貞操逆転世界になっていたので、幼馴染を色仕掛けで落としたい   作:138ネコ

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第44話「ウェーイ、本日のメインイベント。やってまいりました」

 陽キャ男子四人と共に、応援団をする事になった栄太郎。

 インターハイへ向かうまでの三日間の、彼らと共に猛練習をした結果は。

 

「あっ、うん……ありがとっ……」

 

 栄太郎の危惧した通り、微妙な反応であった。

 喜ばれた点といえば、格好が彼女達目線ではすけべという事くらいだろう。

 応援内容そっちのけで、衣装をジロジロ見る者が居るくらいで。勿論その中に大倉さんも含まれている。

 

「だから言ったじゃないですか!」

 

 バスに乗り込み、車内で栄太郎の第一声に、ちょっとだけ申し訳なさそうな顔をする陽キャ男子達。

 

「いやー、いけると思ったんだけどね」

 

「いやいや、皆照れてるだけっしょ。実際は大成功だったんじゃね?」

 

「それな!」

 

「つまり、失敗したと思ってるのは、えー助だけって事で、ここは一つ」

 

「ここは一つ。じゃないですよ!」

 

「「「「ですよねー」」」」

 

 栄太郎の反論に、笑って受け流す陽キャ集団。ちなみにえー助とは栄太郎が彼らにつけられたあだ名である。

 

「大体、三三七ウェーイってなんですか。普通に三三七拍子で良かったじゃないですか」

 

「そこはオリジナリティってやつよ」

 

「それに、サイクロンダンスとかアドリブでやり始めないでくださいよ」

 

「えー助がまじ焦ってキョロキョロしてたのマジウケたし」

 

 栄太郎が何を言っても、そよ風に吹かれる柳のようにのらりくらりとかわす陽キャ男子達。

 そんな陽キャ男子達の反応に頭を抱える栄太郎。

 とはいえ、栄太郎が本気で嫌がっているかと言われれば、そうではない。

 なんだかんだで、同年代の男子と喋る機会が少なかった栄太郎にとっては、こんなバカ騒ぎも、ちょっとだけ、そう本当にちょっとだけ楽しかったりする。

 貞操観念が逆転した世界だが、陽キャ男子達は、もちろんこの世界の常識的な恥じらいは持ってはいるが、それでも他の男子と比べればかなり前の世界の男子に近い反応が多いので。

 

 まぁ、栄太郎がバスの座席を陽キャ男子達と一緒のところにした理由は、先ほどの駄々滑りした応援が恥ずかしくて、西原や大倉さんに顔を合わせづらいから、彼らについていっただけだが。

 なんだかんだで、やや、というかかなり騒がしくも楽しくバスの車内を過ごした栄太郎。

 

 そして、時を同じく、バスの車内で隣同士になった西原と大倉さんはというと。

 

(はぁ、栄太郎あんなすけべな格好して、私のためにやってくれたのよね。もっと見ておくべきだったわ。特に足が良かったわ。産毛とかエロ過ぎるでしょ!)

 

(島田君、普段は胸元とか開けて平気な顔してるのに、お腹出すの恥ずかしそうにしててギャル男ビッチが意外なところで純情見せる感じが出てて良い!)

 

「……生足」

 

「あっ、それもあり……ヘソ出し」

 

「……分かるかも」

 

 少ない言葉で分かり合っていた。

 

 

 旅館に到着し、それぞれの部屋が割り振られる。当然男女別で。

 基本的に、陸上部は陸上部同士で、応援で来てる生徒は応援で来てる生徒同士の部屋になっている。

 そして、栄太郎は、陽キャ男子達と同じ部屋になっていた。栄太郎は1年で、陽キャ男子達は全員栄太郎の1個上である2年生。出来る限り同じ年齢の生徒同士で部屋を振り分けるようにしてあるが、教師が事前に彼らがサプライズで応援をすると知っていたので、その辺りを考慮して一緒の部屋にしたのだろう。

 

 生徒達が部屋に入る前に、生徒達が集められ、旅館に迷惑をかけたりしないようにと、教師がいくつかよくある注意事項を読み上げる。

 特に何か起きることもなく、それぞれの部屋へ戻り、夜になり、入浴の時間となった。

 

「あっ、ねぇねぇ」

 

 大浴場で髪が湯に浸からないようにタオルで巻き、湯船の中でまったりとしている西原へ、大倉さんが話しかける。

 

「どうしたの?」

 

「あっ、島田君達って、やっぱり今頃ちん比べとかしてるのかな?」

 

 嬉しそうな顔でバカなことを口走る大倉さん。

 そんな大倉さんを半眼で見つめて、西原がため息を吐く。

 

「バカね。そんなの、やってるに決まってるでしょ」

 

「あっ、やっぱりそうだよね!」

 

 アホなことを言う大倉さんに対し、普段のクールな空気を纏いながらアホな返答をかます西原。

 思春期の男子が「女子って一緒に風呂入ったら乳比べとか揉み合ったりするんじゃね?」というのと同様に、貞操が逆転したこの世界において、思春期の女子が「男子って一緒に風呂に入ったらちん比べや揉み合ったりするんじゃね?」と言うのはなんらおかしいことではない。

 

 とはいえ、西原がその手の話を振られて乗ることはあまりない。

 こんな風にオープンに言えるのは、大倉さんが相手の時くらいである。

 西原と大倉さんの少々、というか割と下品な猥談は続いていく。

 

 一方その頃。

 

「ウェーイ、本日のメインイベント。やってまいりました」

 

「「ウェーイ!!」」

 

 風呂から上がり、旅館の浴衣に着替え部屋に戻るなりハイテンションの陽キャ男子3人。

 そんな3人に対し、困惑の表情を浮かべる栄太郎。なぜならメインイベントとやらを聞かされていないからである。

 

「そうですか。それじゃあおやすみなさい」

 

 唐突にメインイベントと言われても、良い予感がしない。

 なので布団に潜り、自分はやらないと栄太郎が態度で示す。

 

「おいおいえー助。何言っちゃってるの?」

 

「当然参加するよな?」

 

「ってか強制参加なので、そこんとこヨロシク」

 

 ものすごく嫌そうな顔をする栄太郎。

 心の底からやりたくないが、相手は一応先輩。

 無碍にすることが出来ず、仕方なく上半身を起こす。

 

「一応聞いておきますけど、女子の風呂を覗くとかじゃないですよね?」

 

 何をするかわからないので、確認をする栄太郎。

 女子の風呂を覗くとかは、流石に洒落になっていないので。

 

「なんで女子の風呂なんか覗くんだよ」

 

「普通逆だろ。ウケる」

 

 栄太郎の発言にバカ受けする陽キャ男子達。

 内心ほっとしながら、あることに気づく。

 

「そういえば、アイ先輩は?」

 

 アイ先輩というのは、栄太郎を応援団に誘った陽キャ男子である。ちなみにアイというあだ名は彼の苗字の相原から来ている。

 普段は4人で騒いでいる陽キャ男子達が、今は3人しかいない。

 もしかして、既にアイが何かやらかしているのではないかと不安がる栄太郎。

 そんな栄太郎に「良くぞ聞いてくれました」と言わんばかりにニヤニヤと笑みを浮かべる陽キャ男子達。

 

「そのアイですが」

 

「この後、告白タイムに入る予定です」

 

「俺たちはそれを野次馬、げふんげふん。陰ながら応援ってわけよ」

 

「「「ウェーイ!!!」」」

 

 今回の応援団をやろうという話は、そもそもアイの発案である。

 陸上部にいる幼馴染に思いを寄せているアイ。そんな幼馴染に告白をしたい。だがそのままでは断られるかもしれない。なので、好感度を少しでも上げるために応援団をしたいと思いついたのだ。

 そんな事のために、自分はあんな恥ずかしい格好をして、大恥をかいたのかと思うと、クソデカため息が自然と出る栄太郎。

 

「全く……それで、告白はいつなんですか? 早く行かないと始まっちゃうかもしれないですよ?」

 

 ため息を吐きつつも、布団から出てノリノリで部屋のドアまで向かう栄太郎。他人の色恋沙汰は見ていて楽しいので。

 

「えー助、わかってんじゃん!」

 

「よっしゃ、いっちょ応援団、やっちゃいますか」

 

「「「「ウェーイ!!!!」」」」

 

 4人仲良く肩を並べ、部屋を飛び出して行った。アイの告白を覗くために。

 青春である。 

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