貞操逆転世界になっていたので、幼馴染を色仕掛けで落としたい   作:138ネコ

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第22話「キミはいつも胸元を開けているが、それは校則違反だ」

 いつものように登校し、栄太郎が西原、大倉さんと談笑している時だった。

 

「島田君、ちょっと良いかな?」

 

「はい?」

 

 声をかけられ、声のする方へ振り向く栄太郎。

 栄太郎が振り向いた先にいたのは、きっちり分けられた七三ヘアー、四角いメガネにやや吊り目がちだが、感情を殺すように無表情を浮かべる、禁欲的な男子生徒だった。

 栄太郎に声をかけてきたのは、西原と大倉さんのクラスの風紀委員、小鳥遊(たかなし)である。

 

 小鳥遊が軽くメガネをクイっと上げると、何が嬉しいのか大倉さんが「フヒッ」と声を漏らし恍惚の表情を浮かべる。

 一瞬だけ眉をピクつかせる小鳥遊だが、すぐに気を取り直し、無表情に務める。

 

「風紀委員として、一つ、宜しいでしょうか?」

 

「良いけど……」

 

 小鳥遊に対し「俺何かしたっけ?」と首を傾げる栄太郎。

 そんな栄太郎に冷たい、というよりは感情を押し殺したような抑揚のない声で淡々と言う。

 

「他のクラスの人間だから見逃していたけど、ウチのクラスに悪影響が出始めているから言わせてもらおう。キミは校則違反をしている!」

 

「校則違反?」

 

 校則違反だと言われた栄太郎だが、まるでピンと来ていない。

 栄太郎の学校はそこまで校則が厳しいわけではないので、髪を染めたり、ピアスをしていても何も言われない。

 栄太郎はそもそも髪も染めていなければ、ピアスをつけているわけでもない。髪型だって自由の範囲内である。

 

「校則違反って?」

 

 思い当たる節がないので、小鳥遊に聞き返す栄太郎。

 栄太郎の言葉に、メガネをクイっと上げると、又しても大倉さんの「フヒッ」という声が漏れる。

 頬をピクつかせながら、必死に無表情を装い栄太郎に小鳥遊が語りかける。

 

「キミはいつも胸元を開けているが、それは校則違反だ。生徒手帳20ページに書かれている『異性及び同性への劣情を催す服装や髪型を禁ずる』に当たる」

 

「むっ……」

 

 生徒手帳を受け取ったが一度も目を通したことがない栄太郎。

 目の前の風紀委員が言うのだから、きっとそうなのだろうと生徒手帳を出して確認しようともしない栄太郎。

 校則違反だと小鳥遊に言われ、少しだけムッとする栄太郎。別に教師から校則違反だと直接お叱りを受けたこともなければ、似たような格好の男子はいくらでも、と言うほどではないにしろソコソコ居たりする。

 なんで俺だけに言うんだよと思ってしまうのは、まぁ少年らしい考えである。

 

「劣情を催すって、具体的には誰だよ」

 

 誰が劣情を催しているか言ってみろよと、少し不貞腐れ気味に言った永太郎だが、それは悪手である。

 

「君の隣にいるだろ」

 

 小鳥遊の言葉に、思わず大倉さんを見てしまう栄太郎。

 

(しまった)

 

 自分のその反応が、小鳥遊の言葉に対する肯定である事に栄太郎は振り向いてから気づく。

 

「あっ、皆なんで私を見るんですか!?」

 

 ちなみに大倉さんを見ているのは、栄太郎だけではない。

 西原、小鳥遊、ついでにクラスメイトの大半が大倉さんを見ていた。普段から大倉さんは栄太郎の胸元をガン見しているので。その大倉さんは、小鳥遊の「君の隣にいるだろう」という言葉に反応し西原を見たのはこの際置いておこう。

 

 必死に「あっ、そんな事ないよ!」と言って周りを見る大倉さんだが、誰も彼女の味方にはなってくれない。

 栄太郎としても、すけべ作戦は露骨なエロで西原を釣ろうとするのはあまり良い手ではないと考えていたが、ある日胸元を突然締め始めるのは変に勘繰られかねないので、涼しくなるのを待ってから胸元を閉めようと考えていた。

 なので、自分だけ校則違反を指摘されたことで不快を感じるが、小鳥遊の意見に反対ではない。

 

 しかし、1人異議を唱える者がいた。

 

「あっ、それなら小鳥遊く……さん。こちらも言わせてもらいますが、異性もしくは同性に劣情を催す服装や髪型を禁ずると言いましたよね」

 

 大倉さんの言葉を聞き、小鳥遊が片方の手でもう片方の自分の腕を掴み、必死にメガネをクイっとするのを止める。大倉さんにまた変な笑いをされそうなので。

 

「はい。確かに言いました。もし嘘だと思うならご自身の生徒手帳で確かめてみてください」

 

 生徒手帳を取り出し、その校則違反の内容が記されたページを見せる小鳥遊。

 そのページを見て、大倉さんがほくそ笑む。

 

「あっ、ならば言わせてもらいましょう。小鳥遊さん」

 

「どうぞ」

 

「七三吊り目細メガネえっろ!!!!!!!!!!」

 

 栄太郎は、申し訳なさそうな顔をして胸元のボタンを閉めた。

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