機甲猟兵エルフリーデの屈折した恋愛事情~最強ロボパイロットの英雄譚~   作:灰鉄蝸

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鬼神推参

 

 

 

 

 

 

 

 音もなく急接近してきた敵機に、エルフリーデは驚愕した。

 あらゆる意味で因縁の敵――かつて〈アシュラベール〉で死闘を繰り広げ、それでもなお取り逃した数少ない相手だった。

 

 まったく御免被りたかった。できることなら死んで欲しいが、さりとて今の状況で父母の敵討ちを願うほど感情的にはなれない。

 つまりこういうことだ。

 

 

 

「今さら出てくるなっ!」

 

 

 

『君たちは付く側を間違えた、ここで死んでくれ』

 

 

 

 肉薄された。

 〈アイゼンヴェヒター〉は重バレットナイトであり、他のバレットナイトとは重量の桁が文字通り違う。格闘戦になってしまえば驚くほどやれることが少なかった。

 迷うことなく内蔵火器を起動させた。垂直発射された四連装ミサイルランチャー二基から、八発の対戦車ミサイルが飛び出す。

 

 固体ロケットモーターに点火。

 〈ミステール〉ではなく、その正面方向――〈アイゼンヴェヒター〉との間にある地面を狙って、ミサイルが降り注いだ。

 

 成形炸薬弾八発が、至近距離で爆ぜる。

 白く燃える炎の華が咲いた。〈ミステール〉は光波シールドジェネレータを展開、跳躍して爆発の危害半径から逃れていた。

 

 武装分離の指令を入力。中身を撃ち終えた四連装ミサイルランチャーが、背中の兵装ハードポイントから切り離される。少しでも身軽になるための措置だった。

 短距離通信が来た。電波に乗せてセヴランの声が届く。

 

 

『君たちの活躍はバナヴィアを蝕む毒だ。ベガニシュ帝国というシステムは、英雄の存在で変わったりはしない。いいように利用され、民衆をあざむく謀略の道具にされるだけの虚ろな英雄――君は死ぬべきなんだよ、エルフリーデ』

 

 

 なるほど、また殺しに来る理由としては納得できた。

 要するにベガニシュ帝国のプロパガンダの材料として、本格的に政治と結びつきそうになっているから、いよいよ邪魔になってきた。

 

 そういうことなのだろう。そして先日、救国卿ルシア・ドーンヘイルの襲撃を乗り切ったことで、エルフリーデ・イルーシャに対する戦力評価も大幅に上がった。

 伏兵が二機だけなのは、おそらくそれが、バナヴィア独立派が極秘裏に輸送できる必要最小限の戦力だからだろう。

 他に狙撃手でも潜んでいるならお手上げだが、今この状況で撃ってきていない時点で、その可能性は低いはずだった。

 

 

 

「一応訊いておくけど、わたしを殺したら満足してくれるの?」

 

 

 

 エルフリーデは切り札を使うことを決めた。〈アイゼンヴェヒター〉を第三世代機たらしめる装備の使用――腰部に取り付けられた三基のロケットブースターに点火する。

 物質と相互作用する高エネルギー粒子として励起されたエーテルが、高効率の燃料となって吐き出される。

 

 ベガニシュ帝国で研究が進められ、より高出力の推進装置となったエーテルパルス・ロケット推進器――その推力によって、三〇トンにも達する機体を無理矢理に浮かせた。

 強烈な熱量が放出される。背後の雪を煮溶かして、高温の湯に変えながら突き進む。

 脚部の無限軌道が雪に覆われた地面の上を疾走する。

 

 〈アイゼンヴェヒター〉がロケット推進器の助けを借りて、一時的に高速機動ができるのは長く見積もっても二分が限度だ。推進剤となる高エネルギー粒子の残量も、エンジンそのものの耐久性もそれ以上は厳しいだろう。

 充填された高エネルギー粒子が尽きれば、この重すぎる機体は合金の棺桶に変わる。

 そういう冷酷な事実に向き合いつつ、エルフリーデは真実を指摘した。

 

 

「――違うよね。バナヴィア独立派が英雄エルフリーデ・イルーシャを殺したなんて事実は残っちゃいけない。あなたはここにいるみんなを皆殺しにするつもりでしょう?」

 

 

 これは味方に聞かせるつもりの通信だ。わずかでもエルフリーデを差し出せば助かるかもしれない、などと考えるものが出ないよう、あらかじめ可能性の芽を摘んでおくための言及――そしてセヴランが二の句を告げることはなかった。

 

 代わりに鋭い刺撃が飛んでくる。

 右腕の刺突長剣(エストック)と二本の副腕、しなやかに生物的機構が伸び縮みして、高速で繰り出される突き――切れ目のない雨となったそれが、装甲に突き立てられる。

 

 アルケー樹脂が砕け散る。セラミックプレートに亀裂が入る。だがギリギリで回避運動が間に合った。後退した分だけ、刃は辛うじてバイタルブロックに到達していない。

 膨大な熱量を吐き出しながら、半ばホバーと化している機動で〈アイゼンヴェヒター〉が疾駆する。

 複合破砕攻盾〈ブレッヒャーシルト〉が横薙ぎに振るわれる。その重量だけで並みのバレットナイトの重量に匹敵する大型盾――馬鹿でかいハンマーと化したそれが迫る。

 

 

『くっ!』

 

 

 深緑の剣鬼〈ミステール〉が飛び退いた。直撃すればバレットナイトであろうと容赦なく叩き潰せる打撃を警戒したのだ。

 同時に〈アイゼンヴェヒター〉の二〇ミリ電磁機関砲が火を噴いた。背中から生えた二本の副腕が、大容量弾倉の機関砲で弾幕を張った。

 雪上を穿つ機銃掃射の雨――〈ミステール〉がたまらず光波シールドジェネレータを展開する。

 その再接近を防ぐために銃火を放ち続けた。

 

 

「彼らを殺すつもりなら覚悟するがいい。その瞬間、わたしはあなたを殺す」

 

 

『言うようになったな――ベガニシュ人どもと内ゲバして鍛えられたか?』

 

 

「相変わらず紙切れみたいにペラペラの言葉だ、セヴラン。くだらない舌戦をする気はないっ!」

 

 

 言いながら電脳棺越しに指示を出す。

 抜刀している二機のバレットナイトを、〈ミステール〉の背後に回り込ませる。さらに両腕を失って後衛となった〈アイゼンリッター〉――ベア6と戦術データリンクを構築。

 〈アイゼンヴェヒター〉の火器管制装置と連動させる。

 

 ベア6の装備している背部ミサイルランチャーと、エルフリーデの機体の目が繋がった。

 次の瞬間、対戦車ミサイルが四発連続で叩き込まれた。乱数回避機動(ランダム・マニューバ)――〈ミステール〉がバッタのように地面を跳びはねた。

 

 だが、どんなに跳躍力に優れていようとバレットナイトは重力から自由になれない。

 自由落下し始めた機体にミサイルが食らいついた。

 成形炸薬弾が爆ぜる。高エネルギー粒子の盾が剥がれ落ちる。

 

 

――今なら殺せる!

 

 

 しかし同時に〈アイゼンヴェヒター〉の電磁機関砲も弾が尽きた。爆炎を切り裂いて〈ミステール〉が躍り出る。複合装甲で構築された、左腕の盾でミサイルの爆発をしのいだのだ。

 恐るべき突進だった。

 

 元より身軽な機体が、左腕の盾を失ったことでさらに速度を増していた。

 緑色の死神が迫る。

 バネ仕掛けのように右腕が伸びる超硬度重突剣――テロス合金製の剣が真っ直ぐに伸びてくる。

 エルフリーデは迷うことなく右腕を盾にした。

 

 

「――ちっ!」

 

 

 火花が散る。

 一二〇ミリ試作電磁狙撃砲の砲身が両断される。高電圧・大電流に耐える砲身は断ち切られ、全長七メートルにもなろうかという火砲が真っ二つに折れ飛んだ。

 その衝撃を使って後退する。

 

 軌道が逸れた刺突――右脇腹をえぐり取りながら、刺突長剣を辛うじて(かわ)す。

 右腕の兵装ハードポイントに指令。巨大な対戦車レールガンを固定していたロック機構が解放される。

 重量物を切り離す。電磁投射砲の弾倉が収まった後ろ半分が落下した。

 

 

「ベア5、ベア7!」

 

 

 瞬間、〈ミステール〉の死角に回っていた〈アイゼンリッター〉二機が長剣で斬りかかった。円運動を速度に変えて斬撃へと至らしめる軌道――超硬度重斬刀が閃いた。

 手練れの兵が同時に打ちかかったのである。

 

 常人であれば死ぬ。

 そしてセヴラン・ヴァロールは魔人の域に達した剣鬼だった。

 刹那、〈ミステール〉の背面で一対二本の副腕がうごめいた。超硬度重斬刀と同じくテロス合金で構築された刃が、シャコの前脚よろしく伸びた。

 

 それは間接部で折り畳まれ、展開時には全長六メートルにも達する槍のような兵装だった。

 後ろに目が付いているかのように、刺突が二方向に放たれた。

 

 斬撃と刺撃がぶつかり合い、火花を散らして互いの軌道を逸らし合う――その結果は〈ミステール〉の勝利だった。

 〈アイゼンリッター〉の腕が千切れ飛ぶ。頭部が刺し貫かれる。胴体への直撃を避けたがゆえに、ベア小隊のバレットナイトは継戦能力を失っていた。

 

 

『ベア5、武装全損……!』

 

 

『ベア7、頭部センサーをやられました!』

 

 

「ベア7は友軍機と視界を共有、3Dマップで行動しろ! 以降、ベア5と共に車両の護衛に回れ!」

 

 

 命じながらエルフリーデは〈アイゼンヴェヒター〉の右腕、収納されていた近接装備を起動させた。

 格闘戦用の超振動クロー、かぎ爪というよりも重機のドーザーブレードを思わせる分厚い刃が起き上がった。

 

 大気を震わせる振動音――超振動モーターによって高速振動する爪が突き出される。ロケット推進で浮かび上がり、無限軌道で加速する異様な巨体。

 エルフリーデの突撃を前にして、セヴランはとどめを刺すのを諦めた様子だった。

 ベア5とベア7の横から飛び退き、〈ミステール〉の右腕が閃いた。超硬度重突剣が弧を描くように振るわれ、超振動クローを弾き飛ばしたのだ。

 

 

 

『もうやめろエルフリーデ、お前が抵抗を止めるなら彼らの命は奪わない。約束しよう』

 

 

 

「ずっと嘘をついてきた男の約束が、信じられると思ってるの?」

 

 

 

 答えはない。

 エルフリーデ・イルーシャとセヴラン・ヴァロールの間にあるのは、残酷なまでに透き通った相互理解だった。

 不理解ゆえの殺し合いなどという逃げ道はなかった。

 

 お互いの思考がわかるから、こうして殺し合っているのだという納得だけがあった。

 そうして睨み合っている間にも、装甲車の車列はスピードを落とすことなく道路を直進していた。

 

 先ほどの爆発で路肩爆弾は尽きたと思っていいはずだ、とエルフリーデは思考する。バナヴィア独立派がエルフリーデたちの退路に陣取って、罠を仕掛けるために使えた時間は限られている。

 であれば今、強行突破するしかない。

 

 

 

「ベア2とベア3は残れ、他の機体は車両と共に突破しろ!」

 

 

 

 無傷で残っている二機の〈アイゼンリッター〉を僚機にして殿を務める。

 そう決めた。道路横で繰り広げられた激戦――雪が散り、踏みにじられ、ロケット・スラスターの熱量で煮溶かされて、湯気が立つような景色の中を車両群が突き進む。

 

 瞬間、右手の森の中で炎が瞬くのが見えた。

 見間違えようもない推進炎だった。それはあの忍者の駆るバレットナイト〈残雪〉が独特の軌道を描く際の発光だ。

 

 

――このタイミングで戻ってくるのか、忍者!

 

 

 素直に撤退してくれればよかったのだが、まあいい。

 この死地においてエルフリーデの僚機を命じられてなお、ベア2とベア3に動揺はなかった。

 

 

『ライオネス1、我々は最後まであなたと戦います』

 

 

『ご命令を、ライオネス1』

 

 

「ありがとう。地獄まで付き合ってもらうよ……あのござる口調の動きを抑えて。〈ミステール〉はわたしが仕留める」

 

 

『ベア2、了解』

 

 

『ベア3、了解。時代がかった野郎ですな、これまた』

 

 

 〈アイゼンリッター〉二機が、その銃口を〈残雪〉に向けた。

 ロケットエンジンの稼働時間は残り一分を切った。つまりあと六〇秒足らずで〈アイゼンヴェヒター〉は鈍重な棺桶に早変わりして、エルフリーデの命運は尽きる。

 

 〈アイゼンヴェヒター〉の武装のうち、内蔵火器は使い果たしている。

 残っているのは近接戦用の超振動クローと複合武器〈ブレッヒャーシルト〉のみ、白兵戦に特化した〈ミステール〉相手には如何にも分が悪い。

 要するに博打で勝負をしかけるしかない。

 そして敵は待ってくれなかった。

 

 

『さらばだ、エルフリーデ!』

 

 

 鴉頭の剣鬼が、地を這うような低姿勢で接近してくる。

 〈アイゼンヴェヒター〉もまた勇猛果敢に前進する――セヴランが殺意に満ちた刺突を放ってきた。避けるような真似はしない。代わりに正面に構えた盾〈ブレッヒャーシルト〉で受け止める。

 

 エーテルパルスをまとったテロス合金製ブレードは、易々と複合装甲を破砕してみせた。

 そう、深々と刃が食い込んでいく。

 実体シールドを貫通した刺突長剣を絡め取り、左腕の腕力で押さえ込む。

 

 望むのは正面衝突だった。

 ロケット・スラスターによって無理矢理に宙に浮いている、二四トンの巨体との衝突――それ自体がバレットナイトにとっては脅威になるはずだ。

 

 

『ちぃっ!』

 

 

 刹那、セヴラン・ヴァロールは武器を手放した。剣から指を離して、無手となった右腕が伸びる。その手指が〈ブレッヒャーシルト〉の縁を掴む。

 

 そして腕力と脚力を組み合わせた跳躍――まるで軽業師みたいな身のこなし――重量物である超硬度重突剣を捨ててしまえば、〈ミステール〉は恐るべき運動性を持ったバレットナイトだった。

 右腕の腕力と強度に担保された垂直跳躍。

 

 宙に飛び上がった〈ミステール〉はそのまま、〈アイゼンヴェヒター〉の背後に飛び移った。そして超硬度重斬刀の生えた副腕二本で、その上面装甲を貫こうとして。

 

 

「させるかぁっ!」

 

 

『なにっ!?』

 

 

 瞬間、エルフリーデもまた副腕二本を動かした。二〇ミリ電磁機関砲の弾を撃ち尽くして、無用の長物となった二本のサブアームを鈍器代わりに叩きつける。

 セヴランが吹き飛ばされる。自分の真後ろに飛んでいった〈ミステール〉――数秒、〈アイゼンヴェヒター〉の死角に回り込まれてしまった。

 

 急制動。

 脚部の無限軌道を操って、一八〇度の方向転換を行った。

 〈アイゼンヴェヒター〉は重たい機体だ。その自重ゆえに高速移動すれば、慣性の法則によってすべての動きが縛られる。背後を振り返るだけの動作が思い通りにならず、エルフリーデはこれまでの人生でも屈指のもどかしさを感じた。

 ロケット・スラスターの噴射で雪が蹴散らされる。

 

 

『こちらベア2、敵と交戦中!』

 

 

 振り返る。

 部下の駆る〈アイゼンリッター〉二機が、あの忍者のバレットナイトと銃火を交えていた。電磁機関砲が閃き、忍者刀が振るわれ、対装甲ナイフがそれを受け止める――明らかに分が悪いが、それでもなお彼らが勝負から降りることはできない。

 

 エルフリーデの視線の先、一五メートルほど離れた空間に〈ミステール〉がいた。

 長剣をもぎ取られた敵は、その左腰から予備のテロス合金製ブレードを引き抜いていた。

 ロケット・スラスターの噴射時間は残り三〇秒。

 

 

――クソッタレ。

 

 

 胸の中で罵声を浴びせつつ、エルフリーデ・イルーシャは再度の接敵に備えた。もう武器を奪うような真似は通用しないだろう。

 こちらの時間制限に気づかれれば、さらに勝ちの目は薄くなる。

 

 無謀を承知で、今まさに仕掛けようとした瞬間だった。

 音が聞こえた。それは大気を引き裂くような悪鬼のうなり声、ジェット推進機構があげる戦咆哮(ウォークライ)だった。

 

 

 

『――この音は、まさか』

 

 

 

 〈ミステール〉が戸惑うように空の彼方を見上げた。

 そして次の瞬間、躊躇うことなく光波シールドジェネレータを展開した。間髪入れずに飛んできた機銃掃射――三〇ミリ電磁機関砲が降らせる徹甲弾の雨――粒子防御帯が受け止めて光が爆ぜた。

 

 徹甲弾と相殺された高エネルギー粒子が、小爆発を無数に作り、けたたましい騒音を鳴らす。

 そしてエルフリーデは聞いた。

 短くも濃密な時間を過ごしてきた相棒の声を。

 

 

 

『――こちらライオネス2! 〈ラセツベール〉が援護します! ベア小隊、ライオネス1、以後よろしく!』

 

 

 

 それは鈍色の空を切り裂いて、雪の結晶が舞う中を飛翔する。上空三〇〇メートルの高さから、推進炎を噴き上げながら降りてくる人影。

 曲線を描く装甲、頭部から生えた二本のブレードアンテナ、力強い双眸(ツインアイ)――群青の鬼神が、その手に電磁機関砲を携えて舞い降りてきた。

 

 高高度からの空挺降下だ、とエルフリーデは理解する。

 おそらく上空の輸送機からパラシュートなしで自由落下後、ジェットエンジンを起動させて減速しているのだ。

 

 垂直方向への落下運動を、そっくりそのまま加速に利用して飛び降りてくる。

 そして空挺降下の最中にも、ライオネス2――リザ・バシュレーは威嚇射撃を続けた。

 安定した地上での射撃とは比べるべくもない、砲弾をばらまくような弾幕。それでもなお撤退中の装甲車に当たらないよう、射角を考えて撃ち込まれている離れ業だった。

 

 先ほどまでエルフリーデを狩る側だった〈ミステール〉は、今や明確に狩られる側だった。

 機銃掃射を浴びて粒子防御帯の盾が削られていく。すかさず森林地帯に逃げ込もうと、深緑の異形が大地を蹴った。

 

 

『遅い、遅いですねぇ!』

 

 

 だが、青の鬼神はそれを見逃さない。逆噴射で減速しながら制動、電気熱ジェット推進機構のうなり声と共に雪を吹き飛ばして。

 砲弾と高エネルギー粒子の飛沫で穿たれ、ぐちゃぐちゃに溶けた泥濘(でいねい)と化した戦場に――第三世代バレットナイト〈ラセツベール〉が現れる。

 〈ミステール〉の進路を塞ぐように、雪上をホバリングする機影。

 二本角の鬼を目にして、セヴランは瞠目(どうもく)した。

 

 

 

『青い〈アシュラベール〉だと!?』

 

 

 

 先日、バナヴィア独立派総帥の手で大破させられたはずの機体――その同型機の登場に、セヴラン・ヴァロールは初めて動揺していた。

 〈ラセツベール〉は大して興味もなさそうに、その銃口を敵に向けた。

 

 

 

 

悪いですね(ソーリー)、騎兵隊の到着です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 











アイゼンヴェヒター開発者「ロケットエンジンを使い捨てにすることで120秒だけ心持ち機動力が上がります! なお再使用はできません!」
エルフリーデ「ちょっと待って、使いどころいつなのこれ!?」






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