
「えぇ、勘違いしたい奴には勘違いさせておけばいいじゃん!」
ハルトはそんな英次の腕にしがみついた。
「ハルト、俺の後ろに下がっていろ」
「わかった」
ハルトは後ろにあった物陰に身を潜めた。
「面白い物を見せてくれるね」
海東が英次に話しかけた。
「海東大樹、あんたなら俺のカードも持っているだろ」
「当然さ」
海東はクアンタのカメンライドカードを取り出した。
「これは君のお宝だ、受け取りたまえ」
海東はそのカードを英次に向かって投げるとクアンタライドウォッチに変化した。
「やっと俺色になったな」
黒から緑になり、形はディケイドライドウォッチ同系統になった。
【クアンタ】
そのライドウォッチを起動した。
【ルクスドライバーNEO】
すると、英次の腰に緑のドライバーが出現した。
「人の心を決めるのは誰でもない。人の心はそいつだけの物だ」
「私には人の心を決める権利がある!」
「だったら勝負だ」
【クアンタ】
英次はクアンタライドウォッチを起動した。
英次はルクスドライバーの右側のスロットにセットした。
強化形態用の変身待機音が流れ始めた。
「変身!」
英次はその掛け声と共にベルト左側のレバーを押した。
【フィルムタイム】
【仮面ライダークアンタ】
英次は仮面ライダークアンタビヨンドに変身した。
「新たなクアンタ!?」
物陰で見ていたハルトはその姿に驚いた。
「仮面ライダークアンタビヨンド。超越するって意味のビヨンドだ」
「新しい姿を得たところでお前にはこのアナザーディエンドを倒すことはできない」
アナザーディエンドはオーロラカーテンから複数の怪人を出現させて一斉にクアンタビヨンドに向かわせた。
「これがビヨンドの力の一つだ」
クアンタビヨンドはレバーを引いた。
【ジカンクナイ:タイムストライク】
クアンタビヨンドはクナイ型の武器を大量に召喚して向かってくる怪人に一斉に放った。
「武器を再生したのか」
「俺の頭の中にある想像力を生み出すことができる。それがビヨンドの力だ」
【ジカンクナイ】
クアンタビヨンドは自分の手に二刀のジカンクナイを召喚した。
クナイの電子音での言い方が“来ない”とも聞き取れた。
「はぁーっ!」
クアンタビヨンドはアナザーディエンドの間を何度も行き交い、すれ違う度に斬撃を放った。
「ぐっ、目に追えない」
アナザーディエンドは逃げ出した。
「待て!」
クアンタビヨンドはアナザーディエンドを追いかけて行った。
♢♢♢
その頃
「俺もこいつを使うか!」
クローズはマッスルギャラクシーフルボトルを取り出した。
【マッチョ!フィーバー!】
【マッスルギャラクシー!】
【ブラ!チャオ!】
【Are you Ready?】
「変身!!」
【銀河無敵の筋肉ヤロー!】
【クローズエボル!】
【パネーイ!マジパネーイ!!】
クローズはクローズエボルに変身した。
【クローズサイド】
クローズエボルはレバーを1、2回回した。
【READY GO!】
【マッスルフィニッシュ!】
「今の俺は負ける気がしねえーっ!」
クローズエボルは召喚したクローズドラゴン・ブレイズを纏って正拳突きを放つと共に撃ち出した。
♢♢♢
アナザーディエンドはクアンタビヨンドに向かって数発の光弾を放った。
「……」
クアンタビヨンドはジカンクナイで飛んできた光弾を切り裂いて別の場所で爆発させた。
「お前には好きな物が、本があった筈だ」
「君に一度だけ言った筈だ」
「本に描かれた架空の世界はこんな退屈な世界と違ってありとあらゆる事象で溢れているだったか…」
「そうだ、物語とは書き手自身でどうとでも書き換えることができる」
「その力を使って私は私の復讐の物語を書き上げる!」
アナザーディエンドは手の一点にエネルギーを充電し始めた。
「そんな物語こそ退屈なだけだ」
【フィニッシュタイム】
クアンタビヨンドとアナザーディエンドの間に何枚もの板が出現した。
「そんなお前のつまらない考えは俺が否定する!」
クアンタビヨンドはレバーを引いて高く飛ぶと板の最初の数枚はともに付いてきた。
【タイムストライク】
「はぁーっ!」
クアンタビヨンドはライダーキックのポーズで板を通ってアナザーディエンドの元に向かう。
「この偽善者が!」
アナザーディエンドはディメンションシュートに似た光線を放ってクアンタビヨンドを迎え撃った。
「さあ、俺の力を魅せてやるっ!」
「なに!?」
クアンタビヨンドは板を通る度にその光線を押し返す力がより強くなってアナザーディエンドに近づいた。
「これが俺の力だぁーっ!」
「ぐぁーっ!」
クアンタビヨンドはアナザーディエンドを貫通した。
「ぐっ…」
クアンタビヨンドのライダーキックを食らったアナザーディエンドの胎内でアナザーウォッチが砕けようとしていた。
「物語は他の人に感動を与えることもできる」
クアンタビヨンドは背後にいるアナザーディエンドにそう言った。
「君の眩さは本当、あいつにそっくりだ…」
アナザーディエンドは自らが起こした爆発に飲み込まれた。
「勝った!?」
ハルトが物陰から見ているとクアンタビヨンドがウォッチを取り外して変身を解除した。
「勝ったんだ!英次ー!」
ハルトは物陰から英次の元に駆け出した。