ARE YOU READY?
この世界に生きる人々の叫び声が世界中に響き渡る。
逃げ場などどこにもなく塵になる。
「どうしてあなたがこんなこと…!!」
スーツ全体が損傷したネクスは目の前にいる者を見ていた。
「本当のあなたはそんなのじゃない筈だ…!」
禍々しい獣のようなライダー…いや、ライダーというには禍々過ぎるか。
人を躊躇いもなく消すその獣は彼にとってまさしく最低最悪に言うに相応しい存在だった。
♢♢♢
マコトは自室のテーブルの上にライドウォッチを並べた。
「最初に手にしたのはエグゼイドライドウォッチ」
「そして次はウィザードライドウォッチ、その次は鎧武ライドウォッチ、ゴーストライドウォッチ」
『さらに』とマコトは5つのライドウォッチを取り出した。
「この前の戦いでクウガ、アギト、龍騎、ダブル、ディケイドに認められてこれらのライドウォッチを手に入れた」
これで9つのライドウォッチを手に入れたことになる。
「ディケイドライドウォッチは特殊な形になっていて横に別のライドウォッチをセットできる」
「しかもセットしたライダーの中間形態の力を使えるようになるんだ」
二人が言うようにディケイドライドウォッチの形だけ横長になっていた。
「残るライダーは12個だ」
「12?平成ライダーは20しか存在していないから11じゃないの?」
「俺の推しを入れて12だ」
「そういえばマコトの推しているライダーは…?」
マコトは『よくぞ聞いてくれた』と言いたげな表情を浮かべながらある物を取り出した。
「俺の推しは仮面ライダークアンタと言って変身アイテムが鍵の粒子の力を使うドラゴンライダーなんだ」
マコトが取り出したファイルにはクアンタのことがずらりと書かれていた。
「これが…」
レナはファイルに書かれている文字一つ一つに目を通した。
「いつか英次さんと会って…」
「えへへ…」
マコトは想像するだけで奇妙な笑みが溢れた。
すると、部屋の中にあったマコトのスマホが警報を鳴り始めた。
「警報!?」
マコトはスマホの画面を見た。
「え、未知の災害て!?」
「もしかして!」
「レナ?」
レナは未来のタブレット端末を取り出した。
「今日最低最悪な日が訪れてしまったんだ…」
「でも、俺はこうして…」
「うん…」
タブレット端末に映るのは獣の姿だった。
♢♢♢
ハルトは目の前の光景に興奮が抑えきれず思わず変な顔になった。
「僕が見たかったのはこれなんだよ…!」
それは獣が人を理不尽に塵にしていく光景だ。
「そんなところで何をしてるのよ。逃げるわよ」
「は?逃げる訳ないだろ?僕はこの為にこの時代に来たんだから」
メアの忠告は今のハルトには一ミリの価値ですらなかった。
♢♢♢
獣の前にマコトがやってきた。
「お前は一体誰なんだ…!」
【ネクス】
「変身っ!」
【ライダータイム】
【仮面ライダーネクス】
マコトは仮面ライダーネクスに変身し、獣に向かっていった。
「強い!」
獣はネクスよりも逃げる人間を優先して襲った。
「けど、俺にはレジェンドの力があるんだ!」
ネクスはクウガライドウォッチを取り出した。
【クウガ】
【アーマータイム】
【クウガー!】
「おりゃぁーっ!」
ネクスはクウガアーマーに変身して獣に掴みかかった。
【アギト】
【アーマータイム】
【アギト!】
「はぁっ!」
ネクスはアギトアーマーに変身してパンチを放っていった。
「ぐっ…」
ネクスは獣が飛ばした刃を受けて後ろに押された。
【龍騎】
【アーマータイム】
【アドベント!龍騎!】
ネクスは龍騎アーマーに変身した。
「これでシールドベントてな」
ネクスは盾で刃による攻撃を防いだ。
「強いも強いもかなり手強い!ならディケイドの力だ!」
【ディケイド】
【アーマータイム】
【カメンライド!ワオ!】
【ディケイド!ディケイド!ディケイドー!】
ネクスはディケイドアーマーに変身した。
「獣には獣だ!」
【ダブル】
ネクスはダブルライドウォッチをディケイドライドウォッチの横にセットした。
【ファイナルフォームタイム】
【ダ・ダ・ダ・ダブル!】
ネクスはファングジョーカーの能力を持つダブルフォームに変身した。
【フィニッシュタイム】
【ファイナルアタックタイムストリーム!】
「はぁーっ!」
ネクスはファングストライザー同様の技を獣に向かって放つが獣もネクスに向かって拳を放った。
「それでも相討ち覚悟でもやるしかないっ!」
ネクスと獣の技は激しくぶつかり合った。
「ぐぁーっ!」
その結果、お互いに吹き飛び、ネクスはスーツ全体が損傷した。
「……」
「…その姿っ!」
ネクスの目の前には一人の青年が虚な目をして立っていた。
「英次さん…!?」
その相手はマコトの推しだった。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁっ!」
英次はすぐに獣の姿へと戻ってまた無関係な人を襲う。
「やめてください…!」
マコトの声は英次に届かず、犠牲者が増える。
「どうしてあなたがこんなことを…!!」
マコトの前で一人、また一人、人が塵になっていった。
♢♢♢
その戦いを見ていた黒兜。
「ここまでやれば充分だ」
黒兜が手を出すと衝撃波が獣に向かっていった。
♢♢♢
獣の姿が英次に戻った。
「こ…こは…」
意識を取り戻した英次は地面に置いている手に粘土のような感覚が伝わり、下に視線を移した。
「何だこれ…!?」
英次の周囲には血溜まりが広がっていた。
その瞬間、英次の脳内に獣となって人を襲い塵にしていた間の記憶が流れ出た。
「俺がやったのか…!?」
英次は現実から逃げるように後退る。
「お父さんじゃない。あのお兄さん誰?」
「別にいたってこと?」
「……」
敵ですら英次が獣になる事を知らなかった。
「英次さん…」
変身解除したマコトも話しかけられない状態。
獣…英次が現れるまでこのビル街には色々な人が行き交っていた。
今は建物や道路、車が崩壊して消されなかったこそしなかったが下敷きになった人がいた。
「英次さん…」
変身解除したマコトも話しかけられない状態。
「この日を避けられなかった…」
レナはその惨状を見る。
持っていたタブレットに映る人口数は半分減っていた。
「あ、ああ…ああああああああああああっ!」
英次の叫び声が最低最悪の世界に響き渡った。
「世界の形が変わる」
黒兜はいた場所から離れて行った。
メアは黒兜に付いて歩いたがハルトは釘付けになっていた。
「行くわよ」
「あのお兄さん、かっこいい、かっこいいよね!」
「はぁ…」
メアはハルトの腕を引っ張って行った。
「あ、お兄さん!お兄さーん!」
ハルトは見えなくなるまで英次に手を伸ばしていた。
♢♢♢
世界は獣による破壊がなかったかのように元通りになった。
「あの壁は?」
レナが指す先に建物よりも巨大な壁があった。
「スカイウォールだ…」
「ビルドの世界と融合したんだ…」
マコトはレナにそう答えた。
♢♢♢
東都の街を虚ろな目の英次がいた。
「………」
英次はこれまでに失って来た者のことを思いながら歩いた。
助け助けられてきた仲間達、自分を慕う部下達、そして---
英次はビルの屋上にやってきた。
「ここから落ちたら楽になれるかな…」
英次は柵を飛び越えた。
「……」
下に別の建物や道路を走る車、近くを歩く多種多様な人が見え、獣になっていた間の記憶が脳内に流れた。
「っ…」
英次は恐怖で足が震えてコンクリートから躓いた。
(これで楽に…あいつの元に…)
落下するまでの間を頭で数えながら英次は目を瞑った。
【天空の暴れん坊!ホークガトリング!】
その変身音が鳴り、英次が目を開けると街の中にいた。
「戦兎…」
英次の目の前にビルドがいた。