貞操逆転世界になっていたので、幼馴染を色仕掛けで落としたい   作:138ネコ

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第62話「き、京もそういう事に興味あったりするのか?」

‐3人称視点‐

 

 

 栄太郎が仲良く大倉さんと借り物競争をしているのを横目に、歯ぎしりしそうな程にうらやましそうに見ている影が一人。西原である。

 今日はスケベな格好をしていない栄太郎だが、西原に言わせれば普段スケベな格好をしている栄太郎が露出の少ない格好をしている、それはすなわちスケベである。

 

 大倉さんもそれに気づいている。だから栄太郎の手を握った程度で目を背けて顔を赤らめているのだと西原はにらんだ。もちろんそんな目論見など一切ない。ただの大倉さんがヘタレているだけ。

 このままうかうかしていれば、大倉さんに栄太郎が取られかねない。だからこそ、少しでも自分の価値を示そうと、栄太郎近づく。

 

「栄太郎、この後まだ何か出るの」

 

「いや。俺はさっき出た障害物競走だけだよ」

 

 暑い中、わざわざ全力疾走したくないという理由で選んだ障害物競走。

 本人としては適当に選んで、適当に走っただけなのだが、網に絡まったり、風船をお尻で割る姿に一部の女子が興奮していた事を彼は知らない。

 男女共同の種目なのに、何故か男子生徒の参加者が少ないなと思った程度である。

 

 そんな競技に出たがった事も、出る事も周りは何も言わない。なんなら「あぁ、栄太郎らしい競技を選んだな」と思われているくらいだ。

 もし、男子が障害物競走をするだけで周りが興奮すると知っていれば、栄太郎ももう少し考えを改めて西原を魅了するための色仕掛け作戦にしていただろう。まだまだ彼が貞操逆転した世界に馴染んでいない証拠である。

 

「京は何に出たんだ?」

 

「障害物とか借り物みたいな物以外の、走る系全部かな」

 

「それはまた。流石インターハイ様だな」

 

 インターハイで結果を出したのだから、体育祭で色んな競技に出されるのは予想が付いていた。

 そして西原という幼馴染は、周りに期待をされると断れない性格をしているのを栄太郎は知っている。

 だから、驚く事なく、軽口で返し。そんな軽口こそ、栄太郎が自分の事を知っている証拠と、西原は内心ほくそ笑む。

 

「順位聞かないの?」

 

「どうせ1位だろ?」

 

「まぁね」

 

 当然の結果だと胸を張る西原。その胸を見て、栄太郎は「俺はこの胸を触った事がある!」と、心の中で胸を張る。

 

(この後、えー君が早く走るにはどんなトレーニングしてるのとか聞いてきて、2人きりのトレーニングが始まってフォームの為に体を触ってその気になったえー君が私と……)

 

 この女、キリッとした顔をしているが、脳内ではピンクな妄想を絶賛垂れ流し中である。

 もちろんそんな妄想を栄太郎が知るわけもなく、何故かドヤ顔で見つめてくる西原に対し、少しだけ戸惑っていた。

 

「あぁ、そうそう。そういえばさっき大倉さんの借り物競争で、一緒に来て欲しいと言われたんだけどさ」

 

「大倉さん借り物競争だったわね。一応見てたけど、栄太郎が呼ばれたってなんだったの?」

 

「それが借り物の内容が『スケベ』だったんだよ」

 

 思わず吹き出す栄太郎と西原。

 

「ったく、人の事を何だと思ってるんだって感じだよな」

 

「ま、まぁでも、栄太郎って結構そういう格好とかしてる事最近増えたから、やっぱり女の子としては意識しちゃうんじゃないかな」

 

(あれ、もしかして自然な流れでスケベな話に持ち込めたんじゃないか?)

 

(これ、スケベな話に持ち込む流れだよね!)

 

 ただただ、話のネタに困ったから大倉さんの借り物競争の話を出した栄太郎。

 それがまさかの展開に、言葉を選ぶ。ここが正念場だと。

 

「き、京もそういう事に興味あったりするのか?」

 

「そ、そりゃあ女の子だし」

 

((あれ、完璧な流れじゃね?))

 

「まぁでも、俺みたいなだらしない身体で、スケベだなんて喜ばないだろ」 

 

 普段は何をしてもツンケンな態度だった西原が、初めてスケベに反応を示した。

 ここで決めなければ、次のチャンスがいつ来るかわからない。

 

 しかし「じゃあ触ってみる?」と言っても、素直に西原が頷く可能性は少ないだろう。

 女性の胸を触っても問題がないのに、ヘタレて全く触れない体験談から、童貞、この世界でいう処女の行動は手に取るようにわかる。

 

 なので、同じように俺の身体で喜ばないだろと言って肯定される可能性は少ない。

 むしろ否定される可能性の方が高いまである。その事を織り込み済みで言っているのだ。ここで「栄太郎の身体じゃねぇ」と言われたら、ムキになって触らせる作戦のために。

 

「そんな事ないが!?」

 

 だが、栄太郎の考えとは裏腹に、西原が食い気味の返事をする。

 

「えっ……」

 

 想定外の返事に、一瞬だけ戸惑う栄太郎だが、栄太郎の反応に西原も戸惑う。

 大倉さんみたいにグイグイ行けば喜ぶと思いきや、引き気味の反応をされたので。

 

「えっと、それじゃあ触ってみる?」

 

「……良いの?」

 

「京が触りたいなら……」

 

 とはいえ、堂々と人前で触るわけにはいかない。

 人の少ない校舎裏にコソコソと隠れるように移動し、さぁどうぞと栄太郎が胸を出す。

 そんな栄太郎の胸を西原は、手をプルプルと震わせながら宙に浮かせたまま固まっている。

 

 西原の事をヘタレとは言えない。栄太郎も西原や大倉さんの胸を触る時同じ反応をしていたので。

 なので、西原の手を掴み、栄太郎が自分の胸に当てる。

 

(栄太郎の胸、凄く硬い)

 

 普段から脳内で触り慣れた栄太郎の胸だが、初めてちゃんと触ったそれは、柔らかさを帯びながらもしっかりと硬さがある。

 妄想の中では色々出来たのに、実際に触るとなると手を動かせなくなるヘタレっぷり。

 

 永遠のような時間は、すぐに終わりを告げる。

 

『次は女子1500m走。出場する選手はグラウンドに集まってください』

 

 アナウンスの声が流れる。

 

「あれ、京ちゃんって1500m走も出るんだっけ」

 

「うん」

 

「それじゃあ戻ろうか」

 

「うん」

 

 慌ててグランドに戻る栄太郎と京。

 栄太郎がクラスの応援席に戻ると、京が1500m走の準備をしている姿が見えた。

 

 ピストルの音と共に、西原が走り始める。

 西原の姿を見て、陸上部の女子がざわめく。 

 

「ねぇ、西原気合入り過ぎてない?」

 

「明らかに1500のペース配分じゃないよね。もしかして、競技間違えてるんじゃない?」

 

 大声で「速すぎるよ」「1500だよ、分かってる?」と陸上部の女子たちが西原に叫ぶが、西原の耳には届いていない。

 

(えー君がおっぱいを揉ませてくれた)

 

 明らかなオーバーペースで走る京だが、全くスピードを落とす事なく走り続ける。

 他の選手を周回遅れにし、それを見ていた全学年が沸くが、西原にはそんな彼らの歓声も耳には入らない。

 

(えー君がおっぱいを揉ませてくれた!) 

 

 西原はストップウォッチを持った女生徒の目が飛び出るようなタイムを叩き出した。

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