貞操逆転世界になっていたので、幼馴染を色仕掛けで落としたい   作:138ネコ

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第13話「ようこそ、クソゲー研究部へ」

‐3人称視点‐

 

 大倉さんがもう2人居るようなものと聞いて、身構えながらクソゲー研究部、通称クソ研の部室に入る栄太郎。

 栄太郎の先に入った大倉さんが「あっ、友達連れて来たんですけど、良いですか?」と控えめな声で言うと、既に部室に居た少女2人が振り返る。

 

「えっ、男じゃん!」

 

「大倉が男友達居るのって、イキってついた嘘じゃなかったの!?」

 

 立ち上がり、栄太郎に近づく、背が高くガタイの良い少女と、特徴がないのが特徴ですと言わんばかりに普通な少女。

 2人は驚いた表情で「マジで!?」を繰り返し、栄太郎をまじまじと見回す。

 

「あれじゃね? 金で友達役雇ったとか」

 

「……大倉にそんな事頼む勇気あると思う?」

 

「あー……じゃあ、本当に友達なのかな?」

 

 栄太郎と大倉さんを置いてけぼりに、ポンポンと2人で会話をするめる少女たち。だが今の会話で栄太郎は大倉さんの部での立場を理解した。

 大倉さんは栄太郎や西原と話すときは早口言葉で次々と勝手にしゃべっている事が多いが、それ以外の相手には基本人見知りをするタイプなので。

 

「あっ、ちょっと、先輩。いきなりその態度は島田君に失礼ですよ」

 

 などと先輩に「コラー」といった感じで言っているが、多分こうやって話せるようになるまで、相当な人見知りをしていたのだろうと容易に想像できる栄太郎。

 

「そうだったね。ごめんごめん。えっと、島田君、で良いのかな?」

 

「あっ、はい。えっと、島田栄太郎と申します」

 

 そう言って頭を下げる栄太郎に、少女2人はケラケラと笑う。

 

「そんな畏まらなくて良いって」

 

「大倉にも聞いたっしょ。ウチらあんまり上下関係気にしないって」

 

 笑いながら栄太郎の肩を叩こうとして、ガタイの良い少女が動きを止める。流石に初対面の相手、しかも男子にそれは馴れ馴れし過ぎるだろうと思いとどまり。

 所在なさげに上げた手を頭の後ろに回し、もう片方の手で頬を掻きながら、少しだけ気まずそうに少女が笑う。

 

「あー……そうだ、自己紹介いっとこうか。私は四谷(よつや)だ。宜しく、お願いします」

 

 ガタイの良い少女四谷が自己紹介を終えると、栄太郎を見てモジモジした様子を見せる。

 視線を栄太郎に向けては逸らしの繰り返しである。

 四谷に何故そんな反応をされるか分からない栄太郎。

 相手が何をして欲しいか分かっていれば対応できるが、流石に初対面で何を考えているか理解するのは難しい。

 

「あっ、四谷先輩って初対面の相手とは握手したがるんだけど、多分島田君が男の子だから握手して良いか悩んでるんじゃないかな」

 

「違……わないけど、それはなんていうか、男の子相手に馴れ馴れし過ぎるし」

 

「あっ、四谷先輩顔真っ赤ですよ。ははーん、もしかして照れてまアバババババババ、ごめんなさい、冗談です、謝りますから。ぎゃー、タップタップ!」

 

 四谷をからかおうとした、というかからかってる大倉の横に四谷は立つと、ぬるりと大倉の身体に絡みつき綺麗にコブラツイストをキメる。

 ギャーギャー騒ぐ大倉に「ごめんなさいは?」と繰り返す四谷。四谷に言われる前から「ごめんなさい」を連呼している大倉。

 謝っている大倉に対し「なぁに、聞こえんな~」と言いながら、なおも力を入れているのだろう。大倉の早口言葉がさらに加速していく。 

 

「私は浜口。先輩付けはしてもしなくても良いわ」

 

 そんな2人をまるで見えていないかのように自己紹介をする浜口。

 

「宜しくお願いします。えっと、浜口先輩、止めなくて良いんですか?」

 

「ええ、いつもの事だし」

 

 涼しい顔をして大倉さんと四谷を無視する浜口。

 中途半端に辞めさせると、四谷の照れ隠しという名のプロレス技が自分にも飛んできかねないので。

 

「先ほどはお恥ずかしいところをお見せしました」

 

 ある程度満足したのか、まだ少しだけ顔を赤らめた四谷が、栄太郎に頭を下げる。

 そんな四谷に対し、「いえいえ」と笑った後に、手を差し出す栄太郎。

 

「……良いの?」

 

「はい」

 

 恐る恐る栄太郎の手に、四谷が手を重ね握手をする。

 壊れないか不安そうにしている四谷に対し、大丈夫ですよと言わんばかりにぎゅっと力を入れる栄太郎。

 握手をした手が離れると、四谷の首に浜口が手を回し、部室の隅へと連行していく。

 

(ねぇ、男子の手ってどうだった?)

 

(あのね、硬いんだけど筋肉でカチカチの硬さじゃなくて柔らかくて硬い感じだった)

 

(柔らかくて硬いって何だよ。ねぇ、部位的にはどこに近い? どこを触れば男の子の手の感覚味わえそう?)

 

 コソコソと内緒話のつもりだろうが、栄太郎の耳には丸聞こえである。

 どう反応すれば良いか分からず苦笑を浮かべる栄太郎。

 

「あっ、島田君。四谷先輩が酷いんだよ。なでなでして~」

 

 白目を向きながら、ゾンビのようにふらふらしながら栄太郎に近づく大倉さん。

 先ほどのコブラツイストは、大倉さんがオーバーリアクションをしているのではなく、本当に痛かったのだろうなと思う栄太郎。

 だが、それは明らかに自業自得。

 

「はいはい」

 

 なので、適当に大倉さんの頭を撫でて流す。

 

「うぅ~、扱いが酷い」

 

 涙目で「シクシク」とわざと口にする大倉さん。

 内緒話が終わった四谷と浜口が、栄太郎と大倉さんの前に立つとお互いに頷きながら適当なポーズを決める。

 

「「ようこそ、クソゲー研究部へ」」

 

 完全に復活していない大倉さんが、棒読みで「わーパチパチ」と言いながら手を叩く。

 一瞬の間をおいて、全員同時にハハハと苦笑いが上がる。

 苦笑いの原因は、四谷と浜口の歓迎のポーズが滑ってたからだけではない。

 

(今、俺……)

 

(((今、島田君……)))

 

 

(((大倉(さん)の)))

 

(私の)

 

((((頭を撫でてた……))))

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